悪魔のZ

~最終兵器~





暑い…暑い…なんて暑さだ。「暑い」というか、もう「熱い」に感じる。


9月に入ったというのに気温は30度を優に超え、体感温度は40度越えだ。

赤道付近ではエルニーニョで、都会ではヒートアイランド現象。

凄まじく吐き出される二酸化炭素に対し、森林は伐採され光合成も追いつかない。

オゾン層は破壊され海面は上昇。地球は一体どうなってしまうのか…?



そんなある日、仕事で書類を大阪市内に届けなければならなかった。

いつもなら会社の1BOXで出動!な所だが、封筒1つ運ぶだけ。

会社の屋外駐車場にZを2日間ほど放置しっぱなしな事を思い出す。


「この炎天下にかわいそうに…。ヨシ!久々に動かしてやるか」


書類を片手に駐車場へ向かい、2日ぶりのご対面。


「あぁ、いつも見てもカックイイよ…Z」


ドアを開けると熱気がムア~っと。日よけバイザーをするのを忘れていた。

暑い、熱すぎる。



このままでは乗り込めないため、エンジンをかけエアコン設定を10℃にし、風量を最強に。

ドアを締め、車内温度が下がるまで外で待機する事にした。

私はこの時間が好きだ。いつもエンジンをかけてもすぐには出発しない。

まず車体回りを1周し、Zを眺める。


「あぁ、カックイイよ…」(ひつこい)


そうこうしている内に、油圧計も下がり、水温も安定。さぁ、出発だ!

スパルタンなコックピットが俺を戦闘モードにさせる。車に乗り込みギアを1速に。軽く吹かす。

と、その時、

信じられない事態がぁぁぁ!!!



(つづく)

















(つづき)



” プシュ━━━━━ ”



ん?? 何やらエンジン音に混ざって聞き慣れない音が微かに聞こえる。

気にしないでおこう、、、と思ったその時。



「シュー」



「シュー」



「プッッシュ━━」






あの~もしかして、





フロンガス漏れてませんか??






とか、




言ってみるテスト。




なんて言ってる場合ではない。



気にしないわけには行かなくなった。

「むぐっ、、、臭っさあぁぁぁ」

車内に異臭が立ちこめ、意識が遠のく。



かあちゃん、、、かあちゃん、、、



あぁぁ、おじいちゃんが迎えにきてくれたよ、、、











「はっ!い、いかん、脱出せねば!!」 


このままではZに



殺されてしまう。



悪魔のZどころではない。



”死神Z”



になってしまうではないか。


転がるように車から脱出した私の目の前で、アンダーカバーの付いていない車体下から

「僕がフロンガスでーす!」と言わんばかりに蒸気のような白煙がモクモクと



自己主張。



あぶなかった。引火性でなかったのが幸いか。(たぶん)

恐らくパイピングが抜けたか、ホースが爆破かのどちらかだろう。

何とか私は助かったものの、これってよくよく考えると、



フロンガス大気放出(違法)。



すなわち、オゾン層を破壊し温暖化を促進させ





最終目的は地球を破壊。





リーサルウェポン、おそるべし悪魔のZ。

ついに私の手には負えない領域まできた。



(つづく…)














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