アークス pro68K
対応機種 :
メディア : 5inch 2HD (5枚)
定価 : 10,000円 (税別)
発売日 : 1989年4月21日(発売予定1989年3月下旬から延期)
販売元 : ウルフ・チーム
SCREENSHOTS
PROMO WORD
──────物語はRPGを覚醒する。
■フルカラー・グラフィックの3Dダンジョン。人口迷路の他に自然の地形迷路もある。
■自然宗教を核として設定された、独特のファンタジー物語がビジュアル・グラフィックで展開する。
■パソコンRPGならではの、連続成長システムを導入。
この国に、かつてない大きな異変の波が押し寄せてきている。父の墓前に別れを告げたジェダ・チャフは、形見の剣と鎧を持って旅立った。「父はなぜ騎士を捨て、樵になったのか?」騎士になればその答えがわかるはずだと、功名を求めてあてのない青春の旅に向かう彼を巻き込む、アルカサス異変時。部族も、旅の目的も違う者達が出会い、そこから本当の旅が始まろうとしていた。過去、精霊達に見放され、大自然の神秘の力「魔法」を封じられたその歴史ゆえか、平和の万人と伝承される"黄金の竜"自らが、「太陽がその光を失う時、最後の審判が下る」と国王に最後通牒を発してきた。この国に降りかかる審判とは何か!運命という大河に巻き込まれ、翻弄される六人の行く手には壮大なドラマと真実が待っている……人は、歩む道の終りを知ることはできない。
「ARCUS」はRPG本来の「過程を楽しむ」という精神的な観点から、「物語としてRPGの世界を感じたい」を基本的なテーマとしています。そのためにゲーム世界の視覚表現を充分に取り入れ、プレイヤーがドラマとしてファンタジー世界の冒険を堪能できるように綿密に設計されています。
「ARCUS」は何年も経過する長いキャンペーンではないので、成長とは肉体的なものではなく、勇気と精神の成長である。経験とはモンスターに対する「戦闘経験」、「ARCUS」には従来の経験ポイントもそれに伴うレベルもない。
プロローグ

太古の昔、人間は大自然の脅威に脅えながら細々と暮らす弱い存在であった。嵐、山火事、洪水、地震など、人々はその強大な『力』の存在を恐れていた。しかし、その『力』を司る者達………自然を統べる、火、水、土、風の精霊達………の存在を知った時、その"恐れ"は"崇拝"へと変わり、彼等を自らの"支配者"として崇められるようになった。だが、同時に人間は、精霊達のその神秘的な『力』に魅せられてしまい、やがて自らの知恵によってなんとかそれを会得しようと模索する者達が現われた。時の王は彼等に『聖導師』という地位を与え、精霊達からより多くの恩恵を授かれるように務めさせた。その願いはかなえられ、精霊達は『聖導師』に限って、その『力』を使える"四つの器"を人間に与えた。『聖導師』達はその"特権"によって自然を操り、人間はその『力』を大いに利用して文明を築き、栄えていった。しかし………人間はさらに多くの『力』を欲するようになった………戦いのために………!そして人間達は、生来より持つその不屈の精神で精霊達から得た『力』を "呪文" という形に置き換えて利用する "学問" を発明し、それを『魔(法)学』と呼んだ。現在で言う『魔法使い』の誕生である。強力無比な魔法の力を得た人間は、より良い土地を求めてその勢力を拡大し、先住部族達を力で追い払った。
その、あまりの "無軌道ぶり" を見兼ねた精霊達は、人間からいっさいの『力』を奪い去るため、アルカサスの国を見捨ててしまったのだった。精霊の加護を失った王国は、いたるところで土地が荒れていった。氷河の侵攻、砂漠、荒野の拡大………精霊信仰はすたれていゆき、人々の心はすさみ、部族間の争いが絶えなかった。そして、今………この国にかつてなく大きな異変が起ころうとしていた………!
登場人物

ジェダ・チャフ
種族:人間 18才
母を早くに亡くし、その昔、騎士の名声を捨て樵となっていた父と共に、物心ついた頃から人気のない山奥でひっそりと暮らしていた。
厳格な騎士道を歩んできた父親に育てられたおかげで、礼節を重んじ、素直で正直なたくましい少年に成長したものの、母の優しさの記憶に乏しいせいか、根は優しいがそれを表現するのは苦手である。武器の扱いにとりわけ長けている訳ではないが、父の手伝いをしながら長い間野性的な生活を送ってきたので、力の強さだけは確かなものがある。

エリン・ガーシュナー
種族:人間 17才
出生の詳細は本人が明かさないので謎である。が、姓から判断すると、西北の地に分布する狩猟民族の出と思われる。放浪の旅を続ける内に、数々の戦いをくぐり抜け、剣の腕を磨いたらしい。戦さ慣れしており、男勝りの剣裁きと軽快なフットワークで敵を倒していく様は見事なものである。ただ、独りで行動してきたことが多かったせいか、団体行動は苦手である。
無類の酒好きで、飲むと暴れて手がつけられなくなるという酒乱癖があったりする。

ディアナ・フィレリア
種族:エルフ 年齢不詳
その昔、エルフ達は人間に土地を追われ、今はアルドゥールの森でひっそりと暮らしている。彼女はそのエルフ族の族長の娘で、幼い頃から戦士としての訓練を受けており、今ではエルフ族の戦士達を従えるほどの腕前を持っている。が、何事にも慎重な判断をとりがちな為、緊急事態での行動がやや出遅れることがある。性格は穏やかで優しく、生まれが高貴な処も助けて、何者にも侵されない気品と風格をそなえている。また、勧善懲悪主義者であるために、ささいな悪事にも目をつぶることができず、何らかの制裁が下されるまで許さない "正義の味方" である。

トロン・ティア
種族:ホビット 32才
ホビット族の商人の息子で、裕福な家族に育ったが、ホビット族が人間に追われて土地を失って以来、泥棒稼業をしながらあちこちを放浪している。"獲物は大物に限る" という信念を持ち、人間から盗むことが多いため、その名は同族の間では有名である。が、内心ではそんな泥棒家業に飽き飽きしており、"もっと広く世界を巡り、壮大な冒険を成し遂げたい"という夢を抱いている。
足は速く、手先も器用だが、体が小さいので重い武器や道具を持って走り回ることは苦手である。お人よしで優しい性格の持ち主だが、損得勘定には少々うるさい。

ピクト・アネクシオス・ピヨント
種族:ハーフエルフ 12才
人間とエルフ族の、両種族の断絶をもかえりみず、エルフ族の語り部の娘イリス・レグ・ピヨントと、人間の若者アネクシオス・フォトノが駆け落ちして生まれた混血児、ハーフ・エルフである。
母から多くの伝承について聞かされており、伝説や歴史について実に様々な知識を持っている。好奇心はかなり旺盛なのだが、その珍しい容姿のために幼い頃から回りにうとんじられ、気弱で引っ込み思案な性格になってしまった。まだ、子供なので体力はあまりなく、戦いの経験もいっさいない。。

ヴィド・シア
種族:人間 54才
その昔より魔法について多くのことを研究してきた魔学者の末裔。古の聖導師ルディ・クロウス・リーの血筋をひいている知恵者である。薬学を始めとする様々な学問に通じ、知識も豊富ですこぶる頭の切れる男だが、自信過剰で自己中心的な物の考え方をとることが多く、人を見下すばかりでなく、自分の失敗を人に押しつける悪い癖を持っている。さらに日常においては傍観者を決め込んでいるのに、集団においての決断をとる際には決まって指揮をとりたがるという、少々やっかいな男である。
アークスpro68Kについて

ウルフ・チームが日本テレネットから独立して第二作目作品であり、移植作である本作がX68000初参入作品になる。アークスが第一弾ということは、処女作である「ヤシャ」がやはり評判を大きく落としてしまったからという可能性が考えられる。ほぼ1年遅れての発売ということで、パッケージは一新し「ARCUS pro68k」とした。ただし、パッケージのウリ文句やマニュアルはほぼ共通である。
PC-8801mkSR版アークスより林浩樹氏が日本テレネットから移籍、ゲームデザインとキャラクターデザイン(代表作:夢幻戦士ヴァリス)を務めた。
X68000用にグレードアップしたグラフィックだが、X68000時代の後半作品まで特徴とも欠点となる色使いのスタートになる。全般として「塗っている」という表現が当てはまる。とにかく濃いのだ。そして、なぜかゲーム画面周辺のグラフィックはキャラクターに至るまで8色。ベタ移植ではなく、修正はされているがなぜだろうか。
しかし、最も問題なのは自分の環境だけかもしれないが、エンディンググラフィックが表示されなかったことだ。
このアークスではオーソドックスなRPGから一皮剥けた作品にしようとする意欲的かつ斬新なゲーム設計になっている。ただし…これらがユーザーに受け入れられたかというと、全て空振りに終わったと言わざるを得ない結果になった。細かい点を含め「ウリ」であった部分を大まかに纏めると、ゲームらしい非現実的なものをカットし現実的らしくしようと試みているということだ。

1. 経験値やレベルが存在しない
ゲームを楽しむ過程での一つの目的であり強さを実感させる目安でもあるパラメータを全て排除。レベルアップが無いからヒットポイントは最後まで上がらない。内部的には各モンスターに対する経験値を与えており、与えるダメージが増えていくようになる。理論としては「初めて見るモンスターにはどんな手が通用するか分からないので経験はゼロだ」ということだ。自分が各モンスターに対してどれだけ強くなったか測るベクトルが無いため、一体いつまで反復作業(戦闘)を繰り返せばいいのか分からない。戦闘に対する空虚感が漂うことになる。この各モンスターに対するパラメータを公開させるだけでもゲームとしては面白くなった筈だ。
逆に無駄に付加されたと思われるものは、戦闘シーンのコマンドである「突撃」や「迎撃」(まず「戦う」以外使うことがない)、「励ます」コマンドによるPL(プラック:勇気)の回復コマンド。そもそも、PLパラメータに魔法のMPを混ぜてしまった点が腑に落ちない。表記されている一般的な攻撃力・力強さ・敏捷性・運などのパラメータは一切変わることが無いのに表記されていたりと一貫性が無い。
2. 新しい(強い)武器が存在しない
武器は各キャラクターが初期所有しているものから変化しない。購入することも手に入れることもない(武器屋が存在しない)。お金を貯めて武器を購入しモンスターに対して優位に立つというゲーム的な面白さ(達成感)をカットしてしまった。伝説の剣や鎧など現実的では無いということなのだろうが、少なくとも初期装備の剣や鎧より強い武器は世の中に幾らでもある筈だ。そもそもゲームとしてこれは楽しいか?
3. お金が手に入りにくい
一番困るのがお金。説明書にも手に入れる方法が一切書かれていない。一番困ることは何か?それはお金が無いと「宿屋」に泊まれないこと。宿泊しないとセーブできないのだ。これは致命的だ(なぜか意味もなく何泊するか聞いてくる上に連泊できる。これもリアル志向なのか?)。
一般的なRPGであればモンスターを倒してお金を手に入れる。それが戦闘を反復して行う理由の一つでもある。が、この作品ではそれを否定する。「モンスターが現金を所有しているのはおかしい」ということなのだろう。基本的に初期所有している財産が全てに近い。後はダンジョンにある一部の罠を解除するとお金が手に入るが、その罠もそうそう見つからない(しかも一度解除すると二度と出てこない)。中盤以降には複数持っておきたいアイテムである「解マヒ薬」「解毒薬」などがそこそこ高額でポンポン購入できない。それ以前に数もアイテム数制限がきつく持てないが…。
4. アイテム購入には「値切る」コマンドあり
ある意味画期的。ほんの気持ち程度安くなる。数回連続で値下げされることもあれば1回で断られることも。ランダムのようだ。ちなみに、拾得したアイテムを売ることもできるが、そのコマンドは「売りつける」だ。悪徳商人になった気分である。

ゲーム中盤を過ぎるとお金が無いのでアイテムが買えず、マヒや毒が直せずバタバタキャラクターが死んでいくわけだが、救済措置が無いわけでもない。このゲームには全滅しても復活するドラクエ的処置がある。しかも全員復活する上、お金は全く減っていないのでドラクエよりも優遇されているといえる。全滅させると内部経験パラメータが一定レベルまで下がっている様な気もするので、適当に戦闘させまくり全滅する直前で切り上げ、ドリトニア(復活場所)に向かう。このパターンを繰り返せばアイテムを使うことなくビシバシ内部経験値を上げることができた。
しかし、本来RPGゲームは一つ面白さとして経験を積むことにより、全く敵わなかったモンスターと対等に勝負できるようになることが挙げられる。これにより先に進みフラグを回収し、同じ作業を最終局面まで繰り返すというのがRPG共通の道筋であり醍醐味だった筈だ。それを真っ向から否定しフラグ作業だけを中心に据えてみた実験的要素をそのまま組み込み商品化したというわけだ。ただ、ありがちなのは…武器・経験値の排除はゲームバランスの調整が行いやすいから。…という大前提があったからというオチがあるような気がする。
ヤシャに比べればゲームとして成り立たないという完全否定な話は聞かない。好意的な話は聞かないが最後まで攻略した人の話は多く、そういう意味ではある程度の完成度だったゲームと言えなくもないかと思える。(100x100のただの平面マップであるゼルド砂漠で1コマのフラグ(精霊)を探す理不尽な件はさておき‥)
アークスに対する個人的難点は地名とダンジョン名が合致しないところだ。例えば最初に訪れるダンジョンの地名は「エルミザード」。しかしダンジョン名は「聖殿地下」。「ミリュウ」→「三日月湖の塔」、「カランドル」→「風の谷」、「ゼルド砂漠」→「荒野(何故に?)」、「コリアンドル」→「氷河」など、関連付けが非常にややこしいことになっている。書籍「山下章のチャレンジ!!AVG&ERPG V」を参考にしたが、逆にダンジョン名しか記載がなく、過去の自分も同様の混乱に陥ったのか鉛筆で地域名がメモ書きしてあった。ウルフチームの作品は度々こういうことがよく起こる。

音楽面ではPC-8801mkⅡSR版に比べると特にパーカッション関係の音が弱く、どうしても劣っているように聞こえてしまう。ADPCM同期にするだけで大きく印象は異なると思うが、これだとX1のベタ移植ともいえるだろう。ウルフ・チームは音楽面でしばらくサウンドボードⅡを追い越すことができない時代が続くことになる。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)
01 レジェンド (オープニング)
02 メリーゴーランド (プルデンシア/シェレル/リヴゴーシュ)
03 フォーセール (よろず屋)
04 カンパレロ (酒場)
05 バラード (エルミザード・聖殿地下)
06 ファイターズ・ファイト (戦闘)
07 エクスプロージョン (イベント:エリン・ガーシュナー)
08 オペレーション (イベント:ヴィド・シア)
09 悠久の時を見つめて (菩提樹)
10 迷いの森 (イベント:ディアナ・フィレリア)
11 イリスレクイエム (イベント:ピクト・アネクシオス・ピヨント)
12 センチュリー (イベント:アルカサス王国 国王)
13 プレリュード (ミリュウ・三日月湖の塔/ゼルド砂漠・荒野)
14 ブルーマジック (イベント:魔女)
15 モーニングムーン (ホテル)
16 エチュード (カランドル・風の谷)
17 精霊との出会い (イベント:精霊)
18 ゼルドマッドネス (ゼルド砂漠・入口)
19 ブリザード (コリアンドル・入口)
20 シンフォニー (ドラゴン山)
21 コンチェルト (コリアンドル・氷河)
22 伝説の炎 (ドラゴン山・精霊サラマンダ)
23 トラップ (罠)
24 ゲッティングローサー (アイテム取得)
25 エンドレスファイト (ラストボス・ブラックドラゴン)
26 セイント (ドリトニア)
27 エンド・オブ・ザ・ワールド(未使用)
28 オーバー・ザ・レインボー (エンディング)
合計時間 : 32:07
作曲者 : 宇野正明
DISCOGRAPHY
ミュージック・フロム ヤシャ&アークス

発売日: 1988年10月5日
価格: 3,000円
商品番号: K30X 7709
販売元: キングレコード
収録曲
YAKSA
01 IPL
02 龍王魔空「夜叉」
03 風の中で
04 迫りくる脅威
05 WA・RA・JIを得た
06 魔空への序曲
07 ニューアート・イグニッション
08 天海の魔王
09 工ピタフパートI
10 暗雲の中へ
11 悲しみのエチュード
12 「沙羅」のテーマ
13 エピタフパートⅡ
14 「沙羅」リプライズ
15 再来
16 宿命の嵐
17 神武伝承
18 帰らざる旅路
19 死魔神
20 ゲーム・オーバー
21 WOLF'87
22 フォーエバー旅立ち
23 老師の樹のもとで(YAKSA外伝Ⅰ「円月心覚書」より)
ARCUS
24 レジェンド
25 メリーゴーランド
26 フォーセール
27 カンパレロ
28 バラード
29 ファイターズ・ファイト
30 エクスフロージョン
31 オペレーション
32 悠久の時を見つめて
33 迷いの森
34 イリスレクイエム
35 センチュリー
36 プレリュード
37ブルーマジック
38モーニングムーン
39 エチュード
40 精霊との出会い
41 ゼルドマッドネス
42 ブリザード
43 シンフォニー
44 コンチェルト
45 伝説の炎
46 トラップ
47 ゲッティングクローサー
48 エンドレスファイト
49 セイント
50 エンド・オブ・ジ・ワールド
51 オーバー・ザ・レインボー
<八イグレード・バージョン>
52龍王魔空「夜叉」(YAKSAより)
<八イグレード・バージョン>
53イリスレクイエム(ARCUSより)
■エンディングムービー
最後の戦闘シーンより収録