FM77AVシリーズ専用のアクションゲーム!
少年マイクのひとり旅
対応機種 : 富士通 FM77AVシリーズ
メディア : 3.5inch 2D (1枚)
定価 : 4,800円
発売日 : 1986年12月
販売元 : 日本ソフトバンク出版事業部
○ジョイスティック対応
目次
少年マイクのひとり旅 for FM77AV
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
森の奥深く、人々から「BOT-
TOMLESS CAVERN」と
恐れられる洞窟があった。
入口には、DANGER! DO
NOT ENTER!と記された
立て札があり、誰も近づく者は
いなかった。しかし、マイクは
洞窟には何かがあると信じ、ひ
とり洞窟へ向かった……。
美しいグラフィックと多
彩なBGM、FM77AVの
機能をフルに生かしたアク
ションゲーム。
ジョイスティックにも対応。
〔注意〕
CRTは21ピンアナログRGB端
子のついたものをお使いください。
このプログラムおよびマニュアル
の一部またはすべてを無断で複製
することを禁じます。
¥4,800
Made in Japan. C 1986 Jun Amanai.
(株)日本ソフトバンク
出版事業部Oh ! FM編集室
〒102東京都千代田区九段南2-3-26 ☎03-261-4095
『少年マイクの一人旅』について
◆『少年マイクのひとり旅』概要
『少年マイクの一人旅』(MIKE'S LONELY JOURNEY)はOh!FMが制作し、1986年12月に富士通 FM-77AV専用として日本ソフトバンク出版事業部から発売した探索型アクションゲーム。Oh!FMとは日本ソフトバンクから発行されていた富士通パソコン専門の情報誌。当時の正式名称は『月刊Oh!FM』(オー!エフエム)
通常のパッケージ販売(市販バージョン)は行われているが、『月刊Oh!FM』1987年1月号にはリスト掲載(掲載バージョン)されており、頑張って打ち込めば規模は小さい体験版のようなものが遊べた(そのダンプリストは20ページにも及ぶ)。ただし、先述のとおり規模は小さくステージ数が4ステージ分(市販バージョンのRound1,2,3,5)であったりタイトル画面、デカキャラボス、エンディングなどが割愛されている。また、市販バージョンは1ドライブ可だが掲載バージョンは2ドライブ専用となっているなど動作環境が異なる。
◆『少年マイクのひとり旅』の開発スタッフ
『少年マイクの一人旅』は主に4名のスタッフで作成されている。
プログラムおよびゲームデザイン、マップデザインは当時21歳であった天内潤(Jun Amanai、1965年10月6日-)。後にナムコが業務用基板として開発、1988年に稼働した『プロ野球ワールドスタジアム』を手掛けたり、テンゲンにてメガドライブ版『ヴイ・ファイヴ』の移植プログラマーを務めたりと多岐に渡って活躍している。
キャラクターデザインおよび背景背景グラフィックを担当したのは朝倉真里(Mari Asakura、1966年6月18日-2019年10月12日)。当時『月刊Oh!FM』の表紙に使用されていたCGを描いていた人物だ。今作ではタイトル画像も描いている(ディスク容量の3分の1にもあたる100キロバイトも使っているそうだ)。
BGM全般と一部背景グラフィックは川元義徳(Yohsinori Kawamoto、1965年12月27日-)が担当。彼のパッケージデビュー作となった『ぐっちゃんばんく』(1985年5月18日発売)ではドット絵、背景、BGMに加え、マニュアルの挿絵を描いている。
そして、マップデザインおよびキャラクターデザインを担当しているもう一人が "DOT.AKIMOTO" だ。『月刊Oh!FM』では川元義徳と同じく音楽プログラムのコーナーでその姿を見ることができる(誌面ではDotakimoto)。ただ、特集されスタッフ紹介があった折にも彼だけ名が出てきていない。正体は同誌のライターである滝本真澄(Masumi Takimoto、1965年6月1日-?)だろう(2013年以来更新されていないがそれっぽいXのアカウントが存在している)。
滝本真澄は後に任天堂ファミリーコンピュータ用『ドラゴンクエストⅢ~Ⅴ』(エニックス作品)やソニープレイステーション用『アランドラ1・2』(ソニーコンピュータエンターテインメント作品)に関わっている。facebookは追悼アカウントになっており故人となっていることが伺える。
https://www.famitsu.com/news/202007/13201208.html
https://x.com/kawagen/status/860494415134994433(2017)
◆当時のAVシリーズとライバルPCたち
『少年マイクの一人旅』が発売される少し前、FM77AVには新機種が投入された。初代FM77AVの後継機(第2世代)であるFM77AV20とFM77AV40(1986年10月23日発売)だ。
初代AVでもインパクトのあった4096色はAV40でなんと26万色まで対応。さらにAV40では400ライン8色に対応やメモリが192KBにグレードアップ、漢字ROMが第2水準まで標準対応など他にも数々の変化がある。AV20、AV40共に環境として大きく変わったのはディスクドライブで初代AVの2Dから2DDに変わったことだろう。
しかし、AVシリーズは大きなハードのアップグレードが意欲的に行われていったもののほぼすべてのゲームソフトハウスが初代(AV-1,2)を足切りしなかったため、2Dのフロッピーで供給が続けられ、アップグレードした機能を使う専用のゲームソフトは個人的に見た記憶が無い。
AVシリーズの性能は素人目で見れば、8ビットパソコンの中ではあらゆる点で他機種より抜きん出ているように見えた。しかし、他機種より率先してゲームソフトが発売される機種であったかというとそうでもなかった。AVシリーズ発売直後にPC-88シリーズは8MHzというハイスピード化の上に低価格化を果たしたFH、MHシリーズを1986年11月4日に発売してさらに勢いを増したのだ。
この頃にはとにかくまず最初にPC-88シリーズ用としてゲームは開発され、後に移植作としてX1シリーズやFMシリーズで発売されるという図式になっていた。そのため、8ビットパソコンの中でゲームをいの一番に遊びたいというのであれば、PC-88シリーズ一択であった。
◆御三家の中では性能の割に安く手に入れることができたAV
AVシリーズは高性能なグラフィック機能やFM音源が標準搭載されているなどのゲーム面でメリットもある。しかし、最も優れていたのは手に入れやすい実売価格だ。特に新型が出てからのAV-2は他社モニターとのセットでなら129,000円ほどで手に入れることができたのだ(純正モニターでない場合AV専用ゲームはやや画面が潰れたように表示される場合もあるが)。そして、数ヶ月に渡って価格は更に下落していく。
11月にはAVならではの性能を活かした『レイドック』(ティーアンドイーソフト作品)や『アムノーク』(アスキー作品)などが投入され、AVシリーズでなければ遊べないゲームソフトが出るという機運が高まってきていた時期でもあった。
もちろん、『ハイドライドⅡ』や『ザナドゥ』といった人気ゲームもPC-88と同時発売とはいかないが、同じクオリティーであったりグレードアップした状態で遊ぶことができたのだ。MSXではグラフィックやサウンドが大きく見劣りしてしまうが、もう数歩なんとか背伸びしてAVシリーズを選べば世界が大きく変わったのだ(それが1988年頃から急激に衰退するとは想像もしていなかった)
◆旧来の伝統を継ぐ探索型アクションゲーム
AVシリーズでしか遊べない、機能を使ったゲームが発売され(やや)注目を浴びていた中で陰ながら発売されたAV専用の一作がこの『少年マイクの一人旅』だ。AVユーザーに限定すれば知名度はかなり高いのではないだろうか。
このゲームの目的は少年マイクの好奇心を誘う洞窟を探検し、五体満足な状態(意味深)で無事に家に帰ることだ。ただし、各ステージの出口は単純に存在しているわけではない。ステージ開始時に表示されるメッセージをヒントとして謎を解き明かすと出口が姿を現すシステムを採用している。安心してほしいのは『ドルアーガの塔』(1984年ナムコ作品)ほどの理不尽なものではないということだ。ボーナスステージを除いては時間制限がなく(企画段階では時間制限も考えられていた)心ゆくまで探索することが可能だ。もちろん、ライフが許す限りだが。
『少年マイクの一人旅』はアクションゲームだが、触れたら死ぬとか、穴に落ちたら死ぬとかいう即死トラップは無いので安心だ。また、謎解きで方法を間違えると出口が出ないとかいう詰みもない。マイクの生命線であるライフは敵に触れた時は当然減るが、それ以外にも高いところから飛び降りた時(1画面につき1%ダメージ)、水中で息ができなくなった時点で1%ずつ減っていく。
とにかく肝なのは、気軽に1画面分以上飛び降りないことだ。ハシゴから降りていたら時間もかかるし面倒だ、と飛び降りると楽なのだが確実にダメージを食らう。積み重ねると10%や20%などあっという間に無くなる(そして回復手段は限られている)。
◆なぜAVシリーズなのに画面切り替え式なのか
マップの移動がスクロール式ではなく画面切り替え式になったのはプログラムテクニックの問題ではなく、ゲーム性のためだ。マップの一部には次元のゆがみがあり、画面の上に行ってすぐに下に行くと別の場所にいるというようなトリックが採用されているステージも用意されているのだ。こういったトリックはプレイヤーを戸惑わせ、その間にマイクのライフをガンガン削るだろう。
天内潤によると「せっかくAV専用にしたのですから、ハードウェアの機能を極限まで活かさないと満足しないでしょう。私も満足しません。そんなわけで今回のプログラミングは燃えましたよー!」とのことで疑う人には逆アセンブルまで推奨している(個人的印象ではどのあたりがプログラムテクニックなのかよくわからない)。
◆とにかく高い難易度
『少年マイクの一人旅』がそもそもマイナー故に話題とならないのが非常に高い難易度だ。まず、セーブも無いしコンティニューもない。ゲームオーバーになったらステージ0からスタートだ(開始ランクなど余計なものはセーブされるのに)。
一番キツイのは回復手段がかなり限られていることだ。ステージクリア時に回復しないのが個人的にはかなり苦しい。肉の入った宝箱も数は用意されていない上に、回復量も少ない(120%アイテムは用意されていたりするが)。敵によっては倒すとライフが少し回復する敵もいるが、気持ち程度だ。とにかくミスの少ないプレイを心掛けないとライフは確実に足りなくなる。
◆ナムコで名を馳せている川元義徳のルーツを聞けるBGM
『少年マイクの一人旅』のBGMおよびSEを担当したのは先述したとおり川元義徳。後にはナムコに在籍し数々の名曲を生み出している(個人的には業務用基板として開発された『バーニングフォース』が印象深い)。
当時は『Oh!FM』にてミュージックプログラムを時折担当しておりKawagenの名で登場している。
プロローグ
少年の名はマイク、13歳。妹のリサと2人ぐらし。1年前の飛行機事故で両親を一度に失ってしまったが、おませなリサが母親きどりでがんばっている。
「おにいちゃん、ちゃんと寝てなきゃダメよ」というリサの声でマイクは目を覚ました。(だったら起こすなよ……)とは思ったが、「わかったよ、バイバイ」とこたえておいた。リサはこれから学校だ。
小窓からリサの姿が見えなくなるのを確認してマイクはベッドから飛びおりた。昨晩の熱はどうやらさがったようだ。(チャンス!)マイクは決意をした。
「今日こそは、あの洞窟に入るんだ!」
森の奥深く、人々から「BOTTOM-LESS CAVERN」と恐れられるその洞窟はポッカリと口をあけている。その入り口には、
DANGER!
DO NOT ENTER!
と記された立て札があり、亡くなった両親からは「生きて帰ってきた人はいないのだから絶対に近寄ってはいけません」と言われていた。が、マイクはいつも疑問に思っていたのだ。「死んでからじゃ洞窟の外にあんな看板たてられないじゃないか」と。間違いない、生きて出てきた人もいたはずだ。本当に危ないのだろうか。それともなにか素晴らしいものがなかにあり、他人を寄せつけたくないからあんな看板を立てたのだろうか。
少年マイクは、ひとり、洞窟へと向かった。
ゲーム内容(HOW TO PLAY)
◆操作のしかた
歩行……テンキー、またはジョイスティックを使って8方向に自由に動ける。
ジャンプ……無変換キー、またはトリガーB
(向いている方向にジャンプする)
剣を振る……変換キー、またはトリガーA
(剣を持っていないと使えない。剣は、体の向いている方向に振り下ろされる)。
ゲームスタート……変換キーか無変換キー、またはトリガーボタン
ポーズ/解除……BREAKキー
サウンドOFF……CTRL+Qキー
サウンドON……CTRL+Sキー
◆宝箱にはなにが入っている?
洞窟内のところどころには宝箱らしきものがある。みつけたら近寄って、思いきって箱を開けてみよう。素晴らしいものが中に入っているかもしれないぞ。
たとえばアイテムには……。
●剣……これを取ると戦うことができるぞ
(1回では倒せないものもいる)。
●ハイパーシューズ……これを取れば取るほど、歩行スピードが速くなるぞ。
●酸素ボンベ……これを持っていると、水中に長時間いることができるようになるぞ。
●スプリング……これを取ると、ジャンプ力がアップするぞ。
食べ物には……
●くだもの……マイクはくだものが好きだ。くだものを食べて体力をつけよう。
●肉……マイクは肉も大好き。肉を食べて体力をつけよう。
●野菜……マイクは野菜が大嫌い。野菜を食べると体力が減ってしまうから気をつけよう。
この他にもなにかあるかもしれないぞ。よく中身を見てから取るか取らないか決めよう。
◆水中に入ってしまったら
洞窟の中には地下水流があり、足を踏みはずして落ちてしまうこともある。はじめの何秒間かはじっと息を止めていられるけど、画面上のTIMEが0になると、どんどん体力が減ってしまう。だから、なんとか時間内に脱出しないといけない。どうやればいいのかって? それは自分で見つけてほしい。使えるキーは、左右とななめだけ。放っておくと、マイクは上へ上へと浮き上がってしまうけど、水面には出られないので注意しよう。
◆ボーナスラウンド
ラウンド4とラウンド8はボーナスラウンドになっている。ボーナスラウンドには宝物が数多く置かれていて敵はいっさい出てこないが、時間制限がありその時間内に出口から出ると、取った宝物の数と残り時間に応じてボーナス得点が入るぞ。
もし時間内に出られなくてもボーナス得点が入らないだけで、次のラウンドへ進めるので安心しよう。
攻略方法
Emusucaさんより攻略法をいただいた。
■1面
敵8匹以上
■2面
敵25匹以上+ボス+顔の形の壁画を落下で通り過ぎる
シューズ有。
ボスはスタート画面から [ 左下 ] のところ。
■3面
敵35匹以上+ボス+はねるボールの奥にあるアイテム(ボンベ)
ボスはボンベの位置から [ 下下下下右下左下 ] のところ。
出口はボスの右。
■4面(ボーナス面)
道中シューズ有。
ゴールまでの道順
[ 下下下下右下右上上左上上右右下下 ]
※最初の[下]は画面左端から落ちる。最後の[下]は右端から。
■5面
敵45匹以上+ボス
裏面の道順
最初の宝箱がある画面から、[ 下下上右下左右上上上左下 ] で
全ての宝箱が手に入る。
ボスに行くには最後を下に行かず、上に登る。出口は適当に開く。
■6面
敵50匹以上+アイテム(スプリング)
スプリングはスタート位置の左端から落ちた先にある。
マップ右上方面の、もう上に行けなそうなところで画面上方に向かってジャンプすると、はしごにつかまれる。はしごを上った先の画面に落とし穴があるので入る。うまく画面右側に落ちれば隠しアイテムが4つある。
出口はボスの2つ下の画面
■7面・・・敵30匹以上+ボス
マップの上下左右がループして繋がっているので、落ちまくっていればボスは割と簡単に見つかる。出口はボスと同じ画面。
■8面(ボーナス面)
ゴールまでの道順
[ 右右右上上上上左上右右右下(画面中央から落ちる)下 ]
■9面
敵60匹以上+ボス
ボスを倒すと、ボスから [ 下下左 ] の場所に出口が開くので、マップ右下方面の小さい三角の水路に入ると出口前に出る。
※出口が開くのを見届けてからでなければ行けない。
■10面
みじんこボスは倒さなくてもクリア可能。
ボスまでの道順
スタート地点から、[ 下右右右下下下下下下右右上上左 ] でみじんこ。
みじんこから [ 下下左 ] で心臓。心臓は左後ろが安地。
心臓ボスの画面に来たら引き返すことはできない。
心臓を倒したら心臓のいた右上あたりに落とし穴があるので入る。
はしごは、最初の位置から
[ 上左上上上下下右上 ] でゴール。
トリビア
GOODエンドメッセージの和訳
THAT'S THE END OF MIKE'S JOURNEY
これでマイクの旅はおしまいです。
"WAIT, IS THE JOURNEY REALLY OVER? I'M AFRAID THE PURPOSE OF THIS JOURNEY HASN'T BEEN ACHIEVED YET."
「待つんだ、旅は本当に終わったの?残念ながら、この旅の目的はまだ達成されていないぞ。」
WHEN MIKE DECIDED TO SEEK THE PURPOSE THROUGH THE CAVERN ADVENTURE AGAIN , HE FELT THAT HE HEARD HIS FATHER'S VOICE WHO IS IN HEAVEN.
マイクが再び洞窟の冒険を通して目的を探そうと決心したとき、彼は天国にいる父の声を聞いた気がした。
GO AHEAD, AND YOU'LL BE AT THE RANK B, MIKE.
先へ進め、ランクB*になるぞ、マイク
CONGRATULATIONS!
おめでとう!
* このアルファベットは次のランクにより変化する
BADエンドメッセージの和訳
"OH, NO、I'M LOSING POWER...!"
「なんてことだ、力がなくなってきた。」
POOR MIKE WONDERD FOR A WHILE WHY THE CHANGE HAD HAPPENED TO HIM."WHY...?"
かわいそうなマイクはしばらく、なぜ自分に変化が起きたのか不思議に思っていた。「なぜなんだ…?」
THEN A MOMENT BEFOR DEATH, HE FOUND THE ANSWER.
そして死の直前、彼はその答えを見つけた。
"YES, I'VE BEEN FORGOTTEN THE TRUE PURPOSE OF THIS JOURNEY ON THE WAY OF ADVENTURE, THAT'S WHY".
「そう、私はこの冒険の旅の真の目的を忘れていたのだ。」
IN THIS NEXT LIFE, MIKE WOULD NEVER MAKE SUCH A MISTAKE.
この次の人生では、マイクは決してそんな間違いをしないでしょう。
CONGRATULATIONS!
おめでとう!
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