パーセプションタイプミステリーゲーム
バーニングポイント
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (5枚)
定価 : 8,600円
発売日 : 1989年2月23日(発売予定1988年12月23日から延期)
販売 : エニックス
○V2モード2ドライブ専用
○FM音源ステレオ対応
○サウンドボードⅡ対応
目次
SCREENSHOTS
PROMO WORD
親愛なるMr.R・M様。僕は──────────
今日から探偵です。
オフィスのドアに「スティール探偵事務所」と書かれた表札をつけてから三日が過った。依頼に訪れる客は無く、机の上の電話も鳴らない。ぼくの名前はマイク・スティール。ライセンスを取ったばかりの探偵だ。探偵という職業は、例えば退職した警官がなるケースが多いことを考えると、ぼくのような若すぎる探偵というのは異色だろう。これといった信条もなく、そのかわりに挫折もない。とは言っても経験不足であることは否めない。謎を秘めた美女の依頼人には興味はあるが、銃弾の嵐をくぐり抜けるような自信と体力はない。ぼくにあるのは懐疑心、真実を知りたいと思ったとき、ぼくの懐疑心は人一倍旺盛になる。そんなぼくのところへ初めての依頼人が訪れた。上流家庭出身のフィストバーグ夫妻だ。この品の良い老夫婦がぼくに依頼したのは、消えてしまった孫娘のヘレンを捜してほしいという依頼だった。しかし、普通の失踪人捜しとはちょっと違う。ヘレンがいなくなった状況にかなりの謎があるのだ。彼女は夫と共にあるホテルに宿泊した。しかし、そのホテルが真夜中に火災を起こし、夫は助かったのだがヘレンだけが火災から逃げ遅れてしまったのだ。鎮火後、ホテルの焼跡からはヘレンの死体は発見されず、生存者のなかにも彼女の姿はなかった。文字どおり彼女は消えてしまったのだ。この不可解で非現実的な事件を調査していくぼくは、やがて巨大な陰謀の渦に巻き込まれ、ぼく自身の命をも狙われる羽目になる。さまざまな思惑が交錯する人間模様のなか、この事件の発火点となった隠蔽された真実を解き明かそうとするためには、ぼくはわずかばかりの勇気を最大限に奮い立たせなければならなかった。
「パーセプション」とは、感知する、認知するという意味です。このゲームは従来のAVGとは異なり、グラフィック、SE(効果音)もゲームの情報となります。そう…見て、聞いて、テキストの情報を得ながら推理していくという、あなたの洞察力が試される新しいタイプのミステリーゲームです。さあPTでハードボイルドの私立探偵を体験して下さい。
●「ふきだし」方式によりテンポのよい会話のラリーが、即!あなたをバーニングの世界へひきずり込む!●「通常コマンド」の概念をとりはらい、会話中のせりふの中に自然に登場するあなたの意志を決定させゲームを進めますので、ドラマの流れをたんのうできます。●思考のマザーベースは探偵事務所。状況を分析、推理し、次の行動を決定できる捜査方針モードというシステムをつけました。●リアルなフルグラフィック(アニメ処理)●ふんだんに使ったSE37種類!●付属の新聞もゲームのヒント!
『バーニングポイント』について
『バーニングポイント』(BURNING POINT)はエニックスが開発を行い、NEC PC-8801mkⅡSR以降用として1989年2月23日に発売したパーセプションタイプミステリーゲーム。ジャンルとしてはアドベンチャーゲームに分類され全6章で構成される。本来は1988年12月23日の発売予定だったが延期された。なお、NEC PC-9801シリーズやMSX2など他機種への移植は行われていない。拡張音源の サウンドボードⅡに対応しており、音楽や効果音の一部にサンプリングが使用している。
原作は遠藤健司(Kenji Endo)。ゲームデザインは 高見摩那(Maya Takami)、プログラムは佐藤誠(Makoto Sato)が務めた。
キャラクターデザインは当時専門学校学生であった漫画家の 岡本健志(Takeshi Okamoto)で『バーニングポイント』が初仕事だそうだ。音楽は『くにおくん』シリーズでおなじみの澤和雄(Kazuo Sawa, 1951年-)。
パッケージ内にはおまけとして「Daily Santa Chris」新聞が付属しており、ヒントとして使えるようになっていた。マニュアルプロテクトとして誤解されやすいが、捜査を迅速に進めやすい一つのツールであり紛失しても問題なく捜査は進められるようになっている。
perception(パーセプション)とは「感知」「認知」という意味で、従来の文字情報からだけではなく表示されているグラフィックスや効果音などが謎解きに影響する新しいスタイルを狙ったゲーム。画面上や音の変化があった部分の探索や照合など目と耳の感覚を使うことがゲームに盛り込まれた。 例えば画面内の一瞬光った部分を調べるという行為や、筆跡鑑定、声紋鑑定といった比較照合、音のチェックなどだ。
ゲーム内容は一言で書けば探偵モノだ。犯人を見つけて逮捕するのはなく依頼を全うすること。証拠品を集め、尋問し、「ヘレン行方捜査」の依頼を解決するのだ。ハマリやゲームオーバーが無い上に難易度も低く(一応ヒント券が付属)選択次第で大変なことが起こることもないので安心して遊ぶことができる。ストーリー上詰めの部分でおかしい点はちらほらあるのだが、テンポよく物語は進む。ユーザーインターフェースがよくできている上に、ディスクアクセスの速さやディスク入れ替えが殆ど無いなどストレス軽減にも努められているのがよく伝わってくる。
また、こだわりの「間」も素晴らしい。セリフのためらいやスピード、大きさなども細かく作られていて会話が小気味よい。
しかし、インパクトを与える事件やあまりどんでん返しが起こらないためか「よくできたゲーム」という印象しか残らないのが痛い。登場人物も折角の個性あるキャラクターが目白押しなのに深堀りされず表面上の部分しか見えてこないのだ。主人公であるスティールですらなんだか淡々と事実に基づいて動くだけの探偵ロボットに見えてくる。それは唯一の色恋沙汰に発展するかに見えたシェリルとの対応にも垣間見える。明らかに好意を寄せられ、彼女の協力で事件の解決ができたようなものだ。しかし、スティールは情報だけもらってさっさと帰る薄情さ。これはどうなのか。そして完全に用が済んだら二度と出てこないところなんかは、もっとなんとかできたのではないだろうか。別の意味でハードボイルドだ。
そんな中でも個性を発揮してくれる登場人物はいる。あたたかいジョークをスティールに注いでくれる向かいの食堂の店主である デイビス に ティッシュペーパーから核弾頭まで用意してくれそうな気配を見せるドラッグストアのロブ、そしてウイリアム・カーモディの診療所に出てくる受付に見せかけた名もなきアーパーギャルだ。なんかおかしいと思ったんだよ、あの女・・・。
とにかく語彙力が足りないため説明しにくいが、惹きつけられる魅力がこの『バーニングポイント』にはある。推理で考える部分も特有の面倒臭さがない。ゲーム内のスティールや登場人物にうまく誘導されて問題を解決しているにも関わらず、なんだか自分がデキル人間になった気にさせられる。(おおきな勘違い)
特に、アドベンチャーゲームにニガテ意識を持つ人には『バーニングポイント』オススメしたい。読むのが疲れることもない、色々とメモしたりする必要もなく、コマンドが難解なんてことはない。加えて、推理モノ、優れた操作性、グラフィック、音楽、テンポよく進むストーリー、いい意味でクセの無さがうまく昇華されたある意味での傑作なのだ。
『バーニングポイント』のBGMは澤和雄が担当。当時はテクノスジャパンでご活躍のはずだが、どういった縁でエニックスと関わることになったのかは謎。
サウンドボードⅡの対応に関してはリズム音源に加え、ADPCMまでフル活用されている。ADPCMに関しては2Dのディスク1枚(320キロバイト)のほとんどを使う力の入れようだった。オーケストラヒットやハンドクラップを含めたパーカッション、コーラスや悲鳴などに用いられている。もちろんステレオ機能を活かしたパンニングも積極的に活用されており、澤和雄の作品の中でも最高傑作に当たるのではないかという出来栄えだ。
テクノスジャパンの作風でピンとこない人はオープニングテーマである「Burning Point」を聞けば理解できるだろう。トドメに、マイラシティ繁華街で流れる曲「Heart Attack Street」を聞けば、もう『くにおくん』しか頭に浮かばないだろう。
しかし、このゲームで名曲といえるのは、ゲーム中最も長く聞くことになる「捜査のテーマ」ではないだろうか。リフ、ブレイクを効果的に使い、1970年代の刑事ドラマでよく使われたハモンドオルガンを模した音色でメロディを奏でる。いかにも「捜査のテーマ」な曲に仕上がっている。また場所移動に伴うディスクアクセス時でも音楽がシームレスに流れるのが非常に心地よい。プレイしているときでもリズムに乗ってテンキー叩いてしまう程に引き込まれる。
『バーニングポイント』について(寄稿)
にしひろ さんより寄稿
アメリカをベースにした探偵物といえば、真っ先に上がるであろう作品はリバーヒルソフトのJ.B.ハロルドシリーズではないだろうか?同様のアメリカをベースにした探偵物ながら、全く逆のゲームがこのバーニングポイントではないだろうか。前者は、登場人物が多い上、それらの関係を把握し、詰めていくという本格的な要素。逆に、後者のバーニングポイントは軟派というと言葉は悪いが、軽いノリでジョークを楽しみながらプレイできる、遊びやすさをベースにしたゲームではないだろうか。また、"さんまの名探偵"を思い出させるメッセージの効果音や、声の大きさに応じた文字の大きさの変化などもイイ感じに仕上がっている。正直、同じメッセージを2度選択したときの長い台詞を読み直すのはウンザリだけど。ありがちな選択ミスによってエライ目に遭うこともなく、安心してプレイできるし、ゲームの難易度も高くない。全てにおいて標準以上のレベルで世間での評判も悪くない。が、上り詰めれなかったのは、逆に突出した部分も無かったからなのだろうか。やっぱり、こういうのは、主人公が心に残りやすい故のキャラクターとしての人気で続編が作られたりするのだが、真っ正面から行きすぎたのがある意味失敗だったのかもしれない。個人的には好きなんだけどなぁ。
操作(捜査)方法
【使用するキー】
28 コマンド選択
⏎ コマンド決定 ※システム設定で変更可能
SPACE コマンドキャンセル ※システム設定で変更可能
CAPS 会話音ON/OFF
【捜査方針コマンドについて】
移動する・・・行きたい場所を選んで下さい。
☟電話する・・・実際に電話番号をテンキーにうち込んで下さい。
データベースを見る・・・事件、人物、電話番号の情報がストックされていきます。
証拠品を鑑定する・・・収集したアイテム類を鑑定します。
現在の状況判断、推理をする・・・スティールの推理を聞くことができます。
聞き込みする人物を決める・・・情報の必要な人物を決定して下さい。
尋問する人物を決める・・・尋問をしたい、あやしい人物を決定して下さい。
捜査の記録・・・「記録」でセーブ、「再開」でロードします。
マイク・スティール プロフィール
年 齢/26歳
身 長/176センチ 体重/62キロ
出身地/カリフォルニア州サンタ・クリス
経 歴/日本人の父親とカナダ人の母親の間に生まれる。スティールが10歳の頃に両親が離婚。母親と共にカナダにある実家に帰る。ロス・マクドナルドの探偵小説を読み、複雑な人間関係の中で真相を究明する探偵リュー・アーチャーにあこがれる。他人が泣いたり笑ったりしていると、どうしてもその理由を知りたがり、気になる人物とすれ違うと後をつけていってしまうような好奇心おうせいな少年だった。自分の好奇心を満足させるためにも、探偵になる事を志ざし、自分の生まれた街サンタ・クリスでライセンスを取得し、探偵事務所を開業した。
トリビア
【ロス・マクドナルドは実在した人物】
マイク・スティール が敬愛する ロス・マクドナルド(1915年12月13日 - 1983年7月11日) は実在の人物。憧れている リュー・アーチャー のシリーズも実際に発売されている小説。
【日高徹のコラム】
http://njprog.com/toruhidaka/game_09.htmタイトル | バーニングポイント(BURNING POINT) |
1989年発売 |
対応機種 | PC-8801mkⅡSR以降 | |
発売元 | 株式会社エニックス | |
関連形態 | 技術協力 | |
内容 |
パーセプションタイプ・ミステリーゲーム。
パーセプション(Perception)とは知覚のこと。このゲームでは、従来のアドベンチャーゲームとは違って、グラフィックスや効果音なども情報となる。さらには、本体に添付されている新聞をも情報源としなければならない。 もちろん、そこまでするということは、とりもなおさず主役が探偵だからである。登場人物のセリフが「吹き出し」方式なので、テンポのある会話ができるのも特徴だった。 |
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ひとこと |
正直なところ、この作品のスタッフとは最初から最後までまったく面識がない。サウンド担当だけは知っているが、それも別次元でのこと。
つまり、このあたりからグラフィックデータ圧縮の技術とグラフィックツールが一人歩きしていたのである。それゆえのトラブルもないわけではなかったが、こうして姿になれば関連作品となって残る。しかも、愛着心まで芽生えてくるから不思議である。 |
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裏技の紹介
【ミュージックモード】
ゲームクリアしたディスクを使用すると起動時のメニューに現れる。
【サウンドボードⅡ搭載機でノーマル音源モードにする】
起動時にフルキーの1を押しっぱなしにする。
【死体公示所に幽霊が現れる】
スティールが表示される前にSTOPを押す。スティールが登場すると消えてしまうので見られるのは一瞬だけ。
これは 付属品の Daily Santa Chris 新聞に掲載されているトピックスの「夏の終りのミステリー~!?死体公示所に幽霊」の記事に記載されている幽霊。『テープレコーダーに幽霊の声を録音したと報告している。その声は「ストップ」という言葉を何度も言っている』というのがヒントだった。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG+リズム音源+ADPCM)
サウンドボードⅡ
音源チップ:YAMAHA YM2608(OPNA)
01 Burning Point
02 探偵事務所開業
03 デイビスの店
04 捜査のテーマ
05 ルドルフを追え
06 告白
07 15年前の真実
08 殺人者
09 Heart Attack Street
10 ゴールドベルク変奏曲
11 CORE ~核心~
12 野望のワルツ
13 See you again, Steel!
14 Burning Point(フィナーレ)
合計時間 : 20:53
作曲 : 澤和雄(1~9,11~14),バッハ(10)
土方雅之はアドバイザーで作曲には関わっていないとのこと。
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— 岡本 健志@MAY THE FORCE BE WITH YOU! (@alfistakeshi) September 7, 2016
ENIX「バーニングポイント」PC-8801ソフト。初めての仕事。専門時代にENIXのマンションに2ヶ月缶詰で親と学校にしこたま怒られたw
sm14976405 -【店頭デモ】バーニングポイント(PC-88) https://t.co/4WjK5I5RNY
そうそう!enix 《バーニングポイント》でキャラデザとデジタイズ担当になりPC88のドットエディットで四苦八苦したwデジタル8色も大変だったが縦長ドットには「なんで??」と。モザイク処理で様々な色を表現するというなんともアナログな作業に「肌色欲しい」と何度叫んだことか(ノД`) >RT
— 岡本 健志@Let’s Harvest?? (@alfistakeshi) March 2, 2023
なお、PC88シリーズ「サウンドボード2」用のミュージックドライバ「ミュー子3」のフロッピーディスクは、引っ越しの際に(自分が作曲したMMLデータを含めて)全部捨ててしまいました。#80mk2 会の皆様に、しこたま叱られました…。 https://t.co/FjJrV4jSsM
— ??方 雅之 (@hijk0909) October 24, 2020
(承前)
— 平野文鳥 (@hirano_buncho) January 20, 2022
バーニングポイントというPC80用のADVゲーム。(ちなみに当時の開発方法はほぼインディーズに近かった)
これゲームシステムと内容が尖りすぎてあまり売れず営業さんに土下座したっけ。w
今ならかなりいけるゲームだと思うけど…。https://t.co/D5PsGXzw08
>新聞は手作り
— 平野文鳥@森のげえむ屋さん (@hirano_buncho) May 2, 2024
当時は今みたいなPCでDTPみたいなものはなかったので、プリントアウトしたテキストを大き目の版下用紙にペタペタ張って作ってたんだよね。
(広告やパッケデザインはプロの方に版下は作ってもらいました。予算は出たので。ただ、すげぇ安くてプロの方に文句言われたけど w)
エンディングムービー
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第5章 ACT5終わりから