悪魔のZ

~テロリスト~



Zの納車は、世間も浮かれポンチなゴールデンウィークだった。

納車後、多少のトラブルはあったものの、Z君はご機嫌そのもの。
しいて言えば、納車当日に車を取りに行き、キー受け渡しの儀式の時に、
なぜかキーを2種類わたされた。「これは?」と訪ねると、オヤジ曰く…

「前オーナーが車を盗難されて、発見された時に鍵穴が潰されてたから全部取り替えたけど 助手席前のグローブボックスの鍵だけ替えなかったから鍵が2種類あるんだよねぇ。」

という衝撃的告白を受けたぐらいだろうか。無事故車という事で買ったんですが?
”事故”は無かったという事でしょうか?

盗難事故には入らないという事か?



そんなこんなで相棒と初めての夏を迎えようとしていた。

”Zは夏場に弱い”

そんな情報をネット上のあっちこっちで見かけた。パワトラ、クラセンetc…
そういった、一般的に壊れやすいと言われている箇所には細心の注意を払った。

そんな真っ只中に、コイツは突然に異常をきたした。
毎回、乗り込む度にガソリン臭がするのだ。早速ネットで検索しまくった。

”Z・ガ・ソ・リ・ン・臭” ポチッとEnter!

ふむふむ、Zの車内でガソリン臭がする時はキャニスターの故障が原因…と。

遠からず、近からず。
私の場合は車内はおろか車外でも猛烈にクサイ。
ひどい日なんかは、車庫の隣にある自分の部屋にいても ガソリン臭いんで煙草に火を付けるのがドキドキするぐらい、におっていた。

どう考えても普通じゃない事に気づく。単純にガソリンが漏れてるとしか考えられない。
いくらトーシロでも分かる。当然、車の下回り・地面の漏れ跡などを調べた。


…分からん。漏れた形跡が一切ない。


気になる事が一つ。帰ってきてドアをロックしたあとに水滴が蒸発する様な音がする。
ボンネットを開けて確認してみた。原因は即判明。
夏場のためエアコンを当然使用していた為に、そのときに出る水滴がエキマニに当たって
”ジュッ”と音がしていると確信。


この勘違いが自分の 死期を早めていた 事を後に知る。


日が経つにつれ、臭いは酷くなる。
さすがにそのままではヤバイんで、徹底的に調べてみた。
その甲斐あって、ついに真の原因をつかんだ。

エンジンルーム内のフューエルフィルターからインジェクターに繋がる途中の金具部分だった。
わずかに残った漏れのシミが決めてになった。
今までの調査はエンジンを切った状態で行っていたのも難航した要因の1つ。

エンジンをかけて調査したら1発。


エンジンルーム内で鯨のようにピューっとガソリンが 吹いてたんですから。


んじゃ、なぜそのガソリンは下に落ちなかったのか?

答えは簡単、吹いたガソリンが高温のサージタンクに落ちて、即蒸発してたからだった。

ようするに、


高温にさらされたエンジンルーム内で、
ガソリンが爆発しやすいよう
ご丁寧に気化してくれていた、



悪魔のZ





私は自爆テロに参加した覚えはありませんが??














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