アクション・ロールプレイングゲーム
ディープ・フォレスト
対応機種 : 富士通 FM77AVシリーズ
メディア : 3.5inch 2D (2枚)
定価 : 7,800円
発売日 : 1987年4月(1986年9月10日発売予定から延期)
販売元 : ザイン・ソフト
GALLERY
PROMO WORD
老人は、最後の魔法で、若者をこの世界へ呼び寄せた。
邪悪なウィリーの手で、地下へ閉じこめられた姫を、助け出すために……。
「勇者よ、力を貸してはくれぬか──。」
深い老人の瞳にすいこまれるように若者がうなづくと、老人は白く輝く粉となって、静かに空へと舞い上がっていった──。
さあ、勇者の名を受けた者よ、その手で姫を奪い返すのダ!
たとえそれが、果てしもない闘いの連続であろうとも……。
ストーリー
「おお、気づかれましたか」
ふと目を開けると老人の姿がみえた。どうやら気を失っていたらしい。
「わしが、そなたを魔法で呼び寄せたのじゃ」
そういえば、いつものように町を歩いていると、突然光に包まれてその中で聞こえたのがこの老人の声だった。それからが、思い出せない。
「勇者よ、頼みがある。この国はこの間までは王カムランの治める豊かな、そして誇り高き国であった。
そして、彼の死後、娘のジェナが王位に就こうとした。
しかし、それが伯母のウイリイにには気にいらなかった。彼女は自分の息子を王位につけようとして、悪魔の力を借りた。そして国中を醜く、恐ろしい悪魔が、のさばるようになってしまった。勇者よ、力を貸してくれぬか。ジェナはこの近くに捕らわれている、彼女を助け、ウイリイを倒して欲しい。」
老人の目にみいられると何も言えなかった。
ディープフォレストについて
当時のパソコンゲームの年齢層はどちらかというと現在より低かった筈だ。所有率が低かったのはそういうものが関係しているかもしれない。そういう年齢層は当然ながらゲームが出たらポンポン買うことなど叶わず、一年に数度訪れる機会を狙い、ポイントを定めてソフトを購入するわけだ。そんな中で、例えば…そう。このザインのソフトを、こつこつとおこずかいを貯めた子供が買ったときの落胆ぶりは容易に想像できる。
ディープフォレストはFM77AVシリーズの性能を生かし切ったタイトル画面がいきなりバーンと表示される。取り込んで無修正と言わんばかりの自己主張に単色のロゴが泣かせる。ゲームを開始すると、町中を歩いていると突如違う次元に飛ばされる主人公。そして、いきなり「勇者よ」と始まる。
「勇者よ、わしの願いを聞いてくれぬか。この世界は邪悪な、ウイリィの手によって、人々は恐怖と絶望の淵に追い込まれている。そして、彼らの希望である姫は、この地下深くとじこめられている。時を越えてよびだされし勇者よ、姫を救い出し、姫を連れて、城にいるウイリィを倒してくれぬか。わしは願っているぞ、そなたが伝説の勇者となることを・・・」
ちなみにパッケージでは「ウィリー」、マニュアルでは「ウイリイ」、そしてゲーム中では「ウイリィ」である。ネイティブな言語を日本語に訳すとどうしても色々な表記になってしまうのだろう。
そして、直後に入ったショップでは
「いらっしゃいませー。斧ですか、いまナイフを買うと連射がきいて大変お得ですが」
なんて、嘉門達夫のハンバーガーショップを思い出させる無茶なセールストークで愛嬌を振りまいてくれる。斧を買いに来たのにショップの一店員がナイフを勧めるのだ。ちなみにゲーム中に敵を倒すと得られるメッセージに "YOU GET GOLD" と出るから貨幣単位は「GOLD」であることが伺えるが店に入ると単位は「gP」だ。
トリトーンが代表作となったザイン・ソフトは凄まじいペースで作品を送り出すが、そのペース故にか詰めが甘すぎるミスを多発したり、難易度調整を行っていないと思われる内容が展開される。また、日本語の句読点の位置が変だったり、意味が不明な日本語になったりということは常識であり、ザイン語とも呼ばれた。これは、ザインの作品ならすべてにおいて言えることだった。その筋で有名な "Your are Dead" に至っては中学生時代の我々でも大爆笑した。
そしてこれだ。
"PUSH BOTTAN TO USE PANACEA"
新しい単語 "BOTTAN" である。
"PANACEA"は調べると万能薬ということが解る。なかなかザインも難しい単語を使いこなす。ここまで来ると、実はプログラマーは小学生だったのでは?と思わせる。そう思わずにはおれない。
また、最後の最後の玉座に誰もいないという状況も理解不明。誰もいないので階段を使って元のフロアに戻ると姫が姿を現しエンディングへ突入。ボスは?王は?どこへ行ってしまったのだろう。まあ、いいか。世界は平和になったのだ。
音楽面では音色がいい味を出している。特にベースとリズム関係がなかなか特徴的だ。ただ、SSGの音のバランスがメチャクチャで、Stage1なんかはFM音源の数倍の音を出して録音レベルを振り切らせるパワーを出したリする。そこの部分だけ編集して小さめにしておいたが…。恐らく、ステレオスピーカーに繋がず、内蔵のスピーカーで作っていたのではないだろうか。内蔵で聞く分には違和感は殆ど感じない。
裏技の紹介
【ステージセレクト】
1で次のステージへ移動。
2で前のステージに戻る。