目次
ファランクス for X68000
※マニュアル抜粋
SCREENSHOTS
ステージ1。雲海が多重スクロール。
ステージ1ボス
ステージ2。半透明機能を使った水中シーンは圧巻!
ステージ2ボス
ステージ3
ステージ4。おふざけがここだけなら…。
ステージ4ボス
ステージ5。ここで待ちぼうけた人は多い。
ステージ5ボス
ステージ6
ステージ6ボス
ステージ7。悪名が高い。
ステージ7ボス
ステージ8開始。
ステージ8
ラストボス。
綴り間違い2ヶ所発見!
エンディング
PROMO WORD
共和同盟軍(RAF )第26 資源採掘惑星"デリア"の外敵自動防衛システムの異変を調査に来たマーティン・ヒレンカーター 率いるMIDAS 1137 、通称GODEYE のクルーは、未知の力を持つ強大な敵に対し、今までに人類が経験した事のない恐怖を味わっていた。4 時間前に降下した調査隊が「細かい組織状の液体が侵入してくる」と言う報告を最後に連絡を絶ってしまった のである。
未知の液状生命体。しかも彼らには、「侵略」の意志がある。ヒレンカーターはGODEYE に迎撃体制を命じ、情報部、科学局、武装開発局合同のプロ ジェクトを設立。戦闘機A -144・ PHALANX に強力な防御システムを搭載させ、迎撃ユニットを構成させた。プロジェクト 名は「CLIMAX 」。任務の失敗はGODEYE の全滅を意味する事から付けられた名称である。
SYSTEM:JOYSTICK
ADPCM+FM
M IDI(ROLAND M T-32 /CM -64 )
with CZ-6BM I(純正 M IDIボード )
PRICE :5"2HD×3
¥8,800
(消費税は含まれません)
株式会社ズーム
TEL.011・613・0191
FAX.011・613・9570
(ユーザーサポート係)
札幌市中央区北1条西20丁目46-133 〈DEVEX 120 6 F 〉〒064
表記のソフトウェアプログラムとマニュアルは、当社が創作・開発した
著作物です。このソフトを無断で複製したり、ゲームの映像を私的以外
に使用することを禁じております。
『ファランクス』について
◆『ファランクス』概要
『ファランクス 』(PHALANX )はSHARP X68000専用としてズームが開発を行い1991年5月17日に発売した横スクロールシューティングゲーム。『ラグーン 』に続くズームの第3作目にあたる。追加メモリには標準対応していないが、ハードディスクインストールや外部MIDI音源(MT-32準拠の音源)に対応している。販売数は不明だが少なくとも1万本以上は売れた ことが述べられている。
企画自体は『ラグーン 』の開発が終わる頃に休憩時間などの話し合いで徐々に決まっていったという。開発は1990年9月下旬 に開始、およそ7か月で完成させた。
海外版の意味不明なデザインで話題になりがちなパッケージであるが、X68000版のパッケージや広告で用いられたイラストはプラモデル・ボックスアートの巨匠・髙荷義之 (Yoshiyuki Takani 、1935年12月28日-)が描いている。
1992年8月7日には任天堂スーパーファミコン用として、また2001年10月26日には任天堂ゲームボーイアドバンス用として移植、共にコトブキシステムから発売している。2009年12月22日には任天堂 WiiのWiiウェアでズームが移植・発売している。ただしいずれも何らかのアレンジが加えられており、忠実な移植ではない。2023年8月8日には瑞起 X68000 Z用として発売された『ZOOM PACK1 』に収録された。
祝・会報出現記念マンガ. 健康「その壱」. 1991年11月29日, p.7
MAKING of ファランクス. ログイン. 1991年10月18号(No.20), p.220
▲ 2001年5月のダウンロードページ
▲ 2003年9月19日以降のダウンロードページ
2005年にはZOOM公式ページで再度無償配布が行われた。
過去にはRetro PC Federation協力の下、エミュレータ用としてズームの公式サイト(ZOOM ONLINE INFORMATION)にて2001年3月15日から2004年7月頃(リニューアルのため公式サイト長期休止)までマニュアル(PLX_MAN.zip)とディスクイメージ(PHALANX.zip)を無償配布。その反響は開始直後に即日回線がパンクしてサーバー移転を余儀なくされ、翌日には配布のためのレンタルサーバーを用意するほどであった。
2005年の公式サイトリニューアル後に配布ページは無くなったが2005年6月19日から期間限定(2005年6月26日まで)で再度無償配布。また、一旦休止(富士通 FM TOWNS版『ジェノサイド・スクウェア 』のCDイメージデータと入れ替え)の後2005年12月31日からおよそ半年ほど期間限定で無償配布が行われた。
◆『ファランクス』の開発スタッフ
▲ ファランクス開発スタッフ(ログイン1992年10月18日号 No.20掲載)
ゲームデザイン及びメカデザイン、キャラクターエディットは主にチーフデザイナーの福田正和 (Masakazu Fukuda 、1968年12月 -)が担当。登場人物のキャラクターはサブデザイナーの上戸直樹 (Naoki Ueto )が描いている。
メインプログラマーは当時20歳の山尻立男 (Tatsuo Yamajiri 、1970年6月20日 -)が務めた。山尻立男 はズーム入社後サブプログラマーとして『ラグーン 』に参加。この『ファランクス 』を経てズームのチーフプログラマーとなった。ソースプログラムはNEC PC-9801上で『MIFES 』(メガソフト)を使い入力(山尻立男 の場合でありプログラマーにより使用エディタは異なる)、アセンブルにはX68000のフリーソフト『X68k High-speed Assembler HAS.X 』(中村祐一 製作)を使用している。
音楽は後にも数々のゲーム楽曲を手掛けることになる神尾憲一 (Kenichi Kamio )を採用。音楽担当としてはX68000ズーム作品の中で唯一の外部スタッフである。
福田正和氏のデザイナーへの道. 健康「その弐」. 1992年3月, p.2
山尻立男氏のプログラマーへの道. 健康「その壱」. 1991年11月29日, p.4
◆ファランクスのゲームルール
▲ 大体の人はここでしばらく何が起こるのか身構えたんじゃなかろうか。
『ファランクス 』は前述のとおり横スクロール型のシューティングゲームだ。とは言っても真横に延々とスクロールするわけではない。時には斜めにスクロールもする。また、右方向への強制スクロールが基本ではあるが時には自分で任意にスクロールさせることになる。例外として任意に自分のコントロールでスクロールさせるステージも存在する。ステージ5なんかは何がやってくるんだ?と待ちぼうけを食らったり、もしかしてバグじゃないかと焦ったプレイヤーも多いんじゃなかろうか。初見だとこういうところでも色々な意味でドキドキさせられた。なんせマニュアルには仕掛けに関することが一切書かれていないからだ。仕掛けに関して批判もあったことは理解できているがとりあえず初見は驚いた。こういうのを許さsせるのが家庭向けに作られたシューティングの醍醐味なんだと理解はした(納得はできていない)。
▲ 豊富なウエポンバリエーション。
ショットの種類は通常弾を合わせ5種類。ウエポンカプセルは使用中を含め3つまでストックできる(それ以上取得すると古いものから消えていく)。パワーカプセルを取ることにより受けたダメージを1回復し、ウエポンを4段階までグレードアップさせることが可能だ。そのウエポンを引き換えにスペシャルウエポンとして一定時間使用可能となっている。またサブウエポンとして段数制限のあるミサイルが3種用意されている。
ゲームルールとか武器とかに関していろいろ書く。休みがほしい。
◆クリアできなくもない絶妙な難易度
▲ これらは初手では必ず引っかかるであろう罠だが、こういったものは驚きを与えるためのギミックだろう。
『ファランクス 』のレビューでまれに見かけるのは「高い難易度」という表現だ。シューティングゲームは最初のステージから徐々に難しくなっていくというのが一般的だが『ファランクス 』は難易度が全ステージフラットな印象を受ける。1面であろうが4面であろうが8面であろうが然程難易度は変わらない印象なのだ。そのため1面にしては難しく、8面にしては簡単というのが私の受けた印象だ。
明らかに初手では抜けられない意地の悪い罠的なギミックはほんの少し用意されてはいるがプレイヤーを驚かせるための演出みたいなものだ。敵の弾数もやや多めではあるが避けられないレベルではないだろう。また残機は5機まで標準で増やすことができるし、3回被弾した段階で1機失うシステムであり、その場からスタートするため親切ではある。
『ソル・フィース』 1990年ウルフ・チーム作品
『ナイアス』 1990年エグザクト作品
『サンダーフォースⅡ』 1988年テクノソフト作品
X68000専用として発売したシューティングゲームで見た限り、これまでに発売した『サンダーフォースⅡ 』や『ナイアス 』に比べればエンディングを迎えるのは比較的簡単に思えるだろう。『ソル・フィース 』は序盤こそかなり難易度は低い部類だと思うが終盤は鬼のように難しいなんていうこともない。じっくりプレイすればいつの間にかクリアできるようになっている。それが『ファランクス 』ではないだろうか。
▲ 1面ボスとは思えないくらい強いE・Fは、うまくやればこのようにテクニックもほとんど不要だ。
◆ズーム初の外部MIDI音源対応BGM
▲ Roland MT-32(1987年9月22日 発売)。定価69,000円は当時コストパフォーマンスが高い音源だった。
『38万キロの虚空』 1989年システムサコム作品
BGMは作曲・編曲は神尾憲一 。ズーム初の外部MIDI音源対応となった。国産ゲームで外部MIDI音源対応が始まったのはシステムサコムの『38万キロの虚空 』 (1989年10月21日発売)だ。そこからトレンドに乗り遅れることおよそ1年半、ついに対応した記念すべき作品でもある。
対応音源はRoland MT-32とその互換および後継モデルであるCM-32L/CM-64となっている。実際に使用されているのはMT-32パートのLA音源部のみだ。CM-64で演奏した場合MT-32よりグレードの高い音で演奏されるという誤解が稀に見られるがそれは間違いだ。CM-32Lで追加されたSE音色や、CM-64で追加されたRS-PCM部分は使用されていないため、MT-32と演奏は全く変わらない。
ローランド、モジュールも、ピアノ演奏再生用レコーダーを発売。. 日経産業新聞. 1987-09-18
▲(参考動画)MT-32と内蔵音源をシンクロ演奏した想定プレイ。
ひとえにMIDI音源対応と言っても、BGMのみMIDI音源で効果音は内蔵音源、BGMはMIDI音源と内蔵音源のシンクロ、BGMも効果音もMIDI音源と3パターンに分かれる。
『ファランクス 』ではオープニング曲のみ内蔵音源(+ADCPM)とMT-32のシンクロ演奏が行われる。ただし、ゲーム中のBGMは内蔵音源かMIDI音源の選択でシンクロ演奏は行われない。EGG MUSICでは内蔵音源とMT-32のシンクロ演奏を聞くことができる (MIDIの音量が小さすぎる気もするが)。本来はシンクロ演奏を想定していたようだが無くなった理由は不明だ。
『ファランクス 』に関してはシンクロ演奏時の音量バランステストが存在しない。そのためユーザーにより内蔵音源とMIDI音源の音量バランスが異なる。これに関して現在のところ正解はなく個々の判断で行うしかないだろう。
PHALANX オリジナル・サウンドトラックス. 2006-09-14https://www.amusement-center.com/project/egg/music/?product_id=254
PHALANX BACKSTORY
その、全長200kmを超す巨大な物質は現在亜空間を航行中である。自体の付近には船の様なものが何百隻も寄り添っている。彼らは生体エネルギーを求め、気の遠くなるような距離を移動し続けていた。それは彼らの意志であり、彼らはその為だけに存在していた。長い長い間彼らはその進路上に存在する生体系に侵入し、自らの中に取り込んできたのだった。現在彼らが宿っているその物質も、彼らが作りだした物ではなかった。その物質に記されている集団を統べる為と思われる赤い三角のマーキングも彼らの意志とば何の関係も持たなかった。
──巨体は急にワープアウトした。そこはアステロイドの中だった。巨体の向いている方向には一つの惑星が見えた。巨体は暫くその惑望を見つめていた。その内、巨体にまとわりついていた船が一斉に動き出し、目前の惑星に移動し始めた。巨体は惑星を見たままただ沈黙していた。時に、AD2279年の事である。
惑星デリアと呼ばれる総人口1800万人に満たないその星は共和同盟軍(RAF)の第26資源採掘惑星である。様々な鉱物そしてある種の特殊ガスが採れるため、同盟軍内部ではかなり重要な採掘源となっていた。そのデリアから通信が一切絶たれてしまってから2週間が経った。内部の反乱、軍事的な何らかの工作も現在の状況からは考えにくい。気象条件的な通信の遮断も有り得なかった。更にデリアには外敵に対する強カな自動防衛システムがあるはずだった。にも関わらずこちらからの信号に何の反応も示さなくなってしまったのである。
2219年の連合政府制圧戦から60年が経った現在でも任務に現役で参加している特殊戦術要塞MIDAS1137(通称GODEYE)には本部から惑星デリアの異変を調査するという戦術要塞にしては割と地味といえる任務が下っていた。が、いくら制圧戦当時に惑星を一つ消滅させた(MARSと呼ばれていた)実績があるとはいえ、60年の酷使で機体はガタガタだったので、任務と言えば一定区間内のパトロールがいいところであった。今回も調査隊を編成し、惑星に降下させていた。以前にも同様の任務が何度もあったのでさしたる問題もなく事は進んで行ったが、48時間を隔てた今、GODEYEのクルーは今までに体験したことのない緊張と恐怖を味わっていた。調査隊が「細かい組織状の液体が機内に侵入してくる」との連絡を最後に消息を絶ったのである。これまでにも異種生命体との遭遇はあったが、「侵略」の意志を持った例は初めてであった。総指令官マーティン・ヒレンカーターは全艦に迎撃体制を命じた。実に60年ぶりの実戦配備となった。更にヒレンカーターは情報部、科学局、武装開発局合同のプロジェクトを設立した。そこでは、多目的戦術機A-144・PHALANXを対液状生命体戦用にリファインを施していた。可変武装システム「イオックス(I.O.C.S)」、強化防御フィールドリアクター、新方式の推進エンジン等を装備したA-144は調査隊消失から4日という驚異的なスピードで完成を見た。
各システムの提唱者、科学局所属メル・ウィンターは弱冠25才でプロジェクトの総指揮をとる女性である。IOCSの発案者である故ジェフ・ウインターの意志を継ぎ、20才の時点で理論を完成させたという天才である。今回の任務でA-144のパイロットに遠出されたリキ・サナダとは将来を誓いあった仲であった。2人ともGODEYE艦内で生を受けた者だった(但し、リキは試験管ベビーである)ので周囲の期待も大きかった。が、今回の作戦でリキが無事に帰還できるという保証がどこにも無いだけに、GODEYEのクルーだけでは無くメルも立場上複雑な気持ちにさせられていた。できることならリキを行かせたくはなかったが、生まれつき正義感が強く、血気盛んなリキを止めることは彼女にはできなかった。それはプロジェクトの指揮者としてではなく、彼女個人年若いリキのそんな部分にひかれていたからである。
リキ・サナダは18才という年齢からは考えられないほどの業績を第13飛行中隊「デルタ・パック」で挙げてきたエースである。今回の作戦にはサポートとして中隊在籍時の良き仲間、グレン・フォスター少佐とダラス・フォード少佐がバックアップすることになっていた。この2人はツーマンセルの行動には定評のあるペアである。ブリーフィング時にグレンはそれとなくリキにメルのことを聞いてみたが、リキは何も言わなかった。
PHALANX投下作戦は、任務の失敗がGODEYEの全滅を意味する事から"CLIMAX"と名付けられた。作戦決行時、既にコクピットに収まっていたリキの傍らにはメルがいた。2人は何も話していなかったが、メルがそこを離れるときリキは一言だけ「必ず戻るから」と言った。
AD2279・5・17、00:00:00、A-144と支援艇STORKER-1を搭載した輸送艇「REIDHURCURES」がゆっくりとデリアに降下してゆく。目指すは謎の液状生命体に乗っ取られてしまったシステムの中枢である。固唾を飲んで見守るGODEYEの後方20万kmのアステロイドの中では銀色に光る巨大な物体がこちらを黙って見つめていた。
トリビア
◆NOCOPY!
▲ 一般的には見ることができない画像。
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ログイン 1991 No.14 ズーム ありがとう広告'91
当時、ほとんどの製品にはコピープロテクトがかけられており複製ができないようになっていた(アダルトソフトは例外)。『ファランクス 』も例外ではなくコピープロテクトがかけられている(オープニングディスクはノンプロテクト)。
不正コピーを行いプロテクト解除に失敗した場合、お茶目なグラフィックが表示されるようになっている。ちなみに『ファランクス 』発売後の7月、広告に掲載された不正コピーに関する文章で炎上(したらしいが、私の周りでは特に火は見えなかった)事件を起こしている。
◆MIDIボード装着時のバグ
▲ MIDIボードが挿さっていると内蔵音源でエンディング曲が鳴らない
既知のバグとしてMIDIボードが拡張ボードに挿さっているとゲーム中のBGMを内蔵音源で指定していてもエンディングおよびスタッフロールのシーンが強制的にMIDI出力になる。内蔵音源の演奏でエンディングを見たい場合はMIDIボードを外す必要がある。
裏技の紹介
◆隠しメッセージ
システムディスクに「FUCKME.KMN 」のファイルがある。内容は開発者からのメッセージ
◆面セレクト
タイトル画面で「AKICHANSUKI」と入力。入力は一文字ずつではなくA を押しながらK 、A を離してI 、K を離してC というように前の文字を押しながら次の文字を押していく。
◆無敵モード
タイトル画面で「SUGOINO」と入力。入力は一文字ずつではなくS を押しながらU 、S を離してG 、U を離してO というように前の文字を押しながら次の文字を押していく。
◆残機が増える
タイトル画面で「FUERUNO」と入力。入力は一文字ずつではなくF を押しながらU 、F を離してE 、U を離してR というように前の文字を押しながら次の文字を押していく。最大9機まで設定することができる。
◆オープニングでスカートが落ちる
オープニング終了後、メッセージ画面が表示された時にキーボードからY U K O と一文字ずつ入力する。