制作秘話
私がXak(PC88)に携わったのは高校3年の時で、当時は愛媛県の実家におりました。
— 新田忠弘【Tadahiro Nitta】 (@TadahiroNitta) May 25, 2024
マイクロキャビンから開発用にPC88mkⅡFRを送っていただき(嬉しかった?)、電話で連絡を取りつつ作成したデータを宅配便で送るという、元祖テレワークとも言える形でした。 https://t.co/wdNOpxFlCW
未知への誘い。
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (4枚)
定価 : 8,800円 (税別)
発売日 : 1989年5月23日(3月中旬発売予定から延期)
販売元 : マイクロキャビン
視覚新論による視覚的表現(Visual Representation)
今まで限界だと思っていた事
不可能とされていた事
知らずにごまかされていた事
それらすべてが、新開発「VRシステム」によって実現した。
進化の領域をはみ出した、まったく新しいPRG誕生。
不気味な生臭い息遣いが、その鼓動と共に高鳴り始めた。
しかし、それは何処からとも、何者ともつかない。ただ、深く、妖しい地の果てからのような…そして、卑しく、恐ろしい魔物のもののような…。存在の不確かな、ただならない奇妙な気配。取り囲む空気さえが執拗にまとわりついてくる。
今、何かが変わろうとしている。この美しく平和なウェービス国に何かが起ころうとしている。早く行かなければならない。手遅れになる前に、さあ一刻も早く。
この国を救えるのは、神の末裔である君だけなのだから…。
人間とモンスターが共存する、この平和で美しいウェービス国の蒼い空に暗雲がたち込めようとしている。
あれは今より250年もの昔の話。
この地に巨大な力を持つ怪物が現れ、そのすべての暴虐をふるい、村々は破壊され、人々は怯え、国は滅亡へと追いつめられていった。その怪物は自らを”バドゥー”と名乗り、このウェービス国をその力で支配しようとしたのだった。それは、冷たく恐ろしい日々が続いた。
しかし、戦いの神”デュエル”の戦果によってその暴君の身と魂は引き裂かれ、魂は北の果ての「永久氷壁」へ、そして身体は「王家の聖域」へ封じ込められてしまったのだった。それ以来、この美しい国にまたあの平和な日々が訪れた。
緑が萌え、小鳥達がさえずり、人々は微笑みを取り戻しあの恐ろしい出来事などみな忘れてしまったかのようだった。ところがそんなある日……
250年もの長い間、永久氷壁の中に閉じ込められていたバドゥーの魂を誰かが解き放ってしまったのだ。解き放たれたバドゥーの魂は、250年もの長い間この復讐の時を侍ちわびていたかのように自らの身体を求めてさまよい歩く。
おとなしかったモンスター達が、まるで何者かに操られるかのように醜名を轟かせながら怪物バドゥーの身体が封じ込められているという王家の聖域へと群れを従えて集まっていく。
強大な力を持つバドゥーはその魂を目覚めさせただけで、この小さな国をまた少しづつ変化させていくのだった。あの悲劇をもう1度繰り返す前に、バドゥーが自らの身体を手に人れる前に、バドゥーの魂を今度こそ永遠にあの永久氷壁に封じ込めなければならない。
それを実現できるのは神であるデュエルのみなのだ。
しかし、神であるデュエルは人間の女性と恋に落ち、人間としての生涯をすでに閉じてしまっていた。神としての永遠の命と引き替えに人間としての人生を貫き、後生に新しい命を残した。
今となってはその末喬のみが救世主となるのだった。その救世主とはいったい誰なのか、そして何処にいるのか?
国王がこの異常な事態についに救世主を捜せとのおふれを出した。城に仕えている※メッセンジャーピクシーが飛んでいく。
※身長15cmほどめ羽を持つ伝令妖精
救世主を求めてメッセンジャーピクシーがやってきたのは、ウェービス国のある小さな町、フェアレス。
「お母さん、ちょっと遊びに行ってくる。」
「お侍ちなさい……。このところモンスターが増えているらしいから気をつけていきなさい。隣町では何故かあのおとなしかったモンスター達が暴れているという噂だから……。」
「ああ、そういえばこの前、エリスが王家の聖域の方ヘモンスター達が集まっていくのを見たって言ってたよ。でも、なんだか今までとは違う不気味な様子だったらしい……。」
「おお、恐ろしい。何か嫌な事の前触れでなけれぱいいけど。」
「じゃあ、いってきます。なるべく早く帰るから……。」
「気をつけて。」
メッセンジャーピクシーは救世主を見つけた。
そう、この国を救えるのは、バドゥーを倒せるのは、神デュエルの末商であるあなただけなのだ。
しかし、王家の聖域への道程は容易いものではない。
行く手を阻むモンスター達の襲撃、そしてこの自然豊かなウェービス国にはまだ誰も足を踏み人れたことのない地域が至るところに存在するのだ。もしかしたら、そこには誰も見たことのない生物が生存しているかもしれない。
バドゥーはこの間にも少しづつその強大なカを増しながら、あらゆるものをその支配下に従え、我が身を手に人れようと王家の聖域へと向かっている。
ぐずぐずしている余裕はない。
あなたには剣と魔法、そして愛のカがあるのだ。バドゥーの力がこの平和な町にまで浸蝕する前に、さあ王家の聖域へ急げ。
主人公
今年で16歳になる少年。母と二人でフェアレスの町に住む。
(父は戦士であるが半年前、旅の途中行方不明になってしまった)
性格は明るく、友達も多い。母
いつも、優しく、あたたかく、主人公を見守っている。
しかし、父の行方不明後あまりの悲しみに目が見えなくなってしまった。村長
フェアレスの村の長。
いつもおかしな帽子をかぶり、丸い小さなメガネをかけている。
がんこで怒りやすく、いつも主人公を見ると説教したがる。エリス
町長の孫娘である。
おじいさん思いで明るく優しい女の子。
町長もエリスにかかるとタジタジになってしまう。ボビー
主人公の一番の親友。
武器屋の息子なのだが、幼児体験から武器を嫌う。
いつも本を持ち歩いている。
マイクロキャビンはアドベンチャーゲームを主としてゲーム開発を行ってきたメーカーだった。1989年になると世間ではPC-9801やX68000が業界を賑わせ始めておりPC88熱がやや冷めつつある時代。そんな中、サークは登場した。
サークは当時、イースのマネをした作品と揶揄されることがあった。しかし、実際はそれまでのRPGに対するリスペクトだと思う。確かにイースに対する挑戦状的な部分は多い。
サークはVR(Visual Representation)システムの採用がまず注目された。キャラクターに対する物や影の重ね合わせや、頭身の変化によるキャラクターの多彩な表現。ただ、この後に出たサークⅡ,Ⅲや幻影都市などでは、ゲーム内容より表現をウリにしてしまい迷走してしまったように感じた。
当時のゲームに対する差別化としてはヒットポイントの表示をゲーム画面に重ね合わせることによりゲーム画面のサイズを最大限まで拡張したこと。そのため、4MHzは動作がかなり重くなってしまい、画面の大きさを変更する機能が付けられた。最小はここまでできた!
有名所の評価されている遊びのシステム部分は各種有名所のゲームを昇華させている。例えばハイドライドI, Ⅱなどで見られた、スペースキーを押している間は剣を装備した状態になったり、イースで見られた半キャラずらし(ずれている状況ではダメージを受けにくいという設定に変更されている)のシステムがあった。
ゲーム内容としてはRPGとしてはお手本的なお使いゲームになっている。誰かに何かを取りに行って欲しいという依頼を受け、目的を果たすと次に進むことができるというもの。 往復距離も遠くなくストレスを感じさせるような事態は一切無い。また、少し違う場所に足を踏み入れてしまうと極端に敵キャラが強くなり、瞬殺されるようになっていた。これはゲームでよくある次にどこに進めばいいか途端に分からなくなってしまうという事の防止にもなっていた。
RPGの醍醐味としてレベルアップと武器購入による強さの変化がある。これが上手くできており、確実に強くなったことが実感できるようになっている。経験値も闇雲に入るようになっておらず、極端に強くならないようバランスが絶妙に調整されていた。
強くなったら敵にだけ注意していれば大丈夫というわけでも無く、罠は所々に仕掛けられている。人が倒れていて助けるとゲームオーバーになったり、悪者に荷担するとゲームオーバーになったりする。全てイエスマンで済ませば一発でゲームオーバーになる。この辺りはドラゴンクエストIの龍王とのやりとりを思い出してしまう。
メーカーサイドからユーザーを楽しませようとする雰囲気が伝わってきたのはシリーズを通してこの作品だけ。シューティングステージやパズルステージを用意したりするなどRPGでの意外性を見せてくれた。これに関しては、テスタメントなどのオマージュだろうか?続編にも同様のシステムは存在するがそれはこのサーク(I)の焼き直しであり、「またか…」という印象を受けただけであった。
イースとの類似点ではファイアーエレメンタルとウォーターエレメンタルもどこかで見たようなボスキャラだ。これに関しても「合体」という意外性で遊び心を感じさせてくれた。また、中盤にいきなりエンディングが始まるのは誰もが驚いたのではないだろうか?これは邪推かもしれないが、イースが1作で出せずIとⅡに分かれてしまった事に対する皮肉をも込めたのかもしれない。
他社の良い部分を取り込むというのは会社の業務に於いても当然の事。これをゲームに置き換えてみただけだろう。ただ、マネしただけで全てが上手くいくわけではない。物語を含め上手く昇華させた作品に仕上がり、マップの大きさも適度でエンディングを迎えるまでも長過ぎず短過ぎず丁度いいバランスになっている。難易度に関しても同様で、この作品は上手く仕上がっている。(サークⅡになると難易度が高くなり過ぎ、サークⅢ になると簡単になり過ぎていた)
ユーザーを遊ばせようという視点に関して作られていたのは、この作品だけだったのではないかと思える。続編に関しては制作者の自己満足的な部分が多く見受けられ、ゲーム性を語るにはどうでも良い部分だけが変更追加されていき、遊び心が無くなった気がする。
ミュージックに関しては、当時殆どの音色が出尽くした感があり、何処かで聞いたことの音色が割と氾濫していた。ゲームに関しては各種イイトコ取りが多かったが、音楽面に関しては新しい音色と曲で構成していた。
サウンドボードⅡに対応させることなく、ノーマル音源(FM3音+SSG3音)のみで作成されている曲を聞くとややパート不足を感じた。この後に移植されたX68000版が真骨頂と云えるだろう。 しかし、素うどんの状態でも美味しく作られていたのがこのサーク。SSGの使い方に特筆すべき部分は無いのだが、FM音源で用意された音色はこれまでのどれにも似ておらず、マイクロキャビンとしての音を確立した感があった。また、広告に記載されている通り、重低音に関しても新しい分野を開拓した。FM音源で出すベースの音としてはかなり響く。ベースの音色だけはこの後の作品にも活かされていた。
ゲーム音楽は繰り返し聞くものなので、短いフレーズのものが望ましいと大御所が話しているのを聞いたことがある。サークに関しても一部を除いては1分前後の短い曲が殆ど。その為に油断したのか、ポリスターの発売した「サーク全曲集」では「炎の地、上空」でベースソロに入る前でフェードアウトさせてしまうという伝説を残している。評価の高い1曲であったので苦情が良く聞かれ、よく知られている話である。
シリーズを通して聞きやすいのもこのサーク(I)の特徴。Ⅱ,Ⅲ では映画のBGMでも狙ったのかと思われるスローで眠たい曲が多いのだが、この作品に関してはオープニングから攻め立てる曲で意欲を盛り上げる。また、オリジナル音色のマイクロキャビンサウンドを初っ端から聞かせてくれる。とにかく元気で活発な曲が非常に多く聞いていて気持ちよく、プレイしていても気持ちいい。
町中の曲は極端に目立つ曲が無く押さえられているが、装備を整えフィールドへ足を運べば「バトルフィールド」が流れる。この曲も人気の高い曲。オープニングで聞かせてくれた音色のバッキングで引っ張り、最後にはベースのソロ演奏で度肝を抜く。ここまで行って1分半の曲で纏めている。
攻撃的な曲はその後も「緑の大地」、「砦への道」と要所で効果的に演奏される。極めは「炎の地」だろう。ピアノの不協和音をこれまで効果的に使った曲はその後に発売されたゲームでも聞いたことが無い。この密度でもやはり1分以内に纏めているのだから驚く。
ゲーム中で最も長い曲が2分30秒ほどある「炎の地、上空」。ドラゴンスピリットの真似事に見えなくもないシューティングシーン。サークだけではなくPCゲームの中でも名曲として挙げていいのではないだろうか。後半のベースソロもお約束になりつつあるが、しっかりと盛り上げてくれた。
全般的に暗い曲でもどこか攻撃性を秘めた曲が多く、この作風のまま続編に繋げていってくれれば、作品としてもまた違った印象を受けたと思われる。それ程までにこの作品の曲は突出していた。
というわけで、サークで押さえておく曲は下記の曲だろう。
01 Xak 1
12 バトル・フィールド
15 砦への道
28 炎の地
30 炎の地、上空
【スペシャル・メニュー】
YMYN とキーを順に押す。
無敵モードをONにする場合、ドライブ1にディスク2を入れるとメニューを開くことができる。なお、エンディング1が終了した後はリセットされるので、再設定が必要になる。
ラジオ収録曲(FM音源+SSG)
ノーマル音源
音源チップ:YAMAHA YM2203(OPN)
01 Xak 1
02 フェアレスの町
03 教会
04 メッセンジャー
05 ショップ
06 悲しみ
07 やすらぎ
08 微笑み1
09 微笑み2
10 不安
11 町へ
12 バトル・フィールド
13 緑の大地
14 邪悪な木
15 砦への道
16 砦
17 水龍
18 ノルマナの町
19 青い海
20 洞窟
21 ロック・バイター
22 ファイアー・エレメタル&ウォーター・エレメンタル
23 合体エレメンタル
24 エンディング1~アイキャッチ
25 ネムヌの町
26 地の下の塔
27 ネクロマンサー
28 炎の地
29 炎の砦
30 炎の地、上空
31 サラマンダー
32 聖域へ
33 封印の地
34 バドゥーの驚異
35 勝利
36 エンディング2
37 メッセージ
38 GET アイテム
39 ゲームオーバー1
40 ゲームオーバー2
合計時間 : 47:00
作曲 : 新田忠弘, 笹井隆司
サーク全曲集
発売日: 1989年5月25日
価格: 2,760円(税込)
商品番号: H24X-10003
販売元: データムポリスター
収録曲
01 Xak
02 フェアレスの町
03 教会
04 メッセンジャー
05 ショップ
06 悲しみ
07 やすらぎ
08 微笑み1
09 微笑み2
10 不安
11 町へ
12 バトル・フィード
13 緑の大地
14 邪悪な木
15 砦への道
16 砦
17 水龍
18 ノルマナの町
19 青い海
20 洞窟
21 ロック・バイター
22 ファイヤー・エレメンタル&ウォーター・エレメンタル
23 合体エレメンタル
24 エンディング
25 アイキャッチ
26 ネムヌの町
27 地の下の塔
28 ネクロマンサー
29 炎の地
30 炎の砦
31 炎の地上空
32 サラマンダー
33 聖域へ
34 封印の地
35 パドゥーの驚異
36 勝利
37 エンディング2
38 メッセージ
39 レベルup
40 GET アイテム
41 ゲーム・オーバー
42 ゲーム・オーバー2
私がXak(PC88)に携わったのは高校3年の時で、当時は愛媛県の実家におりました。
— 新田忠弘【Tadahiro Nitta】 (@TadahiroNitta) May 25, 2024
マイクロキャビンから開発用にPC88mkⅡFRを送っていただき(嬉しかった?)、電話で連絡を取りつつ作成したデータを宅配便で送るという、元祖テレワークとも言える形でした。 https://t.co/wdNOpxFlCW
サーク-The Art of Visual Stage [ステレオ化] : Xak -The Art of Visual Stage. PC-8801 (PC-98実機/P88SR)
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