ACTIVE SIMULATION WAR
ディーヴァ【STORY2 ドゥルガーの記憶】
対応機種 : 富士通 FM77AVシリーズ
メディア : 3.5inch 2D (2枚)
定価 : 7,800円
発売日 : 1987年2月(発売予定1986年12月12日→1987年1月下旬から延期)
販売元 : ティーアンドイーソフト
○ 1ドライブ対応
○ FM音源対応
◯ データディスケット作成にブランクディスクが1枚必要
◯ 二人プレイにはジョイスティックが必要
目次
ディーヴァ for FM77AV
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
パスワードによる全機種
完全データ互換を実現!!
(ファミコンを含む)
アクティブシミュレーションウォー
★シミュレーションウォーゲームをアクション化した、ニュータイプのゲーム。
★2人での同時プレイが可能。
★ストーリーは宇宙を舞台として7つのストーリーから成り、それぞれが7機種に割り当てられ、ディーヴァという一つの大きなストーリーを形造っている。そのため、各機種のゲーム内容(画面を含む)も部分的に異なり、各機種の特徴を十分生かしたものとなっています。
★パスワードによる各機種間の完全データ互換を実現(ファミコンを含む)。これにより、自分の戦力をパスワードの形で持ち出して別の機種に入り込み、2人同時プレイが可能です。
★アドベンチャーゲームの要素を持ち、何度もゲームをするうちにストーリーの全ぼうが明らかになってきます。
◀これが目指すナーサティア双惑星だ!
艦隊の敗北は▶いつも無惨だ
星系図は機種ごとに異なります
▲戦略シーン
画面左側の星系図と情報を見て作戦を立てて、画面右側で生産・政策・移動・艦隊戦・惑星戦等の命令を実行します。左下は情報表示とデータセーブのコマンドで、右上は年月表示です。
▲艦隊戦シーン
画面左が自軍の艦隊、右が敵艦隊です。自軍の艦の配置を終ると、敵艦をコン
ピュータが配置して戦闘が始まります。左上は各艦の防衛力表示です。
▼惑星上リアルタイムシーン
惑星上空に着くと、まず援護爆撃と補給エネルギーの投下位置を決めます。
この判断を誤ると、地上に降下した時苦戦します。地上に降りたらドライビングアーマーを操り、バルカン砲で敵防衛軍を撃破します。
惑星数30!それぞれ異なる30シーンで、その上、ウォーデータ(パスワード)を持って他機種(他の星域)へ行けば、使用武器も背景も全く異なるシーンでの二人プレイが楽しめます。
つまり、7機種・200の惑星上リアルタイムシーンが君のものになるのです。
惑星降下直前に援軍と補給エネルギーの配置を行う。
FM77AV/20/40の特徴
★リアルタイムキースキャン、ジョイステック対応。
★ソフトウェア3プライオリティ。★FD装置は1基でも可。
★FM音源完全対応のオリジナルミュージック。
品質には万全を期しておりますが、万一製造上の原因による不都合がございましたら、新しい商
品とお取り替えいたします。それ以外の責任はご容赦ください。
このソフトウェアプログラムとマニュアルは、当社が創作・開発した著作物
です。レンタルや無断コピーを行うと、著作権法により厳しく処罰されます。
当社はソフトレンタルに対する許可は一切しておりませんのでご注意下さい。
企画・開発/ティーアンドイーソフトプロダクション
製造・販売/株式会社 ティーアンドイーソフト
〒465 名古屋市名東区豊が丘1810番地 PHONE:052-773-7770
TEM-74 1987/2
©1987 T&E SOFT MADE IN JAPAN
注/本製品は、FM-7/NEW7/77では作動いたしません。
SET内容 3.5"2D・2枚
取り扱い説明書(1冊)
『ディーヴァ』FM77AV版 について
◆『ディーヴァ』(FM77AV版)概要
『ディーヴァ』(DAIVA)はティーアンドイーソフトが開発を行い、任天堂ファミリーコンピュータ(発売は東芝EMI)とPC6機種の計7機種で発売したアクティブ・シミュレーション・ウォーゲーム。(NEC PC-9801版のみスペースシミュレーションウォー)
富士通 FM77AV版はMSX版とPC-9801版を除く5機種並行開発のうちの1機種。PC版の初期開発機種である4機種の発売は本来の発売日であった1986年11月29日(FM77AV版のみ12月12日)からおよそ2ヶ月延期され、1987年2月にNEC PC-8801mkⅡSR以降版、MSX2版、シャープ X1シリーズ版に続いて発売された。開発期間はおよそ7ヶ月。
ゲームデザイン・シナリオは吉川泰生(Yasuo Yoshikawa a.k.a よぴかぱ, 1963年8月9日-)。FM77AV版のメインプログラムは太田真一(Shinichi Ota)が担当。
全体の遅れはシミュレーション部分のプログラムを担当していた吉川泰生が発売日も迫った11月20日に倒れ、ファミリーコンピュータ版担当であり東京理科大の学生でもあった加藤英治(Eiji Kato 1960年9月21日-)が1から作り直したというのが大きな原因だろう。FM77AV版の発売が早期に3機種よりやや遅れをとっていたのはC言語で作成されたシミュレーション部分で発生したCPUの違いによるバグとその対処が原因の1つとされている。
◆FM77AV-2なら新品でもモニターセット11万円代で買えた1987年
FM77AV版の『ディーヴァ』発売前である1986年10月23日には富士通から「ひょーげん族」をキャッチフレーズとした新モデルFM77AV20/40が登場。2Dドライブから2DDドライブへの変更や26万表示を可能としたモデルだ。
型落ちとなった新品のFM77AV-2は大幅に値崩れを起こし、純正モニターセットの特価で138,000円で販売されているショップもあった。4096色同時発色という破壊力を見ればお安く感じるだろう。もちろん、当時のパソコンというものはそういうスペックだけで図れないものがあるということはもっと大人になってから気づくのだが、少なくともこの『ディーヴァ』ではその差を見せてくれる。
◆美しいグラフィックを見せつけたFM77AV版
FM77AV版の『ディーヴァ』はオープニングシーンでMSX2版と一味違ったグラフィックの多色化を行い魅せてくれるが、惑星戦シーンが最大の見所だ。4096色モードを使用し最大30色程度の同時発色を行ったグラフィックが30星系分用意されている。また、ソフトウェアで3プライオリティを実現し各キャラクターが手前と奥の背景の間に隠れる重ね合わせ処理も実現。先行発売したPC版3機種とは圧倒的な差を見せつけてくれる。もちろん、後に発売する2機種と比べてもだ。
惑星戦も星系図と同様に全機種全く異なるグラフィックとマップになる。PC版初期開発4機種は同時進行で基本部分は2名で機種別に分かれて作成。FM77AV版は120シーン分のマップを三浦かよ子(Kayoko Miura 1960年9月9日-)たった1名で作成している。これは狂気の沙汰だ。(FM77AV版のキャラクターは一部の模様)
◆ティーアンドイーソフトの挑戦
『ディーヴァ』の特徴といえば言わずもがな7機種で異なる星域の主人公とストーリー、そしてパスワードによる完全データ互換だ。当時のPC事情はいわば戦国時代。ソフトウェアに互換性のない機種で満ち溢れていた。同じゲームでも機種により発売順による優劣が存在し、それが覇権の一つのバロメータにもなった。そんな中、同じゲームで細かな内容を機種ごとに変えるという大胆な発想を実現しようとしたことが話題になった大きな要因だろう。
1986年秋に登場した後世に残る名シミュレーションゲーム
新しいシミュレーションゲームというジャンルへ舵を切った方向性は正しかったのだろう。『ディーヴァ』の開発中には光栄の『信長の野望 全国版』やシステムソフトの『現代大戦略』の移植といった当時のPCゲーマーなら知らない人はいないであろう名作が8bitPCで発売され始める。(ただし FM77シリーズ は両作とも『ディーヴァ』よりかなり遅れての発売)また、1986年12月にはオリジナルの NEC PC-8801版 発売から1年経過した光栄の『三國志』がPC-8801mkⅡSR以降版、X1turbo版、FM-7/77版、MSX版など移植を急拡大。各機種へシミュレーションゲームに機運が向いてきた時期でもあった。そして、『ディーヴァ』はこれらの作品と比較しても話題性と先進性は(それがプレイヤーに受けいれられたかは別として)数歩先を行っていた。
◆割とシンプルなシミュレーション面
『ディーヴァ』はシミュレーションゲームにアクション要素(+アドベンチャー要素)を取り込んだ新機軸のゲームだが、メインはシミュレーション。各機種で大きく異なるのは星系図とアクション部分のみでファミリーコンピュータ版とPC-9801版を除いてシステムはほぼ共通だ。
ゲーム開始後の当面は税率アップで税収を増やし、艦隊を拡充、植民星系と艦隊への投資を繰り返す。しかし、単純に時が流れてはくれず、帝国軍側は数隻単位の弱小な艦隊を次々に配備(最大4艦隊)し、簡単に中立星系を攻め落としていく。そして、帝国軍ばかりに気を取られているとプレイヤー側の植民星系にクーデターが勃発し中立星系や帝国軍の同盟星系になって苦しめてくる。
◆割と難易度の高いアクション面
税収を増やし艦隊を増強するには、惑星の制圧を行いプレイヤー側の植民星系を増やすことが不可欠。しかし、PC版のアクションシーンである惑星戦で語り草になるのがその難易度だ。FM77AV版はその中でも動きの良さから難易度は低い部類に相当する。それでも支援やオプション兵器を使えない序盤では惑星戦での作戦を成功させるのはほぼ不可能だろう。
まずは地道に艦隊へ兵器投資(POLICY→FLEET)を行い兵器レベルを向上させることに注力するしかない。帝国軍もどんどん進行してくるのであまりに進行がひどい場合はリセットも一つの手段となる。
兵器レベルが上がってもあっさり攻撃成功とはいかない。植民星系を得るには敵破壊数が総数値の75%を超える必要がある。(2ブロックでも制圧となるケースもある)50%以上の破壊で惑星の防衛レベルを1下げることができるので、攻撃と撤退を繰り返し防衛レベルを可能な限り下げてから制圧するのがセオリーだ。1つの植民星系を得るのは帝国軍のようにあっさり行かず序盤は特に多くの時間と手間を要する。(50%以上破壊してから撤退の時間までその場で待ち続けるのが実は最もダルかったりするので強制撤退ボタンが欲しいところ。)
◆友達のデータを利用できた新しいスタイル
地道な作業を少しでも楽する方法。それが、『ディーヴァ』で最もウリとしていた全機種完全互換と謳われるウォーデータの活用だ。これにより各機種で増強させたプレイヤーの艦隊を援軍として相互に移動することを可能とした。ゲーム開始時にウォーデータを入力することにより艦隊戦や惑星戦では二人同時プレイが可能となる。
ゲームを先に進めたトモダチがいればウォーデータを手に入れ、ゲスト艦隊側を使って序盤から進撃しまくるという手段を取ることも可能としている。なお、ゲームデータのセーブを行ってもNO.6のゲスト艦隊は保存されない。これを逆手に取り、ゲスト艦隊がボロボロになればセーブ後にリセットして再度ゲスト艦隊を招くことが可能だ。
ウォーデータを手に入れるには、4機種のPC版よりおよそ2ヶ月近く前に発売された ファミリーコンピュータ版 のデータを手に入れるのが最も現実的だった。なぜなら、当時はマニア向けで高額であったパソコンは普及率が低く(内閣府の消費動向調査によると二人以上の世帯で1987年3月は11.7%)、『ディーヴァ』の販売されているPCを同世代で所有し、かつ『ディーヴァ』を購入している友人を探すことは困難を極めたからだ。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031690760&fileKind=0
当時のシミュレーションゲームでは二人同時プレイというと対戦のイメージが強い。しかし、『ディーヴァ』では協力プレイとしたことで、よりイージーな展開を可能とさせ、シミュレーションゲームに対するイメージを一新させた。ウォーデータによっては序盤から最強の艦隊が手に入り、惑星戦ではすべての支援とオプション兵器が使用可能となるのだ。
ゲストプレイヤーが星系に存在する場合は惑星戦をどちらが仕掛けても2名で強制参加となる。ここで、ゲストプレイヤー側で仕掛けると、メインプレイヤーの兵器レベルが0でもゲストプレイヤーと同じレベルで参加することが可能なのだ。しかも引っ張られた側は惑星戦でやられても艦隊のダメージは受けないというメリットがある。あと、足場のない高い場所にエネルギーカプセルが出現しても2P側を足場として使うことができる。メリットしかない。
◆理不尽なシミュレーション面
『ディーヴァ』はゲームを進めていると理不尽な思いをすることはままある。防衛レベルが最大になっているプレイヤー側の植民星系が帝国軍の弱小艦隊にあっさりやられて奪われてしまったり、惑星戦を繰り返し防衛レベルを下げやっとの事で手に入れた植民星系がクーデタ勃発(定期的に各植民星系の環境整備-ENVIRONMENT-に投資が必要だが結構面倒)で中立星系になってしまうなどだ。そんなときにはゲームデータのロードを行いやり直すのが手っ取り早い。(そのため細かいセーブは必須)
しかし、やり直しのためのロードもそれなりに面倒なのだ。
私の思う『ディーヴァ』における最大の難点を述べるとすればここで、ゲームデータのロードがゲーム途中で行えないことが非常に苦しい。ロードを行うにはリセットによる再開しかない。しかも起動時間は割と長い。これにより、ゲームシステムの理不尽さや面倒さから、ゲームそのものが面倒という結論に行き着いたりする。(簡単にやり直しさせたくないという意図があったことも考えられる)
◆シミュレーションゲームがニガテな方にはオススメしてみたい作品
惑星戦は単調だけど難しいし手間で面倒、艦隊戦は簡単だけど単調で面倒、植民星系へは各種投資を行わないとクーデーターが起こるのだが、管理する数が増えてくるとマメに行うのが面倒。単純な反復作業の応酬のため面倒で満たされている。しかし、気づけば夢中になってプレイし多くの時間を費やしている。なぜだかわからないが。一番大きな要因は覚えることが少ないのでとっつきやすいことかもしれない。シミュレーションゲームがニガテなプレイヤーにとってこれは大きい。(それでも当時はコマンドとその意味を理解するのに苦労した)
当時、初プレイでは全滅させれば道は開けると思い全力で闘い、結果として真のエンディングを迎えることはできなかった。その時、これが「アドベンチャーゲームの要素」が必要なことかと驚いた、と共にどうしていいか閃かず疲弊してしまった。1987年2月当時、パソコンゲームは発売されてからしっかりした紹介記事や攻略記事を書かれることが多く、『ディーヴァ』もその例外ではなかったからだ。(3月にMSX FANが創刊されてから激化していったような気がする)
そういう時に役立つのがウォーデータ同様に(『ディーヴァ』だけの)トモダチの存在だ。幸いにも行うべきことは多くなく、情報さえ手に入れればあっけなく真のエンディングを見ることができた。(今思えば分かりやすいヒントがあったのに)
ネット社会と言われる昨今でも「『ディーヴァ』は全ての機種でプレイしなければストーリーの全容は掴めない」、という書き込みを見ることがある。恐らく初期の広告に記載された紹介文の誤解を思い出のまま引きずっているのであろう。たしかにそうであれば壮大な仕掛けで夢がある。しかし、残念ながらそれは全くの間違いだ。
全機種プレイしても各主人公のストーリーは微塵も分からない。ゲームの進め方もエンディング内容もPC版の5機種は全く同じで各種主人公の物語の決着も不明だ。ある意味コピー対策になりうるかもしれないが、ナーサティア双惑星に至る詳細な各ストーリーはPC版のマニュアルに7機種分全て掲載されている。脳内でクロスオーバーさせてそこは補うのものなのだ。(ファミリーコンピュータ版だけ不遇)
◆真のエンディングはゲームコミックス、PC-98版マニュアルにあり
マニュアル内でも語られないストーリーの終盤とエンディングを補完するのがメディアミックス展開の1つであった「ゲームコミックス ディーヴァ」。発売は1987年1月23日で本来はPC版の発売後に読まれる予定であったものが事前に発売ということで逆転してしまっている。内容が原作にほぼ忠実かつ肉付けがされておりエピローグまで細かに記載されていた。しかし、ゲームブック故に内容はオリジナル展開と当初は思われた。
正史となりそうと考えたのは1987年8月20日に発売された「ディーヴァファンブック」に記された小説だろう。マニュアルとはやや設定が異なりモヤモヤする点はあるもののおおまかな筋が通っていたし、何よりこの本の内容が濃い。ディーヴァ製作記や、オフィシャルの設定資料集まで掲載されている。書き手がティーアンドイーソフトのスタッフと密接に絡んでおり、まさにファン垂涎ものの1冊だからだ。(『ディーヴァクロニクル RE:』に収録されているそうだが、それだけで価値のある一品だ。)
しかし、1年以上後である1988年3月に発売された NEC PC-9801版 カリ・ユガの光輝の発売により思わぬ展開を見せる。今までマニュアルで語られなかった「ナーサティア双惑星」の続きと「エピローグ」のストーリーが掲載されたのだ。驚くべきことにそのセリフはコミック版ゲームブックとかなり類似していたのだ。『ゲームコミックス ディーヴァ ヴリトラの炎』を描かれた小林誠(Makoto Kobayashi)御本人にいただいたお話によると、セリフには「細かい指示」があったとのこと。壮大なヴィシュヌ銀河の答え合わせはこれで幕を閉じることになる。
https://x.com/makomako713/status/1556536328552329216(2022)
◆『ディーヴァ』はコケたとも言われるがそれはウソだ
『ディーヴァ』は限定的ながらメディアミックスが行われていた。私はそれに乗っかりゲームよりその世界観やキャラクターをかなり気に入った口で、発売された缶ペーンケースや下敷きを集めたり、各種書籍やサウンドトラックなど買い漁った。腐女子受けしそうな男性キャラクターが勢揃い、男性ウケしそうなカッコいいメカなど露出展開次第では大化けしていた可能性を秘めていたとさえ思える。
しかし、キャラクターや設定、世界観などの話題性が大きくなりあまりにも期待値が高まり過ぎたためか、ゲーム内容ではあまり良い評価をされなかった人も少なくない。各誌の売上ランキングでも割と長期間しっかりランクインしているのに、プレイヤーによっては「話題性だけでコケた」と一蹴されることもあるのはそこに一因があるように思う。そうではなく夢中になって楽しんだプレイヤーもいた事実はここに残しておこうと思う。
◆当時はそこまで話題にならなかったBGM
『ディーヴァ』FM77AV版のBGMは浅倉大介(Daisuke Asakura 1967年11月4日-)、冨田茂(Shigeru Tomita a.k.a Tommy)の楽曲が使用されており、PCへの落とし込みは冨田茂が担当している。今や有名になった 浅倉大介 は作曲当時18歳という若さ。(雑誌でも"さん"ではなく"くん"で呼ばれている)時系列を考えるとYAMAHAでDX7Ⅱ(1986年12月発売)の開発に関わっていた時期に『ディーヴァ』の曲は並行して作られていたことになる。テーマ曲である「DAIVAⅠ」はMSXを3台とMSX2を1台(YAMAHA CX5, YAMAHA CX7M/128)を使って1週間で作成したという逸話が残っている。
『ディーヴァ』で私が最も推したいのはオープニングのテーマ曲が各機種によって異なることだ。各主人公が異なる割に殆ど変化が無いPC5機種ではあるが、オープニングテーマだけは7機種全て曲が異なる。広告や記事などでも音楽に関してはほぼ触れられておらず、これを知った時は凄くドキドキした。
中でもお気に入りなのがこのFM77AV版のオープニングテーマである「MEMORY IN DURGA」。作曲は冨田茂。サウンドトラックでは共作と記載されているが、実は誤植であり、冨田茂1人の作曲である、ということを知ったのはずいぶん後だった。FM77AVユーザーであった冨田茂は、用意されたミュージックドライバーを改造してこの曲を作ったという逸話が残されている。(開発者の中でFM77AVのオープニング曲は最後の「カーン」以外最も評判が良かったそうだ)同じ音源を持つNEC PC-8801mkⅡSR以降版のオープニング曲ではFM音源3声のみの演奏だが、このFM77AV版ではFM音源3声+SSG音源3声のフルパートで演奏される。盛り上がってきたところに爆発音の効果音まで入れる力の入れようだ。全機種聴き比べればわかるが明らかに力の入れ方が違う。他の曲はNEC PC-8801mkⅡSR以降版 に準拠しており、他にフルパートで演奏されるのはエンディングテーマである「DAIVAⅠ」のみだ。
BGMに関して各機種の『ディーヴァ』で使用箇所の異なるのが「NIRSARTIA DRIVEⅡ」だ。ファミリーコンピュータ版では移動シーンで演奏され、PCの機種によってはシールドエネルギー残が少なくなると演奏される。FM77AV版に関しては全惑星で流れるBGMや及びマウトレーア歴の月などを調べたのだが、同じ惑星で同じマウトレーア歴の月でもBGMが「NIRSARTIA DRIVEⅠ」とランダムで切り替わる。結論として恐らくランダムでどちらかが演奏されることになっていると思われる。(プログラム未解析)
イメージ・サウンド・トラック ディーヴァ/浅倉大介
東芝EMI/1987年3月4日
メディア/価格:CD CA30-1399 3,000円 CT ZH25-1795 2,500円 LP ETP-80201 2,500円
収録曲: ①DAIVAⅠ(ディーヴァⅠ) ②FLAME OF VLITRA(ヴリトラの炎) ③NIRSARTIA DRIVEⅠ(ナーサティア・ドライブⅠ) ④TRIAL OF NIRVANA(ニルヴァーナの試練) ⑤ASURA'S BLOODFUED(アスラの血流) ⑥DRIVING ARMORⅠ(ドライビング・アーマーⅠ) ⑦ IMPERIAL OF NIRSARTIAⅠ(ナーサティアの王座Ⅰ) ⑧THE CUP OF SOMA(ソーマの杯) ⑨FREET BATTLE(フリート・バトル) ⑩MEMORY OF DURGA(ドゥルガーの記憶) ⑪NIRSARTIA DRIVEⅡ(ナーサティア・ドライブⅡ) ⑫DAIVA REPRISE~(ディーヴァ・リプリーズ~) ⑬DRIVING ARMORⅡ(ドライビング・アーマーⅡ) ⑭IMPERIAL OF NIRSARTIAⅡ(ナーサティアの玉座) ⑮STAR OF GODS(神々の星) ⑯DAIVAⅡ(ディーヴァⅡ)
1987年3月4日にはサウンドトラックが発売されている。(当時発売されていなかった「カリ・ユガの光輝」に関しては未収録。)レコーディングは1986年11月14~16日と1986年12月23日、25日、26日とおおまかに2回行われている。後半に収録された「DRIVING ARMORⅡ」~「DAIVAⅡ」は浅倉大介が開発に関わったYAMAHA DX7Ⅱが使用されていることとDX7Ⅱが発売直後でもあるので、レコーディングは恐らく12月側の収録と思われる。浅倉大介の一般的な人気も高まってか1992年、1998年、2004年と3度に渡り再販されている。
特筆すべきは1987年という時代にゲームミュージックでは珍しく「ディーヴァ/浅倉大介」と無名であったアーティスト名が大きく表記されていることだろう。あの『ドラゴンクエスト』のすぎやまこういちでさえ当時はタイトルに並べてアーティスト表記がされていなかったのだ。そんな名前が記載されているおかげで、別のサウンドトラックなのでは?と当時購入する時に凄く戸惑った記憶がある。そして驚いたのは全曲シンセサイザーによるアレンジのみの収録で各PCから収録したサウンドは一切入っていなかったことだ。6オペレータ32アルゴリズムのFM音源を搭載したYAMAHA DX7をメインに各種サンプラーやリズム音源を加えて作り上げた最新シンセサイザー音楽の集大成とも言えるサウンドトラックであった。
T&E SOFT 創立5周年記念ゲームミュージックライブラリー
東芝EMI/1987年11月
メディア/価格:CT CM-0002 非売品
収録曲:SIDE1 ①スターアーサー伝説 ②ハイドライドⅠ~Ⅱ(メドレー) ③ディーヴァ a.メインテーマ b.ヴリトラの炎 c.アスラの血流 d.ドゥルガーの記憶 e.カリ・ユガの光輝 SIDE2 ①スーパーレイドック a.テーマミュージック b.ブラックストーミーガンナー~前線基地~毘沙門天(メドレー)② ハイドライド3
NEC PC-9801版「カリ・ユガの光輝」に関して、浅倉大介のアレンジが初披露されのは、ティーアンドイーソフトが創立5周年を迎えた際に発売されたゲームの初回パッケージに付属した「T&E SOFT 創立5周年記念ゲームミュージックライブラリー」。ゲーム発売(1988年3月)よりかなり先行して聞くことができたのでかなり貴重な存在だった。
ディーヴァ人物相関図
ストーリー5ソーマの杯
for MSX2
アクショーは惑星ファンスル、スーラ族の牢獄にて屍と化していたアモーガを蘇生させる。
ストーリー3
ニルヴァーナの試練
for X1
アモーガは惑星
アルジェナ消失
の鍵を握るラテ
ィーを追ってい
た。
アモーガの叔父が
プルシャである。
プルシャは黄金帝
マヌの側近だった。
ストーリー2ドゥルガーの記憶
for FM77AV
ア・ミターバの妻サ
ティーはシヴァ・ル
ドラにさらわれ、殺
される。
ア・ミターバは妻をマータリにさ
らわれたものと勘違いし、マータ
リを追い続け、惑星マトゥラー付
近にて会う。
アクショーは助手とし
て雇っていたラティー
にソーマを盗まれ、彼
女を追う。
姉弟
ストーリー4
アスラの血流
for MSX
ラトナは親友ラーヴ
ァナに裏切られ、そ
の真相究明のため、
ラーヴァナを追う。
ラトナは、アモーガの率いる艦
隊のエースパイロットだった。
ストーリー6ナ―サティアの玉座
for Famiry Computer
クリシュナは闇の市
場にてマータリから
鉱石船一隻を買う。
ストーリー7
カリ・ユガの光輝
for PC-9801
クリシュナは傷ついた
ルシャナの艦隊を修理
し、ヴリトラ迎撃用の
OM砲を与える。
ストーリー1ヴリトラの炎
for PC-8801mkⅡSR
ルシャナは、惑星トラントラ
ンにてリュカーン教に捕われ
の身となっていたラトナを救
う。
ルシャナの婚約者ラ
ーナは惑星ベレナス
にてヴリトラに襲わ
れ死亡。
STORY プロローグ -流点-
インドゥーラ帝国主星、惑星アルジェナ………
淡い乳白色の光を海の上に映し、虚空に二つの月が現れる。
黄昏にあたりは燈色に染まり、闇は徐々にその波動を強めてゆく。
都市を見下ろして建つ、巨大な塔………ストゥーバ
その中腹から枝のように突き出した空中庭園に、一人の老人がたたずんでいる。
老いて白髪となった彼の頭には、王家の印である黄金の帯が巻かれていた。
「たった三日、たった三日で、わしにどうしろというのだ。」
老人は、悲しみと憤りの入り混じった言葉をはきだした。
「我がアルジェナの民、二十億を救う術はもう残されてはいない。ならば、このまま何も知らないまま滅びたほうが、彼らにとって幸せなのか………。」
闇はいつのまにか、悲痛な風音を響かせている。
老人の眼は、足元で眩い光を放つ都市から海へ、そして暗く閉ざされた空へと移された。
「陛下、脱出の用意が………、お早く。」
老人の背後に、従者らしき男が現れて声をかける。
視線を虚空に向けたまま、老人は従者に語りかけた。
「のお、プルシャよ。」
「はっ、なんでございますでしょうか。」
「おぬしは、神を………魔神をみたことがあるか?」
「神………ですか?」
プルシャと呼ばれた従者は、怪げんそうに尋ねた。
「そうだ。神だ。」
「いえ、わたくしは神も魔神も見たことはございません。それが………何か。」
「そうか………見たことはないか………そうだな。」
老人はそれだけ言うと、眼を閉じて深く息を吐き出してから振り返り、そのまま塔の中へ歩いていった。
マウトレーア歴3721年。一筋の閃光とともに一つの惑星が銀河から姿を消した。
そして………すべては惑星アルジェナ、謎の消失から始まった………………マウトレーア歴3722年。ヴィシュヌ銀河には、かつての繁栄の姿は微塵もなかった。そこにあるものは、絶望と悲しみと、うす暗い復讐の炎。
四千年もの永きに渡って銀河に君臨してきたインドゥーラ帝国は、その主星アルジェナの消滅と黄金帝マヌの暗殺により、その高度な文明とともに終がくを迎えた。帝国の各植民星も同じく、主星消滅の動揺によって反乱が勃発し………滅びた。
残された人々は、この荒廃の影に潜む破壊者の姿を見た。
シヴァ・ルドラ………元帝国宇宙軍総司令。
STORY2 for FM77AV ■ドゥルガーの記憶〈ア・ミターバ〉
"ア・ミターバ" 、彼は惑星エンタナの貴族ア家の跡継ぎである。いや、正確には跡継ぎであった。というべきだろうか。惑星アルジェナ消失後、惑星エンタナも他の惑星同様に混乱が生じ、王家に次ぐ権威を維持していたア家も、その栄華に終止符を打った。それを決定づけたのが、帝国宇宙艦隊と "紫苑の海賊" と呼ばれる宇宙海賊の襲来であった。惑星アルジェナ消失の数ヶ月後、その混乱に油を注ぐかのように、数十隻の帝国宇宙艦隊が惑星エンタナを襲撃した。時を同じくして、その帝国宇宙艦隊を追って紫苑の海賊が襲来し、惑星エンタナは帝国宇宙艦隊と紫苑の海賊との戦場に化した。かつて帝国宇宙軍の一角を成していた惑星エンタナ宇宙艦隊は、既にその統制を失い、この二つの勢力の前に全くの無力であった。
ア・ミターバはこの混乱のさなか、ア家の艦隊を率いて惑星エンタナを脱出するが、妻サティを乗せた艦は攻撃を受け、艦隊から離脱してしまう。ア・ミターバは妻サティを乗せた艦を捜し求めるが、紫苑の海賊に捕獲されたという情報しか得られなかった……………
α星域、惑星マトゥラーの北780万km、ア・ミターバの眼前には、彼のそれより圧倒的大多数の艦隊が、不気味に横たわっていた。紫苑の海賊………ア・ミターバが永く銀河を捜し求めたもの………
ア・ミターバは必死に交信を試みる。数回の試みの後、サブスクリーンにはおよそ海賊とはかけはなれた、色白の端正な顔だちの若い男が、僅かなノイズを混じえて映し出された。
「私は "マータリ・シュバン" 。あなた達が紫苑と呼ぶ海賊のキャプテン………、わざわざ海賊にご用とは………、珍しいお人だ。」
思わぬ丁寧な言葉使いと、その容姿に一瞬戸惑ったア・ミターバであったが、思い出したように叫んだ。
「サティーを返せ!!おまえが連れ去った私の妻だ。知らんとは言わせぬぞ!!」
スクリーンの中の顔は僅かに笑みを浮かべ、そして静かに答えた。
「私があなたの妻を奪った?馬鹿なことを………、今時、女なんかさらっても売り物にもならないことは、あなたもご存じでしょう。例の人工有機体が反乱していますからね。」
「だいたい、わたしは、帝国の艦隊しか襲わない主義でね。それも、奪う物は鉱石船専門………あれは、すぐ金になりますから。」
「ふざけるなっ!!」ア・ミターバは吐くように言った。
「だったら、なぜ、なぜ私の星を襲った。なぜエンタナを襲った。」
「惑星エンタナ………、ああ、あの時ですか。あれは違いますよ。私は帝国の艦隊を追っていただけで………だいたい、結果的には私が帝国の艦隊を蹴散らし、あなたの惑星を救ったことになるんじゃないですか。感謝されても……」
海賊マータリ。シュバンは言葉の途中でなにかを思い出したように、一瞬口をつぐみ、そして続けた。
「そういえば、あの時、シヴァ・ルドラの艦が小さな旅客艇を捕獲していたが………」
「それだっ。」ア・ミターバは叫んだ。
「はっはっ、そりゃー傑作だ。ちょうど今、奴の星を襲ってきたところだ。ほら、あそこに見える……」
マータリの指さす方向に、米粒大に見える惑星マトゥラーが、赤く鈍い光を放っていた。
「くっ、くくっ……」マータリは笑いをおさえながら言葉を続けた。
「今なら、あなたのその貧弱な艦隊でも、惑星マトゥラーは簡単に攻略できますよ。シヴァ・ルドラもとんだ災難だ。」
マータリは言い終わると、大声で笑いはじめた。そして、その屈託のない笑顔は、ア・ミターバを信用させるに充分だった…………
マータリの言葉どおり、ア・ミターバが惑星マトゥラーを占領するのに、たいして時間はかからなかった。そして、シヴァ・ルドラの傍らに立ち尽くす、妻サティーとの再会を果たす。しかし、愛する妻サティーは、無表情にア・ミターバを見詰めるだけだった。ア・ミターバは憎むべきシヴァ・ルドラに、OMブラスターをかまえ言い放った。
「私の妻に何をした。………まっ、まさかOMユニットを。」
ア・ミターバの言葉が終わるとほぼ同時に、突然サティーの体は分解を始め、数秒後にはこの世からその姿を消し去っていた。OMユニットを埋め込んだサティーを抹殺するには、シヴァ・ルドラの指一本で充分事が足りた。
ア・ミターバは狂ったようにOMブラスターを連射するが、既に一面が赤色の影に包まれ、シヴァ・ルドラを捉えることは不可能だった……………
ア・ミターバは、ナーサティア双惑星へ向かっていた。
彼はあの時以来、うたた寝の時に決まってある女の声を耳にするようになった。無機質な女の声は、彼の意識の奥深くに侵入してくる。
「わたしはドゥルガー。ナーサティア双惑星でお待ちしてます。」
「そしてその言葉に、なぜか亡き妻サティーの姿が交錯していた………」
浅い眠りから目覚めたア・ミターバは、サティーの姿を振り切るかのように寝室の小窓に目を移した。そこには、惑星マトゥラーでの略奪によって、巨大化した彼の艦隊があった。彼は虚ろな目でそれを眺め、そしてつぶやいた。
「おれも………、海賊みたいなものか………」
使用キー
◆メニュー及び戦略モード
8
4D6 2 |
選択キー |
---|---|
SPACE RETURN |
決定キー |
ESC | キャンセルキー |
F1~F5 | F1FLEET F2SYSTEM F3GALAXY F4SHIP F5SAVE |
◆艦隊戦モード(プレイヤー2はジョイスティック操作)
8
4D6 2 |
艦の移動 |
---|---|
SPACE RETURN |
移動モード・移動モード終了。戦闘中に押すと高速モード。 |
ESC | 選択艦の防御力チェック |
ESC+ RETURN | 移動フェイズを終了し戦闘フェイズへ移行 |
◆惑星戦モード(プレイヤー2はジョイスティック操作)
8
4D6 2 |
選択キーの移動およびドライビングアーマーの移動 |
---|---|
SPACE | メニューの決定 |
中SPACE | バルカン砲を発射する |
左SPACE | オプション兵器を使用する |
ESC | 一時停止 |
画面の説明(戦略モード)
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
① スクリーン
通常は星系全マップの表示に使用されるが、必要に応じてサブコマンドによる各種情報の表示にも使用される。
② 現在のマウトレーア歴
5コマンド実行で1ヶ月経過する(1年は12ヶ月)
③ コマンド
5つ用意されている。詳細は下記にて説明。
④ サブコマンド
各種情報のチェックを主とし5つ用意されている。詳細は下記にて説明。
⑤ プレイヤー植民星系(青色)
⑥ プレイヤー同盟星系(青色に緑のストライプ)
⑦ 中立星系(緑色)
⑧ 帝国同盟星系(赤色に緑のストライプ)
⑨ 帝国植民星系(赤色)
⑩ ナーサティア・ドライブ航路(プレイヤー側補給路:青色)
⑪ ナーサティア・ドライブ航路(帝国側補給路:赤色)
⑫ ナーサティア・ドライブ航路(中立の補給路:緑色)
⑬ ナーサティア・ドライブ航路(プレイヤーと帝国の共通の補給路:黄色)
補給路の通じていない星系で艦隊の配備はできない。また、星系の情報も得ることもできない。
FLEET PRODUCT
艦隊生産
税収によって得た資金で、艦船を建造し、艦隊を編成する。艦船建造には、多くの資金と時間を要する。5艦隊編成することが可能で、6艦隊目はゲストプレイヤーの艦隊となる。
POLICY
政策
星系への各種投資(環境整備・資源開発・技術開発・星系防衛)と税率の変更及び艦隊への兵器補給を行う。星系への投資を怠ったり、重税を課したりすると、星系の生産性が低下し、反乱が起きることがある。また、艦隊への兵器の補給を行えば、兵器レベルが向上し、惑星戦を有利に展開できる。
TACTICAL MOVE
作戦移動
艦隊が星系間を移動する。画面左下の星系25からスクリーン外に延びるナーサティア・ドライブ航路を移動すると、他の宙域(他のマシン)へ移動したことになる。自軍の総合生産力が36以上の場合、ウォーデータ(18文字のパスワード)が画面に表示される。なお、ゲーム開始時に、ウォーデータを入力すれば、2人プレイになる。
FLEET BATTLE
艦隊戦
画面左に自軍、右に帝国軍が配置され、陣形を整えて、戦闘を始める。3回の戦闘で一会戦終了し、戦闘継続か撤退かを選ぶ。劣勢でも作戦次第で勝利することは可能。そして、壊滅させた敵艦隊からは重要な情報が得られることもある。
PLANET BATTLE
惑星戦
惑星を制圧することが目的。投入する艦隊が充分な戦力を有し、かつ惑星降下直前における補給及び爆撃の位置と時間設定が戦術的に正しければ、惑星攻略に成功する可能性は高まる。あとは、ドライビングアーマーを操るプレイヤー次第。
画面の説明(艦隊戦モード)
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
① 各艦のシールド
② イニング及びターン表示
③ プレイヤー軍エリア
④ 帝国軍エリア
⑤ プレイヤー側の戦艦
⑥ プレイヤー側の巡洋艦
⑦ プレイヤー側のO.M.艦
⑧ プレイヤー側のミサイル艦
⑨ 小惑星(破壊可能)
⑩ コンピュータ側の戦艦
⑪ コンピュータ側の巡洋艦
⑫ コンピュータ側のO.M.艦
⑬ コンピュータ側のミサイル艦
画面の説明(惑星戦モード)
①
②
③
④
① SHIELD表示
このバーメーターがゼロになると、自機は破壊される。自分の艦隊の戦力が大きいほど、最初に与えられるシールドエネルギーは多くなる。
② WEAPON表示
プレイヤーのオプションウエポン使用回数がバーメーター表示される。このバーメーターがゼロになると、プレイヤーはオプションウエポンを使用できなくなる。
③ TIME表示
惑星降下を始めてから作戦遂行までの時間が表示される。この時間表示は、作戦時間として与えられた最初の時間を基準として、カウントダウンする。この時間がゼロになると、作戦は成功しているか否かに関わらず、ドライビングアーマーは撤退となり、この回の降下作戦は終了となる。
④ レーダー表示
全体マップ表示と、自機の現在位置を表示。(他機種と異なり制圧しても "OUT" とは表示されない)
オプション兵器 バルカンブースター
艦隊レベルが低い時からでも使用可能になるオプション兵器。通常のバルカン砲に装着することで、弾の連射が100%パワーアップし、3連射まで可能となる。WEAPONバーメーターは消費せず常時使用可能。
オプション兵器 後部グレネードランチャー
艦隊の兵器レベルがある程度あれば使用可能になる。後方防備用でドライビングアーマーの背中に後ろ向きに搭載されており、1度に3連射され自分の後ろにいる敵を全て破壊してしまう。いざという時、非常にありがたい武器である。WEAPONバーメーターは4発使用で1ゲージ消費する。
オプション兵器 S. A. I. B (surface to air intercept beam)
艦隊の兵器レベルが最大に近い時にのみ使用可能となる。この武器は、我が軍が誇る対空迎撃ビーム砲を小型化して、ドライビングアーマー用にしたものである。自分の前方に飛行している敵を自動照準で迎撃する、かなり強力な武器だ。WEAPONバーメーターは4発使用で1ゲージ消費する。
星系図
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
⑯
⑰
⑱
⑲
⑳
㉑
㉒
㉓
㉔
㉕
㉖
㉗
㉘
㉙
㉚
『ディーヴァ』FM77AV版 攻略3つのフラグ
『ディーヴァ』における完全勝利はナーサティア双惑星へ行き、シヴァ・ルドラを倒すことだ。敵を殲滅しても真のエンディングを迎えることはできない。星系図右下に存在するナーサティア双惑星へのルートを作ることと、ナーサティア双惑星で待ち構えるヴリトラを破壊する新型OM砲、そのエネルギー源であるγ3(ガンマ3)の鉱石を手に入れる必要がある。これらの謎を解いて初めて真のエンディングを迎えることができる。
条件の1つはヴリトラを倒すため、γ3(ガンマ3)に対応した新型OM砲を手に入れることだ。これは全艦隊をNO.2の主星「ブリーダー」に集結させることによりクリシュナ―シャークから手に入れることができる。その間、周りの星系が手薄になり帝国軍の攻撃にさらされる可能性は高まるが難易度としてはさほど高くない。
もう1つ条件はγ3(ガンマ3)を発見し、ナーサティアへの航路を見つけること。毎年12月にシヴァ・ルドラが訪れる星系NO.24主星マトゥラーを攻略すればいいだけど思いがちだが、それだけではイベントが発生しない。植民星を20以上という話もネットで見受けられたが正しくない。
TERRITORY(植民星系)20ではイベントは発生しない。追加で1星系を攻略しTERRITORYを21とした時ナーサティアへの航路が開ける。PRODUCTION(総合生産力)の関わりも考えたが過去にクリアしたデータを参照すると146であり、TERRITORYは24でナーサティアへの航路は開けていたので関係は無いようだ。早解きを意識すると陥りがちな罠だ。
ただし、この必要数値は機種によって異なる。極端な例を挙げると MSX版 は過去にクリアしたデータを参照するとTERRITORY15で航路が開けている。
トリビア
◆オープニングで流れる英字の全翻訳
THIS STORY TAKES PLACE IN THE DISTANT FUTURE.
(この物語は、遠い未来が舞台。)
MAUTREA YEAR 3721.
(マウトレーア歴3721年。)
THE VISHINUE UNIVERSE WAS NO LONGER WITH PROSPERITY OR GLORY.
(ヴィシュヌ銀河は今や繁栄や栄光とは無縁であった。)
NOWIT CONSISTED OF ONLY SORROW, DESPAIR, AND THE BURNING RANGE OF REVENGE.
(今は悲しみと絶望、そして復讐の炎があるだけだ。)
THE INDIRA EMPIRE, WHICH HAD DOMINATED THE UNIVERSE FOR 4000 YEARS, WAS WEAKENED BY THE ASSASSINATION OF THE GOLDEN EMPIRE NAMUE AND THE DISPPEARANCE OF STAR ALGENA.
(4000年に渡り銀河に君臨してきたインドゥーラ帝国は、黄金帝マヌの暗殺とアルジェナ星の消滅により弱体化した。)
EACH COLONIAL PLANET DREADED THEHORRIFYING DISAPPEARANGE OF THE MAIN STAR AND THROUGH WORRY AND CONFUSION SEVERAL REVOLTS OCCURED.
(各植民惑星は主星消滅の動揺によって心配と混乱の中いくつかの反乱が勃発した。)
THE SURVIVING PEOPLE SAW THE REAL FIGURE, THE DESTROYER, WHO HIDDIN THE SHADOWS OF RUINS.
(生き残った人々は、荒廃の影に潜む破壊者の真の姿を見た。)
HIS NAME IS SIVA RUDLA, AN IMPERIAL COMMANDER.
(彼の名はシヴァ・ルドラ、帝国の司令官)
BECAUSE OF SIVA'S SCHEME, PEOPLE LOST FAMILIES, FRIENDS, LOVERS, AND THEIR STAR.
(シヴァの企みによって、人々は家族、友人、恋人、そして彼らの星を失った。)
HE IS THE GUY WHO SUFFERED THIS TERRIBLE LOSS.
(彼は、このひどい損失を被った男だ。)
◆パッケージの各シーン写真には1つも製品と同じものがない
パッケージに映る画面写真は普通に見ていると特に違和感を覚えない。だがよく見てみると製品版ではまったく再現のできないシーンばかりだ。今回、パッケージを真似て作成したので大画面で解説しよう。
戦略シーンで使用されている画面。惑星戦のシーンを除きパッケージに使用されている画像写真はPC-8801mkⅡSR以降版やX1シリーズ版と共通だ。細かい違いはあるのだが、最も大きな違い、そして謎は MSX2版の星系図を使用していることだ。
MSX2版は解像度や使用色数、文字フォントの違いから戦略モードの見た目は3機種とはまったく異なる。なのに、あえてMSX2版の星系図を3機種の200ライン8色画像に当てはめてきたことが謎。そのため、上の画面作成はかなり苦しかった。 MSX2版の同じ場面をスクショして解像度を合わせドットを打ち込んだ。
艦隊戦モードはほぼ同等だが、先で述べなかった敵戦艦のデザインが若干ことなることと左右反転していることが異なる。そしてまず気づかれないであろう違い。それは…製品版ではO.M.砲のグラフィックが出ている時に爆発のグラフィックは表示されないということだ。撮影時のシャッタースピードが遅いという可能性も考えたが、それなら爆発パターンが重なって大層見にくくなるので、それはないだろう。
惑星戦降下直前の選択モード。この画面写真もよく見ると上部に表示されているマップは全30惑星のどこにも存在しない。上のマップ画像は全部ドット手打ちで再現。画像再現に手抜きをさせてくれない。手強いぜFM77AV版。
最も大きく製品と異なるのは3画面を繋げた惑星戦モードの写真だ。これには大きなウソが混じっている。全30星系の惑星戦にこんなマップは存在しないのだ。上の画像作成は適当に似た 星系NO.17(主星名:INSVIRE)のパーツにドットを打ち込み色を変えできる限り似せて作成した過去最高の力作。(ウソ画像なのに)
最後は製品と異なるというわけではないが、解説にある「艦隊の敗北はいつも無惨だ」という文章に添えられた画像写真。これは通常勝利(ノーマルエンド)の画像である。現実はいつも無惨だ。
◆初期ロットのバグ
初期ロット(シリアルNo.1000未満?)には惑星戦を終えると稀に数値がおかしくなる事がある。この現象が発生している場合本来艦隊が消滅するレベルのダメージを負っても残ったままだ。ただし、おかしくなった艦隊を増強しようとしてもマイナスからのスタートになるので、通常の数値へ戻すには相当数の増加が必要になる。また、艦隊戦になると艦隊の姿はなく攻撃できず相手が撤退するまでは延々と続く。
2次ロットから改善されたとされ、パッケージには "Ver.1.1" と記されたシールが貼られる。しかし、ディスクラベルには印がなく初期ロットと区別するのは難しそうだ。パッケージのシールも簡単に剥がせるものなので剥がされてしまうと確認はかなり難しい。
裏技の紹介
◆惑星戦、艦隊戦を行わず勝つ
ウォーデータに「PUTTSUNSIMASUGOMEN」と入力するとエラーも出ずに文字が消える。そのままESCキーで抜けると普通にゲームが進行しているように見えるが、惑星戦や艦隊戦のコマンドを実行した瞬間に戦わずして瞬時に勝利する。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG)
標準音源
音源チップ:YAMAHA YM2203(OPN)
01 MEMORY IN DURGA (オープニング)
02 NIRSARTIA DRIVEⅠ (戦略シーン)
03 FREET BATTLE (艦隊戦)
04 DRIVING ARMOR (惑星戦1)
05 NIRSARTIA DRIVEⅡ(惑星戦2)
06 DAIVAⅠ(エンディング)
合計時間 : 6:07
DISCOGRAPHY
ディーヴァ/浅倉大介
発売日: 1987年3月4日
価格: 3,000円
商品番号: CA30-1399
販売元: 東芝EMI
収録曲
01 ディーヴァⅠ
02 ヴリトラの炎
03 ナーサティア・ドライブⅠ
04 ニルヴァーナの試練
05 アスラの血流
06 ドライビング・アーマーⅠ
07 ナーサティアの玉座Ⅰ
08 ソーマの杯
09 フリート・バトル
10 ドゥルガーの記憶
11 ナーサティア・ドライブⅡ
12 ディーヴァ・リプリーズ~
13 ドライビング・アーマーⅡ
14 ナーサティアの玉座Ⅱ
15 神々の星
16 ディーヴァⅡ
当時の広告
貴重な証言
担当が親身でした。前例のない要件の場合、そこは大切です https://t.co/nDsH4Rfoos
— 小林誠 2220 (@makomako713) August 8, 2022
DAIVA FM77版のOPテーマ曲の元ネタ。服部半蔵 闇の軍団と刀根麻里子のジェラスファイヤーあたりがミックスしてるよね。あと、昼のラジオ番組のディスクジョッキーで流れてた軽音楽のサウンド。浅倉さんがスーパーアレンジしたバージョンのサウンドはイメージ通りでビックリしたよ。
— Tommy (@MusicaTommy) July 10, 2015
エンディングムービー
数字ボタンを選択すると動画再生
バッドエンド
ノーマルエンド
完全エンド
■ST0RY ナ―サティア双惑星
ナ―サティア双惑星………赤と青の二つの星から成る謎の双惑星。過去何億年にも渡って人々の往来を拒み続けてきた禁断の惑星。そして、時を同じくして7人の男達が、まるで何者かに導かれるかのように、このナーサティア双惑星を目指していた。
ルシャナとラトナは、ロングセンサースクリーンに映る赤と青の点を見つめていた。二つの点は次第に大きさを増し、そのラグランジュ点(二つの惑星の動力均衡点)に向かって赤と青の帯が伸びているのが、確認できるまでになった。二人はどちらの惑星を目指すのか決めかね、とりあえずラグランジュ点に艦隊を向かわせた。このような考えをいだいたのは、彼らだけではなかった。ア・ミターバ、マータリ、クリシュナ、そしてアモーガとアクショーも、同様にラグランジュ点を目指していた。
全く奇怪なできごとであった。同時に5つもの艦隊が遭遇するなど、誰しも予想しえなかった。ラトナはアモーガとの再会を喜び、他の者達もこの偶然について話し合った。突然クリシュナが言った。
「たぶん、おれが………、おれがあなたたちを呼んだ………。」
あっけにとられる6人を尻目に、クリシュナは続けた。
「理由も解からないし、どのようにして呼んだのかさえ覚えていないが……確かにおれがここへ導いた。」
「どうしてそんな………」
ラトナがつぶやいた瞬間、かすかな振動と共に警告音が響き渡った。各艦のセンサーは正確に赤い惑星を指していた。
「ヴリトラだっ!!」
クリシュナが叫んだ。
「ばかな!!。こんなに早く作れるわけがない。」
鉱石惑星マトゥラーを壊滅状態に追いやったマータリは、信じられない声をあげた。
しかし、確かにそれはヴリトラだった。それも体長数十kmにも巨大化した3体のヴリトラが赤い惑星をバックに青白く浮き上がっていた。そして、その半透明の体を通して、無数とも思われる大艦隊が確認できた………
「おれに続いてくれ。おれの艦のOM砲は総てγ3タイプを使っている。すぐにあの化物を吹き飛ばしてやる。」
クリシュナは言い終わると、艦首をヴリトラに向け突っ込んでいった。
クリシュナの艦は、ヴリトラから伝わってくる超波動に震えながらも、徐々にその距離を詰めていった。そして計5門のOM砲がいっせいに火を吹いた。青白い放電光に包まれる化物と、幾筋もの光の矢が交錯し、クリシュナの視界は白一色に覆われた。すぐにもとの視界を取り戻すが、なにごともなかったように、3体のヴリトラが蠢いていた。
「ふっ。愚かなやつ。そのヴリトラはアスラによって命を吹き込まれた。そんなことさえ解からぬとは………。」
声の主はシヴァ・ルドラだった。そして、確かにヴリトラは以前のものと異なっていた。青白い放電光に包まれながらも、その中身は赤黒い影によって形造られていた。
「それにしても目ざわりですね。私はあなた達と遊んでいる暇などないんですよ。」
「ヴリトラよ。この邪魔なごみどもを、早く掃除しなさい。」
シヴァ・ルドラの目標は彼ら7人ではなかった。過去何百億年、いや双惑星がここに存在した時から、僅か数十万kmの距離にありながら、アスラが一度も侵すことのなかった惑星………青の惑星。今、シヴァ・ルドラは初めてその星域に足踏み入れようとしていた。
距離を詰めすぎたクリシュナは、避ける間もなくヴリトラに呑込まれ、しばらくして通信は途絶えた。
「このままじゃ、おれたちもやられる。回り込んでやつらの艦隊に突っ込むぞ!!。やつらの艦隊の中で入り乱れて闘えば、あのでかぶつも攻撃できないからな。」
マータリの声だった。そしてそれはいかにも海賊らしい戦法だった。
艦隊はどうにかヴリトラを避け、シヴァ・ルドラの大艦隊へ突入していった。
しかしヴリトラの脅威から逃れはしたものの、圧倒的大多数のシヴァ・ルドラの艦隊を相手に、劣勢は免れなかった。
「こうなったら、中からたたき潰すしかないな。」
ラトナは高速艇に乗り込み、シヴァ・ルドラの艦を目指した。そして、ア・ミターバの機とともにシヴァ・ルドラの艦の排出口への侵入に成功した。しかし、二人は捕えられそして、シヴァ・ルドラのところへ連れていかれた。
部屋は、外の壮絶な戦闘とは全く関わりのないように、静かだった。
二人の前には、シヴァ・ルドラが、幾つかの計器らしきものを備えた銀色のソファーに深く腰をおろしていた。冠をとったシヴァ・ルドラは、二人が想像していたより若く、長く伸びた髪は赤く光っていた。
「ア・ミターバとやら、またお会いすることになるとは思っていませんでしたよ。それも、お友達までご一緒とは。」
「シヴァ・ルドラは、おもしろいものを見るように二人を眺めた。」
「所詮、ディーヴァの造った下等な生物。われらアスラには及びもせんか。」
右手で赤い髪をかきあげながら、シヴァ・ルドラは腰を上げ、二人に向かってゆっくりと歩きだした。ア・ミターバの前で立ち止まると、燐光がその奥でちろちろと燃える眼を細めて、シヴァ・ルドラは陰湿な笑みを浮かべた。
「そういえばあなた、ひとつ大変な誤解をしている。」
「何を………だ。」
「あなたは妻を私に奪われたと、おっしゃっていたでしょう。」
「そうだ、おまえはサティーを2年前おれの前からさらった。」
「でも、その女がもともと私の妻だったとしたら………いかがですか。」
シヴァ・ルドラは楽しそうに言った。
「そんな馬鹿なことが、あるわけない。」
「ところが本当なのですよ。"あれ" は、私がこの醜いディーヴァの姿をしているときの妻………もちろんあの為にだけ造られた "もの" だったのですがね。ところが、私が目を離した隙に逃げ出して、いつのまにやら涼しい顔をして、あなたのものになっていたというわけです。」
確かにア・ミターバは彼女の過去を知らなかった。だが、それは彼女に始めて出会った時、すでに彼女は記憶を失っていたのだ。
「誰が………そんなでまかせを信じるものか。おまえは惑星マトウラーでサティーを殺した………俺の目の前で。いくら裏切られたとはいえ、かつて愛した女をあんなに簡単に殺せるはずが………ないだろうが。」
ア・ミターバは明らかに動揺していた。
「愛した………ですって!。"愛" 、なんと陳腐な響き、なんと不浄な言葉。あなたがたディーヴァに仕える者は、どこまで愚かしいんでしょうか。"愛" などとは偽りの感情、ディーヴァがあなたがたを拘束するための足かせなのですよ。」
シヴァ・ルドラはわざと大袈裟に叫んだ。
「………………。」
ア・ミターバは返す言葉がなかった。ラトナも黙ってことの成行きを見つめていた。
「しかたありませんね。それでは、あなたにおもしろいものをお見せしましょう。さあドゥルガー、こちらへおいで。」
シヴァ・ルドラが声をかけた方向に人影が動いた。ア・ミターバは息を呑んだ。そこにはサティーが、死んだはずの妻がそこに立っていた………
「サティー、生きていたのか。」
かすれた声が、ア・ミターバの口から洩れた。
「"これ" はね………あなたのいうサティーじゃないんですよ。"あれ" と同じ人工有機体なんですよ。もっとも、まだ "これ" は処女でして………。どうですか、あちらのほうも同じかどうか、お試しになり………げふっ。」
いきなり、どす黒い血がシヴァ・ルドラの口からあふれ、白いスーツの胸を赤く染めた。その胸には、大きな穴がぽっかりと開いていた。シヴァ・ルドラは、とても信じられないとてもいった顔つきで、鮮血に染まった自分の手を見つめ、突然悪魔の形相に変わり、後ろを振り返った。
そこには、OMブラスターを手にしたドゥルガーが立ちすくんでいた。
「ま………、まさかおまえが、私を………。」
シヴァ・ルドラは口からあふれでる血液にむせ、胸にあいた穴からひゅうひゅうと音を鳴らせて言葉を吐き出すと、その場に倒れこんだ。そして、その容姿はみるみるうちに崩れてゆき、赤黒き影となって部屋から消えていった。
「わたしはドゥルガー………。いえ、サティー………、わからない。遠い……記憶が、あります。」
信じられない出来事が起こりつつあった。ドゥルガーにはサティーの記憶が宿り始めていた。
ラトナとア・ミターバは彼女を連れ、シヴァ・ルドラの艦を後にした。暫くして艦は、二人が動力源に仕掛けた爆薬によって、大爆発を誘発した。それを機に、アモーガ達は攻勢に転じたが、その時シヴァ・ルドラの声が響き渡った。
「醜いディーヴァの肉体など失っても、どうってことはない。今こそアスラは一つになる。そろそろ終わりにしよう。」
戦場は巨大な赤黒い影に覆いつくされていた。そして、ヴリトラは敵味方関係なく、艦を呑み込み始めた。ヴリトラから逃げ惑ううちに、戦場は青の惑星の大気圏近くまで移動していた。そしてついに戦場を失ったマータリの艦に、さきほどクリシュナの艦を呑み込んだヴリトラの、数kmに及ぶ巨大な口が迫ってきた。ヴリトラから発せられる強力な超波動によって、マータリの艦はきしみ、今にも分解を始めそうな轟音に包まれていた。
しかし次の瞬間、吹き飛んだのはヴリトラのほうであった。そして巨大な青い影が現れ、赤黒い影を徐々に侵食し始めた。
「しまった!」
アスラの声が、一瞬宇宙空間に響き渡ったかと思うと、目もくらむようなすさまじい光が空間を覆い、ヴィシュヌ銀河を閃光が駆け巡った。それは、わずか数秒の出来事であったが、閃光の去った後、宇宙は平穏を取り戻していた。艦隊は動きを止め、残り2体のヴリトラは姿を消していた。ヴィシュヌ銀河全域においても数十万の人間が消えた………アスラの宿っていた者達である。
スクリーンには、ヴリトラに呑み込まれ、死んだと思われていたクリシュナの顔があった。
「私の星………、青の惑星で待っています。総てをお話します………。」
クリシュナの導きによって6人は、青の惑星へと降下していった。
■ST0RY エピローグ ⎯神々の星⎯
青の惑星………なんて心地よいところだろう。まるで、遠い昔、母の温かい胸に抱かれていたかのような、懐かしい感触が6人を包んでいた。
目の前には小さな美しい神殿があった。そしてその中央に、クリシュナがたたずんでいた。
「よかった。やっぱり生きていたのか。」
6人は口を揃えていった。
「心配してくれて、ありがとう。でも私は皆さんにあやまらなければなりません。」
クリシュナの顔からは、記憶の喪失による苦痛は消えうせ、実にすがすがしい笑みをうかべていた。それは、彼が男であるにもかかわらず、まるで女神であるかのような素晴らしい表情だった。
クリシュナは言葉を続けた。
「私がヴリトラに呑み込まれた時、総ての記憶が明白になりました。」
「私はディーヴァ。貴方がたが神と呼んでいる者です。そして、アスラは悪魔と呼ばれているんでしょ?」
6人は疑うということを忘れて、黙って聴きいっていた。
「この銀河が形成される前、ここにあったのはアスラの支配する赤い星と、ディーヴァの支配する青い星だけでした。」
「そして、アスラとディーヴァの争いの結果として、このヴィシュヌ銀河が生まれました。それ以来も、幾度となく争いが起こり、その度に私………私たちディーヴァは勝利をおさめてきました。」
「でもそれは、いつも私たちの子供………貴方がたの力によるものではなく、ディーヴァの力によるものでした。」
「こんどは、子供達だけの手で闘ってほしいと思い、貴方がたをここへ導きました。ごめんなさい。でも結果………私たちが救われることになりました。」
「まさか、アスラが私たちの星域に攻めいってくるとは思ってもいませんでした。アスラは実体化していたにもかかわらず、私たちの星域に深く入り込んでいるのを忘れていました。」
「ディーヴァとアスラは、その実態において、決してお互いの星域を侵すことはできません。あそこでアスラを倒すのは容易なことでした。」
「ところでア・ミターバ。人口有機体も立派な人間だと思いませんか。」
「はいっ。」
ア・ミターバは、やけに賢まって答えた。
「ありがとう。かわいがってあげてください。ドゥルガー、いえサティーも、私たちにとっては、孫のようなものです。」
「それと………、マータリ。約束どおり、新しい皇帝を努めて下さい。」
「これはおもしろい。昨日の海賊が明日の皇帝か。神様も粋なことをするもんだ。」
ラトナは、ふきだした。
クリシュナ、いやディーヴァは笑みを残しながら、そして静かに姿を消した。
銀河は………、新しい時代に向けて動き始めていた………………