1991年に登場したSound Canvas SC-55は、デスクトップミュージックの標準を確立しました。
世界初のGS規格対応音源として、その後のMIDIデータの互換性を決定づけました。多くのゲーム音楽やJ-POPの制作現場で愛用された「あの音」が詰まっています。
レトロゲームのBGM再生はもちろん、実機ならではの太いサウンドは現在の楽曲制作においてもユニークなスパイスとして再評価されています。
SC-55はスタンダードMIDIファイル・シーケンサーのSB-55と共に1991年4月19日に定価69,000円(消費税別)で発売した音源モジュールだ(実売価格は58,000円程度)。音色の数もかなり豊富でPCM音源なのにLA音源であったCM-32Lと全く同じ価格という当時の私にとっては得体のしれない謎の音源という印象だった。1991年の秋から冬にかけて同じ音源を搭載したCM-300(定価58,000円・税別)、CM-500(定価115,000円・税別)、そしてPC-9801シリーズ用のMIDIボード(MPU-PC98Ⅱ)とソフトがセットになったミュージ郎300(定価88,000円・税別)/500(定価145,000円・税別)といったシリーズをDTM(デスクトップミュージック)ユーザー向けに本格的に発売を開始している。
DTM目線ではどういった価値で受け入れられたかは分からない(調べていない)。ゲーム目線ではお世辞にも発売後にSC-55の対応が一気に進んだかというとそんなことはなかった。過去には普及とは関係なくKORG M1やYAMAHA SY22といった対応したゲーム作品も存在したが、これは制作者の所有物によるものという影響が大きくニーズを鑑みての対応であった。SC-55を含めたGS音源系はニーズや市場調査など色々あったと思われるが、ゲームへの対応はかなり出遅れたというのが実情だ。
ただ、SC-55発売から1年半以上、CM-300/CM-500発売からおよそ1年が経過した時期でもゲームを取り巻く外部MIDI音源の環境はMT-32/CM-64が中心だった。SC-55を含めたGS音源が外部MIDI音源としてPCゲームでのスタンダードには全くなっていなかったのだ。それ以前に積極的に行われていくと思われていたゲームの外部MIDI機器対応化も実は一部メーカーを除いて積極的に行われていなかった。登場から2年を前にしてもGS音源はゲームでBGMを鳴らすことだけを目的として手を出すにはまだリスキーな音源だったのだ。