運命の絆に導かれるままに、集え戦士達!
エメラルド ドラゴン
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (6枚)
定価 : 9,800円 (税別)
発売日 : 1990年12月6日(発売予定10月→11月30日から延期)
販売元 : グローディア
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PROMO WORD
ビジュアル、背景、キャラクターチップ等の全てのグラフィックをX68000専用の新たな描き起こし、さらに512*512モードによる高品位なグラフィックを採用、ジョイスティック、キーボード、マウスそれぞれに完全対応。
運命の絆に導かれるままに、集え戦士達!
聖地イシュバーンに何が起こったのか?
ブルードラゴンのアトルーシャン(*1)と少女タムリンの行く手をさえぎる
悪の総帥オストラコンとは?
広大かつ繊細なマップ上に繰りひろげられる壮大なストーリー設定、
それぞれの個性を持った多数の登場人物がおりなす重厚なシナリオ、
戦闘モードは人口知能採用のリアルタイムシュミレーション(*2)、
ユーザーフレンドリィのゲームシステム、
そして随所に盛り込まれた感動のビジュアルシーン
比類なき先進のスペックをここに集結した超大作RPG!
*1 *2 パッケージの誤字
プロローグ
太陽はゆっくりと水平線の彼方へ去り、小島は闇の中へ溶けていった。古びた石造りの家の中に、1つの大きな影と2つの小さな影が、風になびく蝋燭によって壁に映し出されている。
大きな影の所有者、この島で最長老の白龍である。老いたその顔のしわは深く、翼は張りをなくし、くぼんだ目は光を失っていた。小さな影の1つは老白龍とは対照的な青き幼龍。8年前に生まれたアトルシャンである。のこり1つの影、この島、いやこの世界でたった1人の人間の少女、タムリンであった。
四方を時空の障壁に囲まれたこの世界もともと存在していたのは海と小島(彼らはドラゴン小国と呼ぶ)と数種の小動物のみであった。そこへ1500年前、かの地より高等魔術によって、龍達が次々と移って来たのであった。
いつものように物語を語り終えた老白龍は、少女から自分がここへ来た時の事を話してくれとねだられた。少し上を向いた老白龍は、わずかの時間沈黙すると、ゆっくりと話を始めた。
「おまえがこの地に来たのは3年前の夏のことじゃった。嵐のすぎた次の朝、浜辺に打ち上げられた難破船の事を知ったときは、さすがのわしも驚いた。
じゃが、わしのように老いさらばえた者にはすぐ分かった筈じゃ。あの懐かしい、広大無辺に広がる肥沃な大地の……わしらの故郷の匂いを……
その船がなぜ異世界のこの島に辿り着いたのか。わしには今でも分からん。おまえはその船のたった一人の生存者だったのじゃ。船室の中でも少し高くなっておる、そしてもっとも安全な場所に、荷物に守られて倒れていたそうじゃ。
知っておるじゃろうが、わしらは子供に恵まれん。ほれ、お前の隣でもう寝むってしまっとるアトルシャンも100年ぶりの子供じゃった。じゃからわしらは、おまえも同じ様に大切に育てようと思ったのじゃ。」
ここまで話して、老白龍は何かを考えるように沈黙してしまった。彼の心をめぐっているのは……そう、彼の故郷、四季の美しき変容は多世界随一と言われ、天からの温かく柔らかい恵の光は、そのまま天界にもっとも近い聖地だと言われた。花が咲き、妖精舞う永えのユートピア……。
イシュ・バーン。
老白龍が長い回想から現実に戻った時、2人の子供は寄り添って寝息をついていた。老白龍は表情を柔らげると、2人に毛布をかけてやったのだった。「タムリンよ、おまえが1人で生きてゆけるようになった時、わしは苦しい決断をしなければならないかもしれん。おまえの生まれた世界、イシュ・バーンは、それはそれは幸せな世界じゃ。」
老白龍の顔にわずかな陰りがさす。
「今は人間が霊長となって、賑やかにやっておることじゃろう。おまえにとっても、そこで暮らすのが1番の幸せなんじゃろうからのう。」
1500年前、イシュ・バーンをある恐ろしい呪いが襲った。龍族のみにかけられたその呪いは、彼らの息をつまらせ、血を枯らし骨をきしませた。そしておびただしい数の龍が死んでいった。生き残った僅かの龍達が隣接するこの異世界に移り住んだのだった。しかし、彼らはあの呪いが序章である事を知らない。
こののち9年後、タムリンはつらい別れを経て、故郷であるイシュ・バーンへ戻っていった。アトルシャンから贈られた彼の片角をしっかり握りしめて。
幼き頃暮らしていたイシュバーンとはいえ、全く覚えていないこの世界。それでも彼女は龍達の言う聖地で、人間としての幸せをたとえ小さくともつかもうと思っていた。しかしその思いは、最初に目を開いた瞬間に消し飛んだ。
「……これが……聖地イシュバーンなの……?」
タムリンの足元には、数え切れない兵士の死体と、さらに多くの得体の知れぬ生物の死体で埋め尽くされていたのだ。
15年前突然現れた魔軍と、イシュバーン唯一の王国エルバードとの戦いは、しだいにエルバード軍の劣勢となりつつあった。平和な世界で育ったタムリンには自分がどうしたら良いのか分からず、逃げ惑う人々をただ見やるだけであった。
「おい、聞いたか? ドゥルグワント要塞が危ないらしいぞ」
「バカな! 今日まで魔軍を押さえ続けてきたエルバード最大の砦だぞ」
「強力なモンスターだけで編成された別動隊が、動いているらしい。たしか、オス……なんとかって言う……」
隣で聞いていた別の兵士が口を開く。
「オストラコンだよ。あの人間の恥さらしめ。奴が別動隊を指揮しているのさ。」
その時、片腕に矢を受けたままの兵士が飛び込んで来た。
「ドゥルグワント要塞が堕ちたぞ!」大声で叫ぶ。「現在魔軍はふたてに分かれて、アーパス砦を攻撃……中。そして……」
矢を受けた片腕を押さえたまま、崩れ落ちそうになった彼を、他の兵士が慌てて抱きとめる。
「そして、もう一方は……ここミスラ・ミフルへ進行中……」
兵士達の顔に緊張が走った。
タムリンがイシュ・バーンに帰ってから、3年の月日が流れた。
ウルワンの町で長老から小さな家を借りて生活をする彼女は、まだ戦火の及ばぬこの町に送り込まれて来る傷ついた兵士達の看病に、忙しい日々を送っていた。この日タムリンは、初めてこの世界を見た時以来の衝撃的な光景を目の当たりにする事になる。 それは、キルデールから運ばれて来る十数人の負傷した子供達、という話だった。しかし半数はすでに惨たらしく死んでおり、生きている子供達も治療すらできないほどの火傷や深い傷に、医者は首を横に振った。呆然と立ち尽くすタムリンの手を何かが触れる。
「……お姉ちゃん……たすけ……て……」
思わずその場から飛び出してしまうタムリン。止めどもない溢れる涙を押さえる片手。あの人の、いつも彼女の心の支えになっていた角笛を握り締める、もう片手。いま、彼女の中でできる限りの力を振り絞り魔軍に対決を挑む決意が、燃え上がる炎のごとく立ち上がる。涙を止め空を仰ぎみれば、決意をした彼女をあざけり笑うように魔物の虚像が浮かんでいる。
「見ていらっしゃい。私一人ではあなた達にとてもかないやしないわ。でも私には、あなた達なんか足元にも及ばないほど強い味方がいるのよ。」
タムリンは祈りの丘へ来ていた。神の世界を始めとするあまたの世界へ通じる道に、もっとも近い場所と言われる祈りの丘である。
「ここならきっと届く筈だわ……!」
今、万感の思いを込めて、タムリンは角笛を吹き鳴らす。
エメラルドドラゴンについて
NEC PC-8801mkⅡSR版をオリジナルとした作品が、長い時間を経てX68000にアレンジ移植された。PC88版とある程度平行して作成されており実質1年で移植された作品だが、プログラマーは普通のサラリーマンであり、別の職業を行いながら移植を行ったらしい。(emedra.doc参照)
パッケージからマニュアル(ストーリー内容)に至るまで全て描き直し、ゲームに関してもグラフィックを含めてX68000仕様にしてきた。
先に出たサバッシュを原点としたシステムを発展させたエメラルドドラゴンは、おふざけ路線を抜いたシリアス路線の作品。シナリオは鉄板と思われる進行、随所に各登場キャラクターの思わぬ展開を盛り込み、中弛みさせないゲーム進行。ほぼ完成したともいえるゲームシステム。これらの組み合わせは移植すれば売れる作品の一つだった。PC各機種から、家庭用ゲーム機にまで幅広く移植された。
描き直されたキャラクター群。これが賛否両論を巻き起こした。グローディア作品の顔、キャラクターデザイン木村明広氏脱退により変更されたキャラクター。姿形は似ていても別人であった。こういった現象は有名ゲーム(イース、サーク、ヴァリスなど)でも多数見受けられた。これには違和感を感じるユーザーも多々いたようだ。ただ、一般的には続編で変更になるケースが殆どで、同一作品の移植で変更になることは当時あまり無かった。
オープニング及び、エンディングのビジュアルもディスク6枚中、各1枚を使用する力の入れよう(ビジュアルディスクは2枚でゲーム用は2枚だけだった)ではあったが、PC88版と比べ4倍の容量を誇った2HDディスクを使ったとは思えないアニメーションしないオープニンググラフィックにはガッカリした。唯一PC88に勝っているのは彩色数の多いという点だけ。また、エンディングではキャラクターデザインが崩れ始め、最後のスタッフロールではやや元イメージの残っていた各キャラクター群も完全に別人になってしまった。
こいつら誰だ!?
ゲームシステムの変更は無く、スムーススクロールや色数、高解像度化では機種仕様に対応させた純粋なアップデート版となった。PC88版であったバグも無くなっており安心してプレイできた。ベタ移植ではないグラフィック周りに関しての苦労などもあったとも思えるが、前作サバッシュで構築されていたノウハウでカバーできたと思える。話題に上らない追加部分は、最終ボスの戦闘シーン。画面背景をスクロールさせた。
音楽面に関しては好みの問題もあり、PC88派とX68000派に分かれる。オリジナルと比較してリズム音源部分がFM音源に置き換わっている。X68000版はサバッシュと同様、SSG部分を音色まで似せて鳴らすのではなく全てリファインしている。特にSSGがメロディを奏でる曲だと尖った印象を受けるが、この部分を逆に柔らかい音色にしていた。サバッシュ同様に音色が当時のエレクトーンに似ており、安心して聞くことのできる音だった。しかしながら、エンディングではSSGのフレーズイントロからバッサリ外されている謎アレンジである。
曲名がPC88版と異なっているが曲の内容は殆どが共通。何故曲名が異なっているのかは謎だ。音色を根本的に変更しているのが「エルバード王」、そして中にはキーが違う曲も複数存在する。新曲として「宿命の導くもの」が追加。しかし、それに伴いPC88版の「永遠の別れ」が削除。曲調は同じなのでアレンジが異なるだけとも考えられる。
裏技の紹介
【隠しメッセージ】
【ミュージックモード】
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)
01 プロローグ -創世/破局/旅立ち/回想/出会い/戦いへの序章-
02 冒険者のテーマ
03 再会
04 タムリンのテーマ
05 お買い物
06 エルバード城
07 闘将バルソム
08 エルバード王
09 町の人々
10 オヴィングストンの洞窟
11 シルバードラゴン
12 戦略
13 ダードワの森
14 魔将オストラコン
15 宿命の導くもの
16 ドゥルグワント城
17 モンスター
18 大カシャ島、小カシャ島
19 ひとときの安らぎ
20 タムリン -愛のテーマ-
21 出会いそして別れ
22 魔剣ヴェンディダード
23 ホルスの要塞
24 エメラルド・ドラゴンのテーマ
25 対決
26 エンドタイトル -そして再び-
合計時間 : 37:00
作曲 : 恋瀬信人, 佐藤天平
DISCOGRAPHY
グローディアMUSIC VOL.1
エメラルドドラゴン全曲集
発売日: 1988年12月21日
価格: 2,400円
商品番号: PSCX-1044
販売元: データムポリスター
収録曲
01 オープニング 序曲
02 オープニング 天変地異
03 オープニング 回想 1
04 オープニング 回想 2
05 オープニング 永久なるもの
06 オープニング メインテーマ
07 城内
08 冒険開始
09 洞窟
10 試練
11 ショップ 1
12 ショップ 2
13 キャンドル
14 苦悩
15 アクティブ
16 ショップ 3
17 再開 (エンディング)
18 形勢不利
19 ピンチ
20 戦いの後に
21 ロック
22 街 1
23 街 2
24 黄昏
25 戦闘 1
26 戦闘 2
27 戦闘 3
28 エンディング
エメラルド ドラゴン : Emerald Dragon. X68000実機
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