遙か歴史の彼方に綴られた、聖なる冒険の伝説。
ヴェイン ドリーム
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (7枚)
定価 : 7,800円 (税別)
発売日 : 1991年7月13日(発売予定1991年3月下旬→6月中旬→6月22日から延期)
販売元 : グローディア
○要2ドライブ
○アナログモニター専用
○ジョイ・スティック対応
○サウンドボードⅡ対応
SCREENSHOTS
PROMO WORD
遙か歴史の彼方に綴られた、聖なる冒険の伝説。
■洗練されたゲームシステム
前作エメドラで高い評価のゲームシステムをより遊びやすく、より快適に、パワーアップいたしました。
■更にパワーアップしたヴィジュアルシーン
ストーリーを盛り上げるとともに、主人公トリスの出会いと別れが美しいヴィジュアルシーンによって再現されます。
■様々な変化を見せるゲームフィールド
通常の2D方式移動に加えて、3D方式、多重スクロール等、様々な移動方法が広大なエルゼリアの世界を表現していきます。
■ゲームを彩る多彩なゲームミュージック
様々な場所や場面で奏でられるBGMは40曲以上!
プロローグ
坑道の最深部には重い湿った空気が漂っていた。低い天井のどこからか雫が落ち、長くそして深い坑道に響き渡る。全くの暗闇、完璧な無音。かけだしの兵でなくとも尻ごみしてしまう威圧がここにはあった。
前王による地下36階層以下立ち入り禁止の勅命から、すでに10年の月日が流れていた。ここは南の国セルジルドを東西に分断する大地の裂け目、人々はガンティレイグと呼んでいる。そして、それにまたがる様に、セルジルドの民に富を与えていた銅の鉱脈があった、100年以上も前から鉱山として大量の銅を掘り出しているにも関わらず、その産出量は衰える事が無く、未だ眠る埋蔵量は膨大な物である。だがこの鉱山には一般には知られていないもう一つの産出物があるのだった。
「神々の遺産」この世界でこう呼ばれる物がある。
エスファーム四聖神による世界統治の時代、神が人に与えた物、そして伝説の神々の時代に、神が手にしていた武器道具がそれであった。セルジルド島の地下からは、それらが多く発掘されていたのだ。
今、封印の扉は開かれ、黒衣の神官を従えた男がこの鉱山の最深部に足を踏み入れようとしていた。長い眠りに着いていた岩達が不意に起こされ、排他的な怒りを込めた念を人間にぶつけている。それは張り詰めた空気と言うより、凄まじい殺気だった。随行していた兵士の数人は、頭痛や吐き気を訴え次々に倒れていく。だがその男だけは、まるで殺気を跳ね返しているがごとく表情すら変えず、きらびやかな衣装は岩達の殺気を砕き、輝きをましているかの様にさえ見えた。
その男、たった今戴冠式を終え、この国を統べる者となった「皇帝」、オーベルト=ジェン=セルジルド 7世 その人であった。
「こちらです。皇帝陛下」
まわりの壁が急に様相を変えた。うだる様な湿気も、ここには無い。むしろ快適ささえ感じる事ができた。念のために先を偵察させた兵士が、皇帝をその目的の部屋に案内した。いままで表情を変えなかったセルジルドが数秒動けない程の驚きを示す。そして、
「やはりあったか………」
片方の目元を歪ませたと思うと、途端にその部屋の中に悪魔の様な皇帝の笑い声がこだました。
その形相は、この世の生物では無いかのようであった。
ここはエルゼリア。
かつて女神エルに統治された世界洋の西に広がる世界。どこまでも続く海、そして大陸エルバニスと周囲の大小無数の島々は、女神が地上を去ったのち今日に到るまで祝福を約束された美しい世界であった。
今を遡り800年以上の昔、神の世界で戦いが起った。エデンの崩壊と呼ばれるその戦いは僅か3日で世界の全てを焼き尽くし、その後全世界を氷の下に凍結させた。世界にカオスが吹き荒れ、人間達は岩陰に身を隠し、屈辱に耐えながらなんとか細い生命の糸を守らねばならなかった。そして3万日目にして長い眠りから4人の神が目覚める。神々は世界の荒廃に胸を秘め、15年を掛け世界に温かさを取り戻し、さらに1,000日間大雨を降らせて大地の汚れを洗い流したという。
エルゼリア暦紀元前500年、エスファーム四聖神が降臨した。
目覚めた4人の神は、世界洋の四方に位置する4つの大地のそれぞれに自ら降り立ったのだ。肥沃な大地に導き畑とし、魚群なす海を指し示し漁をさせ、人を集め、町を造らせ、国を造らせ、銅を与え、鉄を与え、時にかつての天界の技術をも与えた。常に脅威であった魔物達を暗き森の奥に追いやり、草原を切り開き、荒れ狂う海を帆船で越え、人間は僅か200年足らずの間に地上の支配権を取り戻した。人は再び繁栄し、神々は天界へ戻った。そして地上には「神々の遺産」が残ったのだった。
神がまだ地上に居た頃、人々に与えた武具がそれであり、神聖不可侵の神殿から出て来た宝物がそれであった。 多くの遺産は、その使い方を理解されぬまま保管されたが、幾たびかの戦乱でほとんどが行方知れずとなった。
やがて時を経、人の中に「神々の遺産」を使う者が現れた。
絶大なる力は彼らに、鋼鉄の体を、万人の愛を、世界の真理を、王の玉座を、………与えた。「神々の遺産」を手にする者世界を制する………
人々の間に伝説が生まれる。
「神々の遺産」手にする者、世界を制する。
エルゼリア歴223年春。大陸の南東に位置する島国セルジルドは何のまえぶれも無くエルバニス不可侵条約を破り、アスラフィル沖に浮かぶ貿易都市アルザックへ侵攻を開始した。援軍が間に合う間もなく僅か2日にしてアルザックは壊滅。勢い付いたセルジルド軍は、続いてエルゼリア最大の軍隊を持っていたアスラフィル国王都になだれ込んだ。この時、他の国々は貧しい島国の仕掛けた戦いがここで終る。そう思っていた。
だが、勝利したのはセルジルドだった。まるで女神エルがセルジド軍に微笑んだかのように………。そして、セルジド軍は次なるいけにえを求め、北のデュマへ進路をとった。
兵士 : 「変だと思わないか?なんでセルジド軍がアスラフィルの大軍に勝てたんだ?」
兵士 : 「我がデュマ軍の第一陣も敗退したと言うし。………セルジドの皇帝騎士団というのを知っているか?そいつらが魔物を自由に操っているというんだ。」
兵士 : 「知ってるぞ。妖騎士って呼ばれている奴らだ。おまけにセルジルドの兵士たちは呪術を使ってほとんどが不死の魔物となっているらしい。……だがどこまでが本当の話なのか。トリス、どう思う?」トリス : 「魔物でもゾンビでも何でもいい。俺達がこのラグーナの砦に居る以上、セルジルド軍はもうデュマへは近付けない。そうだろ。俺達はデュマの近衛騎士なんだぜ。」
しかし、この砦もセルジルドの妖騎士グランザム率いる魔道部隊の前に死体の山となし、たった一人を残して全滅した。たった一人、最後の一人となってまで果敢に戦いを挑み、グランザムによって深手を負わされ、そのまま川に落ちた一人………だが、この一人が後に多くの困難を乗り越え、妖騎士達にも優る力を身につけた英雄となる事を、今は誰も知らない。
彼はこの後、エステランザまで流され、魔道士見習いのメルウィンに助けられる。 もうろうとする意識の中、彼は奇跡的に助かった自分の命の全てを掛け、死んだ仲間達の為にセルジルドと戦う決意をしたのだった。
そして3ヶ月後、トリスの新たな冒険が始まる。
登場人物
トリステラム
かつてはデュマ王宮に仕える騎士であったが、セルジルドの魔道士グランザムに破れ、川に流されていた所を魔道士見習いのメルウィンに助けられる。壊滅したラグーナの砦、唯一の生き残りである。状況に素早く適応し、人並み外れた成長力を持っている。死んでいった仲間達、そして守らねばならない人々の為、再び戦場へ飛び込んでいく。
メルウィン
幼い頃ある事件をきっかけに魔法に目覚め、一人前の魔道士となるべく王都アスラフィルで修行中であったが、現在は戦火を避けエステランザに住んでいる。この戦いで家族も魔法の師匠も失っているが、明るく強く生きている。エステランザから程近い川辺で倒れているトリスを見つけ、一命を取り留めた命の恩人である。
カローン
燃え落ちる王都からメルウィンを助け出し、エステランザまで連れて来たのは彼である。以前は、ある富豪の用心棒をしていたらしい。自流ではあるがナイフにてだれ、市販のナイフを改良して威力を増した物を使う。今はエステランザで自衛団の団員として「オサ」に重く用いられている。
ラファエル
誰にでも好かれる笑顔と、熱い正義感を持つ青年。吟遊詩人として各地を旅していると言うが、自分の事はあまり話したがらない。時折マントの衿影に見える銀製のペンダントなど一介の詩人が持てる物ではなく、何かを隠していると思われる。武器はボウガンや、ショートボウが得意。
レイミーア
事実上アスラフィル軍はもう存在しないが、生き残った者が今なおレジスタンスとして抵抗を続けている。その先頭を切って敵陣に飛び込んで行く女戦士レイミーアの話は人に戦う勇気を与えた。噂では、彼女を含むレジスタンスの者達、それに隊長の元男爵サダは迷路の様に入り組んだ王都地下に潜んでいるらしい。
アーメス
クリスタル・グレイの異名でエルゼリアにその名を知られる魔道士。噂では銀色に輝く髪を長くたなびかせた青年であるらしいのだが、めったに人前に現れない為に謎が多い。もし敵にまわしたとしたら、彼ほど強敵となる者はいないだろう。彼は片手で魔物の大軍を焼き尽くす事さえ出来るのだ。
アンフィニー
その座につき、すでに200年が経とうとして居るにも関わらず、その外見は20代後半にしか見えない。北の帝国だラム。ディウスの皇帝。武術魔術を極め至上の皇帝と言われる彼は、又その善政でもエルゼリアに広く知れている。ダラム・ディウスがこれほど繁栄しているのは彼の恩恵であるといっても過言では無いだろう。
モードレット
アルザック戦役以来、次々とその正体を確認された妖騎士の中に黄金のマスクで素顔を隠している者がいた。それがモードレットである。どんな硬い鎧も一太刀で両断する。セルジルドに一人の戦士として彼の右に出る者はいない、セルジルド最強の戦士。だが、妖騎士以前の事はまったく知られていない。
ヴェインドリームについて
例の如く発売日が遅れたヴェインドリーム。この作品はエメラルドドラゴンの次にグローディアが送り出した期待の新作であった。騎士である主人公トリスが傷つき倒れていた所を助けるメルウィン。そんな王道パターンのオープニングで幕開ける。
システム的にはサバッシュを基幹として発展してきたシステムが用いられている。目新しい部分はないが改良と改善が重ねられた作品だけに操作性などは当然本作が最も良くできていた。
ただ、残念なのはエメラルドドラゴンの後発として期待された以上の人気に至っていないこと。色々な問題があると思うが個人的主観として、どうしても比べてしまうとキャラクターへの感情移入が起こりにくい。次々と入れ替わっていく仲間たちに隠された伏線が明かされず話がどんどん進んでいってしまうのだ。
淡々と進むRPGはこの時期になると割と多く出てきており突出するための何かを問われると、やはり感情移入させるための起伏あるシナリオが要求され始めていた。また、話を繋げる部分も会話シーンで淡々と進んでいくためになんとなく進んでしまう。相談シーンで改めてどういう行動をするべきか確認することが多々あった。本来、重要なシーンこそビジュアルシーンを用いるべきだと思うのだが、それが生かされていない。かなり綿密な設定があった割に殆どゲームには出てこないことも多い。それらを生かす時間がなく無理矢理送り出した気がするのだ。最後の「THE END」に「?」が一瞬追加されるのは色々な納得いかない部分に皮肉を込めたのではないかと思う。作品自体は明らかに完結している内容であるし。
音楽は定番のメンバーが中心になっており、今回も聞かせてくれる作品が数多く収録されている。PC-8801mkⅡSR版はサウンドボードⅡに対応していた。SSGは2音までの使用になっており、残りの1音は効果音に使用されている。ただ、全ての曲でSSGが使われているかというとそうでもなく、FM音源のみの曲だったり逆にリズム音源を使わなかったりという曲が数曲ある。スタッフクレジットはオープニングの曲と同様だが、オープニングでは2ループ目のコードをブッちぎっているために。それを含める意味で再収録。コードの音色が違うだけなのだが…。
音楽は割と適当に当てはめられている予感がする。「のどかな街2」なんかは、のどかでもなんでもなく明らかに平原の曲だ。森という曲名なのに実際は塔の曲だったり…。ゲーム中の曲はソーサリアンの様に曲だけ先に作成してしまってスタッフが後で当てはめたのかもしれない。
音楽関係にもファンが多く発売されたCDの内容にブーイングがあった。もっとも収録されている曲が全く全曲集でもないのだから仕方がない。たのみこむでも改めて全曲をとリクエストが出ている。ちなみに今回の収録にあたって敢えて未使用曲は入れていない。
収録に困ったのは土地名と共に鳴る冒頭に入るボヨ~ンとかいう効果音。これが無くてはグローディア作品にあらず!というものだが、必ず曲の頭に重なってしまい色んな曲で苦労した。一部の曲はSSGが頭に入らないので、SSGだけ消して途中から復活させるなんてことで解決したり。「失望」に至ってはシーンの進行と関係なく勝手にフェードアウトしていくのでビジュアルシーンデータを読み込んで音を鳴らす瞬間にイジェクトさせて強引に録音したりした。
お気に入りはエンディング。最も長い曲なのだが、ビジュアルシーンの内容を1曲で全て纏めるというスゴ技を聞かせてくれる。最初の部分だけを聞いているとイントロで切ってしまいそうになるのだが続けて聞いていくと凄くイイ曲なのだ。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG+リズム音源)
サウンドボードⅡ
音源チップ:YAMAHA YM2608(OPNA)
01 IPL, オープニング1,2,3
02 平原1
03 平原2
04 平原3
05 のどかな街1
06 のどかな街2
07 のどかな街3
08 のどかな街4
09 のどかな街5
10 のどかな街6
11 静寂な街1
12 静寂な街2
13 荒野1
14 荒野2
15 洞窟1
16 洞窟2
17 洞窟3
18 洞窟4
19 森1
20 森2
21 アイテム入手
22 レベルアップ
23 パーティ編成
24 戦闘1
25 戦闘2
26 戦闘3
27 ボス戦闘1
28 ボス戦闘2
29 ボス戦闘3
30 凱旋
31 勇気
32 絶体絶命
33 失望
34 迫り来る恐怖
35 クライマックス
36 古戦場跡
37 幻想
38 緊迫
39 霊峰
40 平和
41 決戦のボレロ
42 結末
43 エンディング
44 スタッフクレジット
曲名に関してはCDを中心にMDX作品作者のPI氏がつけたものをそのまま使用。
合計時間 : 64:25
作曲者 :
恋瀬信人(1,2,3,6,8,12,15,16,17,20,21,22,23,30~36,38,39,43,44),
中村一気(4,5,11,18,24,27,28,29,40,41,42,),
佐藤天平(7,13,14,19),
笠原延介(9,10,25,26,37)
DISCOGRAPHY
グローディアMUSIC VOL.2
ヴェインドリーム全曲集
発売日: 1992年6月25日
価格: 2,400円(税込)
商品番号: PSCX-1047
販売元: ポリスター
収録曲
01 オープニング
02 平原1
03 平原2
04 螺旋
05 マオトネル
06 洞窟1
07 洞窟2
08 洞窟3
09 静寂な街1
10 平原3
11 洞窟4
12 洞窟5
13 戦闘1
14 戦闘2
15 戦闘3
16 戦闘4
17 のどかな街1
18 平和
19 のどかな街2
20 静寂な街2
21 荒野1
22 のどかな街3
23 森1
24 荒野2
25 勇気
26 絶対絶命
27 失望
28 戦闘展開
29 迫りくる恐怖
30 クライマックス
31 緊迫
32 霊峰
33 神秘エフェクト
34 森2
35 古戦場跡
36 悲劇
37 一時の安堵
38 決戦のボレロ
39 結末
40 エンディング
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効果音なしバージョンのプログラムは PI. さんよりいただきました。