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究極美表現エキサイトX指定

D-RETURN(ディー・リターン)

対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (2枚)
定価 : 5,980円
発売日 : 1989年3月(発売予定1988年11月1日→12月から延期)
開発 : 日本コンピュータクラブ連盟
販売元 : 日コン連企画

SHARP X68000

TRACK LIST

ラジオ収録曲(FM音源)

内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)

01 GAME START
02 DEAD MATTER Ⅱ (出撃)
03 WARNING (ボス出現警告音)
04 STAGE CLEAR (未使用)
05 CONFIGRATION (MAIN)
06 CONFIGRATION (ENDING)
07 MAIN THEME (STAGE 1・農村)
08 STAGE 1 BOSS (DEATH SHOWER-Ⅱ)
09 ETERNAL SILENCE (STAGE 2・砂漠)
10 STAGE 2 BOSS (NOP)
11 A DANGEOUS PASSER-BY (STAGE 3・海上)
12 STAGE 3 BOSS (SOVEREIGN)
13 VOYAGE TOWARD THE SOUTH (STAGE 4・空中)
14 STAGE 4 BOSS (MOTHER)
15 SEETHING SEAWATER (STAGE 5・宇宙空間)
16 STAGE 5 BOSS (FIRESTALKER)
17 DEAD MATTER (STAGE 6・月面)
18 STAGE 6 BOSS 'TERROR' (DISASTROUS DISASTER)
19 RUN OF HEAVEN (SATOMI'S THEME)
  (STAGE 7~8-1・地下洞窟)
20 A TRAITOR OR A SUCCESS
  (STAGE 7 BOSS "CAVE WORM"/STAGE 8-1 BOSS "DEAD END")
21 UNEBI'S THEME (STAGE 8-2・地下要塞)
22 DEAD MATTER Ⅲ (STAGE 8-3・FORTRESS 2_2登場)
23 RAI-GUN (STAGE MID BOSS)
24 CATASTROTH (バッドエンド)
25 STAGE 8 BOSS (FORTRESS 2_2)
26 STAGE CLEAR
27 KAMIKAZE~ENDING=1= (エピローグ)
28 ENDING=2= (スタッフクレジット)
29 GAME OVER
30 NAMING (FIRST)
31 NAMING (SECOND)
32 NAMING (THIRD)
33 NAMING (FORTH)
34 NAMING (FIFTH/オープニングテーマ)
35 UNUSED 1
36 UNUSED 2
37 UNUSED 3
38 UNUSED 4
39 UNUSED 5
40 UNUSED 6
41 UNUSED 7
42 UNUSED 8 -PATHETIQUE SONATA-

合計時間 : 38:09

作曲 : 赤坂賢洋(Norihiro Akasaka)

エンディングムービー

■エンディングムービー

EPILOGE

 全砲門を破壊され、攻撃力を失ったFORTRESS2_2は、それでもなおその機能を停止させようとしなかった。
 「くそーっ、里美、これ以上どこを狙えばいいんだ!」
 「落ち着いて、畝傍ちゃん、第二迫撃砲のついていたところのすぐ奥にエンジンがあるはずよ。そこに打ち込んでみて。」
 「第二迫撃砲んところだなっ。」
畝傍あやつるイーリアスはすっと左にスライドし、すぐさま目標を捉えた。
 「くたばれこの化けもんがっ!」
一瞬のうちに、すでに最大火力となった、エクステンドファイア数百発が、装甲板を失ったエンジンボックスに打ち込まれた。 しかし、打ち込まれたマキシマムエナジーも、エンジンボックス自体の装甲の前に、空しく砕け、散っていった。 二度、三度、イーリアスは旋回と攻撃を繰り返したが、やはり無駄に終わった。
 「だめだ里美、イーリアスの火力くらいじゃ歯がたたない!どうすりゃいいんだ..。」
 「もっと大きくてまとまったエネルギーじゃないと...畝傍ちゃん、もっと接射できない?」
 「...これ以上無理だよ、里美...」
 「........」
途方に暮れる畝傍の耳に、ざわざわとした騒音が聞こえる。 管制室の方も、相当混乱しているらしい。 と、そのときになにかぼそぼそと耳打ちする声が、さらにそれに続いて里美の叫び声が聞こえた。
 「...だめっ、だめ!言えません!」
 「言うんだ。早く。」
 「そんな、絶対言えません!」
 「早く言え。これは命令だ。」
 「従えません。」
 「ならばそこをどけっ!」
 「だめーっ!!」

里美の絶叫と、がたがたともみあう音が畝傍の耳に飛び込む。
 「どうしたんだ、里美、まさか.....!」
 「畝傍ーっ、もういいわっ!!早く帰還して..........きゃあっ、。」
里美の悲鳴がすっと小さくなったとたん、どさっと人の倒れる音がした。彼女の遠い声が畝傍の魂をゆさぶる。
 「かえってきて、畝傍...お願い...。」
........
 「神楽坂上等兵、聞こえるか。」
 「...聞こえてます。」
 「非常に言いにくいんだが、君に最後の命令を伝える..。」
 「...言いにくければおっしゃらなくて結構です。わかってます...。」
 「!...なに.....。」
 「里美にお伝えください。今までありがとうと..........オーバ」
べつに、恐怖や不安や困惑といったものはなかった。ただ、後悔と無念を心の奥から拭い去ることは彼女にはできなかった。 コントローラを握る畝傍の目に涙がひかる。
 「さらばだ、里美。楽しかったぜ...。」
イリーアスはすうっと2_2に吸い込まれていった。
 今では、同盟軍が宇宙空間での事象を知る唯一の手段となっていたラジオテレスコープが、月の裏側で、比較的大きな爆発をキャッチし、作戦成功の判断が下された。 首脳陣のほとんどを失った条約軍の組織はほぼ完全に崩壊し、各地の戦線は同盟軍の雪崩的圧勝の内に終息、2178年9月、ついに同盟軍は、地球上のほぼ全域を制圧した。 こうして21年間続いた悪夢のような戦争は、その幕を閉じたのだった。

 夕暮れの英霊墓地のほぼ中央にひときわおおきくそびえる墓標の前に、銀鈴里美の姿があった。その墓標にはこう記されていた。
 『戦争を終結に導いた英雄、ウネビ・カグラザカ少尉、ここに眠る。
            2158-2178』
遺骨もなければ遺品もないその墓標の前で、里美は、もう小一時間も、夕暮れの心地よい秋風に身をまかせていた。 ふと背後に人の気配がして、里美は振り返った。
 「大佐...。」
 「久し振りだな、銀鈴中尉。」
 「...その言い方はやめてください。私はもう軍とは関係ないんですから。」
大佐と呼ばれたその男は、かつてのあの作戦の指揮官だった。
 「あれからもう4ヶ月か、時のたつのは早いもんだな..。」
 「.....。」
 「私への恨みは、何年たっても変わらんかね。」
 「...別に恨んでなんかいません。悪いのは戦争なんですし、...別にあなたが私にああ言わせようとしなくたって、畝傍はああしたと思います。」
 「本当にそう思っているとは思えんが.....しかしあの時はしかたがなかったんだ。私だって好きで戦ってきた訳じゃない。 一刻も早く戦争を終わらせたかった。彼女と同じようにね。 でも戦争を終わらせるということは、それをすることよりも難しいんだ。 そいつを終わらせるには、殺して、殺して、殺して....勝者となるしかないんだ。...あの時の軍には、手段を選んでいる余裕はなかった...。」
 「それで畝傍を殺したとおっしゃるんですか。確かに畝傍には身寄りがなかったし殺しても文句をいうのは私くらいのものでしたものね。」
 「それは違う!邪推だ。」
 「じゃ、あの時のパイロットが、『軍の偉大な功労者銀鈴博士のご令嬢』の私だったとしても、ああなさったんですか。」
 「ううっ、そそれは...。」
 「’イリーアス’パイロットの最終選考に残っていたのはみんな身寄りのない子ばかりだった。 なにかあるとは思ってたんだけど...まさかあんな時のためだったなんて、ひどい...。」
これ以上不利な立場のまま言い争いたくなかったので、大佐は振り返って、夕陽に背を向けた。
 「...あさって、戦没者の合意慰霊会がある。君も賓客として招かれているんだが...。」
 「結構です。」
里美は大佐に背を向けたまま答えた。
 「...そうか、それじゃ...。」
大佐はそう言うと、そのまま2,3歩あるいたが、またすぐに立ち止まると言った。
 「そう言えばいい忘れていたが、彼女の最後の無線で、私は君への伝言を頼まれていたんだ。」
 「...なんていってたんです...。」
 「『いままでありがとう』と。」
 「そうですか...。」
 「...それじゃ、私はこれで失礼する。」
さっさっと大佐の足音が小さくなってゆく。
 「!」
思わず振り返った里美の視界に、小さくなってゆく大佐の背中の中で淡く光る、昇ったばかりの満月がとびこんだ。 そしてその像はすぐさまぐしゃぐしゃと乱れ、かき消えた。その時の里美に、溢れる自分の涙を抑えることはできなかった。
 永遠に、いや厳密に言えば永遠とは言えないかも知れないが、人間の一生に比べれば、ほとんど永遠と言っても差し支えない遠い未来まで、月は昇り、 そして沈むことを繰り返すだろう。しかし、彼女の生ある間は、それらは昇るたびに、彼女に悲しみに耐えることを強いるのだった。静かに、美しく、そして冷酷に。

Story of "D_RETURN" END

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Oh!X 1989年6月号 オーエックス, p.99(news/低難度バージョン)
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付録付)テクノポリス 1988年10月号, p.46
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