『グラディウスⅡ』X68000版について
◆『グラディウスⅡ』X68000版概要
『グラディウスⅡ』(GRADIUSⅡ)は業務用基板としてコナミが開発し1988年3月24日に発売した横スクロール型シューティングゲーム。発売価格はPCB版が168,000円、ROM交換(魔獣の王国から)が78,000円。
『グラディウスⅡ』は『グラディウス』をグレードアップしたもので、場面設定が迫力を増し、多彩な武器選択制を採用するなど、深みのあるゲームに仕上がっている。画面は横スクロールで、7ステージ構成。8方向レバーと3つのボタン(発射、パワーアップ、ミサイル)を操作する。ゲーム開始時にミサイル、レーザー、ダブル、バリアなど5種類(各4タイプ)のパワーメーターから選べるため、プレイヤーにより個性ある攻撃が展開できる。
X68000版『グラディウスⅡ』は1992年2月7日に発売。コナミ内製X68000ソフト第5弾となる。『グラディウスⅡ』発売までに登場した全てのX68000に対応しており、加えて拡張機能として増設メモリ、ハードディスクインストール、外部MIDI音源(Roland MT-32、SC-55)にも対応している。発売時には「I LOVE GRADIUSⅡキャンペーン」を行い、封入されていた応募シールを官製はがきに貼って応募することにより抽選でオリジナルグッズを手に入れることができた。その応募数は発売初日の消印で数千というハガキが舞い込んだ。また、発売本数は公開されていないが、発売直後の土日だけで『出たな!!ツインビー』の累計売上本数を突破したことが明かされている。
移植プログラマーは佐々木嘉則(Yoshinori Sasaki a.k.a MOAI、1961年2月20日-)、遠藤勝義(Katsuyoshi Endoh)、赤田勲(Isao Akada a.k.a 赤パパ, 1962年-)の3名体制。開発期間は明かされていないが、「マイコンBASICマガジン」(電波新聞社刊)1991年8月号(7月8日発売)に掲載されている「FINAL STAGE from writers」に『グラディウスⅡ』の移植を匂わせる記載があるため1991年の6月頃には始動していたようだ。

X68000にグラディウスⅡが移植されたとき、既にこのマシンの市場は冷めつつあった。そういう時期ながら力を入れてきたコナミのパワーはX68000を復活させるのではないか?とさえ思わせる気迫があった。単なる移植ではなく、海外のUSモードや、練習モードなどを追加している所も見逃せなかった。他、オマケのアートブックが付くなど、詰め込める分は詰め込んだと思わせた。流石9,800円だ!
当時、マニアに言わせると、「ダメ」の一言が返ってきたものだ。アーケードと解像度が違うのだから仕方がない。また、背景の星のスクロールが違うとか、わけのわかんない話もあったりした。そもそも、エミュレーションではない状況下でここまで再現させたことに対する感動が大きかった。しかも、プログラマーの一人はMSXサウンドチームのモアイ佐々木氏だったのだから驚きだ。
起動時にファンクションキーを押しながら起動すると様々なモードに切り替わるのもいたせりつくくせりで感動。
F08 ハードディスクインストール
F09 2MB RAM対応
F10 アーケードモード
F04+F10 アーケードテストモード
ちなみにアーケードモードでクリアしてもスタッフロールがそのまんまというのはちょっと納得できなかったりした。
購入後1年以上経過。忘れた頃に、グラディウスⅡ購入で応募した景品のスポーツタオルが送られてきたのも、興奮が冷めてからだったので納得いかなかったりした。

事前に雑誌で紹介されていたゲームの完成度に関してはアーケード版をほぼ完全再現とあった。音楽面に関しての記載に関してはMIDI対応に対しての記載はあったものの内蔵音源に関しての記載は皆無だった。実際にどうなっていたかといえば、ハードのスペック上コーラス部分は削除されていても仕方が無いのだが、微妙にバランスが違った作成になっていた。ハードのスペック(ステレオ対応)に応じて原曲を汚すことなく再構成されたものになっておりデキとしても良作だと思える。しかし、拘りを見せたのであれば極限までアーケードに寄せたものとバージョンを分けて収録すべきだったと思う。
音楽面ではハードウェアの違いから明らかにアーケードと違う部分がある。再現できない部分をそのままカットするのではなく、気付かれない程度にコードなども一部変更してちょっとアレンジしたのだろう。そして、このMT-32対応版は、内蔵+MIDI音源という形式で、イメージを崩さずによりグレードアップを目指したものになっている。この形式は [パロディウスだ!] で採られた方法。原曲を活かしたアレンジで聞いていて違和感がない。[出たな!!ツインビー] で消えた形式だっただけに、このアレンジ復活には心から嬉しく思った。
SC-55版は原作イメージから完全に抜けだしたオリジナルアレンジになっている。MT-32では収録されていないギター系の音や、迫力あるリズムセットを惜しげなく使用している。残念だったのは、ここまで派手に作成されていながらも曲時間は原曲と変わらないことで、物足りなさを感じてしまう。