究極美表現エキサイトX指定
D-RETURN(ディー・リターン)
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (2枚)
定価 : 5,980円
発売日 : 1989年3月(発売予定1988年11月1日→12月から延期)
開発 : 日本コンピュータクラブ連盟
販売元 : 日コン連企画
GALLERY
PROMO WORD
究極美表現エキサイトX指定
ジョイスティック対応!
究極のシューティングゲーム
涙と感動のストーリー展開!
全8面、各面毎にBGMが違う!
オリジナルBGM40余曲使用!
各面毎にボスキャラ登場!
コンフィギュレーション画面にて、スピード、難易度、残機数、ミサイルの種類、開始面などの設定が可能!真のプレイヤーだけが見られる感動のエンディング!
戦争とは、一体何なのかを問いかける感動のストーリー展開。
あらすじ
2176年、核兵器が廃絶された地球には、核弾頭が一つもなく、条約国陣営と同盟国陣営間で、通常兵器による激しい戦闘が行なわれていた。決め手を欠いた条約国陣営は、月面に広大な軍事要塞を建設し、平行して、巨大な攻撃衛星を建造していた。そのDISASTROUS DISASTER(ディザーストラスディザースタ、不幸な災害)とコードネームを打たれたその攻撃衛星は、直径はゆうに100mを越え、衛星軌道上から、直接地上を攻撃できるというものであった。同盟国陣営では、総力を挙げて、ディザースタに対抗し得る戦闘機の開発にはいった。自由な操作性、無限に近い火力、途中物資の補給のみによる自己修復機能、そんな構想のもとに、戦闘爆撃機"ILLIEUS(イリーアス)"は開発された。2178年、ディザースタを破壊し、敵の要塞を全滅させるため、戦争孤児神楽坂畝傍上等兵が操縦するイリーアス1番機が農村の地下につくられた基地を翔び立った。…
ストーリー
I
21世紀後半から続けられていた、地球を二分する勢力、即ちアルメニア条約によって結ばれた条約国陣営と諒山(リャンシャン)同盟のもとに集結した同盟国陣営との間の緊張緩和への努力は、22世紀に入ってからも精力的に続けられていた。特に、人類存亡に関わる核兵器の廃絶への両陣営の奮闘努力には、並々ならぬものがあった。
そして、22世紀中頃になって、地球上のどこにある核兵器も確認できる「ニュークリアサーチャー」が実用化されるにいたり、これらの努力はようやく実を結んだ。核弾頭は次々宇宙空間へと放棄され、2157年、ついに地球上に、核弾頭がただの一つも存在しないことが確認された。人々は人類の英知を良心とたたえ、歓喜した。
しかし、「核」はやはり抑止力となっていたのだ。核兵器がなくなった以上、もはややりたくてやりたくて仕方がない戦争を我慢してこらえておく理由はなくなった。その年の内に両陣営の小競合いが始まり、数か月後には全世界を巻き込んだ「第三次世界大戦」へと発展してしまった。
通常兵器による戦闘は十数年続いたが、核兵器を失った両陣営は共に決め手を欠き、雌雄を決することなく、戦況は膠着状態に陥っていた。
Ⅱ
2176年、同盟国首脳陣におそるべき情報が入った。条約国が、月面に広大な軍事要塞を建設しているというのだ。それだけではない。要塞の建設と平行して、巨大な攻撃衛星を建造しているというのだ。
その攻撃衛星の詳細な情報が入るたびに、同盟国首脳陣は自分たちの耳を疑った。"DISASTROUS DISASTER(ディザーストラスディザースタ、不幸な災害)"とコードネームを打たれたその攻撃衛星は、ほぼ完全な球形で、その直径はゆうに100mを越え、衛星軌道上から直接地上を攻撃できるというものであった。
無論防御力も絶大で、通常は後方の支援基地から送られて来る防御シールドに覆われ、いかなる攻撃も無効化してしまうという。もしそんなものが機能し始めたなら、戦況はたちまち相手側へと傾くであろう。
しかしその真の恐怖はそんなものではなかった。ディザースタは、その厚い装甲の質量の一部をエナジーに変えて照射する「エナジーアタック」が可能だと言うのだ。折りしも、2176年暮れに地球に大接近するはずであった小惑星「アポロ」が忽然と姿を消すと言う事件が起こっていたが、どうやらそれは、ディザースタがエナジーアタックのテストに使ったために破壊されてしまった可能性があるという。しかもその破壊には、二撃を要さなかったというのだ。いくら小惑星とはいえ、直径数十kmもの天体をたった一撃で破壊してしまうとは、おそるべき破壊力である。現に、その際ディザースタ試作機は、自らの発したエネルギーに耐え切れず破壊してしまったという。同盟国陣営としては、かように危険な物を放っておく訳には、絶対いかなかった。
Ⅲ
試作機が自滅したことは、非常に幸いであった。あたらしいディザースタ完成までに、少なくとも2年は稼げただろうからだ。同盟国は、総力を挙げてディザースタに対抗し得る戦闘機の開発に入った。自由な操作性、無限に近い火力、途中物資の補給のみによる自己修復機能、そして大気中でも宇宙空間でもその性能を100%発揮できる.......そんな構想のもとに、戦闘爆撃機"ILLIEUS(イリーアス)"は開発された。
イリーアス試作機が、数機完成していた2178年、同盟国陣営に緊急通報が入った。ディザースタの月面でのテスト飛行がキャッチされたのだ。しかも新しいディザースタのエナジーアタックには、パワーセーブ機能が付加されており、自滅することがない。それだけではなく、パワーを絞った分だけ、連続な攻撃が可能だという。ついにディザースタが機能し始めたのだ!イリーアスがテイクオフするのは今しかない。かくして、農村の地下に作られた基地より、イリーアス1番機は飛立っていった...
Ⅳ
戦争が始まってから既に20年余り、両軍は、共に疲弊の極みに達していた。海上にも大型艦船や航空母艦の姿はもはや見られず、資源の不足から、新たに建造されることもなかった。当時残っていたのは、同盟国の航空母艦「瀬戸」と、条約軍の戦艦"SOVEREIGN"くらいのものだった。空からも、コンピュータその他の電子機器を搭載したハイテク戦闘機や爆撃機は姿を消し、かわりに低速で有視飛行に頼る安上がりな戦闘機が血迷った蝿のようにちまちま戦っていた。人々の間にも厭戦気分が蔓延し、ただ戦争の終結だけを待ち望んでいた。そんな状況は、両軍とも同じだと思われていた。
しかし、物資が不足していたのは、同盟軍だけであった。条約軍に関しては物資不足という状況はなかった。物資はあったけど戦闘に使わなかっただけだったのだ。条約軍は同盟国の消耗を予期して、物資の大部分を月面の要塞、そしてディザースタ建設に注ぎ込んでいただけなのだ。同盟軍は、それに気付いた時既に、それらに対抗し得る要塞等を建設するパワーは、失っていた。 「たった1機でディザースタに対抗できる」イリーアス構想が持ち上がったのも、ただ単に何十機もの戦闘機を作ることができなかったかたに過ぎない。
Ⅴ
しかし、兵員の不足という状況は両軍共に変わらなかった。戦闘要因のほとんどは戦闘開始後に生まれた、「平和を知らない」世代であった。イリーアス1番機のパイロットに選ばれた神楽坂畝傍(かぐらざか うねび)上等兵も、そんな一人だった。
彼女は孤児だった。少女時代をずっと施設で過ごしたが、父母を奪った戦争を一刻も早く終わらせたい一心で15の時軍に志願、以後天性の気性とカンの良さで数々の戦績を上げていた。まさに、戦争終結の決め手となるイリーアスのパイロット募集に迷わず志願、激しい訓練に耐え、晴れて1番機のパイロットに選出されたのだった。
Ⅵ
ついに大いなる日がやってきた。この日のために、畝傍は数日前から、カムフラージュのために農村の地下につくられた、この極秘基地に呼ばれ、コンディションを整えていた。彼女に与えられた任務は重大であった。その任務とは、
一、ルブハリ砂漠に潜む浮遊要塞"NOP"を撃破すること。
一、紅海上に停泊中の敵戦艦"SOVEREIGN"及び敵潜水艦「速汐」を撃沈すること。
一、東ヨーロッパ上空に待空中の浮遊母艦"MOTHER"を撃墜すること。
一、大気圏を突破し、月面でテスト飛行中の攻撃衛星 "DISASTROUS DISASTER" を破壊すること。
一、また可能ならば、敵首脳たちが搭乗する視察艇兼攻撃艇 "FORTRESS 2_2" を撃破し、彼等を暗殺すること。
である。
大戦開始直後の衛星軌道戦で、すべての衛星を失った同盟軍が収拾でき、そして彼女の身に降りかかることが予想される全ての障害を突破しなければならないのだ。しかし畝傍の心中には自らに課したもっと大きな任務があった。それはもちろん「戦争を終結させること」である。かたい決意と、使命感と共に畝傍はコクピットに乗り込んだ。
Ⅶ
" Unebi, are you ready? Now check every indicator and status again. After two minutes I'll start counting down. ...畝傍ちゃん、頑張ってね。理力があなたと共にありますように。"
基地の管制室から随時彼女に作戦の詳細と情報を伝えるのは、かつて彼女のナビゲータとして彼女と共に飛び、名パートナーと言われた銀鈴里美准尉だ。また彼女の父は同盟軍最後で最強の航空母艦で、3年前の条約軍の猛反攻"SOUTH CHINA MISSION"のとき同盟軍を敗北の危機から救った「瀬戸」の主任設計者であった銀鈴博士で、その関係から彼女も軍組織から一目おかれる立場にあり、ランクの低い畝傍の地位向上に一役買っていた。操縦系統の簡略化からイリーアスの搭乗人員は一人になっていたので、今回のミッションでは、地上から畝傍をサポートすることになったのだった。
「ありがと、里美。きっとうまくやれるよ....戦争が終わったら、二人でいい男みっけような。」
「そうしたいわね...畝傍ちゃん、絶対、無事に帰ってくるのよ。無理しちゃだめよ。」
そのとき、急を告げるアラームが基地全体に鳴り響いた。
「どうしたんだ、里美!」
「小型のディフェンダーが基地に接近してきてるわ。どうやらこの基地も嗅ぎつかれたみたいね。」
「神楽坂上等兵、聞こえるか、小型のディフェンダー、デス・シャワーⅡがこの基地に接近してきている。直ちに出撃し、迎撃してくれ。」
「ラジャー。...じゃ、里美、サポート頼んだぜ。」
「OK。畝傍ちゃんも、頑張ってね。」
「ああ。じゃ、。」
時は来た。戦争終結を願う全ての人々の期待を背負い、イリーアス1番機はカタパルトを蹴って、南の空へと飛び立っていった。
時に西暦2178年5月、うららかな五月晴れの日のことだった。
D-RETURENについて
同人くささの漂うパッケージにグラフィック。私にとって怪しい存在の「日コン連」は大阪の電気街日本橋に存在する。もともとゲーム開発のメーカーでないからというのもあるがもっと深い意味があるかもしれない。開発は神戸大学情報統計部の学生であった、赤坂賢洋氏。BGMに至るまでほとんど一人というのだから凄まじい。
ゲームルールとしてはライフ制+残機を用いたゲームで、力押しに進めるゲームと考えがちだが現実は甘くない。敵と離れていれば射出される弾のスピードが遅く、遠ければメチャクチャ早いという、接近戦を行うことが大事なゲーム。密着して撃ちまくる気合いが必要。また、パワーアップカプセルが落ちると効果が半減するのでダイレクトキャッチがこれまた前提となるのだが、そんなの無理。ワンバウンドどころか2バウンドさせて取るのがオチ。しかも途中で敵に体当たりすることがよくあった。
エンディングを見るには規定の方法を取らないと見ることができないシステムになっている。ただし、マニュアルに記載されているので行動に関して自分で解かないといけないということはない。
1. DIFFICULTYはEASY以外
2. 8面は、E面を選択すること。
現在のステージがS,N,E のどれかは画面のステージ名の横に出ているので参照すればいい。
無敵にすると最後の最後ではまるし、残機を無制限にしても一定場所まで戻されるので、結局はテクが必要。しかも死ぬとパワーアップや初期ライフが減ってしまうので必然的に難易度を上げることになり、復活は余計に厳しい。と、多少の改造ではエンディングを拝むことすら不可能だ。恐らく最も簡単な方法は状態セーブで記録しておき、最後の状態で無敵を解除するという方法なのだろうか。普通にプレイするならばSTAGE7よりスタートするのが最も簡単にエンディングを見ることができる。
このゲームはエンディングを見ると後に受ける印象が大きく変わる。シューティングでこれほど感慨深さを受けるのは珍しいのではないだろうか。クリアした人だけが持つ印象が大きいだけに全ての人にエンディングを見て欲しいものだと思う。音楽も最終面からエンディングまでの流れは、最高に美しい。このラストストーリーと音楽だけでも十分に価値のあるゲームだと感じるのだ。
曲に関してはストーリーの重さとは対照的に明るい曲や軽い曲が多い。それ故にシューティングぽくもなく、曲だけで聞いてもテクニックらしい物が感じられない等、当初受けた印象はあまり良くなかった。そんな中でゲームの進行がエンディングに近づいたステージ8の半ばに達した時に流れる"UNEBI'S THEME"が印象を大きく変えた。正に畝傍の行く末を示したテーマ曲のように流れ切なさを感じさせるのだ。この盛り上げ方は共感する人が多いようだ。その後のエンディングに関しても名曲だと思う。
いただいた情報
D-RETURN真のエンディング(?) 投稿者:MBM
投稿日: 2008年 7月26日(土)10時36分55秒
早速D-RETURNの追加ありがとうございます。
それでは、記憶の片隅に残っている情報を書いてみます。
(完全にネタバレですが、もう時効と言う事で)
各ステージのボスを倒した後の自機の位置が下の方にいれば居るほど、次のステージが長くなった筈で、(確か短い・普通・長いの3パターン)真のエンディングを見るにはパニックでステージ1からスタートして、ステージ2以降は全て長くなる選択をする必要があった筈です。
そうすれば、ラストステージの最後で・・・通常は壁に激突してしまって終わってしまいますが、条件を満たしていれば、この壁が無くなり、ラスボスとの対決となります。
しかし、こいつが手ごわかったりします。
このラスボス・・・普通に攻撃するだけでは絶対倒せません。
なんと、とあるところを壊して・・・自機を突撃させて・・・と言う感じです。
(とあるところが壊れれば下から突撃出来た筈です)
正直、真のエンディングを見るまでの難易度は高いと思われますが慣れればノーミスクリアも可能です。慣れすぎて戦艦のボスで残機が0になるまで
得点を稼いで、それからクリアなんて事もしていました(笑)
クリアおめでとうございます! 投稿者:MBM
投稿日: 2008年 8月 3日(日)04時19分41秒
ご無沙汰してます。
D-RETURNの話題で盛り上がっていたようですね。私も一時はまったクチです。
で 気になったのですが、難易度パニックで始めないとエンディングが見えないってことですが、私の68版では普通にノーマルで始めても毎回下ルートを完全に選んでいればちゃんとラスボスに到達できた筈です。パニックはお話にならないのでネタとして遊んだ程度ですし。
私のバージョンがたまたまそうなのかもしれませんが、そんな無茶なゲームでも無かったと記憶しています。エンディングは相当つらいですが、音楽とあいまってホロリとさせられました。
マニュアルにエンディングあたりのストーリーが載っている異例の作品でしたね。
68が健在ならもう一度遊びたいです。
神楽坂畝傍 投稿者:SYD
投稿日: 2008年 7月31日(木)23時32分49秒
ノーマルでも行けたんですね。パニックで最初からやってたあの苦労は一体(笑)
何でパニックにこだわっていたのか・・・もしかしたら、知り合いが既にハイスコア狙いで、敵の数も多いパニックしか眼中に無かった・・・とかだったりするのかも。
記憶が定かでは無いですが、パニックでしかエンディングに行けないと聞いたのは単に聞き間違いだったのかも知れませんね。ノーマルでもクリア出来るのを知っていたけど、わざと教えてくれなかったのかもしれませんが(笑)
残機ボーナスがあるので、ノーミスクリアが一番得点高いと思えば、戦艦のボスで稼げばもっと上にいけます・・・が、自爆するので、難易度は更にアップかもです。
このD-RETURN、何かを意識している気がしてならないんですよね。
Dって何?という話になると、ダライアスのDだよね?って話に。
確証は無いのですが、ラストステージの要塞っぽい所のBGM、D-RETURNで一番長い曲で一番気合が入っている風に感じますが、このイントロ・・・ダライアスのラスボスのイントロに一瞬似てません?(汗)細かい所でダライアス風味を入れてある気が(例えばミサイル攻撃とか)ステージクリア時の自機の位置によるステージの長さ変更は本当はダライアスの様な分岐を考えていたけど、大変なのでああなった・・・とも考えられます。
エンディングを見れば、一応スタッフ出ますが殆ど一人で作られた
様な気がするんですよね。正直凄すぎと思います。
トリビア
一部のX68000にはキーボードインターフェース周辺に異常のあるものが存在するらしい。なぜS-RAMをクリアするなどすると解決するのかは謎だ。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)
01 GAME START
02 DEAD MATTER Ⅱ (出撃)
03 WARNING (ボス出現警告音)
04 STAGE CLEAR (未使用)
05 CONFIGRATION (MAIN)
06 CONFIGRATION (ENDING)
07 MAIN THEME (STAGE 1・農村)
08 STAGE 1 BOSS (DEATH SHOWER-Ⅱ)
09 ETERNAL SILENCE (STAGE 2・砂漠)
10 STAGE 2 BOSS (NOP)
11 A DANGEOUS PASSER-BY (STAGE 3・海上)
12 STAGE 3 BOSS (SOVEREIGN)
13 VOYAGE TOWARD THE SOUTH (STAGE 4・空中)
14 STAGE 4 BOSS (MOTHER)
15 SEETHING SEAWATER (STAGE 5・宇宙空間)
16 STAGE 5 BOSS (FIRESTALKER)
17 DEAD MATTER (STAGE 6・月面)
18 STAGE 6 BOSS 'TERROR' (DISASTROUS DISASTER)
19 RUN OF HEAVEN (SATOMI'S THEME)
(STAGE 7~8-1・地下洞窟)
20 A TRAITOR OR A SUCCESS
(STAGE 7 BOSS "CAVE WORM"/STAGE 8-1 BOSS "DEAD END")
21 UNEBI'S THEME (STAGE 8-2・地下要塞)
22 DEAD MATTER Ⅲ (STAGE 8-3・FORTRESS 2_2登場)
23 RAI-GUN (STAGE MID BOSS)
24 CATASTROTH (バッドエンド)
25 STAGE 8 BOSS (FORTRESS 2_2)
26 STAGE CLEAR
27 KAMIKAZE~ENDING=1= (エピローグ)
28 ENDING=2= (スタッフクレジット)
29 GAME OVER
30 NAMING (FIRST)
31 NAMING (SECOND)
32 NAMING (THIRD)
33 NAMING (FORTH)
34 NAMING (FIFTH/オープニングテーマ)
35 UNUSED 1
36 UNUSED 2
37 UNUSED 3
38 UNUSED 4
39 UNUSED 5
40 UNUSED 6
41 UNUSED 7
42 UNUSED 8 -PATHETIQUE SONATA-
合計時間 : 38:09
作曲 : 赤坂賢洋(Norihiro Akasaka)
エンディングムービー
■エンディングムービー
EPILOGE
Ⅷ
全砲門を破壊され、攻撃力を失ったFORTRESS2_2は、それでもなおその機能を停止させようとしなかった。
「くそーっ、里美、これ以上どこを狙えばいいんだ!」
「落ち着いて、畝傍ちゃん、第二迫撃砲のついていたところのすぐ奥にエンジンがあるはずよ。そこに打ち込んでみて。」
「第二迫撃砲んところだなっ。」
畝傍あやつるイーリアスはすっと左にスライドし、すぐさま目標を捉えた。
「くたばれこの化けもんがっ!」
一瞬のうちに、すでに最大火力となった、エクステンドファイア数百発が、装甲板を失ったエンジンボックスに打ち込まれた。
しかし、打ち込まれたマキシマムエナジーも、エンジンボックス自体の装甲の前に、空しく砕け、散っていった。
二度、三度、イーリアスは旋回と攻撃を繰り返したが、やはり無駄に終わった。
「だめだ里美、イーリアスの火力くらいじゃ歯がたたない!どうすりゃいいんだ..。」
「もっと大きくてまとまったエネルギーじゃないと...畝傍ちゃん、もっと接射できない?」
「...これ以上無理だよ、里美...」
「........」
途方に暮れる畝傍の耳に、ざわざわとした騒音が聞こえる。
管制室の方も、相当混乱しているらしい。
と、そのときになにかぼそぼそと耳打ちする声が、さらにそれに続いて里美の叫び声が聞こえた。
「...だめっ、だめ!言えません!」
「言うんだ。早く。」
「そんな、絶対言えません!」
「早く言え。これは命令だ。」
「従えません。」
「ならばそこをどけっ!」
「だめーっ!!」
里美の絶叫と、がたがたともみあう音が畝傍の耳に飛び込む。
「どうしたんだ、里美、まさか.....!」
「畝傍ーっ、もういいわっ!!早く帰還して..........きゃあっ、。」
里美の悲鳴がすっと小さくなったとたん、どさっと人の倒れる音がした。彼女の遠い声が畝傍の魂をゆさぶる。
「かえってきて、畝傍...お願い...。」
........
「神楽坂上等兵、聞こえるか。」
「...聞こえてます。」
「非常に言いにくいんだが、君に最後の命令を伝える..。」
「...言いにくければおっしゃらなくて結構です。わかってます...。」
「!...なに.....。」
「里美にお伝えください。今までありがとうと..........オーバ」
べつに、恐怖や不安や困惑といったものはなかった。ただ、後悔と無念を心の奥から拭い去ることは彼女にはできなかった。
コントローラを握る畝傍の目に涙がひかる。
「さらばだ、里美。楽しかったぜ...。」
イリーアスはすうっと2_2に吸い込まれていった。
今では、同盟軍が宇宙空間での事象を知る唯一の手段となっていたラジオテレスコープが、月の裏側で、比較的大きな爆発をキャッチし、作戦成功の判断が下された。
首脳陣のほとんどを失った条約軍の組織はほぼ完全に崩壊し、各地の戦線は同盟軍の雪崩的圧勝の内に終息、2178年9月、ついに同盟軍は、地球上のほぼ全域を制圧した。
こうして21年間続いた悪夢のような戦争は、その幕を閉じたのだった。
Ⅸ
夕暮れの英霊墓地のほぼ中央にひときわおおきくそびえる墓標の前に、銀鈴里美の姿があった。その墓標にはこう記されていた。
『戦争を終結に導いた英雄、ウネビ・カグラザカ少尉、ここに眠る。
2158-2178』
遺骨もなければ遺品もないその墓標の前で、里美は、もう小一時間も、夕暮れの心地よい秋風に身をまかせていた。
ふと背後に人の気配がして、里美は振り返った。
「大佐...。」
「久し振りだな、銀鈴中尉。」
「...その言い方はやめてください。私はもう軍とは関係ないんですから。」
大佐と呼ばれたその男は、かつてのあの作戦の指揮官だった。
「あれからもう4ヶ月か、時のたつのは早いもんだな..。」
「.....。」
「私への恨みは、何年たっても変わらんかね。」
「...別に恨んでなんかいません。悪いのは戦争なんですし、...別にあなたが私にああ言わせようとしなくたって、畝傍はああしたと思います。」
「本当にそう思っているとは思えんが.....しかしあの時はしかたがなかったんだ。私だって好きで戦ってきた訳じゃない。
一刻も早く戦争を終わらせたかった。彼女と同じようにね。
でも戦争を終わらせるということは、それをすることよりも難しいんだ。
そいつを終わらせるには、殺して、殺して、殺して....勝者となるしかないんだ。...あの時の軍には、手段を選んでいる余裕はなかった...。」
「それで畝傍を殺したとおっしゃるんですか。確かに畝傍には身寄りがなかったし殺しても文句をいうのは私くらいのものでしたものね。」
「それは違う!邪推だ。」
「じゃ、あの時のパイロットが、『軍の偉大な功労者銀鈴博士のご令嬢』の私だったとしても、ああなさったんですか。」
「ううっ、そそれは...。」
「’イリーアス’パイロットの最終選考に残っていたのはみんな身寄りのない子ばかりだった。
なにかあるとは思ってたんだけど...まさかあんな時のためだったなんて、ひどい...。」
これ以上不利な立場のまま言い争いたくなかったので、大佐は振り返って、夕陽に背を向けた。
「...あさって、戦没者の合意慰霊会がある。君も賓客として招かれているんだが...。」
「結構です。」
里美は大佐に背を向けたまま答えた。
「...そうか、それじゃ...。」
大佐はそう言うと、そのまま2,3歩あるいたが、またすぐに立ち止まると言った。
「そう言えばいい忘れていたが、彼女の最後の無線で、私は君への伝言を頼まれていたんだ。」
「...なんていってたんです...。」
「『いままでありがとう』と。」
「そうですか...。」
「...それじゃ、私はこれで失礼する。」
さっさっと大佐の足音が小さくなってゆく。
「!」
思わず振り返った里美の視界に、小さくなってゆく大佐の背中の中で淡く光る、昇ったばかりの満月がとびこんだ。
そしてその像はすぐさまぐしゃぐしゃと乱れ、かき消えた。その時の里美に、溢れる自分の涙を抑えることはできなかった。
永遠に、いや厳密に言えば永遠とは言えないかも知れないが、人間の一生に比べれば、ほとんど永遠と言っても差し支えない遠い未来まで、月は昇り、
そして沈むことを繰り返すだろう。しかし、彼女の生ある間は、それらは昇るたびに、彼女に悲しみに耐えることを強いるのだった。静かに、美しく、そして冷酷に。
Story of "D_RETURN" END