創刊10周年記念PRO-68K
SIONⅡ ~THE FIRST ATTACK~
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD(1枚)
定価 : 780円 (税込)
発売日 : 1992年5月18日
販売元 : ソフトバンク (Oh!X1992年6月号特別付録)
○MIDI対応 (Roland MT-32, SC-55)
○フルセットバージョンの動作には2MB必要
○3.5インチ版は編集部対応 (175円切手2枚)
※動画は内蔵音源版
目次
SIONⅡ for X68000
※マニュアル抜粋
MAGAZINE REPRODUCTION
『SIONⅡ』について
◆『SIONⅡ』概要
『SIONⅡ』は1992年5月18日に発売したシャープ製パソコンを専門とした雑誌 Oh!X 6月号(ソフトバンク刊)の付録「創刊10周年記念PRO-68K(5"2HDディスク)」の一部として公開されたSHARP X68000の3Dシューティングゲーム。全7ステージ。『SIONⅡ』の一般公開はシャープ見・体・験フェア(1992年4月12日開催)でのソフトバンクブースにおける展示が初出だと思われる。(締切が早まった原因?)
プログラムを担当したのは浜崎正哉(Masaya Hamazaki)。付録メディアは5インチディスクのみだったがX68000 CompactXVIユーザーに関してはOh!X編集部宛に175円切手2枚(1枚は返送、1枚はディスク実費に使用)を送付することにより3.5インチ版が入手できた。
◆『創刊10周年記念PRO-68K』概要
「創刊10周年記念PRO-68K」は『SIONⅡ』専用のディスクではないし、各種プログラムの動作もそのまま行えない。1枚に圧縮されたフロッピーディスクから必要に応じて最大5枚のディスクに任意に解凍する仕組みだ。システム転送も行われるので解凍された各々のディスクは単体で起動することが可能。ディスクの作成にはコマンドを入力する特殊な知識は必要ない。満開製作所のDSHELL2を使用しており、電脳倶楽部よろしく「電源オンですぐ起動、マウスひとつでらくらく操作」だった。
創刊10周年記念PRO-68K 各ディスクの割当て
ディスク1 書体倶楽部用エディタ、スプライトエディタ、アニメーションビューアを収録。
ディスク2 各種ツール群。X68000用S-OS"SWORD"、SX-WINDOW用アクセサリなど収録。
ディスク3 ZMUSIC関係。音楽プログラムと音楽データ関連を収録。
ディスク4 SIONⅡのソースリスト。
ディスク5 SIONⅡのIPL起動ディスク。
ネット上に出回っている『SIONⅡ』はこの「創刊10周年記念PRO-68K」から生成された「ディスク5」にあたるものだ。厳密に書けばメインメモリ2MB以上を搭載したX68000から生成されたディスクだ。意外に知られていないがこれには理由がある。
『SIONⅡ』はメインメモリ1MBでも動作するがフルバージョンの動作には2MB以上のメインメモリが必要となる。「創刊10周年記念PRO-68K(5"2HD)」でのゲームディスク作成時にメインメモリのチェックを行っており、メインメモリが1MBのときはサンプリングボイスの大半が削られたZPDファイルが生成される。生成されたディスク内容が異なるため、メインメモリ1MBのモデルで生成されたディスクをメインメモリ2MB以上の機種で起動しても内容はフルバージョンにはならない。
◆ⅡがあればⅠもある、その源流を辿ってみる
『SIONⅡ』と表記されているのは1991年4月18日に発売したOh!X 5月号付録ディスク「黄金週間PRO-68K(5"2HD)」に収録された『SION』の流れを組む作品だからだろう。『SION』はプレイヤーの操縦する新型宇宙戦闘機(試作機)の名称で、オープニングに登場する前作の自機名がSIONⅠ(ソースリスト上の定義から参照)、今作の自機名が『SIONⅡ』だ。
『SION』や『SIONⅡ』はゲーム作成を目的としてゼロから開発されたのものではない。MAGIC(Microcomputer's Advanced Graphic In terpriter Core)というワイヤーフレームの描画も行えるグラフィックパッケージを X68000 へ移植した際に作成されたデモンストレーション的なサンプルゲームだ。(今回は加えてZ-MUSICシステムのサンプルも兼ねていた)
MAGICのオリジナルは古く、発表は 1986年8月(Oh!MZ 9月号)まで遡る。開発者はなんと『スタークルーザー』の生みの親である吉村功成(よしむらことり)だ。X68000への移植・開発は影山裕昭(かげやまひろあき)が行っている。
SIONⅡ で使用されているMAGIC4(MAGIC ver.2.0.8)は、Oh!X 1991年9月号に掲載されたMAGIC ver.2.00にあったバグの排除と処理速度が上げられたものだ。Oh!X 1991年9月号(8月19日発売)でMAGIC ver.2.0 が発表され、Oh!X 1991年11月号(10月18日発売)では『SIONⅡ(仮)』という名で『SIONⅡ』の開発が行われていることが記事の中に記載されている。
◆『SION』と共にあった『Z-MUSIC』
『SIONⅡ』の音源ドライバーには1991年11月に発売となったZ-MUSICシステムver.1.01 からアップデートを重ねたZ-MUSICシステムver.1.10を採用している。バージョンアップ内容は高速化と機能拡張。音量モジュレーション(ver.1.0.6 にて対応)やPCM8への対応(完全対応は ver.1.0.4)、相対テンポコマンドの追加など継続的に行われてきた内容の集大成だ。
◆ゲームとしての面白さが格段に増したⅡ
前作である『SION』は512×512ドットの高解像度による緻密な画像ではあったが処理速度の難に加え、ショットが当たりづらい、同じステージの繰り返しに感じてしまう単調な構成ということもありゲームとしてはイマイチだった。
この『SIONⅡ』では、グラフィックパッケージMAGICの高速化に加えて解像度の見直し(256×256ドット)などによっても高速化を図っている。ゲーム性に関してもステージ構成に変化を付けるなど見直されている。
開発当時3Dゲームとして人気を博していた アーケード版の『スターブレード』やX68000版『スターウォーズ』といった作品からのモチーフを拝借した感じのステージも見受けられるが、うまく纏められており、ゲームの完成度と興奮度は画面写真からは想像できないだろう。前作と異なり回復アイテムはなく難易度はやや高めであるが、コンティニューなしという思い切った設定が継続したプレイにうまく繋がっていたように思う。
見た目は時代遅れであったワイヤーフレームで貧相だが、ヘタな市販品よりも遊べるゲームに仕上がっている。ゲームの面白さは見た目ではないのだと改めて考えさせられる。プレイし始めれば見た目の事など忘れて照準の中に相手を捉え、ショットを打ち込むことに対して夢中になっているはずだ。
◆『Oh!X』ライターたちが担当したBGM
『SIONⅡ』のBGMはOh!Xのライター陣が中心となって各音源別(内蔵音源、Roland MT-32、CM-64、SC-55)に制作されている。開発当初はKORG M1にも対応予定とされていたが間に合わず没となった。(ソースリストにも名残がある)
内蔵音源版に採用されている割合から考察すれば『SIONⅡ』における代表音源はSC-55版がメインだろう。SC-55版は西川善司(Zenji Nishikawa)が担当している。このゲームが出た当初はSC-55対応ゲーム作品がまだ少なかった時期(X68000で最初に対応した市販ゲームは恐らく1991年12月発売の『出たな!!ツインビー』)でもあったためかテクニカルな音ではなくSC-55の音源の特徴を旨く使った作品に仕上がっている。メインでよく鳴るシンセの音色なんかは、スタンダードながらこんな音の使い方もできるものかと未だに感心させられる。無駄に凝った作りをするより、シンプルに仕上げている部分に気持ちよさすら感じる。
ゲームシーンにおけるMIDI対応はそれまでの機器に比べると安価で高いクオリティを誇るRoland SC-55へと急速に移り始める予感がしていた。そんな時期でRoland MT-32に対応してくれたのは非常に嬉しい誤算だった。名曲「LEGEND」は各音源に用意された中で最もオープニングにマッチした曲だった。攻める曲というイメージの強いMT-32版だが、それでも多彩な曲調で楽しませてくれた。ただ、残念なのはMT-32いう音源自体の持つプリセットされた音色の乏しさ。これらの曲を再現するにはプリセット音だけで鳴らすには音源自体が合っていないと感じさせる。そういう部分ではかなり惜しい。
内蔵音源版は「Oh!X LIVE in'89」(音楽プログラムコーナー)でナムコ作品の『メタルホーク』が掲載されたことを皮切りにライターにまで上り詰めることになる進藤慶到(Noriyuki Shindo)が各MIDI音源の曲を落とし込んで編曲している。この編曲が秀逸で、錬られた音色と打ち込みの細かさと表現力はオリジナルを上回っている。特にステージ2で流れる「THE SEA OF ASTEROIDS」のスラップ・ベースは非常に素晴らしいので是非聴いて欲しい。また、『SION』の最終ボスで使用された「I DON'T KNOW WHO SHE IS.」のアレンジは感涙モノ。SC-55版では最終ボス曲が間に合わなかったためのリバイバルだが、間に合わなかったことに感謝したいくらいの出来栄えだ。
操作方法
ジョイスティック
各レバー操作
AボタンBボタン
4
キーボード
78
456
12
4
XZ
X
Y
ESC
マルチオートロックホーミングミサイル(AHM)発射
通常レーザー発射
ポーズボタン。ゲームの一時中断・再開。
※ホーミングミサイルは一度に敵を4機までロックすることができ、ロックした個数分をミサイルが分裂する。ただし、破壊力も等分される。
タイトル画面時
F3
ハイスコア表示モード
F4
ミュージックモード
F5
コンフィグレーションモード
F10
ゲームを終了してOSに戻る
画面構成
①
②
③
④
⑤
① 当たり判定
ミサイルロック有効範囲
② ヒットカウント
③ ロックした敵の個数
④ シールドメーター
⑤ シールド状態表示
『SIONⅡ』の曲について(ドキュメント)
「創刊10周年記念PRO-68K」のディスク3として展開されるのはオリジナルミュージック集。『SIONⅡ』を含めた数々の音楽が収録される。その中に SIONⅡ に関する各担当者のドキュメントが収録されている。
TYPE=DOC:SION2_SC.DOC
TYPE=DOC:SION2_MT.DOC
TYPE=DOC:SION2_CM.DOC
TYPE=DOC:SION2_FM.DOC
裏技の紹介
◆デバッグモード
XF1キーを押しながら起動すると「CONFIGULATION MODE」の5つ目に「SPECIAL」の項目が加わる。
NORMAL 通常モード
AHM FREE ホーミングミサイル無制限
MUTEKI 無敵
が選択できる。ただし、無敵とホーミングミサイル無制限を同時に選択することはできない。
◆PCM8対応による強制ポリフォニック演奏
PCM8.Xを組み込んだ後、ZMUSIC.Xに'-O'スイッチを付けて組み込むとADPCM1声の曲データを強制的にポリフォニック(ADPCMの音が重なっても途切れない)に演奏できる。『SIONⅡ』で使用するとゲームの処理速度が落ちる弊害は起こるが、より良いサウンドを聞くことができる上に描画が遅くなることにより難易度は少し下がるので個人的にはオススメ。ただし、オープニングやデモでのBGMタイミングが記憶と違っていて多少気持ち悪さを感じる部分はあり。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(MIDI音源)
01 HESPERUS (OPENING)
02 GATHER WAY! (STAGE1,3)
03 THE SEA OF ASTEROIDS (STAGE2)
04 IT DOESN'T AMOUNT TO ANYTHING. (STAGE3,4)
05 SMART BOMBER2 (LAST STAGE)
06 AN OLD PICTURE (GAME OVER)
07 SIGHING IN THE WIND (ENDING)
合計時間 : 13:43
作曲者 : 西川善司
ラジオ収録曲(MIDI音源)
01 LEGEND (OPENING)
02 ON THE HOP (STAGE1)
03 METEOR (STAGE2)
04 TRY (STAGE3)
05 CLEAN SHOT (STAGE4)
06 SHOOTING MASTER (STAGE5)
07 HEADQUATERS (STAGE6)
08 MIND CONTROL (GAME OVER)
09 PEACE (ENDING)
合計時間 : 16:09
作曲者 : 高橋哲史
ラジオ収録曲(FM音源+ADPCM)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)+ OKI OKI MSM6258
01 LEGEND (OPENING)
02 GATHER WAY! (STAGE 1)
03 THE SEA OF ASTEROIDS (STAGE 2)
04 IT DOESN'T AMOUNT TO ANYTHING. (STAGE 3)
05 SMART BOMBER2 (LAST STAGE)
06 I DON'T KNOW WHO SHE IS. (LAST BOSS)
07 AN OLD PICTURE (GAME OVER)
08 SIGHING IN THE WIND (ENDING)
合計時間 : 14:37
作曲者 : 西川善司 (02~08), 高橋哲史 (01)
編曲者 : 進藤慶到
DISCOGRAPHY
レジェンドオブゲームミュージック
コンシューマーBOX
発売日: 2006年3月24日
価格: 16,800円(税込)
商品番号: SCDC-00497~506
販売元: サイトロン
収録曲
Disc 1(セガ・クラシック ディスク)
01 スタージャッカー
02 ザクソン
03 ズーム909
04 ガールズガーデン
05 どきどきペンギンランド
06 アストロフラッシュ
07 アクションファイター
08 不思議のお城ピットポット
09 ウッディポップ 新人類のブロックくずし
10 アストロウォリアー
11 アレックスキッドのミラクルワールド
12 どきどきペンギンランド 宇宙大冒険
13 ファンタジーゾーン2 オパオパの涙
14 ファンタシースター
15 ザクソン3D
16 メイズウォーカー
17 星をさがして…
Disc 2(セガ・クラシック ディスク)
01 ガルケーブ
02 アレスタ
03 POWER STRIKE 2
04 GGアレスタ
05 GGアレスタ2
Disc 3(メガドライブ ディスク)
01 スーパーファンタジーゾーン
02 紫禁城
03 OutRun 2019
04 クライング 亜生命戦争
Disc 4(メガドライブ ディスク)
01 ゲイングランド
02 鋼鉄帝国
03 バッドオーメン
04 魂斗羅 ザ・ハードコア
Disc 5(PCエンジン ディスク)
01 THE 功夫
02 ビクトリーラン-栄光の13、000キロ-
03 邪聖剣ネクロマンサー
04 スーパースターソルジャー
05 ファイナルソルジャー
06 ソルジャーブレイド
Disc 6(PCエンジン ディスク)
01 グラディウス
02 沙羅曼蛇
03 モトローダー
04 モトローダー2
05 バトルエース
06 オルディネス
Disc 7(MSX ディスク)
01 魔城伝説
02 魔城伝説2 ガリウスの迷宮
03 イーガー皇帝の逆襲
04 夢大陸アドベンチャー
05 王家の谷
06 王家の谷 エルギーザの封印
07 クォース
08 はいぱーそーめん
09 つるりん君
10 ファイナルジャスティス
11 ガーディック
12 ザナックEX
13 幽霊君
Disc 8(MSX ディスク)
01 ディスクステーション
02 アレスタ
03 アレスタ外伝
04 アレスタ2
05 にゃんぴ
06 ピーチアップ
07 フレイ
08 倉庫番Perfect
09 クリムゾン
Disc 9(X68000 ディスク)
01 グラディウス
02 ネメシス'90改
03 グラディウス2-GOFERの野望-
04 生中継68
05 ファランクス
06 ジェノサイド2
07 オーバーテイク
08 メタルサイト
09 ガンマプラネット
10 ライトニングバッカス
11 マッドストーカー
12 あすか120% BURNING Fest.
13 C力検査 V3
14 DesperadO
15 Dive-On
16 SION 2
17 SION 4
Disc 10(ハドソン・キャラバンシューティング映像集)
01 スターソルジャー
02 ヘクター'87
03 スーパースターソルジャー
04 ファイナルソルジャー
05 ソルジャーブレイド
06 スターパロジャー
07 スターソルジャー バニシングアース