あれから50年…。
ジェノサイド2
MASTER OF THE DARK COMMUNION
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (4枚)
定価 : 8,800円 (税別)
発売日 : 1991年12月7日
販売元 : ズーム
○ジョイスティック対応
○MIDI対応 ROLAND MT-32/CM-64
(要CZ-6BMI純正MIDIボード)
GALLERY
PROMO WORD
2230年メシア粉砕戦。
あれから50年……。世界は落ちつきを取り戻しつつあった。そんな中、戦前から関節工学、伝達工学等の高水準の技術で急速に発展を遂げた企業があった。"CONEX"である。この企業は軍事方面での活躍もめざましいものがあり、トレーサー兵器の世界シェアの大半を手中に収めていた。世界を危機に陥れると思われる"CONEX"と"CONEX"製大型兵器を使用した、某大国との共同作戦を察知したI・P・C(国際平和評議会)は、"CONEX"壊滅作戦を展開する。
バイオニクス戦士 竜ヶ崎 健は"CONEX"へと今夜、強行突入を決意する。
目指すは巨大兵器「GOLIATH」。
彼は人類の運命を背負って何処へ行くのか。
ストーリー
2230年メシア粉砕線。人類のおごりの象徴メシアシステムは、その狂気的暴挙を食い止めようと構成された地下組織「国際平和評議会」の決死の壊滅作戦によって破壊され、世界の夢と救世主となるはずだった機能は永久に封印された。
その後世界の情報機構、経済形態、政治、治安等は世界統一連合の発足以前の状態に逆戻りする事を余儀無くされた。当然人々の生活管理は個人に委ねられ、世界は再び混乱の中に叩き落とされる事になる。
そして50年。各地で小規模の戦争は繰り返され、自然破壊は悪化したものの復興は進み、少ない資源と人々の努力で世界は落ち着きを取り戻しつつあった。
そんな中、戦前から関節工学、伝達工学等の高水準の技術で急速な発展を遂げた企業があった。
"CONEX"である。
この企業はメシアシステムの立ち上げにも参加していただけでなく、トレーサー兵器、バイオニクス戦士の生産等、軍事方面での活躍もめざましいものがあり、実質トレーサー兵器の世界シェアの大半を手中に収めていた。
ジェフ・バグハード。CONEX兵器部門開発統括主任である彼は世界の混乱に乗じて東側大国が送り込んだ工作員である。彼は人間ではなくCONEX製のバイオニクス戦士であった。しかし彼は試作段階で出来上がった試験用バイオニクスドロイドという過去を持っていた。50年前メシア戦時に何者かによって奪われた開発コードMB002という名の素体が彼の正体であった。彼はその国で製作され、様々な調整を受け12年前CONEXに工作員として送り込まれた訳である。彼の持つ目的は技術的は情報の収集であったが、彼はここ数年その目的に属さない行動を取り始めていた。
彼自身の思考ブロックに異変が起き始めていたのである。
彼はメシア戦後生産を中止していたバイオニクス戦士を使い、彼のセクション内での施設軍隊を構成し、社内でクーデターを起こした。上層部を完全に消し去り、会社全体をコントロールし始めた。彼の行動を阻止しようとするものは全てバイオニクス戦士達、そしてバグハード自身の手によって消し去られていった。
実質的にバイオニクスロイドの耐用年収は50年と言われている。
バグハードの体は東大国によって調整を受け、耐用年数は伸びていたが高度な技術によって構成された中枢は手を入れる事を許さなかった。そして今バグハードの中枢組織は崩壊を始めていたのである。
狂気であった。
彼の意識は、強大な力で世界を圧倒するという破壊的思想にのみ突っ走っていった。
異変を感じた東大国は彼とのコンタクトをカットした。そして彼に対し遠隔操作で自己消滅するようセットを施したのである。
彼はそれを感じとっていた。それは彼の行動に拍車を掛ける結果となった。
CONEX兵器セクションで彼は大型兵器を製造していた。「GOLIATH」と呼ばれるその大型兵器の中枢部はバグハードの体と直接リンクすることで作動するよう彼自身の手で設計されていた。
その状況は現在も地下組織として活動を続けているI・P・C(International Peace Conference・国際平和協議会)に伝わった。
I・P・Cを構成する人員の中には流山淳三郎のチームを継承するキース・ラインフィールド、ウェップナー家の血筋をひくジョン・ウェップナー、そして当時の恋人マリア・リーコフの遺伝子をもつサンドラ・ベアール等、メシア戦のラストプロジェクトに所縁のある人物が多数存在した。
彼らはCONEXの行方に世界的な危機を感じとり、すぐさま壊滅作戦を展開するべく行動を開始した。
バイオニクス戦士竜ヶ崎健はメシア戦の中心人物であった。彼は外見上は50年前と変わらない風貌をしていたが、実際経て来た年数は75年である。彼もCONEX製のバイオニクスドロイドである以上耐用年数は50年程度と思われたが、当時の最新技術で作成された彼には耐用年数のデータは存在しなかった。ここ数年、彼は人類の為に費やして来た彼自身の75年という時間の意味と価値について考えていた。各地を転々としていた彼は、とあるバーで出会ったI・P・Cのメンバーに今回の事件について聞き、最初は拒否するがそこに居合わせたサンドラに諭され、マリアの残した意志と彼自身の存在の意味に気付き、今回の作戦への参加を決意する。
I・P・Cの用意したメシア戦時のトレーサーの流れを組む新型トレーサー「タイム184」に50年来の付き合いであるニューロコンピュータ「ランディ」を搭載し、竜ヶ崎は狂気と化したバグハードの暴走を食い止める為に、そして呪われた科学技術の化身の末路を見届ける為にCONEXに強行突入する。目指すは巨大兵器「GOLIATH」。
彼は人類の運命を背負って何処へ行こうとしているのか。
TECHNICAL DATA
TRACER TYPE 184
CODE : IPC/KR184
HEIGHT : 12.87m
WIDTH : 6.81m
WEIGHT : 12.9t
POWER PLANT : IPC/IEE-2280(x2)
(Psyology compatible)
IPC/IEK-1R
DATALINK : IPC/IEL5 "LINKER SYSTEM"
IPC/NC-SYSTEM "LANDY"
WEAPON : IPC/ILM-12E PLASMA SABER
IPC/IBT-B33 "BATTY" PLUS
VECTOR CONTROLLER : IPC/IVC-68E(x2)
概要
TRACER184は、パイロットの好みで2230年のメシア粉砕戦時に使用されたTRACERの流れをくむシステムで構成された。背部にマウントされているベクトルコントローラは小型軽量化に成功し、約10tの自重軽減を実現。攻撃の際に負担の多くかかる部分は衝撃緩和リキッドの封入された硬質ラバーで構成されている。これによりかなり柔軟な動作が可能になっている。制御ユニットは、パイロットの50年来のパートナーでもある自己進化型ニューロコンピュータ "LANDY" を中枢にして作られた "LINKER-SYSTEM" と呼ばれる自我直結型のニューロトランスミッターで、パイロットはあたかも自分の体が鎧をまとった12mの巨人になったような錯覚を覚える。
痛覚や臭覚などはセンサーが存在しないのでフィードバックされないが掌にある感圧センサーからの触覚は伝わってくる様になっている。頭部の形状がメシア戦時の物と同タイプなのは "LANDY" の要望で、「彼」と相性の良いものを採用することにした。視覚情報は "LANDY" を介して概念伝達でパイロットの脳に直接伝えられるようになっている。
ジェノサイド2について
ズーム第4弾作品として1991年12月7日に発売されたのが「ジェノサイド2」だった。第3弾作品「ファランクス」(1991年5月17日発売)のエンディング終了後にメッセージとともにこの作品の告知が行われた。
ズームの処女作でもあり代表作でもある「ジェノサイド」の続編ということで期待した人も多いはずだ。また、店頭で披露されたデモでは多くの人が虜にされたはずだ。ハードウェアにないグラフィックの回転機能をソフトで再現し、テンポの良いアニメーション、カッコイイ音楽。購入動機としては十分だろう。
全てにおいてパワーアップしたジェノサイド2は1と異なり、多人数(総勢17名 社員旅行はワイハー!)で開発されたそうだ。(各ステージの作成でさえ数人いたから驚き)それ故にか大規模な没になった内容もある。代表的なのが「8分間デモ」と呼ばれるオープンニングになるはずだったビジュアルシーン。パソコンゲーム雑誌ログインで有料配布の申込み受付を発表し、もれなく申込者全員に配布された。
ゲームの内容はジェノサイドらしさが残っているという表現が正しい。ストーリーは続編であるものの操作に関しては前作のテクニックが殆ど使えなかった。操作の複雑化やアイテムの投入もあり、斬って!斬って!斬りまくる!といった前作のゲーム性に期待した人達には不評だったようだ。また、前作の特徴的なアイテムであった "BETTY" の使用時間は一定時間制になっており、ゲージが回復するまでは使用できなくなっていた。これは不評だったのか FM-TOWNS に移植された際には撤廃されていた。
自機キャラクターのアニメーションパターンは大幅に増えており、斬るだけではなく、ジャンプでの真上の攻撃はキックで行う他、同じ方向を連続で2回押すとダッシュしたり、特殊アイテムが追加されるなど、新しい要素も加わり前作をスケールアップしようと努力しようとしている部分が随所に見られた。なお、自機キャラクターだけでメモリの4分の1を占めるらしい(ズーム会報の「健康」に記載)
基本動作
1. 普通切り : B
2. しゃがみ切り : 下+B
3. ジャンプ : A
4. ジャンプ蹴り : A→B
5. 空中切り : ジャンプする方向に十字キーを入れ、A→B
6. 側転 : 上を押しながらA
7. 走る : 走る方向に十字キーを二度押す
8. 普通防衛 : Aの長押し
9. 下防衛 : 下を押しながらAの長押し
その他、繰り返しゲームを楽しむ要素として、ハードディスクインストール時には非公式ながらクリアタイムが記録されるようになっていた。
ゲーム前半は豪快に攻めていけるが、後半になればなるほど進行がダラダラし始め、ゲーム的な要素が強くなり面倒くささが目立つのは残念だ。(アンケートでは4-2が不評との事)また、X68000版はエンディングが全て英語表示(FM-TOWNS版は字幕付き)されるなど、イマイチ配慮に足りない部分も多かった。(文章の翻訳はディスクのドキュメントファイルにすべて書かれている。)色々と賛否両論はあるが、X68000作品のオリジナルゲームとしての代表作を私が選ぶとすればこの作品を選びたい。プログラムテクニック、グラフィック、音、ゲーム性の全てが圧倒的なレベルだからだ。
なお、マニュアル巻末のお遊び的なマンガは今作も健在。しかし、ディスクエンベローブ裏のマンガは無かった。
音楽に関しては前作が良かったという声が山のように届いたらしい。しかし、この作品を私は気に入っている。たしかにFM音源+ADPCMのみで聞けばたしかに音が薄くなりADPCMで鳴っていた迫力あるパーカッションは静かになっている印象を受ける。しかし、真作であろうFM+MIDI+ADPCMで聞けば印象はガラリと変わる。MT-32のプリセット音色を全て作り換えシンセらしさを押し出したメロディの音色や、もさいオーケストラヒットのプリセット音色を、引き締まった音色にしたりと、MT-32をきっちり使いこなしている数少ない作品。また、ベースはMT-32よりもFM音源の方が良い音を出すだけにきっちりFM音源を使用している部分に好感が持てた。このあたりの区分けも抜群に巧かった。前作のリードシンセで進む曲の雰囲気を継承しつつ昇華させたものが今作であると考えていたが、次作のオーバーテイクでも音色が使い回されている模様で少し残念。ただし、MT-32でオリジナル音色を使っているコナミやウルフチームなどでも作品毎の音色作成をしているメーカーは意外に少ない。
なお、初期のX68000で聞く場合、一部の個体ではDMACへの配線ミスがあるとのことで1-3のBGMが止まるものがあるらしい。
裏技の紹介
【隠しメッセージ】
Human68kのシステムディスクを立ち上げ、「ジェノサイド2」のデータディスクAをドライブ1に入れる。
そして、
A>B:
B>type SUCKME.PNS
と入力すると、開発者からのメッセージを読むことができる。
【面セレクト】
登録キーを押しながら「ZURUIHITONEANATATTE」と入力。
【無敵モード】
登録キーを押しながら「ENDINGMITENE」と入力。
【STAGE4-2で体力回復】
最初の場所で10分じっと待つとネコが出現。触ると体力回復。
【STAGE5-3の後ろにいるジェフ・バグハードがポーズを変える。】
STAGE5-3 ボスを倒したら防御をしながらテンキーを押す
1 シェー
3 コマネチ
8 ナーンチャッテ
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+ADPCM+MIDI音源)
内蔵音源 +
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)+ OKI OKI MSM6258
01 SAY!ZOOM2
02 OPENING1
03 OPENING2
04 AGAIN... (STAGE1-1)
05 STRANGE TUNE (STAGE1-2)
06 TETCHY FUNK (STAGE1-3)
07 SHOCK'72 (STAGE1 BOSS)
08 DRAINS (STAGE2-1)
09 JACK & BETTY (STAGE2-2)
10 ENDLESS ROAD (STAGE2-3)
11 HARD CORE (STAGE2 BOSS)
12 REFRESHING BREEZE (STAGE3-1)
13 ENTER SCRETLY (STAGE3-2)
14 STEEL CASTLE (STAGE3-3)
15 FUUJIN, RIJIN (STAGE3 BOSS)
16 FORESTAL FORETELLER (STAGE4-1)
17 TRAP OF RELICS (STAGE4-2)
18 LUE (STAGE 4 BOSS)
19 TECHNICAL SKILL (STAGE5-1)
20 RED-HOT ATMOSPHERE (STAGE 5-2)
21 A GUILTY SHRINE (STAGE 5-3)
22 THE BLACK BODY (STAGE5 BOSS)
23 MELLOW DEVICE (STAGE 6-1)
24 MELTING POINT (STAGE6-2)
25 COME INTO CONTACT (STAGE6-3)
26 M.D.C. J.B (LAST BOSS)
27 STAGE CLEAR
28 ENDING
29 THANK-YOU!
30 CONFIGURATION
31 GAME OVER
32 UNUSED01
33 UNUSED02
34 UNUSED03
35 UNUSED04
36 UNUSED05
37 UNUSED06
38 UNUSED07
39 UNUSED08
40 UNUSED09
41 OMAKE1 (UNUSED OPENING STORY SCENE1)
42 OMAKE2 (UNUSED OPENING STORY SCENE2)
合計時間 : 1:08:48
作曲 : 下野秀幸, 木村直之
DISCOGRAPHY
レジェンドオブゲームミュージック
コンシューマーBOX
発売日: 2006年3月24日
価格: 16,800円(税込)
商品番号: SCDC-00497~506
販売元: サイトロン
DEMO MOVIE
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開発秘話
初めてグラフィックとして参加したゲームソフトが発売30周年を迎えましたとさ!
— YamYam (@yamyamx68k) December 6, 2021
この街のへっぽこ絵にる秀遊亭は、当時会社の近所にあった飯屋。600円で美味い日替わりランチが食べられた。玄は美味いお蕎麦屋さん。ざるそばとライス頼んだら同僚に変だと言われたっけ。だって食べたかったんだもんよw pic.twitter.com/44E0edLJky
エンディングムービー
■エンディングムービー
2280年12月、人類の手によって誤って産み落とされた狂気の化身は、人類のために造り出され、人類のためにその生涯を費やす運命を課せられた者と共に洋上で消え去った。
ジェフ・バグハードの破壊的思想の根深い部分には彼を世に出した者達の傲慢な思想や、野望の一端が入り込んでいたのかも知れない、という意味で彼の行動には説明が付けられ、人々は今回の人類の危機的事件を公に片付けてしまった。
・・・そうなのだろうか?
世界的な状況を見ても人型人工生命体の生産が0になった以外は何一つ変化はしていない。これで根本的解決になったのだろうか。
本来なら彼も竜ヶ崎の様に人類に尽くすために設計されたはずの者である。彼の取った行動が、もし人類の都合の為に利用されることに対しての怒りだったとすれば、そしてそれが人類のためと判断した上での行動だったとしたら、それでも狂気として扱う事ができるのだろうか?
彼が消滅した今、その事実を知るものは誰一人存在しない。
ところで、竜ヶ崎は死んだのだろうか?
彼は以前に比べ無口になっていたとIPCのメンバーは語る。彼は、悩んでいたのである。75年の歳月の意味、そして自分の行方、人類の行方。生命の価値。彼もまた、ジェフと同様の考えを持っていたかも知れない。が、しかし今となってはそれを問うこともできない。
ただ、彼が戦いに出た事は事実である。
彼は2度も人類の存続を任された。人類から課せられた使命よりもずっと重い世界の運命の判断を問われたという点で彼は人間よりも優秀だったのかも知れない。彼は選ばれた存在だったのだ。
今、彼の姿は見えない。答も出ていない。今度は彼が人類に問うているのか。
このまま人類がモラルも常識もない存在として、情報に踊らされ、大局的な視野を持たないままの世界を作り、破滅の道を歩んでしまう事があった時……
彼は帰ってくる。答を出しに。