歴･史･を･創･る

信長の野望全･国･版

対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (2枚)
定価 : 9,800円
発売日 : 1988年11月（発売予定10月20日から延期）
販売元 : 光栄

GALLERY

PACKAGE REPRODUCTION

〈商品構成〉

2HDフロッピーディスク2枚組
戦国兵法書（マニュアル）
戦国武将列伝（年表付）
覇者への道（シブサワ・コウ著）
戦国地図（白地図付）
製品保証書

五十有余の群雄が割拠する戦国乱世。
東北には伊達、越後に上杉、関東に北条、
甲斐に武田、駿河に今田、三河に徳川、
中国に毛利、四国に長宗我部、九州に島津、
そして尾張には「天下布武」を旗印に
天下統一を夢見る織田信長があった。
今、貴方は下剋上の乱世に身を投じ
天下統一を果たさなければならない！
数々のドラマを秘めた武将たちの
壮大な歴史叙情詩が今、はじまる。

このゲームは貴方が戦国大名となり、
戦略･戦術の限りを尽し､日本全国を統一する
シミュレーション･ウォーゲームです。

（プロデューサー：シブサワ･コウ）

50名の大名から好きな人物を選択
8人まで遊べるマルチプレイ方式
17ヶ国､50ヶ国モード選択可能
マウス対応により操作性が一層向上
サンプリング機能によるリアルな効果音
臨場感を盛り上げるBGMはステレオ8重和音

この製品の無断複製･レンタル等は法律によって禁じられています。
品質には万全を期しておりますが､万一製造上の原因による不良がありましたら､新しい製品とお取り替え致します。
C1988KOEI

MADE IN JAPAN

〒223 横浜市港北区日吉本町1-4-24☎044-61-6861㈹

信長の野望・全国版について

信長の野望はパソコンゲーム黎明期である1983年から存在したシミュレーションゲームの代表格。尾張を中心とした17ヶ国のゲームだったが1986年に全国版を発売、ロングセラーになり他機種に移植された。シミュレーションゲームはやや玄人向けというイメージがあるものの、この全国版までは出てくる武将も限られており一般層にもまだ受け入れられるレベルだった。複数人で遊べるというゲームだったのも特徴。友人が集まって遊ぶゲームとして他に三國志、大戦略シリーズがあって、当時は一部ユーザーで盛り上がりを見せた。その後も進化した信長の野望が数々発売されたが、人物やコマンドが増えすぎて本当に好きな人間しか受け入れないマニアックな仕様になっていった。信長の野望は同時期に発売された三國志と共に光栄の軸だった。他の作品でも歴史シリーズのシミュレーションゲームで色々な方向性を模索し柱を打ち立てようとしたが結局あまりうまく行かず、元の鞘に戻った印象を受ける。それでも肥大化したキャラクター群やシステムはもう素人や入門者を寄せ付けなくなってしまった。そういう意味では名作と呼ぶに相応しいゲームがこの「全国版」だろう。

第３作目となる「信長の野望・戦国群雄伝」が他機種で間もなく発売となる時期にこのX68000版が発売となった。今更感はあったが、光栄がX68000初作品として、この作品を発売したのは5年を経過しても作品として鉄板でもあり、足掛けとできる自信があったからだろう。もちろん、よくあったPC-9801シリーズからの単なる移植ではなく他の8bit及び16bitパソコンでは不可能なレベルのグレードアップがなされた。画面はX68000の解像度に合わせたレイアウトに書きなおされ、16色で描き直された。(PC-9801版でも8色200ライン表示)。オープニングやエンディング、ゲームオーバーなどの一枚絵は取り込みの自然発色で行われている。
音は起動時の「プロデュース by コウ・シブサワ」から、コマンド・アニメーションシーンの効果音に至るまでADPCMで鳴らされた。暗殺モードで「お命頂戴仕る！」などと台詞まで喋るのは驚いたと共に優越感を感じたものだ。メモリやフロッピー容量の関係で標準でサンプリング再生が余裕を持って行えるパソコンは当時無く、同様の機能を再現できるマシンは翌年の富士通が発売する FM TOWNS まで待つこととなった上、後々の作品ではPC-9801の16色グラフィックをそのまま使われることになり「X68000ならでは」の魅力を失っていくことになる。

音楽もベタ移植ではなく音色を中心に大幅にアレンジされている。ADPCM同期といった派手なものではないが、後々のX68000で光栄作品の基礎になるものを作ったともいえる音色になる。曲は今や著名人となった菅野よう子さんが光栄作品に後々関わっていくことになる。販売数に比例するので仕方が無いともいえるが、特に音楽として有名と思われるのがこの「全国版」である。特にゲーム中に流れるメインBGMの「現世夢幻」は最も長く聞くことになる曲であり、かつ30秒以内でループするので耳に残りやすいだろう。