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悪魔のZ
~モーターランド鈴鹿決戦~
2003年5月28日。
…数ヶ月前、らく2氏・syabu氏とMLSへ行く計画を立てたものの、私は雨で行く事すらリタイヤ。
不完全燃焼のまま時は過ぎ、みるみる内に平均気温はグングン上昇。 待ち受けるのは梅雨とその後の夏本番。
このままでは「フンッ、ヒッキーが走りを語るんじゃねーよ。」なんて事も囁きかねない。
しかし「雨で中止」という事で下がったモチベーションはなかなか上がらない。 行きたいんだけれども、
何かきっかけが無いと一歩が踏み出せないでいたそんな時、「今度MLS逝きます。」のカキコ発見。
そんな俺のケツを蹴ってくれたのは「gyusyabu」。 カキコ発見から2日後ながら急遽参戦決定。
何の準備も作戦も出来てないし、出来ない。 とりあえず当初から予定していた17inchを16inchに戻す作業に取りかかる。
R17inch/255の方がグリップがいいのだが、いかんせんホイルの重さ故にコーナーでの立ち上がりが悪い。
STOP&GOを繰り返すコースではこれが以外と致命的で、トップスピードが伸びずLapTimeに直接影響する。
バネ下が重くなれば少なからずともブレーキにも影響を及ぼしているだろう。 16の方が乗り心地もイイしね。
社長がゴルフでいないのをいい事に、事務所下のガレージでタイヤ交換作業に取りかかる。 まずはフロントから。
「グッ、グッ、グッ」
0.07㌧ の全体重をかけてもビクともしないホイルナット。 5個あるナットのどれも回らない。
(後日談: syabu「なら嫁さん乗っけたら良かったのに。」 …あなたは私の嫁から死の宣告を受けました。)
しかし私は慌てない。 「FRやし、リアだけ16でエエんとちゃうか!?」 で、スッパリF16inchとは決別。
リアを戻す作業に取りかかり、こっちはスムーズに外れたんで点検も兼ねて中を覗き込むと、
驚愕の事実。ガ──(゜Д゜;)──ン!!
サスのゴムカバーが行方不明。 光輝くサスペンションにうっとり。(半壊)
ゴムブッシュ類にはオイルの滲み跡も見受けられたが、見なかった事にして16inchを装着。 ふう~危ない、危ない。
とりあえずリアを戻す作業は無事(?)終了。 只、2年ほど屋外放置してた16inchなので「走行中バースト」の可能性も
否定出来ない為、17inch2本も一応ラゲッジスペースに積み込み準備完了。
マンションに帰りがてらセルフスタンドにて給油。 まず5000円のプリペイドを購入し、全額入れたもののメーターは
まだ1目盛ほど余裕があったんで、さらに追加で1000円のカードを購入。
「ブーン、ブーン、、、ガチャ。(給油ストップ)」
残数を見るとまだ500円ほど残っているし、まだまだ入るハズだ。 問答無用でさらに給油を続ける。
「ブッ、、、ガチャ。」 「ブ、、、ガチャ。」 「ブ、、、ガチャ。」
何度となく試みても一瞬出たと思ったらすぐにSTOP。 ん?ん?ん???とノズルを抜き給油口を覗き込むと、、、
液面は目前。
給油口付近にオーバーフロー時用の小さな穴があり、こぼれた分は表には出ず、リアフェンダー内を通って
全て俺の足下へ。
Zの左リアと俺を完全に包囲したガソリン(推定4L)。 見た瞬間、マジ一歩も動けない。 こめかみに銃口。
このまま着火すれば
明らかに人災。
コレが映画なら煙草吸ったニーチャンが何も知らずテクテク歩いてきそうなシチュエーション。
シュワちゃんやスタローンなら着火の寸前に飛び退いて助かるシーンでも、現実はよく知ってるつもりだ。
周りを見渡しながら近くに人がいない事を確認し、ガソリンに気づかれないように抜き足・差し足・忍び足。
運転席に座り、イグニッションをそ───っと捻る。 そっと捻っても何の意味も無い事は後に気づく。
マフラーから着火しない事を祈りながらEgスタート。 OKベイベー、Let'sらGO!!だ。
逃げるようにスタンドを後にし俺達。 危うく伝説を一つ増やすところだったぜ…。
その日の夜は「遠足前の小学生」の如くなかなか寝付けず、3時に寝て翌朝は5時起き。
7時に西名阪自動車道の針SAに集合予定で、前日にsyabu氏より「遅れるな!!」と叱咤激励を頂いてたんで
眠い目を擦りながら必死で走り、予定の15分前には針SAに到着。 しかし見渡せど黄色Zは見あたらず。
当日ご一緒させて頂いた「黒エボ」の方は私より先に到着してたみたいで、結局、最後に登場がgyusyabu氏。
「ウム、ご苦労。」といわんばかりの重役出勤。 「で、お前いが遅刻かよ!」と、つっ込みたかったのだが、
後で掲示板で荒らされたり何言われるかわかんないんで心にしまっておきました。
挨拶もほどほどに3台で針SAを出発。 黄Z・黒エボ・銀Zの隊列。
何事もなく、無事に関ICを降りてMLS到着。 時間はAM8:40ぐらいだったかな??
駐車場にはサーキット管理人らしき人のベンツが1台だけで貸し切り状態。 早速9時枠のエントリーを済ませ
走行準備。 私はヘルメットだけ持参だったんでグローブはレンタル(200円)。
計測器をリアのナンバープレートに貼り付け、飛散防止のためテープをウインカー・ライト類に貼り準備完了。
「9時枠スタートで~す。」の女の子のアナウンスでコースIN。 前回が57秒台で今回の目標は53秒台。
この時点での根拠も自身も無し。 gyusyabu氏が以前に51秒台を出したと聞いて、なら53秒ぐらいなら
なんとなくいけるかと。 小さなコースで同じNAながら2秒以上離されたらカコワルイし。(笑)
最初の2周ぐらいはコースの雰囲気を再確認しながら軽く流す。 3週目辺りから本気モードスイッチON!!
NAらしくマフラーからのサウンドが1オクターブ上がり、最終コーナーから全開で計測ポイントを通過する。
アウトに振ってフルブレーキングで1コーナー。 久々に聞くABS作動音 「ガッ!ガッ!ガッ!」
ステアリングを左に切りクリップポイントを睨みつけ、じわりとアクセルを開けていく。 解き放たれた野獣の如く
コーナーを飛び出す車体。 まだ冷えたリアの「牙」がアスファルトを捕らえきれずテールがスライドする。
軽くカウンタステアを当て、アウトの縁石へ乗り上げながらも次の獲物を見据えるZ。
次のコーナーは2つのコーナーが複合する、通称「おむすびコーナー」。 MLSでは最も高速でクリアするコーナーだ。
故に1つのミスが車もドライバーも命取りになる。 しかし逆にココをいかにスピードを落とさずにクリアするかで
その後に待ちかまえる裏ストレートのトップスピードが変わってくる。 もちろんTimeUPの鍵にもなる。
おむすび1つめで軽く1度アクセルoff。 ここでもリアがスライドし始めるがアクセルは離さない。
2つめのクリップが見えたらアンダーが出始めるが強引にパワーオーバーに持ち込む。 スライドし始める4輪。
スライドの感覚を腰で確認し、アクセルでコントロールしながらOUTの縁石にタイヤを乗り上げアクセル全開。
バックミラーには舞い上がる砂煙………と白煙。
TOPスピードが出る裏ストレート。 ここは技術も言葉も要らない。 床が抜けるほど踏みつけろ。
タコメーターが7000rpmを指すと同時に車体が振動する。 怒り狂う野獣をなだめるかのように3速にシフトUP。
「キンコン♪キンコン♪」と鳴るメーターが平成2年式を感じさせてくる。
ストレートの気持ちよさに陶酔してる暇は無い。 すかさずヘアピンだ。 フルブレーキングと同時にヒールトゥで
2速に叩き込む。 4ポットのキャリバーは悲鳴を上げ、窓からはタイヤの焦げる臭い。
ガードレールにへばり付く数々の猛者たちの血を吸った跡を横目にしながら立ち上がり、インフィールド区間へ。
一言では言い表せないほどの数々のテクニカルコーナーが待ち受ける。
もちろんこの区間では急アクセル・急ブレーキ・急ハンドル等の「急」の付く動作は御法度だ。 LSD搭載や
4WDなら強引に曲げる事も可能だがノーマルFRではスピン必至だ。
車とドライバーの沸き上がるストレスと格闘しながらなめらかに、そしてスムーズに最終コーナーを立ち上がる…。
と、まぁ劇画チックに言ったものの深くは突っこまないでね。(笑)
こんな感じでだいたい5周ほど走っては休憩の繰り返しで、そうでないと車もタイヤも持たない。
特にタイヤは気温が上がってヘタすれば2周ぐらいしかタイムアタックが出来ない。 冷やしては走りの繰り返し。
1度、裏ストレートを走ってる最中に次のヘアピンで砂煙が上がり「んが!!」とか思ったらエボがコースOUT。
Fバンパーがちょっと割れたものの大事に至らずホッと一安心。 gyusyabu氏と私は特にトラブル(ネタ)もなく
皆さんの御期待に添えなくて申し訳ない。(笑) とりあえず9時枠が終了。
50分で周回数は計27周。 途中で1分を超えたりしてるのは休憩やクーリングの周回です。
結果、25週目に「53.917秒」をマーク。 一応目標TIMEはクリアです。 gyusyabu氏は52秒台、
黒エボのW田氏はいきなりの50秒台。(汗) さすが普段からジムカーナーに行ってる方です。
この頃から少しずつ車が集まりだし、それでも10台程度でしょうか。
10時のドリフト枠が走りだし、その間しばし休憩です。 タイム見てあーだこーだと話したり、コース取りの作戦を
立てたりして盛り上がりました。 gyusyabu氏はしきりに「油温がぁ!油温がぁ!!」と嘆いていましたが、
油温計を見るから気になるんであって、油温計など付けてない私にはマッタク関係ありません。(笑)
私は純正の水温計だけ見ながらサルのように走ってましたし。(爆)
ここでちょっとW田さんのエボⅦを紹介。 ボンネット・トランクはカーボン。 タービンはエボⅥをあえて装着。
ⅦよりⅥのタービンのほうが大きいそうです。 Fブレーキは純正のブレンボを外し、社外の6ポットキャリパー。
メーカーは忘れましたがFブレーキだけで60~70万! エンジンマウントもゴムからシリコンに変更。
ミッションへの振動を防止するそうです。 もちろんF/R共にタワーバー。 これがまたチタン製。
エアクリはブリッツのむき出しだったかな?? Egはマル秘チューン物に載せ替え済みで400馬力越え。
クロスミッションのせいもあるでしょうがmaxは270km。 …でも瞬時に到達するそうです。(冷汗)
W田さんのエボが「ガンダム」なら私のZは「コアファイター」ですな。
─────さて、話しは変わってそろそろ11時枠のスタートです。
特には前半と変わらず、またもやサルのように走ってたんですが、途中でgyusyabu氏が「横に乗ってみます??」
とのお誘いを受け、同乗させてもらう事に。 同じNA/Z乗りという事もあり、ライン等を参考にさせてもらおう。
同乗走行スタート。 「……これが同じZの加速かよ」 が第一印象。 明らかにトルク感が違う。
1コーナーを回って2コーナー手前でレブるsyabu号。 私のZはこんな所でレブった事ありませんが何か??
レールの上を走ってるかのような吸い付くコーナリング。 私のZが同じスピードならガードレールに直撃確定。
足回り、及びタイヤの重要性を痛感。 2周ほど回ってもらい車を降りてから結構ショックを受けた。
「車が違うし。」「タイヤが違うし。」「俺のノーマルだし。」 なんて考えるのはおろかな奴だ。
レースとは常に結果がものを言う。 速く走りたければそれなりにお金をかけてチューンするのは当たり前で、
お金もかけずにギャーギャー言うのはまるで阪神タイガースだ。(今年は強いな~)
「お前いの方が遅い」とハッキリ突き付けられた気がした。 イカン!このままでは!!
身内では2位のらく2氏に続く3位。 すなわち現在での「最遅」が確定。 くやしぃぃぃぃ~~~~!!
しかし届かないTimeではない。 ライバル心がメラメラと音を立てて燃え上がった。
自分の車に乗り換え、現状では届かないものの少しでもsyabu氏とのTIMEを縮めようと必死の走り。
時間もなくなり最後のタイムアタック。 1コーナーをうまく抜け2コーナーへ。 ここで念願(?)の2速レブ!!
今までここでレブった事がない私からすれば最速ラップの予感!! 慎重に、かつアグレッシブにおにぎりを抜け
裏ストレート!! ヘアピンもクリア!! 残すはインフィールド区間のみ!! と、ここで目前にインプレッサ。(泣)
泣く泣くスローダウン。 11時枠終わりのチェッカーフラッグが振られTHE・END。
11時枠の周回ラップは24周。 最速ラップは22週目にマークした「53.980」
9時枠のLapTimeには及ばなかったものの一応は53秒台ギリチョンでした。 この辺りが限界ですかね。
それにしても不可解なのは、9時枠・11時枠共にBestTimeは枠の後半な事。 タイヤもタレてるはずなのに?
グリップ感のある時にがむしゃらに暴れて走るより、滑る心配をしながら慎重に走った方がタイム的に伸びるようです。
ギャギャギャーーーとギャラリー受けする走りじゃなく、スイスイーーーと走れって事ですね。 勉強になりました。
11時枠を走行中、黒エボが今度はガス欠でリタイヤするトラブルもありましたが無事終了。
13時過ぎにはMLSを出て帰路についたんですが名阪国道がいきなりの渋滞。 気温はグングン上昇。
エアコンをつけたいがご存じの通りガスが抜けてて使用不可。 窓を全開で走ってると目の前のトラックのリアには
「競走馬搬送中」の文字が。
くっ、臭っっっさ─────────!!
あまりの臭さに窓を閉めると今度は、
あっ、暑っっっつ─────────!!
開けたり閉めたりしながら必死で帰り、「もうムリ、エアコン直そ。」と誓った2003年初夏でした。
おしまい。
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