
アクアレス for SHARP X68000
作品名 : アクアレス
販売 : エグザクト
対応機種 :
メディア : 5inch 2HD (2枚組)
サウンドチップ : YAMAHA YM2151, OKI MSM6258
サウンド性能 : FMx8, ADPCMx1
定価 : 8,700円(税別)
発売日 : 1991.9.12
GALLERY
STORY

2042年、地球は温室効果の影響により、南極大陸の永久氷の70%が解けだすという事態にまで陥った。さらに、惑星重力の増加により地下水までもが流出。人口増加に伴う生活圏の不足は深刻なものとなり、人類は海洋圏進出を余儀なくされ、海洋の探査および開発技術は飛躍的に進歩した。
2069年、ケルマディック海溝。ニュージーランド北東に位置するこの海溝は、全海洋の82%までも網羅し更なる開発が進められている現在に於いても未開発のままである。
この海域では、原因不明の事故が多発し、半年前にも最新機器を搭載した民間企業調査船「エリアス・リッツ号」が行方不明になったばかりであった。(注1)しかも、この海域はエネルギー含有量が他海域に比べて異常なほど高く、磁力障害も通常の3倍以上に達し、電子機器による無人探索は不可能に近かった。
「エリアス・リッツ消失事件」により事態を重くみた「W-ODL」(注2)は有人探査船としては最高のレベルを誇る「ミッド・スタンリー号」の出動を決議したのである。
時を同じくして、ミッド・スタンリーのクルー達は、太平洋上の海上工業プラントにいた。テロ活動によるプラント奪取を阻止する為である。この時、F-LINKSパイロットである秀矢は、これから体験する世界の事など知るよしもなかった・・・。
ケルマディック海溝侵入。深度2200m地点にてエリアス・リッツ号を発見。それは、あたかもそこが安住の地であるかの様に鎮座していた・・・が、何かが不自然だ。そう、船体が中甲板から二つに折れて分離してしまっているのだ。このような状況は、外部から何らかの手段で、それも船を真っ二つにする程の力でなければ起こるはずがなかった。「一体、何が起こったっていうんだ!」秀矢はF-LINKSの操縦席でつぶやいた。
数々の疑問を抱きつつ、秀矢を乗せたF-LINKSは、何かに導かれるかのごとく潜行を続ける。一抹の不安と好奇心を乗せて・・・。
(注1)
この時代、海洋開発は工業、商業、政治などと密接に関係しており、各政府間の開発競争が盛んであった。それは、民間企業レベルにおいても同様であり、政府との共同開発も盛んに行われていた。また、ここでいう政府とは、各エリア担当政治機関の総称で、その海上エリアでの最高決定権を持つ機関である。
海洋上には国境という概念は存在しないが、海洋開発が進むにつれ各政府は担当海域に対する利権を主張するようになり、海洋開発技術は軍事機密と同じく極秘として扱われるようになった。
(注2)
World Ocean Development League:世界海洋開発連盟
オーストラリアに本部を構え、世界各地に支部を持ち、海洋開発の最先端に位置する技術、スタッフ、設備を備えている機関の名称。主な活動としては未開発海域の先行探索、事故災害時の救助活動などがあげられる。また、民族、国家的イデオロギーを越えた世界中立の立場をとっている。
INTRODUCTION
■画面説明

(1)F-LINKSエネルギーゲージ
(2)経験値
(3)残機数
(4)LEVEL
(5)現在使用している武器
(6)出口方向表示
■アイテム

★アイテムボックス
これを壊すと、中から武器・アイテムが出る

★1UP
残機が1機増える

★SHIELD
F-LINKSの周りにシールドが張られ、ダメージを防ぐ。
(殆ど出てこない)

★FLASH
面内の敵全て1回だけBボタンでダメージを与えられる。
(有効な場面には設置されていない…)

★EG CHARGE
エネルギーが一定量回復する
(設置数が一番多い)

★EG FULL
エネルギーがMAXまで回復する

★EXP UP
経験値がプラスされる
(正直有り難みはない)
■武器
★攻撃系ワイヤー
中距離攻撃用兵器。実弾系の攻撃を防ぎ、射出中の操作も可能。
◆NORMAL WIRE (系列内破壊力比:弱)
初期装備のワイヤー
◆SCALE WIRE (系列内破壊力比:中)
先端を強化し、破壊力を強めたワイヤー
◆SPARK WIRE (系列内破壊力比:強)
表面を電磁薄膜でコーティングし破壊力を増強したワイヤー
★ブレード
接近戦用兵器。
◆NORMAL BLADE (系列内破壊力比:弱)
初期装備のブレード。実弾系の攻撃を防ぐことができる
◆IONIZE BLADE
エネルギー系の攻撃を防ぐことができる
◆GALIEN BLADE (系列内破壊力比:強)
実弾系・エネルギー系両方の攻撃を防ぐことができる
★銃
遠距離攻撃用兵器。攻撃力の弱いのが欠点。
◆M.C GUN (系列内破壊力比:弱)
初期装備の銃
◆A.P GUN (系列内破壊力比:中)
並列銃口により連射が可能
◆BUSTER CANNON (系列内破壊力比:強)
破壊力は大きいが、エネルギーチャージに時間がかかる。
★特殊兵器
系列としては銃に属するが、特殊な攻撃が可能。
破壊力はA.P GUN と同程度。
◆BOUND LANCHER
壁や床でバウンドし多角的攻撃が可能
◆HORMING LANCHER
障害物回避機能を搭載した高性能ホーミング
◆NAPALM LANCHER
開放型対空対地誘導弾により広範囲の敵を攻撃可能
※総合破壊力比:ブレード>ワイヤー>銃
IMPRESSION

1991年秋に発売されたエグザクト作品第2弾。発売日が8月9日という話が出ていたがデマである。実際は8月末としておりデモディスクにも公表されていたが、結局9月にずれ込んでの発売となった。ディスクのドキュメントファイルもその寸前に書かれている。
世間に出回っていないが原作があり全13話。このゲームはその7話目にあたるとされている。続編を作る可能性を考えてかエンディングでは「To Be Continued(続く)」と締めくくっている。
ディスク枚数はナイアスより1枚追加された3枚組。オープニングにディスク1枚を費やす力の入れようだった。新しい圧縮技術が確立され実際は詰めれば2枚組にできたらしいが、ラベルを既に3枚で作成していたことやデータ整理の面倒さから3枚のままで発売された。なお、同技術を使用すればナイアスは1枚で収まるとされている。
肝心のオープニングだが導入部のストーリーに始まり、アニメーションしながらのキャラクター紹介(2人しかゲーム中には出てこないしマニュアルにも紹介は一切無い。)がある。背景設定などがマニア心をくすぐったりするというから無駄ではないかもしれないけど、EXACTの技術を思う存分使う演出は少なく魅力を出し切れていないのが残念。

同時期というわけではないが、ジェノサイド2に比べられると派手さと格好良さという点で見た目の部分が悪く、ゲームと進行と同様ひっそりと沈んでしまった感がある。当時はX68000のソフトとして、それなりに知られた存在だったと思われる。しかし、現在ではインターネットで検索しても引っかかる数は少なく、下手すれば個人評価さえ残らず歴史から消えそうだ。NAIOUSと同様魅せる高いプログラム技術は健在。画像エフェクトのラスタースクロールを扱わせたら、EXACTが最も使いこなしているといえるだろう。ただ、後半に近づくとネタ切れっぽく感じるのは残念。
私の評価はジェノサイド2よりも高い。確かに格好良さに関してはジェノサイド2に軍配が上がる。しかし、ゲーム(遊び)というプレイヤー視点で見た場合の駆け引きが非常に巧く纏まっている。このゲームの特徴はワイヤーを使ったターザン的な移動方法。ワイヤーによる基本行動(応用も存在する)は下記の3パターンである。
1. ワイヤーを縮める
ぶらさがっている状態で、もう一度Aボタンを押すとワイヤーを巻き取る
2. ワイヤーを切る
ぶらさがっている状態でレバーを下に入れるとワイヤーを切り離す。
更に、揺れている場合は、レバーを右または左に入れ続けると、F-LINKSがその方向の最高点に達した段階でワイヤーを切り離す。
3.上に昇る
ワイヤーが一番縮まっている状態でAボタンを押すか、レバーを上に入れると上に昇ることができる。
これらがきっちり使いこなせないとクリアはまず無理だ。最終面においてはこれの連続プレイによる移動を強いられる。勿論、他のステージでもミスをすれば重力のお陰で下に落ちていくわけだから大きなロスを背負わされることになる。とにかく、このワイヤーによる移動がゲームとしての緊張感をより高め面白くさせている肝なのだ。そして、アイテムの多彩さも面白さとして挙げられる。 攻撃用ワイヤーからブレード、銃、そして特殊兵器に至る多彩な武器が時間制ではなく思う存分使うことができる。そしてこういったゲームでは珍しい経験値によるレベル(エネルギーの値)アップの採用。これらをゲーム性が破綻させず、かつ一辺倒な攻略方法ではなく各々の攻略法を確立できるように調整されていた。

X68000のゲームで多く最もうんざりさせられるのが難易度。前作の NAIOUS では、技術的には素晴らしいのに難易度が異様に高くゲームバランスが悪かった。その部分を今回は徹底的に洗練してきた。ボスで死んだ場合、再度ステージを一からやり直しさせられるのが殆どだ。しかし、このAQUALESはボスステージからスタートさせてくれる親切設計。ただ、再スタート位置を想定すればボスの難易度はきつめに設定して攻略性を持たせることができると思うのだが、7面以外は適当にやっていればクリアできてしまう難易度だった。難易度に関連することではないが、ユーザーディスクにステージクリアの記録を残しておくことができた。これは、後日のコンティニューも容易になっており、クリア済みのステージを再度遊びたい場合にも応えてくれるシステムになっていた。
クリア時にビジュアルシーンで語られる深海に進むスリル。潜水艦のソナー音を組み合わせた不気味な曲をBGMにて徐々に明かされる真実。深海の奥のステージがどんなものなのかドキドキさせられる。そういう感覚にしてくれる数少ないゲーム。その世界観に自分が一体化できてしまう数少ないゲームだったと思える。

音楽面では今回は新ドライバーが採用された。新しい試みとして「5方向ステレオサンプリングシステム」が搭載されている。1CHしかないADPCMを擬似的に音を左右でずらしながら出力することによりサラウンド感を出すというものだ。ただし、FM音源の使用は6声。効果音で2声を独立させている。ゲームにとっては効果音が大事ということで割り切っている点に関しては好感が持てる。なお、曲によってはステレオサンプリングシステムが使用されていない。
音楽はベースで引っ張っていく曲が多い。ベースパターンを真っ先に作成し後からメロディを乗せたんだろうな…と予感させる作品が多い。ジェノサイド2の様に曲があからさまに格好良く曲だけで突っ走る感じではなく、いかにもゲームに合わせて作られた感じがする。また、NAIOUS のような不協和音も随分減った。所々おかしいキーもあるが、そこは音楽専門ではないスタッフが作ってるのだからご愛敬。しかし…これでもCD化もされている。パソコンゲームからCD化されるのは決して数多くは無かった中で出ている理由は、やっぱり根本的な曲がいいから…?ただ、知名度の低い作品で脳裏にゲーム映像が浮かばない人が聞いてどうかな?と思う。
偶然だとは思うが、アルガーナのウィザルド城城壁の曲と1面の曲の50秒付近のベースパターンが全く同じで、お互いの曲を聞くとき「どこか別のゲームで聞いた曲だな」と毎回思うことがある。音色も結構似ている。
TIPS
■隠しドキュメント
SYSTEMディスクに収録されていたドキュメント
README1.DOC
README2.DOC
README3.DOC
README4.DOC
TRACK LIST

ラジオ収録曲
01 Theme Of AQUALES (Opening)
02 Shut it Up! (Stage1)
03 E.L Pow (Stage1 Boss)
04 Visual scene 1
05 Blue Point (Stage2)
06 Complication (Stage2 Boss)
07 As A Stream (Stage3)
08 S.C.B.M (Stage3 Boss)
09 Glass Shade (Stage4-1)
10 RIATT! (Stage4-2)
11 Atract Peace (Stage4 Boss)
12 Phantom Of Deep (Stage5)
13 Scale Battle (Stage5 Boss)
14 Over Arms (Stage6)
15 GEARS (Stage6 Boss)
16 Run To The AQUARES (Stage7)
17 Action Into The METAL! (Stage7 Boss)
18 Visual scene LAST
19 Outer Sight (Stage8)
20 Stage Clear
21 Game Over
22 Garlant Happiness (Ending)
合計時間 : 27:02
作曲者 : さえぐさひろゆき, 山本浩
DISCOGRAPHY
アクアレス

発売日: 1992年8月21日
価格: 2,600円(税込)
商品番号: APCG-4023
販売元: アポロン
収録曲
<アレンジ・ヴァージョン>
01 AQUALES Dynamism
02 Power Of Action
03 Metal Navigator
<オリジナル・ヴァージョン>
04 Stage1 Shut It Up!
05 Stage2 Blue Point
06 Stage3 As A Stream
07 Stage4-1 Glass Shade
08 Stage4-2 RIATT!
09 Stage5 Phantom Of Deep
10 Stage6 Over Arms
11 Stage7 Run To The AQUALES
12 Stage8 Outer Sight
13 Boss1 E.L.Pow
14 Boss2 Complication
15 Boss3 S.C.B.M
16 Boss4 Atract Peace
17 Boss5 Scale Battle
18 Boss6 GEAR'S!
19 Boss7 Action Into The METAL!
20 Stage Clear
21 Ending~Garlant Happiness
22 Game Over
23 Introduction
24 Opening~Theme Of AQUALES
25 Visual Scene
26 Visual Scene LAST
niconico
■エンディングムービー