本格RPGの完結作
夢幻の心臓Ⅲ
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (6枚)
定価 : 9,700円 (税別)
発売日 : 1990年1月12日(発売予定1989年12月9日から延期)
販売元 : クリスタルソフト
○2ドライブ専用
○ステレオFM音源対応
GALLERY
PROMO WORD
■全4章から成る長編シナリオR.P.G.
かつての冒険の地、エルダーアインをも含む壮大な長編シナリオは、全4章から構成されています。
■新戦闘システム、オートバトル採用
新戦闘システムを採用し、突撃、攻撃、援護、救護などプレイヤーのたてた作戦に従って、多彩なオートバトルがくりひろげられます。
■攻撃パターンはすべてビジュアル
オートバトルシーンではタクティカルコンバットとなり、パーティーとモンスターのキャラクターがオートで動きます。そして豊富な攻撃パターンは、すべてビジュアル処理で表現されます。
■マップパーツ1500以上
なめらかな曲線を描いてつづく地形は、1500以上ものパーツを使ったリアルなマップで表示され、高度な重ねあわせ処理や影処理は、細部にわたって注意深く作られました。
■モンスターはキャラクター&ビジュアル表示
モンスターのキャラクターは、マップ上をリアルタイムで移動しており、さらにモンスターに出会うと、その姿が大きくグラフィックで表示されます。
■オリジナルBGM全50曲
冒険の世界を演出してくれるオリジナルBGMは全50曲。独特のメロディーラインと音づくりが、さらに冒険を盛り上げてくれます。
ストーリー
1.夢幻界創世記
この世界は、宇宙の創造神が残してくれた『神聖剣』によって、その中心を貫かれた15の次元界と、創造神の力を分け与えられ、この世界を平和に導く使命を受けた〈光の神々〉と〈闇の神々〉によって治められていた。
ある時、小さな争いが元で2つの神々の間に、15の次元すべてを巻き込むほどの全面戦争が勃発してしまう。この戦争は、数億年間にわたって続き、やがて宇宙の創造神が残してくれた『神聖剣』は、その壮絶な戦闘のあおりを受けて粉々に砕け散ってしまう。
自分たちの過ちに気づいた〈光〉と〈闇〉の神々が、慌てて世界を修復しようとしたときはすでに遅く、〈光の神々〉の手には「エルダーアイン」を含む3つの次元界と神聖剣の柄が、〈闇の神々〉の手には「カオス」を含む3つの次元界と神聖剣の先端が残っただけだった。
残り9つの次元界は、今なお狂った次元の間をさまよっているという。この8つの世界が『夢幻界』と呼ばれている。
この2つの神々の戦いのため、15の次元界にはいたるところに次元のほころびができてしまった。神々は、せめて自分たちの手に残った3つずつの次元が、再び散り散りにならぬよう、それぞれの手に残った『神聖剣』の一部を元にして、小さな『神聖剣』を作った。
〈光の神々〉が作った神聖剣を「ヒルツ・スレイヤー」と呼び、〈闇の神々〉が作った神聖剣を「エンド・スレイヤー」と呼ぶ。
2つの神々は、かつての宇宙の創造神がそうしたように、おのおの3つずつの次元界の中心をその神聖剣で貫き、残りの次元界である『夢幻界』を修復するためのエネルギーを蓄えるために、深い眠りについた。
2.夢幻の心臓I
かつて〈闇の神々〉が治めていた3つの次元界の内のひとつに、「カオス」と呼ばれる次元界がある。ここは人間の住む世界であり、その発祥の地でもある。
主人公は、ガイヤール城でエルベス王率いる戦士の一員として戦っていたが、戦場で胸に致命的な一撃を受け、神々への呪いの言葉とともに死んでいった。
死んだはずの戦士は、その最期の言葉を発したがために、『夢幻界』へと転生してしまう。『夢幻界』とは、神々への呪いの言葉を吐いて死んでいった者たちが吸い込まれる冥界だといわれ、9つある夢幻界のひとつである。
その世界の大気は強烈な猛毒を含んでおり、30000日の後には人間を怪物へと変貌させてしまう。また、大地には次元界「カオス」にすら存在していないような怪物がはいかいし、30000日を待たずして殺されてしまう者も多い。その世界での死は、すべての終わりを意味する。「夢幻界」で死する者は、9つある夢幻界の最下層「暗黒の世界」に封印され、約束の時がきても魂の浄化を受けられないという。
戦士は血眼になって、この世界を抜け出すための唯一の秘宝『夢幻の心臓』を探す旅に出る。やっとの思いで見つけ出した『夢幻の心臓』は、彼が生前に受けた胸の傷に吸い込まれ、その不思議な不死の力を解き放った。
彼は、故郷ルイザードの地を思い、次元間ワープの旅に出る。目の前に広がる、湖とガイヤール城の威容を思い浮かべながら…。
3.夢幻の心臓Ⅱ
神々が眠りにつかれてから、どれほどの年月が流れただろう。暗黒の宇宙の彼方より、空一面をおおう「ほうき星」に乗って一人の邪悪なる「神の子」が、かつて〈光の神々〉が治めし次元界のひとつ「エルダーアイン」に舞い降りた。
彼は、「暗黒の皇子」とも呼ばれ〈光の神々〉、〈闇の神々〉のどちらの一族にも属さず、この世界の法則に縛られることなく自由に行動する。
この奇妙な「神の子」と名乗る者によって「エルダーアイン」の平和が乱されようとしたとき、人間の戦士とエルフの魔法使いが彼に立ち向かい、〈光の神々〉より借りた、神聖剣の柄のかけらで作られた「ヒルツ・スレイヤー」を武器に、「神の子」を異次元に封じ込めたという。
1728年後、再び空をほうき星がうめる合いの年が訪れるとき、「暗黒の皇子」は再びこの地に甦る。しかし人々よ、うろたえてはならぬ。「いにしえの塚」に舞い降りる人間の戦士をリーダーとして、再び「神の子」を封じ込めよ。
彼はその体内に夢幻界の秘宝『夢幻の心臓』を宿した7番目にして最強の不死身の戦士なり。彼と共に「暗黒の皇子」を討ち滅ぼさんことを祈らん。
伝説のとおり、「暗黒の皇子」は〈光の神々〉が治める「エルダーアイン」に復活した。彼は1728年前の失敗を悔やみ、今回は直接手を下さない。魔神城内にある「次元の祭壇」の力を使って、地上に『夢幻界』の闇の生物を呼び出し、人間の皆殺しを計っている。
「エルダーアイン」の地が絶体絶命の危機に追い込まれようとしているとき、「いにしえの塚」にひとりの戦士が現れた。彼こそ『夢幻界』から次元界「カオス」への帰途についたはずの『夢幻の心臓の戦士』である。
彼は、甦った場所が故郷の「ルイザード」でないことを知り、再び冒険の旅に出る。数々の困難を乗り越え、エルフ、ドワーフ、シーの協力と、神聖剣の柄のかけらで作られた「ヒルツ・スレイヤー」を武器に、「暗黒の皇子」を見事倒した。
そして戦士は、今度こそ故郷「ルイザード」の地を目指して「次元の祭壇」に一歩足を踏み入れた。
4.夢幻の心臓ⅡI プロローグ
ここは、次元界「カオス」。『夢幻の心臓の戦士』が生まれ育った「バース地方」、「ルイザード地方」のある次元界であり、〈闇の神々〉が治める3つの次元界の内のひとつである。
時は、〈闇の神々〉が深い眠りにつかれてから数千億年、戦士が生きていた頃の時代から、さらに数十億年後の未来の世界。
そのころ次元界「カオス」は、自らを「暗黒神」と名乗る異次元の生物から「カオス」全土におよぶ次元間侵略を受けていた。現在のところ完全に侵略された地域は、戦士が生きていた頃の「バース地方」、「ルイザード地方」に相当する2つの地域にとどまっていた。
かろうじて侵略軍に対抗して残っている地域には、バース地方の北東に位置し、ロボットの軍隊を持つ「ソル帝国」と、北西に位置し、カオスの次元連星「デュラハン」に戦略基地を持つ「アーク」の2大国、そして南に位置し、広大な大陸を有する「リュカオン」、「オブリビィアン」の2つの地方の計4つの地域がある。
各地で激烈な戦闘が続いているその頃、連星「デュラハン」に戦略基地を持つアークの軍隊は、完全に侵略され、すでに敵の前線基地が完成しつつある「ルイザード、バース地方」めがけて、まだ実験段階にあり、完成後も次元内使用禁止令がでている「次元砲」を発射した。
「次元砲」とは、その対象となる地域に局所的に強烈な磁場を発生させ、異次元へ吹き飛ばしてしまうという、この時代の最終兵器である。
2つの地方は、侵略軍の大半とかろうじて生き残っていた人間共々、大陸ごと完全に消滅してしまった。
しかし、次元砲の余波も収まった数か月の後、失われたはずの2つの地域に、再び次元砲の揺り戻しと次元界の修復作用による磁場の嵐が吹き荒れた。
嵐は7昼夜のあいだ続き、2つの地域にはるか旧時代の「ルイザード」、「バース」地方をそっくりタイムスリップさせてしまった。前代未聞の、大陸規模でのタイムトラベルである。
この2つの地方こそ、かつて『夢幻界』から復活し、「エルダーアイン」の危機を救った『夢幻の心臓の戦士』が生前暮らしていた時代の次元界「カオス」の一部である。
使用を禁止されている次元砲を使ったため「ソル帝国」は「アーク」との国交を断絶した。また、各地に「暗黒神」以外のもうひとつの脅威として、「デュアルダーク」という謎の人物が浮かび上がってきた。
人類が疑心暗鬼にかられている頃、各地に取り残された侵略軍の残党は、人間の破壊的な性格を目の当たりにして、この時から、正面攻撃を避けて陰の部分からの侵略行動に切り替えていた。
やがて訪れる「暗黒神」本体を迎え入れるために…。
この、2つの時代が交錯し、いまだ「暗黒神」の脅威にさらされ続けている、次元界「カオス」こそ、『夢幻の心臓ⅡI』の舞台となる。
夢幻の心臓Ⅲについて
ゲームに関しては続編という位置づけだが、システムが改変されているためか、あまり良い評判を聞かない。だが、実際にプレイしてみると進めやすさや、ゲームとしての本来の楽しさを気軽に楽しめる作品であることに気付かされる。つまりゲームが苦手な人でも適当にプレイしていれば意外にサクサク進めてしまう作りなのだ。例えば武器一つでもドラクエ3のような装備できる、できないというようなややこしい設定が序盤には存在しない。ただ、防具に関して頭、体、盾だけでなく手や足も増えていたり、攻撃の武器も近距離用と遠距離用と存在するので管理までが簡単というわけではない。また、こだわってプレイするならば、職業や種族等細かく分けられた数々の特徴を生かしたパーティ編成で攻略することも可能だ。
戦闘はオートバトルなのでプレイする側の疲労は殆ど無い。うまくすれば、その場で放置しているだけでレベルが上がっていくというシステムでもある。ただ、その辺りは考えられていて、一定の回数倒すと敵が出なくなるシステムだった。レベル自体も割と簡単に上がっていくので、ごく一部の石化魔法に気を付けていれば何も考えずに進んでいける。しかし、最後の辺りで妙に強い雑魚キャラが出てくるのに対して、それより弱い最終ボスというのはどうかと思う。レベル47 でアッという間に倒せてしまうのだ。
GOLDとUNITに分けられた金銭に序盤は困るのだが、いつの間にかお金は余ることになる。それ故に、お金を貯めて強い武器や防具を購入する楽しみなどを感じることは無かったのが残念。また、道具屋や祈祷師が用意されているものの利用した記憶が殆ど無い。また、HPやMPもマップ上で放置していれば勝手に回復してくれるのでホテルさえも利用することは殆ど無かった。その辺りが逆に「簡単すぎる」と考えさせられる意味でバランスがイマイチ悪く感じた。
また用意されている月の満ち欠けに関しても主に使うのは一カ所だけであり、常に表示されている意味を感じることがない。時間に関しても同様だった、本来はもっと使う予定だったと思われるのだが。
ゲームとしての謎やフラグ立てに関して詰まるということも無いのだがそれなりに練られた感があるので充実感はある。また、ありがちなお使い的な行動を強要されていると感じることも余り無く、ストレス無く最後まで進められる。ストーリー展開などの理解や説明などより、ゲームとして遊ぶという意味での楽しさを味わうことのできる数少ない作品がこの「夢幻の心臓ⅡI」であることに改めて気付く。
最後にエンディングで明らかに続編が出るような雰囲気で終わるのだが、クリスタルソフトの消滅によって実現することはなかった。
余談だが、随分昔に夢幻の心臓のゲームブックを購入した記憶があったので引っ張り出してみた。それは夢幻の心臓Ⅱ(1986年発刊)だった。当時はゲームブックがかなり流行っていたのでパソコン用に限らず、コンシューマのゲームブックが存在した。
ストーリーはあまり原作に寄っていない上に終わり方がゲームブックらしくマルチエンディング仕様。内容も原作と殆ど異なるのだが、エルダーアインを中心としたストーリーだし、エルフのさまよえる塔なども出てくる。ちなみに左側にいるのが、あのシルビア王女。右はオリジナルキャラの盗賊ギデオン、そして中央が主人公ルクス。
音楽に関してはサウンドボード2に対応しているものの音数に関してはノーマルのままである。つまり使用しているのはパン機能のみだ。制作側に二種類ものデータを作成している余裕はなかったのだろう。バトルゴリラなども同様の手法であくまで「対応」という方法をとっている。そのためか広告などでは、サウンドボード2に関しての記載が一切ない。
作曲に関してはお馴染みの藤岡氏に加え、マイクロキャビンなどでも活躍することになる笹井氏も参加している。曲に関しては、テクニカルな打ち込みの入った曲などがある。ただ、曲が多すぎて曲だけ聞いても思い出せるシーンが余り無いのが残念。この頃になるととにかく曲を使い捨ての様に使うという風に感じるのが残念。なのに、エンディングのビジュアルシーンで使用されている曲がプレイ中の曲の使い回しだった。自分自身の墓を未来の次元界で見つけた曲と同じ曲にしているのは色んな意味を考えてのことだろうか。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG)
サウンドボードⅡ
音源チップ:YAMAHA YM2608(OPNA)
01 オープニング
02 ルイザード地方
03 城
04 町(ルイザード地方)
05 ショップ
06 祈祷師
07 仙人
08 仲間との会話(男)
09 仲間との会話(女)
10 会話シーン
11 戦闘
12 ビヨンドの洞窟
13 ボス
14 エルダーアイン
15 町(エルダーアイン)
16 アーケディア城
17 シルビアとの再会
18 神聖山
19 次元界をつなぎとめた!
20 スプラー山
21 自分自身の墓
22 リュカオンの墓
23 リュカオン/オブリィ地方
24 ロイガー城
25 キマイラ山
26 魂の沼
27 海底大洞窟
28 パークシティ
29 神々の山
30 迷いの森
31 神殿への抜け道
32 奇跡の神殿
33 研究所
34 ケーブ/ソル/アーク
35 廃墟
36 シティ
37 要塞都市ゼータ
38 予言の塔
39 破壊僧ザギル
40 隠れ里
41 宇宙港
42 ニックス基地
43 次元衛星デュラハン星
44 三つの基地
45 アラキス観測所
46 ステーション
47 カオス城
48 デュアル・ダーク
49 エンディング
50 ゲームオーバー
曲名は適当に付けたものです。
合計時間 : 46:14
作曲 : 木下由美, 笹井隆司, 釜木茂一, 藤岡千尋
エンディングムービー
■エンディングムービー