あつい想いかなえてあげる!!
天使たちの午後・Ⅱ 美奈子
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (3枚)
定価 : 7,800円
発売日 : 1987年11月上旬
販売元 : ジャスト
○2ドライブ専用
○ジャストサウンド・プラス対応
(ジャストサウンド・シリーズ可)
目次

PACKAGE REPRODUCTION
あつい想い、かなえてあげる!!
ヒロイン、美奈子を中心に繰り広げられるセクシー・アドヴェンチャー!
「アナタとあたしで、青春しましょ!! 」
── 登場する美少女たち ──
企画・開発
製造・販売
〒156東京都世田谷区宮坂3-10-7
YMTビル3F
株式会社 ジャスト
TEL 03-706-9766㈹
FAX 03-706-9761
定価
7,800円
天使たちの午後Ⅱ PC88SR版 について

天使たちの午後Ⅱ は1987年11月にNEC PC-8801mkⅡSR以降用(VA対応)としてジャストから発売した(当時のPCゲーマーなら)誰もがご存知、天使たちの午後 の続編。(はっきりとした発売日は不明だが11月8日にはコピーツールのファイラーが作成されているのでその数日前であることは推測できる)
当時はまだ成人指定(18禁)という概念がPCゲームには無かったので 天使たちの午後Ⅱ は小・中学生でも購入可能だった。そのため少なくとも私の周りの環境では幅広い年齢層で(こっそり)プレイされた作品だ。今回の主人公は男性ではなく女性の 美奈子。一人称は あたし 。美奈子 には女の子の恋人(杏子)がいるというゲームでは結構珍しいレズ設定だった。なお、キャラクターデザインや原画は漫画家の 中山たろう さんが担当している。
発表時、延期を考えず発売していることを前提に広告が掲載されており、9月発売の雑誌広告には 好評発売中!! とあるが、実はまったくの未発売だった。当時、発売中 と表記ながらこっそり延期されていることはざらで、毎月繰り返す間にいつの間にか発売されているということはよく見受けられた。(日本テレネットとかウルフチームとかの作品は特にその傾向が強い)このゲームも多分に漏れず。本来は発表から情報がぷっつり切れた半年後に発売されることが前提であったのであろう。「半年間の沈黙を破って」という表記が用いられていた。
発売前の名称は「天使たちの午後 PartⅡ 美奈子」、後に「天使たちの午後・Ⅱ 美奈子」と少し改題された。Ⅱと続編のような表記になっているが、前作との繋がりはない。

ジャスト作品の特徴の1つとして、ハードウェアの開発を行っていたことが挙げられる。1985年に発売された「ジャストサウンド」(12,800円)という超小型音声合成装置というキャラクターを喋らせるハードを発売しソフトが対応していたことだった。まだFM音源が搭載されて間もない時代にパソコンが喋るというのは凄いことだった。

ただ、不運にもこのゲームが発売されたのはサンプリング再生も可能とした拡張音源ボードである「サウンドボードⅡ」の登場と、同等の音源を内蔵した新機種PC-8801MA/FAの登場時期でもあった。そのため、これを機にジャストサウンドは一気に前時代的なものになり役目を終えて行くことになる。そういった意味でジャストサウンドの優位性がちょうど無くなった時期でもあった。

ジャストのゲームにおけるシステム面では天使たちの午後 から続くBASICのペイントルーチンのような描画方法や、全く変わらない右側のコマンド表示などが直前の作品である くりぃむれもんSTAR TRAP まで続いた。
この 天使たちの午後Ⅱ よりグラフィックは瞬時に表示されるようになっている。(ただ、すでに他社ではほとんど当たり前の技術になっており目新しさは感じられなかった。)

ゲーム操作も当時でさえ前時代的といえるテキスト入力型。こういったシステムのゲーム、発売当初はAIのようにこちらの問いかけに対して答えてくれる夢のようなインターフェースと思っていたが現実としてそんなこともなく、用意されたコマンドにだけ答えが返ってくるというものだったのだ。それ故に、より快適に操作しやすいメニュー選択型へ時代はシフトしていたのだ。

登場時ですら色々と古臭さが目立った作品ではあったが、それでも人気が高かったのは 天使たちの午後 というネームバリューと一新されたグラフィックの魅力だろう。アダルトゲーム業界は他社でもグラフィックのレベルは向上していたが、パッケージデザインを含めたレベルはこのゲームが群を抜いていた。また、アダルトゲームにはゲーム性やストーリー性は二の次というご時世でもあったが、やはり魅力的なキャラクター設定が今に至るまで語り継がれる所以だろう。

時代性として、登場人物が未成年であることや飲酒場面、女子高生表記がある。いくら表現が自由と言われていても現在ではご法度になっており、ゲームでも見ることはなかなかできない。
印象的なシーンとして後半の喫茶店で梢先輩とお酒を飲みながら話すシーンがある。同じ選択肢を繰り返しすぎるなどして話を長引かせると、完全に酔っ払ってしまう。そこへ警官が現れ補導、ゲームオーバーになる。(ここで泣かされたユーザーはかなり多いと思う。)フラグ立てのために繰り返し話を続けているとゲームオーバーという製作者の引っ掛けに見事ハマったと実感できるシーンだ。しかし、補導されるとなぜゲームオーバーになるのかということは未だに理解できないでいる。

キャラクターの魅力やストーリー性が評価されてか、当時のアダルトゲームとしては珍しく、ゲーム発売よりおよそ1年後の1988年12月に白夜書房よりコミカライズが行われている。
sabe さん(2009年1月28日 41歳で逝去)作画で 天使たちの午後Ⅱ というそのままのタイトルで発売されている。
あまり話題に上ることが無いので、同名の全く関係ないコミックと誤解されがちだ。しかし、登場キャラクターを含めストーリーも割と忠実な内容で細かに描かれている。ゲーム本編は結構単調ながらそこをカバーするようにコミックスは生い立ちなどを含めた肉付けもうまく行われている。美奈子 の髪型など見た目が多少変わっているため出版社側も誤解されやすいと思われたのだろう、ゲーム画面のピンナップ画像が巻頭に準備されていた。(中山たろう さんが描けばそういったものは不要だったと思われる)

天使たちの午後Ⅱ はおそらくジャストの作品で初めてBGMの流れた記念すべき作品だ。ただし、技術レベルは2年程遅れている感があった。世の中ではすでに イース が発売されていたことを考えると比べることすら悲しい。BGMは常に流れているわけではなく要所要所のみでいきなり流れるので、親に隠れて深夜にこっそりプレイしているユーザーにはお節介に感じたかもしれない。(ドキッとさせるこれもジャストの狙いなのかと邪推してしまう)
技術レベルは確かに遅れているのだが、曲のデキは割と良い。オープニングで流れる曲なんかは各メーカーがFM音源を手探りで作っていた時代を思い出すようなチープな音色と作りながら、歌謡曲のようなメロディーがとても心地よい。他のBGMも場面に合っていて好印象。エンディングは製作途中のものをそのまま放り出した感じで曲の途中でぷっつり切れてしまうのが残念。
天使たちの午後Ⅱ の曲を聞くとゲームミュージックの原点を思い出すような気分になる。シンプルな数音で構成された曲ながら耳に残る。声を大にしては言い難いが、ある意味では名曲揃いの作品として推したい作品だ。
ストーリー
あつい想い、かなえてあげる!!
あたし、柏木美奈子。17歳の女子高生。
カワユイ杏子、あたしのライバルの玲子、学校一美人教師の瞳先生、そして、あこがれの梢先輩!!
あたしたちの週末は、いつもキ・ケ・ンがいっぱい。
「アナタとあたしで、青春しましょ!」
登場人物
コマンド入力について
通常は、コマンド入力方式で行われるが、それ以外に、カーソル移動キーでの入力、ファンクション・キーによる入力も可能。
【コマンドによる入力】
★かな入力及びローマ字入力(TAB(タブ)キーを押す事により、ローマ字カナ変換モードと通常入力モードが切り替わる。)
★名詞+動詞(動詞+名詞でも可)の組み合わせで入力すること。(動詞のみ、名詞のみ、数字のみでも可能な場合がある ex: やめる)
★助詞は必要ないが、名詞と動詞の間にスペースを入力しなければならない。
★小文字(あいうえおやよゆつ)は、小文字で入力すること。
★BS(バックスペース)キーで、一文字削除を行う。
★コマンド入力の終わりには、必ずリターン・キーを押す。
【カーソル移動キーによる入力】
★"↑"=前に行く、"↓"=後ろに行く、"→"=右に行く、"←"=左に行く、がそれぞれ入力される。
★カーソル移動キーの入力の終わりには、リターン・キーを押す必要はない。
【ファンクション・キーによる入力】
★HOME(ホーム)キーを押す事によりウインドウが開き、ファンクション・キーに登録されているコマンドの一覧が表示される。
1 | 調べる |
---|---|
2 | 見る |
3 | 聞く |
4 | 話す |
5 | 天使 |
6 | 考える |
---|---|
7 | いう |
8 | 使う |
9 | キスする |
10 | 抱く |
★任意のファンクション・キーを押すと、登録されているコマンドが入力される。
★通常は、そのコマンドに名詞を加えて入力してから、リターンキーを押す。
(ファンクション・キーによるコマンドのみの入力でも可能な場合がある ex: キスする)
裏技の紹介
【隠し?メッセージ】
起動時 ドライブ2 に ディスク3 を入れていると ディスク2 を入れる指示とグラフィックが見られる。このグラフィックは隠しグラフィックではなく、杏子とデートの待ち合わせをしている場面。
エンディングムービー
■エンディングムービー