リアルタイムシューティングの決定版!
超時空要塞 マクロス カウントダウン
対応機種 : SHARP X1シリーズ
メディア :
5inch 2D (1枚) /
TAPE (1本)
定価 : 6,500円 (5D) / 4,500円 (TAPE)
発売日 : 1985年5月下旬
開発 : ALEX BROS
販売元 : ボーステック
○ジョイスティック使用可
目次
マクロス カウントダウン for X1
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
それは、地球外知的生命体の存在と、大宇宙を戦場とする闘争のあることを人類にしらしめた。
墜落した巨大戦艦の修復に 10 数年の年月をかけ、ここに謎の宇宙船は巨大戦艦マクロスとしてよみがえった。
しかし、それは戦いの第一歩でもあった。
カウントダウン バルキリー発進せよ!
超時空要塞マクロスから飛び立ったバルキリーを操り君は リン・ミンメイを救えるか!
ガンポッドとミサイルポッドの2つを武器に敵ゼントラーディ軍にたちむかう。
広大な宇宙とゼントラーディ軍の戦艦の中でくりひろげられる戦闘シーン、そしてエンディングには何が!
映画版マクロスをリアルに再現したスクロールタイプのシューティングゲーム。
バトロイド。ガウォーク、ファイターとリアルに完全三段変形。
各タイプによって能力に特徴を持つ、スクロールする画面は819画面分、キャラクターパターンは100以上、宇宙空間での戦闘、敵基地内への侵入など画面のバリエーションも豊富。
バルキリーの発艦が今秒よみに入った......
制作
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〒107東京都港区南青山5-12-3-204TEL(03)407-4191㈹
コンピュータのよりよい活動をめざす
『マクロス カウントダウン』X1版について
◆『マクロス カウントダウン』概要
『マクロス カウントダウン』(MACROSS COUNTDOWN)はALEX BROSが開発を行い、SHARP X1シリーズ用として1985年5月下旬にボーステックが発売したリアルタイムシューティングゲーム。SFアニメーション映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年7月21日公開)をベースにゲーム化している。
最初はSHARP X1シリーズ用(テープ、5"2D)として発売された。これまでも『マクロス』を取り扱ったゲームはあったが、バルキリーのリアルタイム変形を行えた作品はこれが初出。テープ版は内容が一部異なるらしいが解らなかった。(後に広告へDISK版は「グラフィック画像付」と記載されるも意味不明)X1-D の3インチ機種に対しては店頭でのパッケージ販売はなくメーカー対応で販売されている。同年12月20日(11月30日予定から延期)にはMSX(ROM)、12月20日(12月15日予定から延期)にはNEC PC-8801mkⅡSR以降(5"2D)、翌年の1986年6月には富士通FM-7/77シリーズへ移植販売されている。
◆パソコンゲームがCMで流れていた
当時のパソコン用ゲームとしては珍しく「ラジオマクロス」にて発売当初から『マクロス カウントダウン』のCMが放送されていた。このあたりにも大元のビックウエストとの絡みの強さが現れている。
◆『マクロス カウントダウン』開発スタッフ
開発はALEX BROSの大浦由貴(Yoshitaka Oura, 1951年10月9日-)と宗石浩一(Koichi Muneishi, 1953年8月27日-)が担当している。プログラムを宗石浩一、グラフィックと音に関しては大浦由貴が担当。製作期間は当時としては長いおよそ6ヶ月。全機種トータルの販売本数は6万本~7万本に達したという。(ロイヤリティーは10%とのことで、多いときには設備投資を抜いて一人月200万円位の収入はあったとのこと)
ゲーム内容はジャンルから決めるところから始まり、社内での企画段階ではアドベンチャーゲームにする可能性もあったということだ。リアルタイムゲームに舵を切り、制作に取り掛かっている所にゲームアーツから『テグザー』が発表・発売に至り随分悩まされ、ゲームアーツが憎い!という逸話が残っている。
◆ビックウエストから持ちかけられたゲーム化
『マクロス』のゲーム化における誘いはソフトハウス側から行われたのではなく、原作の著作権を持つビックウエストが行っていた(ゲーム内容は各社に任せる形)との話がALEX BROSのインタビューに残っている。ゲーム化には複数のソフトハウスが乗り出し各社別々に発売される予定だったとのことだ。しかし、折り合いがつかなかったのかパソコン用ゲームソフトで実現したのはボーステックだけだった。ボーステックは引受けた後、社長の八巻龍一(Ryuichi Yamaki)が製作担当(取り纏め的な位置づけ)、製作担当としてALEX BROSへゲーム化の企画を打診したというのが事の顛末だ。
家庭用ゲーム機用としては任天堂 ファミリーコンピュータにてナムコ開発・バンダイ発売で1985年12月10日に発売されている。ビックウエスト がゲーム化の話を持ちかけていたのはパソコンソフトハウス側だけではなく、家庭用ゲーム機用にゲームソフトを専門に開発しているソフトハウスにも持ちかけていた可能性は十分考えられるだろう。
◆オリジナルのX1版は後の移植版と色々と異なる点も
『マクロス カウントダウン』は複数のパソコンで展開されているのは前述のとおりだ。今回取り上げているX1シリーズ版と他機種で大きく異なるのが音楽だ。他機種は飯島真理(Mari Iijima 1963年5月18日-)が歌う主題歌「愛・おぼえていますか」の音楽がタイトル及びエンディングで流れる。また、許諾証紙であるJASRACシール(2007年4月廃止)がパッケージに貼り付けられている。また、パッケージ構成や付属マニュアルもX1シリーズ用とそれ以外の機種では大きく異なっている。(X1シリーズ版以外は紙スリーブにポスター型マニュアルなのでボロボロになりやすい。)
◆ガウォーク、バトロイドへ変形できることに酔いしれた
『マクロス カウントダウン』では前述したとおり、ファイター、ガウォーク、バトロイドとバルキリー(VF-X1)のリアルタイム3段変形が可能だ。ファイターは移動力に優れているが小回りが効かない。ガウォークは飛行歩行共に小回りが効き最も攻撃力がある。バトロイドは唯一8方向の自動照準攻撃を可能としているが移動スピードは遅い。ちなみにガウォークやバルキリーは宇宙空間の隕石上や敵基地内に着地可能で画面スクロールを止めることができるという特徴もある。
敵を打ち漏らすことなくハイスコアを狙うならバトロイドで決まりだが、後半になると敵弾が移動スピードより圧倒的に速くて避けきれなくなる。当然1つのシーンも時間がかなり掛かることになるのでクリアに何時間かかるかわからない持久戦のようになる。ファイターやバルキリーだと撃ち漏らしが発生しやすく、敵弾が増えることになるので自機を失いやすくもなる。どの変形スタイルで行くか戦略性がプレイヤーによって変わる面白さがあった。
また、敵艦内では壁の隙間の形状に応じて変形しなければならず、ファイターではすり抜けられず壁に挟まれてしまうなんてこともあり、強引に1つの変形形状でプレイすることはできなくなっていた。
攻撃方法は弾数制限のないガンポッドミサイルがメインとなる。射出位置が凝っていて、ファイターとガウォークでも異なるのだ。地上スレスレの敵にはガウォークの攻撃は当たらないのでファイターで攻撃しなければならないといった戦略性もあった。細い通路ではバトロイドの8方向でも対応できないので、ファイターで低空飛行しながらガンポッド連射で一気に駆け抜け、広い場所に出たらすぐさまガウォークかバトロイドに変形というのが敵艦内攻略のポイントだったりするのだ。
ミサイル以外にオプション兵器としてファイターとガウォーク時のみ連射ミサイル攻撃が用意されている。最大3回まで使用できるが、再度使用するにはランプが再点灯するまで待つ必要がある。
◆常軌を逸したステージ数とクリア時間
『マクロス カウントダウン』で見逃せないのはシューティングとしては珍しく、『ボスコニアン』(ナムコ発売)のようなレーダースクリーンが存在していることだ。これにより、敵が出てくる位置が事前に分かるようになっている。敵が現れて放置してしまうと弾がバンバン飛んでくるので、レーダーを見ながら可能な限り早期に撃破しなければならない。撃ち漏らしを少なくし可能な限り撃破するのが攻略の重要なポイントでもあった。
もう一つの特徴が膨大なステージ数とクリアにかかる時間だ。ステージ数はなんと40シーンもあり、819画面分にもなる。途中には多重スクロールするゼントラーディ艦内のシーンまで用意されている!
ステージ構成はシーン1~8が宇宙空間、シーン9~16がゼントラーディ艦内、シーン17~24が宇宙空間、シーン25~32がゼントラーディ艦内、そしてLASTシーン8~1がゼントラーディ艦内となっている。
こう記載すると期待してしまうのだが、ボスキャラは存在しないし敵が出てくるまでの間延びがあったり、シーンクリアの演出もなく延々と続いていくのでプレイしていると単調に感じてきてしまう。
1つのシーンがひたすら長いのもつらい。ファイター移動時でおよそ90秒(宇宙空間など)~120秒(艦内など)かかる。一節によると普通にプレイするとクリアまで3時間半ほどかかるそうだ。コンティニューも無いのでクリアするのは至難の技だ。
◆普通にプレイしてもクリアできないフラグのあるシューティング
プレイする上での注意点が1つある。シューティングにしては珍しくクリアするためのフラグがあることだ。普通にプレイしていては最終シーンに到達できずミンメイに会えないのだ。途中のシーン(12、28、32)で紫色の1ブロック(正体は不明)を破壊しないといけない。もし3箇所の内1箇所でも破壊していないとシーン32が終了した段階でシーン1へ戻されやり直すことになるのだ。ただ、X1シリーズだけ挙動がおかしいような気がする(下記トリビア参照)
なお、LASTシーンに到達できない問い合わせがボーステックへ多く寄せられたのか、X1用以外のマニュアルには予め攻略ヒントとして記載されている。ゲーム内容は変わらないものの色々な意味でX1シリーズ用は不完全であり、足りない部分を移植のたびに補ったのかもしれない。
◆世界観を脳内で補完しながら楽しんだゲーム
『マクロス』を知らない人がプレイして面白いと思うかは微妙なところだが、当時は十分に楽んだ。最初からオールスターで敵が登場するわけではなくシーン数が進むにつれて新しい兵器が登場する。そういう小出しにしてくる所が子供心をくすぐった。リガードでも3種、グラージで2種、ヌージャデル・ガーやクァドラン・ローまで登場。特にクァドラン・ローのアニメ同様に見せるトリッキーで素早い動きには翻弄された思い出が残るプレイヤーも多いはずだ。
もちろん前述している複数のアニメパターンでバルキリーの変形機構を再現した点などは個人的に嬉しい限りだった。店頭デモを見ずとも広告に掲載されたアニメパターン一覧を見ただけで『マクロス カウントダウン』の購入を決意させるだけの説得力がそこにあったのだ。
◆これはBGM?それともBGMではない?
『マクロス カウントダウン』の音楽についても触れておこう。X1シリーズ用の『マクロス カウントダウン』には「愛・おぼえていますか」のメロディが一切入っていない。ではBGMが無いのかと問われれば少しの沈黙の後に「ある」と答えるだろう。ナムコの『ゼビウス』やカプコンの『エグゼドエグゼス』を思い浮かべてほしい。あれらがBGMと認められているのだ。 マクロス カウントダウン のゲーム中に奏でられている音は立派なBGMと言えるだろう。1984年1月の『ゼビウス』登場からだと1年半。世の中のゲームミュージックは大きく変わった。しかし、その『ゼビウス』や『エグゼドエグゼス』をあえてリスペクトした。そう思わずにはいられないのだ。(勝手な妄想)
ゲーム ストーリー
ゼントラーディ軍にとらわれた リン・ミンメイを救おうと一人バルキリーに乗り、マクロスを発艦した 一条 輝。
敵陣の中、ミンメイを見つけ出すために広大な宇宙へ。
今、君(一条 輝)とゼントラーディの戦がはじまる
─カウントダウン─
ゲーム画面と操作
①
②
③
④
①連射ミサイル残り
一定の時間がたつと、スクリーン上に最大3つランプが点灯します。
②レーダースクリーン
画面よりも先に敵の位置を知ることができる。
③現在の変形タイプ
ファイター、ガウォーク、バトロイドが表示される。
④プレイヤー残り数
ゲーム開始時の数は4機です。
キー操作
●コントロール
テンキー
789
486
123
●変形
キーボード上部の数字キー
1 ファイター
2 ガウォーク
3 バトロイド
・変形時は動けません。
●ガンポッドミサイル発射スイッチ
SPACE
●10連発ミサイル攻撃
SHIFT+SPACE
但しプレイヤーの形がバトロイドの時は発射できません。
●タイムストップ
ESC
トリビア
◆版権表記がX1シリーズやMSXは緩かった
PC-8801mkⅡSR以降版とFM-7版は タイトル画面やエンディングに©ビックウエストと被せて表示される。(FM-7のタイトル画面は嫌味なくらい)エンディング画像に関してはタイトル画面の位置そのままで表示させているのでやや不格好だ。検閲でも入って注意されたのかもしれない。そもそも最初の広告は ©ビッグウエスト と誤記されていた。(後の広告では修正されている)
なお、X1シリーズやMSXにはビックウエストの表示がゲームに一切入っていない。(パッケージには許諾シールはある)PC-8801mkⅡSR以降版はここまでやるならエンディングメッセージもローマ字表記にせず日本語表示にすればよかったのに。
◆X1シリーズだけフラグチェックがおかしい?(DISK版/TAPE版)
私だけの環境かもしれないが、通常フラグをクリアしてもシーン1へ必ず戻されてしまう。その後シーン12で再び紫ブロックを破壊するとシーン16クリア後にラストシーンへ突入する。
◆ディスク版とテープ版の違い
明らかに違うのはエンディング後。テープ版はミンメイの絵で止まるが、ディスク版はキーを押すと GAME OVER になりネーミングへ移行する。
◆パッケージには使用されていないアニメーションパターンがある
パッケージ画面写真を再現しようとアニメーションシーンを調べていると実際のゲームではかなり端折られているのがわかる。ガウォーク時の歩行シーンやゼントラーディ兵士、クァドラン・ローの振り向きの際に使われる正面、背面パターン、リガードの歩行パターンなどだ。
◆謎の400ライングラフィック
雑誌に数回掲載されているミンメイの画像。通常は200ラインのデジタル8色だが、雑誌に掲載されているグラフィックはアナログ8色400ラインに見える。このグラフィックは一体何なのか。未だに謎だ。
裏技の紹介
◆無敵にする(DISK版/TAPE版)
NMIリセットを押すと無敵になる。
当然放置していてもミンメイを見ることはできないのでそれなりにプレイはしないといけない。