ジェネレーティング・ロールプレイングゲーム
ティル・ナ・ノーグ 〈ダーナの末裔〉
対応機種 : PC-9801シリーズ
メディア :
5inch 2HD (1枚)
3.5inch 2DD (2枚)
定価 : 9,500円
発売日 : 1988年1月中旬
販売元 : システムソフト
○要2ドライブ
○PC-9801, PC-9801U動作不可
○PC-9801Eは要漢字ROM
○要RAM 640KB
○要MS-DOSシステム(Ver2.11またはVer3.10)
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PROMO WORD
邪悪なものが封じた闇と、神々の光。
全能の神はその狭間に常若の国々「ティル・ナ・ノーグ」を設け、
気高く義勇にあふれたダーナ神族に治めさせた。
しかし金髪の巨人ダーナたちは、歳月の流れる中でその面影を失い、ただの妖精となってしまった。
そこを狙って、邪悪な存在は魔の手を送りこんできた。
ティル・ナ・ノーグを救う術を知っているのは、古き良き神々の末裔である王女だけ……。
勇者の旅は、果てしなく続く。ダーナの末裔が求める限り。
○限りなくできるシナリオメイキング
シナリオジェネレータの採用で、国の名前や地形・迷宮の場所・登場人物・アイテム・ストーリーなどシナリオを作成するごとに設定が変わります。
また、固定シナリオを持たせていないので、それぞれのプレイヤーによって、旅をする場所が違います。
もちろん同一シナリオを作ることもできますから、複数のプレイヤーでゲーム展開を競うこともできます。
○臨場感あふれる戦闘シーン
敵・味方とも、1人1人のキャラクターが自分の意志で戦いを展開します。
プレイヤーは、その戦闘シーンを画面で見ながらリアルタイムで指揮してください。
適切なタイミングで、キャラクター別に効果的な命令をすることによって、不利な戦闘を勝利に導くことができます。
ティル・ナ・ノーグの世界
地上は戦いにあふれていた。闇は光を呑み込もうとし、光は闇を灼きつくそうと、お互いに奮戦していた。いつはてるともない戦いが、至るところで繰り広げられていた。
神々はこの様子を見て、深く憂えられた。なんとか戦いを止めさせる手だてはないか、と。困り果てた神々は、世界を二つに分けることにされた。闇のものは闇の世界へ、光のものは光の世界へ…… そして、"邪悪"を闇の世界に封じ込めてしまわれた。
こうしてなんとか戦いはおさまった。しかし問題が残った。境界線をどうするか?直接、境を接している限り、常に戦いが始まる可能性がある。
結論として、光と闇のはざまに緩衝地帯を設け、無数の小世界を配すことにした。緩衝帯によって両者を遠ざければ、戦いは避けられるだろう。残る問題は、その緩衝帯の主を誰にするか、ということだ。
神々の討論の結果、ダーナ女神を主神とする、ダーナ神族が緩衝帯を守ることを命じられた。彼らは光の世界の主人である人間に姿形が似ていたからである。まばゆい金髪と青く澄んだ瞳を持つ巨人族の彼らなら、人間達の尊敬を一身に集められると思われた。
そして、そのとおりになった。
人間達はダーナ神を敬い、祈りと供物をささげた。その祈りと供物を糧に、ダーナ達の神性はますます光り輝いた。いつまでも老いることなく、不幸のかけらも見いだせないその楽園を、人間達は"常若の国(ティル・ナ・ノーグ)"と呼び、大いなる憧れの地とした。
とりわけダーナ神を敬ったのは、勢いの盛んなケルトの民であった。ケルトの民は、自分達の戦いにダーナの神が加わってくれるよう熱望した。緩衝帯を守ることに少しばかり退屈していたダーナはその要請に応え、光の国を出て、ケルトの民と共に戦った。これを見た神々は激怒した。緩衝帯を守るべきものが任務を離れ、光の国にでしゃばって干渉するとはなにごとだ!
神々はマイリージアン神族を地上に遣わし、ケルトの民を撃ち破り、ティルタウンの戦いでダーナ達を撃ち負かした。
ダーナ達はそれぞれのティル・ナ・ノーグへ引き返した。神々の怒りはおさまらず、ダーナ達から不老不死の力を取り上げてしまった。人間達も、敗北者の神を敬うことをやめ、祈りや供物がささげられることもなくなった。
こうして、ダーナ達は次第に神の属性を失っていった。輝く金髪と青い目は保ったものの、雄大な体躯は卑小になり、高貴な魂もありふれたものに堕した。もはや昔の面影は失われ、なみの妖精とほとんど見分けがつかないまでになってしまった。
闇の世界の者どもが、ティル・ナ・ノーグの衰退を知った。彼らはこの楽園を支配しようと企んだ。手始めに、邪悪の影をティル・ナ・ノーグに送り込み、ティル・ナ・ノーグを邪悪で埋め尽くそうと考えたのだ。
多くのティル・ナ・ノーグに危機が迫っていた。得体の知れぬ化け物や魔物がうろつき回り、住人の人格をも変えていた。
偉大だったダーナの神性は、王家の姫にだけ受け継がれていた。それも姫でいるほんの僅かな間だけ。婚姻によってその神性は失われ、次に姫が生まれるまでの間、ダーナの神性と光栄はティル・ナ・ノーグから失われる。
王家の姫は行動を起こしていた。
単身、邪悪の討伐に出たものもある。逆に邪悪に捕らわれたものもある。しかし、彼女達には、残された最後の力があった。光の世界に救援を求めることである……
ティル・ナ・ノーグについて
1987年当時のパソコンゲームといえば、NECのPC-8801シリーズを中心として最もパソコンゲームが盛り上がっていた時期ではないだろうか。そんな時期としては珍しくPC-9801専用のゲームが発売された。当時のPC-9801は格上の16bitマシンで、ソフトに関してもPC-8801シリーズよりビジネス指向に振った傾向が強かった。その時期あたりからVM/VXという5インチモデルにUV/UXという3.5インチモデルが存在したこと。またこの時期の5インチモデルには音源は搭載されていなかった。ビジネスマシンに音源は必要ないという理屈は今考えると美しい選択であるようにも思えてしまう。そのためかは不明だが、ゲームプレイ中の音楽は存在しない。ユーザ層としても少ないこのPC-9801シリーズで何故メインターゲットに選んでまで出す必要があったのか不思議だ。
PC-9801でなければという必然性はフォントの大きさ以外には感じられないが、このゲームの画期的な要素「シナリオ・ジェネレート機能」がその要因のひとつかもしれない。この「シナリオ・ジェネレート機能」というのは乱数により、シナリオやマップが作成されるという画期的なシステムで、ありがちだった一つのエンディングに向かうのではなく、無限大に近い組み合わせて楽しめる。これを作成するのに当時のVMで6分程度掛かったというから、8bitのPC88シリーズでは処理の能力に問題があったのかもしれない。ゲーム自体は非常に単調な動きで進むので、そのあたりはPC-8801シリーズでも問題なかったのだろうか、数年後に別シリーズとして移植されている。
音楽はSeeNaの音楽製作と同じHinomaru Factory。現在は別のユニット名で売り出しているようだが、それ以上何も分からない。SeeNa自体が独特だったのに対してティル・ナ・ノーグでは素直な曲に落ち着いている。当時の同じ時期のゲームはソーサリアンやハイドライドⅡI、そしてゼリアード。ライバルというには余りにもこのゲームの音楽は寂しすぎるが、往年のパソコンゲームならではの無理のない素直なFM音源の音を聞かせてくれる。