知られざるサーガ 作・瀬田哲也(シナリオ・メッセージ・操演担当)

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"人知れず、戦い、傷つき、多くのものを失いながら、世界を救いたる戦士あり。/p/n"
"されど、その戦いの日々は、知られざる伝説となりぬ。/p/c"

"今こそ語らん、隠されたる激闘の日々、血の海を神の剣で切り開きたる勇者の物語を。/p/c"

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"戦士の名はラトク・カート。/p/n"
"デュエルの子孫にして、雷鳴剣サーク・ソードの使い手なり。/p/c"

"幾多の戦いの果てに、伝説となりたる若き勇者。/p/n"
"人、その名を讃えよ、神々に祝福されたる若き獅子を!/p/c"

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"勇者に従う乙女あり、魔法に秀で、よく勇者を助く。/p/n"
"乙女の名はフレイア・ジェルバーン。/p/c"

"そは、戦いの原野に咲く白き薔薇のごとし。/p/n"
"朝露に輝きて、光を撒き散らせ。/p/c"

"芳しき香りに猛き獅子も心慰めん。/p/n"
"人、その名を讃えよ、神々に愛でられし白き薔薇を!/p/c"

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"若き獅子の力を司りたる剣ありき。/p/n"
"すなわち、雷鳴剣と人の呼ぶ、剣精宿りたる神剣なり。/p/c"

"そは、賢者のごとき知恵と、鳴り響きたる雷鳴の力を内に秘めたり。/p/n"
"人、その名を讃えよ、戦神に祝福されたる、猛き御雷を!/p/c"

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"勇者を導きし妖精の乙女あり。/p/n"
"乙女の名は、ルゥ・ミーリ。/p/c"

"世界の果ての、さらに果てまで、共に歩みし小さき星なり。/p/n"
"人、その名を讃えよ、精霊に導かれし小さき星を!/p/c"

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"勇者と共に戦いし、戦士あり。/p/c"

"その名はリューン・グリード。/p/n"
"獅子の傍らにて、豪勇を誇りし無敵の狼なり。/p/c"

"誇り高きがゆえに時に傷つけられし魂は、それゆえ人の優しさを知る。/p/n"
"人、その名を讃えよ、戦神の末裔たる、孤高の狼を!/p/c"

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"彼ら四人と一振りの剣、核となりて、かの冒険の幕を引く。/p/c"

"導きの星、助けの光、彼ら彩りて波さかまく。/p/n"
"悲痛の騎士、虚ろなる人形、天空駆ける海人。/p/n"
"慈愛の乙女、放浪吟遊詩人、失われし黒き者。/p/c"

"汝、その戦を讃えよ、世界に安寧をもたらしたる彼らの知られざる戦いを!/p/c"

"夢また夢の向こうに、たった一つ、真実を告げる伝説がある・・・。/p/c"

"時はながれ、三つの世界、三界の住人が一つとなり、/p/n"
"やがて忌まわしい戦いの記憶も薄れゆき、今や一つとなりたる世界の子らは、緑野に遊ぶ。/p/c"

"されど、戦士の名は、陽光のごとく永遠にきらめき、/p/n"
"その伝説は、末永く人々に愛される。/p/c"

"人よ、忘るるなかれ。/p/n"
"雷神の血と力を受け継ぎし、若き獅子の名を!/p/c"

"その名は、ラトク・カート。/p/n"
"幾多の戦いの果てに、伝説となりたる若き勇者なり。/p/c"

"夢また夢の向こうに、/pたった一つ、/p真実を告げる伝説がある・・・。/0",



 そんなわけで、はじめまして&こんにちわ、もしくは、こんばんわ、付け加えるなら、おはようございます(しつこい?)。
 私が、XakⅢのストーリー、シナリオ(脚本)、メッセージ全般、ゲームデザイン(の一部)、操演組み立て、データ管理をやりました、瀬田です(しつこい!)。

 上の文章は、エピローグの最後でホーンのセリフとして用意したものですが、色々な、「大人の理由」でボツにしたものです。

 個人的にはけっこう気に入っていて、このまま闇に消えるのは惜しかったので、ここに載せていただきましたような次第です。
 (あ、ちなみに、「/P/C」といった文末の記号は、操演用の制御記号です。)

 さて、ゲームデザイナーとか、シナリオライターといった仕事に興味のある方のために、私の仕事内容を少しお話させていただきますね。

 今回のXakⅢでは、当初、シナリオライター 泉、ゲームデザイン 瀬田、グラフィック 石川、というマイクロキャビン新人トリオが参加していたのですが、  これまた、大人の理由で、泉がPCエンジン版フレイのシナリオライターとして引き抜かれ、突如、私がシナリオを担当する次第となったのでした。

 さてさて、私が担当したところは、まず、シナリオです。
 マッキントッシ*クラシックを使用し、ゴリゴリとシナリオを書いていきました。
 こんな具合です。

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 0310  [ウェービス城](王の間)

謁見
(イベント発動条件:ファーランド城をクリア)

ウェービス城、王の間

ウェービス王、ベルーガ将軍、フェルといった顔見知りの人物に加え、ウェービス軍幹部、王の側近たち、宮廷付き魔術使、などがいる

ラトクが、到着すると、それまで、ガヤガヤ話しあっていた人々が、シーンと静まり返って、人々が道を開ける
(映画「十戒」の海が割れるシーンみたいに)

ウェービス王の前まで進むラトク

ラトク、膝をつく


「大儀であった、デュエル戦士ラトクよ。
この度のファーランドでの働き見事であったぞ」

「お、王様には御機…御機嫌…えーと…」

「よいよい、堅苦しい挨拶は抜きじゃ。
それよりも、そなたに会いたいというレディがおるのじゃ」

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 で、こんな風に書いたシナリオをサーク・チームで、検討し、あーだこーだと議論をして、修正し、完成させました。
 いろいろと紆余曲折があって、完成したシナリオはA4サイズの用紙に150枚(400字詰めで600枚)となりました。全体的に3回ほどかきなおしてますので、1800枚ですか(笑)。
 たしか文庫本1冊が400字詰め250枚程度だったように思うので、完成した原稿で文庫本3冊ほど出せる計算ですね。

 で、このシナリオをもとに、スタッフがそれぞれの仕事をはじめていきます。

 シナリオが完成したら、私の仕事は、町人のセリフなどのゲーム中に出るメッセージへと移行していきます。
 メッセージと一言でいっても、町人のセリフ、イベント用のセリフ(本だな等にぶつかった時に表示されるアレです)、相談コマンド、ショップでのメッセージといった、  ほとんどあらゆる文章を網羅しております。

 そうそう、今回のXakⅢでは、本だな等には状況の許すかぎりイベントを用意しましたが、どうだったでしょう?

 あと、ある場所に秘密の部屋を用意して、スタッフの一言がきけるようになってますが、御存知でしたか?
 ある特別なアイテムもそこに隠されているんですよ。

 確か、ドラゴン*エストシリーズの堀井氏は、ゲーム中に存在する「無駄なこと」の重要性を語っていらっしゃいましたが、その点、今回はちょっと、自信がありますよ。

 で、もって、メッセージの作成と同時に操演エディットもしなければなりません。
 これは、シナリオを元に陣内がパーツをエデイットして、アニメーションデータを作り、それを私が操演用ツール上で組み上げるという作業です。
 操演には、音楽、効果音、画面の照明などの入力もしなければならないので、ハードです。

 そして、さらに、マニュアル書きという恐怖が待っています。
 私が担当したのは、各種リスト、登場人物紹介、歴史年表、神話伝承、Xak大事典(これはスタッフ内でも賛否両論だったんですが、強引に入れてしまった、ハハハ・・・)  といったところですが、少しでも面白くなるように努力したつもりです。

 まあ、私の仕事は上のようなことですが、中津副主任(サークチームのボス)に言わせると「ゲーム・デザイナーの仕事量としては、まだ少ない方」なのだ、そうです。
 しかし、私が、1992年4月に大学を卒業した新入社員だ、ということを鑑みますに、随分大きな仕事をまかされてるな、と、かように思う次第なわけです。

 その新入社員が、休日と日常生活と青春を犠牲にして(「最近ちっとも誘ってくれないのね」「違うよ、本当に仕事なんだってば!」とかいう会話があったとかとなかったとか・・・)、  作り上げたXakⅢです。

 私は、今でも、初めて買ったソフトの立ち上げかたが分からなくて、悔しい思いをしたあの日のことが忘れられません。
 やるせなさ、悔しさ、怒り、あきらめ・・・。
(昔は説明書なんて簡単な操作方法が書いてある程度で、無きに等しかったのですよ)

 だから、このソフトをお買い上げいただいた全てのユーザーの皆さんが、最低限払ったお金に見合うだけ、XakⅢを楽しめるように祈らずにはいられません。

 Xak世界を共有する全ての冒険者達へ。
  デュエルの加護のあらんことを!

93-04-某日 瀬田