AMUSING CYBER PSYCHIC ADVENTURE GAME
サイレントメビウス
CASE:TITANIC
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (7枚)
定価 : 14,800円 (税別)
発売日 : 1991年6月7日(発売予定5月上旬→5月31日から延期)
販売元 : ガイナックス
GALLERY
PACKAGE REPRODUCTION
失なわれし貴婦人”タイタニック”よ…。
貴女の航海はまだ終わっていなかったのか!?
原作・総監督
作画監督
製作
麻宮騎亜
菊池通隆
GAINAX
(角川書店 コミックコンプ連載中)
美しき天使たちよ、呪われし航海に終止符を…!
水上の城〈タイタニック〉。迷宮空間で何が待つ…?
商品内容 ●ディスク7枚:[1.封印][2.胎動][3.呪縛][4.彷徨][5.叫喚][6.焦燥][7.鬼哭]●ユーザーズ
マニュアル●ガイドブック●ミニカタログ●電脳おまけ新聞●アンケートハガキ(ユーザー登録葉書2枚)
品質には万全を期しておりますが、万が一製造上の原因による不備がありましたら、新しい製品とお取替えいたします。詳しく
はマニュアルの注意事項をご覧ください。純正ドライブ以外では作動しないことがあります。●増設RAM対応
●この商品の無断複製・レンタル等は法律によって禁じられています。
C麻宮騎亜・角川書店 Cガイナックス
JASRAC-V-910253
シリーズ対応
5"2HD 7枚組 14800円[税抜]
製作:株式会社GAINAX販売:株式会社ゼネラルプロダクツ
お問い合わせ:株式会社ゼネラルプロダクツ ☎0422-22-1980〒180東京都武蔵野市吉祥寺東町2-7-1 2F
プロローグ
2026年、春。珍しく酸性雨の降りやんだ夜空に、数ヶ月ぶりに月が美しい姿を雲間から見せていた。
久しぶりの傘のいらない外出に、人々は心はずませて夜の街にくり出した。
しかし晴天は長くは続かなかった。水中に落ちた墨汁のように、東京上空に湧き出した雷雲。それはレーダーに写らなかった。
悪質ないたずらのような突然の雷雨に、人々がうらめし気に天を仰いだ時、その眼には信じられない情景が写った。
雲を割り、落ちてくる巨大な船!雷光に照らし出されたそれは、全様を衆視の前にさらけ出すと、四本の煙突から煙を吐きながら、月へ向かってゆっくりと航行をはじめた。宙を徨く、巨大な船。
白昼夢のようなその光景に、遭遇した人々は唯々ぼう然と見守るだけであった。しかしその船は、日付けがかわる時間になると、かすむように消えていった。まるで全てが蜃気楼であったかのように。
しかし、怪事件はそれで終わりではなかった。そして消えた次の日も、同時刻になるとそれは現れたのであった。
人心を騒がすこの事件に、警察そして軍隊が出動したが、強力な結界に阻まれて近づくことができず、僅かに、船窓に動く影から内には人がいること、船尾のペイントからこの船は1912年に大西洋で沈没した『タイタニック号』であるという、二つの手がかりを得ただけであった。だがそれは、事件をより複雑にしただけであった。
事態を憂慮した政府は、英国政府の協力を得て、ケンブリッジ大学よりタイタニック事件の研究家を呼び、そして対妖魔特殊警察に出動を要請した。
タイタニックが出現するようになって5日目、2026年4月14日のことであった。
五たび東京上空に出現したタイタニックに、AMPのスピナーが向かった。
軍隊の力を持ってしても開かれなかった結界は、AMPのメンバーたちを迎え入れるかのごとく、あっさりと開いた。
AMPの予言者・彩弧由貴がタイタニック出現初夜に交感して告げた言葉「真紅の月、天頂に輝くとき、眠れる死者たちが動き始める」。この予言とタイタニックは結びついているのであろうか?
優美な豪華客船は、最後の搭乗者の思惑も知らず、宙空をすべるように赤い月に向かって航行していく。
AMPのメンバーが降り立った船上は、驚くべきことにあの処女航海当時と、全く変らぬ姿を見せていた。乗客や乗組員たちも、あの時と同じように、働き、旅を楽しんでいた。
『私たちは114年前にタイムスリップしてしまったのかも…』。もしそうだとすれば、AMP=異質な存在は、タイムパラドックスによって、歴史を変えてしまうかも知れない……。
広大な船内は、過去と未来、悪夢と現実の混在するラビリンス。巧妙に仕組まれた妖魔の罠を打破して、悲劇の航海に終止符を打つことができるのであろうか?
サイレントメビウスについて
1990年8月10日に発売されたPC-9801版の移植作品。1年近く掛かった移植はガイナックスとしては初のX68000版の作品ということもあってなのか理由は不明だ。ディスクのフォーマット形式が独自だったりとややこしいことを行っていたりするのが特に記憶に残っている。また、後述する音楽に関してX68000用に作り直されており、申し分ない出来。グラフィックに関してはPC-9801版のベタ移植。追加グラフィックとして表情が追加されたりということがあったりするようだが、実際気付かなかった。他、解像度の違いにより壁紙が大きくなったり表示項目のレイアウトが追加・変更されている。
更に増設RAM対応とあるが、ディスクキャッシュによる一部読み込みに関してRAM内に保存しておく物だと思われる。(制作中にはグラフィックの表示などのスピードがディスクアクセスの遅さが原因でかなり苦労したらしい。)
サイレントメビウスという作品にタイタニック号を融合した原作には無いオリジナルストーリーに仕上げている。こういうキャラ物に関してはオリジナルストーリーより原作のストーリーをアドベンチャー仕立てにするパターンが当時としては多かったと思う。というのも、ヘタにオリジナルストーリーで制作したならば作品の世界観や登場人物の性格などの再現性を損なう可能性があるからだ。特にこういう作品の場合の多くは原作のファンが購入するので手厳しい反応が返ってくるからだ。
こういった作品にタイタニックを採り入れるのは珍しいことだったと思う。今でこそ「タイタニック」の映画化により良く知られる存在になっているが、当時でもタイタニック号の知識は多少なりとも持っている人が多かったのではないだろうか?そういう、ちょっとした知識とタイタニックの運命に興味を引かれて購入してしまうという狙いの部分も巧く当たったのではないかと思われる。値段はかなり高めであったが、原作付の作品としては当時大ヒットした。なお、タイタニックの実際の造りとゲームの造りとは異なることがマニュアルに記載されている。当時資料に関しても殆ど無かったらしく、そういう面では困難を極めたと思われる。
実際のゲームとしてはオーソドックスな選択式。選択肢も簡潔でメインとして移動、話す、見る程度しか無い。会話パターンも多くなく移動範囲も広くないので乗組員や乗客と話したり、船の構造を何となく調べている内にあっさり終盤に向かう。ディスク7枚という多めのディスクの割に大きなカット絵もない。早ければ1時間ほどで終了してしまうのではないだろうか?大きな流れで必要だと分かってくるのは
1.船長を探す。
2.ウェンズディを探す
の2点で、この2つを満たすとエンディングを見に行く為に最下層へ向かうという位のことしかないのだ。
アドベンチャーゲームとして少し変わっている点としては自分を含めたチームが3名になっているので、最初に選んだメンバーにより会話内容と途中のイベントが若干変化する。また、戦闘シーンがあるのも特徴の一つ。ただし、HPなどの数値化されたものはなくかなりアバウトに進行するので適当にグラビトンをぶちかましていればあっさり勝ってしまう。負けても退却になり、機器が故障するだけ。甲板に戻ればすぐに元通りと緊張感がない。
原作は登場人物毎の物語がしっかりしており、重い印象があるのだが、そういう背負った物が全く出てこないので薄い。また、香津美に関しては恋人であるロイの存在を忘れたような行動や言動がある。口調などはそれっぽくなっているのだが、そういう意味ではキャラクターの再現としては微妙なところだろう。冷静に考えればそんなものを生かすゲーム内容ではないのでそれは無茶な話でもある。逆に考えればサイレントメビウスでなくとも妖魔の関連を少しいじれば適当な作品で出せるような内容なのだ。
グラフィックに関しては「菊池通隆」となっているが、実は原作者の麻宮騎亜であることは今となっては知られている事。無論、原作者なのでグラフィック面に関しては顔が崩れたりとかそういう問題は一切無い。分かる人には分かると思うが、昔の絵柄なので個人的には好感。原作の後半のキャラ絵は根本的に変わってしまいイマイチ好きになれないのだ。
音楽に関しては1989年に発売されたサイレントメビウスのイメージアルバムである「CAUTION」より5曲選曲されている。「Silent City」は組曲なので厳密には3曲となる。このCDを元に梶原正裕氏がデータ化を行っている。X68000版移植にあたってFM音源8音化に加えてADPCMによるサンプリング音源によるリズム部分の演奏も行われている。定番といえば定番。戦闘中の効果音も一部ADPCMで鳴らされていた。
当時はまだアニメ化などの話はなく、そういう意味では変わった趣向のCDだった。CDの知名度も低い故に全ての曲がゲーム用に作られたオリジナルであると思いこんでいる人も少なくない。(説明書などでも一切触れられていない)曲の使用場所はメインテーマに近い探索時のテーマが「Silent City 3」、タイタニック出現のテーマや、重い空気のテーマが「Silent City 2」。ただ、なんとなく無理矢理使用したような曲が「Successor」。ゲーム中としては他の曲より圧倒的に長い曲なのだが、使用されている場所が体育室とウェンズディ先生との出会いの2カ所のみ。良い曲なのに使い所が違うような気がする。そして、最終ボスである「Confusion」。
ちなみに原曲にはテーマがあり「Silent City」は酸性雨の降る2026年の東京をイメージした組曲、「Successor」は闇雲那魅のテーマ、そして「Confusion」は香津美・リキュールの戦いの中に身を置くイメージ曲となっている。なお、全ての曲において編曲されているものの概ね原曲通り忠実に作られている。
ゲームとしてのオリジナル曲は2名で制作。データ化は上記と同様に梶原正裕氏が行っている。私個人は菅浩江女史に関しての知識を全く持っていないが、調べてみると現在は小説の方面で活躍されているようである。どの曲がどちらの作品か分からないが曲調で考えるなら
07 妖魔との戦い
09 Enjoy
の2曲は間違いなく梶原正裕さんだろう。後に出たプリンセスメーカーの曲と似すぎているところが笑える。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+ADPCM)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)+ OKI OKI MSM6258
01 Silent City 1 (Introduction)
02 Silent City 2
03 Successor (体育室/ミセス・ウェンズディ)
04 Silent City 3
05 タイタニックの舞踏会
06 客室
07 妖魔との戦い (戦闘シーン)
08 邪悪な気配
09 Enjoy
10 船底
11 オルゴール
12 Confusion (ラストボス)
13 エピローグ
14 サイレントメビウス・エンディング
一部曲名は勝手に付けたもの。(06,08,09,10,11,13)
作曲
01, 02, 04 蛎崎弘&本田昌生
03 菊池朋貴
12 荒木真樹彦
合計時間 : 11:22
作曲 : 梶原正裕, 菅浩江, 蛎崎弘, 本田昌生, 菊池朋貴, 荒木真樹彦
編曲 : 梶原正裕
DISCOGRAPHY
サイレントメビウス
MUSIC ALBUM "CAUTION"
発売日: 1989年6月1日
価格: 2,920円(税別)
商品番号: H00K20139
販売元: キティレコード
収録曲
01 Silent City
02 Paradise Lost
03 Call of The Mystifical
04 Successor
05 Maybe
06 Concerto
07 Cross your fingers
08 Confusion
09 Light in the Darkness
10 Step On The Earth
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エンディングムービー
■エンディングムービー
長時間(30分強)のためパケット注意!