ドラマチックRPG
ARCUS(アークス)
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (3枚)
定価 : 7,800円
発売日 : 1988年5月13日(発売予定1月→2月下旬→3月→4月上旬→4月下旬から延期)
販売元 : ウルフ・チーム
○サウンドボードⅡ対応
○1ドライブ対応
○ジョイ・スティック対応
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店頭デモ
通常オープニング
目次
アークス for PC-8801mkⅡSR
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
物語はRPGを覚醒する。
この国に、かつてない大きな異変の波が押し寄せてき
ている。父の墓前に別れを告げたジェダ・チャフは、形
見の剣と鎧を持って旅立った。「父はなぜ騎士を捨て、
樵になったのか?」騎士になればその答えがわかるは
ずだと、功名を求めあてのない青春の旅に向かう彼を
巻き込む、アルカサス王国の異変事。部族も、旅の目
的も違う者達が出会い、そこから本当の旅が始まろ
うとしていた。過去、精霊達に見放され大自然の神秘
の力「魔法」を封じられたその歴史ゆえか、平和の番
人と伝承される"黄金の竜"自らが、「太陽がその光を
失う時、最後の審判が下る」と国王に最後通牒を発し
てきた。この国に降りかかる審判とか何か!運命とい
う大河に巻き込まれ、翻弄される六人の行く手に壮大
なドラマと真実が待っている・・・・・・人は、歩む道の終り
を知ることはできない。
フルカラー・グラフィックの3Dダンジョン。人口迷路の他に自然の地形迷路もある
自然宗教を核として設定された、独特のファンタジー物語がビジュアル・グラフィック
で展開する
パソコンRPGならではの、連続成長システムを導入
成長システム
「ARCUS」は何年も経過する長い
キャンペーンではないので、成長
とは肉体的なもので
はなく、勇気と精神
の成長である。経験
とはモンスターに対
する「戦闘経験」、「A
RCUS」 には従来の
経験ポイントもそれ
に伴うレベルもない
戦闘システム
魔法システム
売買システム
「ARCUS」はRPG本来の「過程を楽しむ」という精
神的な観点から、「物語としてRPGの世界を感じたい」
を基本的なテーマとしています。そのためにゲーム世
界の視覚表現を充分に取り入れ、
プレイヤーがドラマとしてファンタジ
ー世界の冒険を堪能できるように
綿密に設計されています。
6人の人間模様が流れを決める
※ 1ドライブ対応 尚、NEC純正内蔵ディスク・ドライブ以外での動作は保障いたしません
※ 全曲、サウンドボードⅡ対応
※ ジョイ・スティック対応
STAFF
企画ウルフ・チーム
音楽宇野正明
美術林浩樹
洗猛
北山のり子
諏訪功
プログラム藤西宏
渡辺勝利
貞弘雄一郎
ゲーム・デザイン林浩樹
株式会社ウルフ・チーム 〒162 東京都新宿区下宮比町2-18-209 TEL.03(269)8650
※当社は、当社が著作権を有する本ソフトウェアの複製行為、及び賃貸(レンタル)行為について、
これを一切許可しておりません。もし違反した場合は懲役または罰金が課せられます。
『ARCUS』(PC-88SR版)について
◆『ARCUS』概要
『アークス』(ARCUS)はウルフ・チーム が開発し、NEC PC-8801mkⅡSR以降版をオリジナルとして 1988年5月13日に発売したドラマチックロールプレイングゲーム。ウルフ・チームが日本テレネットから独立しての第二作目。企画立案の9月から発売までおよそ4ヶ月という日程でスケジュールが組まれ、1988年新春の発売予定だった。しかし、独立第一作目の『ヤシャ』(YAKSA)の回収騒ぎを含めたトラブル対応もあってか、度重なる延期により発売は大幅に遅れた。ただし、事前公開された情報や画面写真からあまり逸脱することもなくシステムは設計通りに仕上がったと思われる。後にNEC PC-9801 シリーズ(8月発売-7月10日予定から延期)、SHARP X1turbo(9月10日発売-7月下旬予定から延期)、富士通 FM77AV(10月発売)、MSX2(11月15日発売-11月13日予定から延期)、SHARP X68000(1989年4月21日発売-3月下旬予定から延期)などへ移植されている。
◆開発スタッフ
ゲームデザイン、シナリオ及びキャラクターデザインは 1986年に日本テレネットから発売された『ファイナルゾーン』や『夢幻戦士ヴァリス』(PC版)のキャラクターデザイナーを務めた林浩樹(Hiroki Hayashi)(開発当時25歳)が1987年9月に移籍し担当。
メインプログラムは藤西宏(Hiroshi Hujinishi)が担当している。藤西宏は当時代表であった秋篠雅弘(Masahiro Akishino)と東京理科大時代の友人。1987年3月に大学を中退しウルフ・チームに参入。PC-8801mkⅡSR以降版『ヤシャ』ではビジュアルの一部と音響関係を担当。また、NEC PC-9801シリーズ版『ヤシャ』および『アークス』の移植にはメインで関わっている。
◆様々な新しい試みが製品化された時代
1988年前後はロールプレイングゲームやアドベンチャーゲームなどジャンルを問わず奇抜な新しいシステムの盛り込まれた作品が様々なソフトハウスから数多く登場し、プレイヤーに受け入れられず消えていった時代だった。容量が制限された中でのゲームデザインはまだ未成熟であったともいえるし、売れ筋の最大公約数的なデザインではなく実験的要素を組み込んだような新しく奇抜なものが売れるという可能性を秘めたゲームが製品化された時代でもあった。
この『アークス』も例外ではない。一見『ウィザードリィ』(Wizardry)などに代表されるオーソドックスな3Dダンジョン型ロールプレイングゲームだが、一皮剥けた作品にしようとする意欲的かつ斬新なアイデアが豊富に盛り込まれている。
◆酒場での喧騒を再現した試み
例えば、ジェダが最初に訪れる村プルデンシアの酒場を訪れると通常のロールプレイングゲームと異なる雰囲気に気づくだろう。こういった場では相手を選択し「話す」というコマンドを用いる作品が多く見受けられる。しかし、『アークス』では終わることのない会話が一方的に流れてくる。これは酒場の喧騒を表しており、聞き耳を立てて情報を得るということを再現している
ゲームの謎を解く鍵となるものがあるかというとほぼ無いと言っていい。噂話や自慢話など、聞こえてくる雑談に聞き耳を立ててることにより物語の世界に浸れる。「物語としてRPGの世界を感じたい」という思想はここにも表れており、マニュアルを読むだけでは把握できないアルカサス王国の現状が理解できるだろう。延々と見続け(聞き続け)ていられるほど話題も豊富で飽きない面白いシステムだ。
ちなみに、会話の内容は膨大でおよそ半分は丘見文克(Fumikatsu Okami)(当時『ファイナルゾーンⅡ』のシナリオを担当)が担当している。
◆武器や防具といった装備を整える概念を無くした試み
酒場でここ最近の情勢も把握したし、さあ冒険へ出発だ。
と、その前に初期の僅かな軍資金から最低限の装備を整えるというのが当時のロールプレイングゲームによくあるお約束だ。しかし、『アークス』には武器屋や防具屋は存在しない。モンスターや宝箱から手に入れることもない。各キャラクターの装備は設定されているものの最後まで固定だ。装備品を購入するためのお金稼ぎに不毛な戦闘を繰り返すという物語を楽しむために不要なことを極力プレイヤーに強いるということを否定したのだろう。
◆モンスターがお金を持っていない試み
アルカサス王国で冒険の準備を整えるにはよろず屋しかない。そこで必要になるのがもちろんお金だ。実はこのお金に一番気を使わねばならない。『アークス』では敵であるモンスターを倒してお金が手に入るという理屈を否定する。冒険者ギルドで金を稼ぐための仕事のなんてのもない。追加のお金はどこかにある限られた数少ない宝箱から手に入れるしか無いのだ。(これは事実上の無職)
お金が尽きるとセーブするための宿屋に泊まれなくなるので完全にゲームは詰まってしまう。そのため無計画な出費は避けなければならない。しかし、真面目にアイテムを揃えると早々にお金も尽きアイテムもすぐ買えなくなる。そうなると麻痺(解麻痺薬36G)や毒(解毒薬40G)が治せずバタバタキャラクターが死んでいく。(PC-9801シリーズ版は休憩で麻痺や毒も回復する。)
お金が殆ど手に入らないが故、高い薬が買えず毒でバタバタ倒れてパーティーが全滅ということはよく起こる。そういうときのために、救済措置がある。『アークス』には全滅しても全員復活する便利なシステム(世界観)がある。しかも所持金が半額になるとかいうペナルティもない。つまり、高い薬を買うくらいなら死を選べ。お金は命よりも重い。これも『アークス』における世界観だ。
◆経験値やレベルという概念を無くした試み
戦闘を含めた成長システムは更に画期的だ。戦闘シーンは一見ランダムエンカウントのオーソドックスなターン制コマンドバトル。しかし、『アークス』では戦闘によって得られる経験値やレベルアップを排除。そのため各種能力の最大値は上がらない。内部的には各モンスターに対する経験を与えており、与えるダメージが増えていくようになる(らしい)。理屈としては「初めてのモンスターにはどんな手が通用するか分からないので経験はゼロだが戦闘を重ねることによって戦術を学んでいる」ということだ。これを「精神と勇気の成長」と位置づけている。お陰でロールプレイングゲームでありがちなレベル上げに時間を取られること無く物語に集中しやすくなっている。
◆地域間の移動における試み
地域間の移動シーンはアドベンチャーゲームのようなコマンド選択式仕立てになっており、余計な面倒は省かれている。移動後のビジュアルにもちょっとした工夫がしてあったりするのが妙に新鮮で『ヤシャ』や『アークス』のオープニングで多用されているプログラムテクニックの応用だが不思議な光景を見せてくれることもある。
ウルフ・チームお得意のポエムに加え、場面によっては無音でピシッと張り詰めた空気感を演出したり、悲しげなBGMで場面を盛り上げたりとビジュアルの演出に本気を出させたらウルフ・チームの右に出るものはそうそういないことを改めて思い知らされる。ポエムは作者の酔い加減が重要で、泥酔状態のポエムだと手がつけられなくなり大変なのだ。(後のウルフ・チーム作品を思い浮かべる)
『ウィザードリィ』などを代表する3Dダンジョン型ロールプレイングゲーム。日本のゲームとして今や歴史からも消えそうな気配すらある『アークス』だが、新しい表現方法を見せてくれた。もちろん聖殿地下ダンジョンのような画一的な表現方法もあれば、壁のないオープンフィールドを表現した氷河地帯や砂漠地帯などの昔から存在する画一的な表現も含まれている。
そんな中で私が最も驚いたのは三日月湖のほとりにそびえる青い塔だ。塔の内部へ潜入するには側面に沿う螺旋階段を登っていくのだがその表現方法が画期的だった。背景が横にスクロールすることにより塔の周りを沿って移動していることを表現していた。単純に登る下るだけの表現だが、これを3Dダンジョン型ロールプレイングゲームで表現したいだけのために作成したのではないかとさえ思わされる。『アークス』はこういったアイデアに溢れている。
◆想像以上に遊べる試みの融合
独立後初作品である『ヤシャ』は雑誌などで相当面白そうに見せておきながら実際の製品はとんでもないものだった、なんて話や回収騒ぎの顛末騒動は掘れば幾らでも出てくる代表作だ。購入したプレイヤーからの信用は地に落ちた事件であったとも言える。しかし、信用などどこ吹く風で、店頭デモに封じ込められた魔法により『アークス』を思わず購入してしまったプレイヤーも多かっただろう。後のウルフ・チーム作品で何度も煮え湯を飲まされたプレイヤーも多い筈だ。そう考えれば『アークス』は結果的には多くのプレイヤーにまだ好意的に受け入れられた作品に思える。
エンカウント率の高さや単純にだだっ広い砂漠・氷河地帯をさまよったりと苦難の道はあれど途中で投げ出さず最後まで攻略したプレイヤーの話はよく見るし、実際、普通に遊べてしまう。本来その点を評価すべき部分ではないと思うのだが、顛末騒動を振り返れば普通に遊べてしまうことで素晴らしい作品に思えてしまうのだ。また、当時としてはキャラクターの個性を全面に押し出し、時にはぶつかり合い、時には助け合いながらパーティーで冒険を続けるロールプレイングゲームはまだ少ない時代で物語に深みと没入感を与えてくれる最高の融合であったことは間違いない。
しかし、ロールプレイングゲームを物語のキャラクターを演じる、精神の成長という方向に大きく舵を切ったため、途中途中の達成感に乏しいのも事実だ。それは、全く敵わなかった敵に勝利できるという見えやすい肉体面の成長をカットしたことだ。『アークス』はそれを真っ向から否定しフラグ作業だけを中心に据えた実験的要素をそのまま組み込み商品化したというわけだ。雑誌によっては「すべての面においてまったく新しい方法論を確立したRPG」「第二世代のパソコンRPG」「今までの常識を覆すほどの新しいコンセプトを持ったニュータイプのRPG」と評価されたが、この試みがゲームの世界を変える影響を与えることがなかったというのは歴史上の事実だ。
では、デザイナーの林浩樹、延いてはウルフ・チームがゲームの世界を変えることが無かったかと言えば答えはノーだ。ウルフ・チームは『ファイナルゾーン』(1986年5月発売)や『夢幻戦士ヴァリス』(1986年12月発売)のようにアクションゲームでも重要なシーンではアドベンチャーゲームのような映像(ビジュアル)で展開するという「ビジュアルシーン」という単語を創り、導入した。このシステムは後に数々のゲームでも多数取り入れられている。これは、歴史における ウルフ・チーム の功績だろう。またゲームには直接関係ないが、裏技ながら曲名の入ったミュージックモードを ファイナルゾーン で作り世に広めたのもウルフ・チーム:テレネット時代の前田稔(Minoryu Maeda)の功績だ。
ゲームデザインは新しいチャレンジに取り組んだ結果がプレイヤーに受け入れられるかどうか予測もつかない博打の世界だ。『アークス』は林浩樹が過去作品で培い認められた部分を取り入れつつもそれだけに甘んじること無い、チャレンジ精神に溢れた作品として一部プレイヤーの心にしっかりと名を刻んだ隠れた名作であるのもまた事実だろう。
◆ウルフサウンドの凄さを感じさせるBGM
ミュージック・フロム ヤシャ&アークス
キングレコード/1988年10月5日
メディア/価格:
CD K30X 7709 3,000円
CT K25H 4709 2,500円
収録曲: YAKSA(ヤシャ) ①IPL ②龍王魔空「夜叉」 ③風の中で ④迫りくる脅威 ⑤WA・RA・JIを得た ⑥魔空への序曲 ⑦ ニューアート・イグニッション ⑧天海の魔王 ⑨工ピタフパートI ⑩暗雲の中へ ⑪悲しみのエチュード ⑫「沙羅」のテーマ ⑬エピタフパートⅡ ⑭「沙羅」リプライズ ⑮再来 ⑯宿命の嵐 ⑰神武伝承 ⑱帰らざる旅路 ⑲死魔神 ⑳ゲーム・オーバー ㉑WOLF'87 ㉒フォーエバー旅立ち ㉓老師の樹のもとで(YAKSA外伝Ⅰ「円月心覚書」より) ARCUS(アークス) ㉔レジェンド ㉕メリーゴーランド ㉖フォーセール ㉗カンパレロ ㉘バラード ㉙ファイターズ・ファイト ㉚エクスフロージョン ㉛オペレーション ㉜悠久の時を見つめて ㉝迷いの森 ㉞イリスレクイエム ㉟センチュリー ㊱プレリュード ㊲ブルーマジック ㊳モーニングムーン ㊴エチュード ㊵精霊との出会い ㊶ゼルドマッドネス ㊷ブリザード ㊸シンフォニー ㊹コンチェルト ㊺伝説の炎 ㊻トラップ ㊼ゲッティングクローサー ㊽エンドレスファイト ㊾セイント ㊿エンド・オブ・ジ・ワールド 51.オーバー・ザ・レインボー 〈ハイグレード・バージョン〉52.龍王魔空「夜叉」(YAKSAより)〈ハイグレード・バージョン〉53.イリスレクイエム(ARCUSより)
音楽面では拡張音源であるサウンドボードⅡに ウルフ・チーム として初の対応となった。サウンドボードⅡ発売がPC-8801FA/MAの時期なので予定通りの発売であれば対応はかなり早かったといえる。後々の作品ではサンプリングを音楽に取り込んだり、MIDI対応作品を早々に展開するなど、音楽面ではかなり積極的な取り組みをしていた。『アークス』ではステレオ機能を使用したFM音源を最大6声使用。加えてリズム音源を使用している。
なお、店頭デモ版でも同じ仕様で同じ曲を使用しているが、音のバランスや音色の使用箇所が若干異なっている。このことから曲データを作成したら終わりでなく調整は細かく行われていたことが想像できる。
楽曲に関しては宇野正明(Masaaki Uno)が担当。宇野正明は彗星のごとくPCゲーム業界に現れ『ヤシャ』から参加している。店頭デモで一躍虜になったプレイヤーも多く、ウルフ・サウンド と呼ばれる礎を作った方だ。『アークス』の楽曲も音色など技術的な面を含めた素晴らしい出来栄えだ。数々のBGM群は完全に物語に寄せて作られており、画面を見ずとも風景が想像できるだろう。『アークス』は村や店、戦闘、氷河地帯、砂漠地帯などイメージしやすい背景があり楽曲と画面のイメージがマッチした ウルフ・チーム 作品の中では数少ない作品だ。キャラクターや世界設定も大事だが、それに応じた音楽もイメージの一つとして検討され制作されているという逸話が残っている。
音楽性の高さは「ミュージック・フロム ヤシャ&アークス」としてアルバム化されているのが一般的な評価の高さを示しているだろう。特にオープニング曲の盛り上げ方はウルフ・チームの伝統とも言われる。『アークス』は『ヤシャ』と基本的な音色が同じため、オープニングはヤシャと間違えそうな雰囲気だ。 この後の作品でも音色自体の変化は殆ど無く、ウルフチームを特色付ける音色として定着させる重要な作品群であったとも思える。「ミュージック・フロム ヤシャ&アークス」に収録されている『アークス』の曲は製品より更に手が入れられており細かい調整(LFOモジュレーションが派手になっている)がされているので、機会があれば聞いていただきたい。願わくば生の音で聞きたいものだ。
ストーリー
プロローグ
太古の昔、人間は大自然の脅威に脅えながら細々と暮らす弱い存在であった。嵐、山火事、洪水、地震など、人々はその強大な『力』の存在を恐れていた。しかし、その『力』を司る者達………自然を統べる、火、水、土、風の精霊達………の存在を知った時、その"恐れ"は"崇拝"へと変わり、彼等を自らの"支配者"として崇められるようになった。だが、同時に人間は、精霊達のその神秘的な『力』に魅せられてしまい、やがて自らの知恵によってなんとかそれを会得しようと模索する者達が現われた。時の王は彼等に『聖導師』という地位を与え、精霊達からより多くの恩恵を授かれるように務めさせた。その願いはかなえられ、精霊達は『聖導師』に限って、その『力』を使える"四つの器"を人間に与えた。『聖導師』達はその"特権"によって自然を操り、人間はその『力』を大いに利用して文明を築き、栄えていった。しかし………人間はさらに多くの『力』を欲するようになった………戦いのために………!そして人間達は、生来より持つその不屈の精神で精霊達から得た『力』を "呪文" という形に置き換えて利用する "学問" を発明し、それを『魔(法)学』と呼んだ。現在で言う『魔法使い』の誕生である。強力無比な魔法の力を得た人間は、より良い土地を求めてその勢力を拡大し、先住部族達を力で追い払った。
その、あまりの "無軌道ぶり" を見兼ねた精霊達は、人間からいっさいの『力』を奪い去るため、アルカサスの国を見捨ててしまったのだった。精霊の加護を失った王国は、いたるところで土地が荒れていった。氷河の侵攻、砂漠、荒野の拡大………精霊信仰はすたれていゆき、人々の心はすさみ、部族間の争いが絶えなかった。そして、今………この国にかつてなく大きな異変が起ころうとしていた………!
登場人物
ジェダ・チャフ
種族:人間 18才
母を早くに亡くし、その昔、騎士の名声を捨て樵となっていた父と共に、物心ついた頃から人気のない山奥でひっそりと暮らしていた。
厳格な騎士道を歩んできた父親に育てられたおかげで、礼節を重んじ、素直で正直なたくましい少年に成長したものの、母の優しさの記憶に乏しいせいか、根は優しいがそれを表現するのは苦手である。武器の扱いにとりわけ長けている訳ではないが、父の手伝いをしながら長い間野性的な生活を送ってきたので、力の強さだけは確かなものがある。
エリン・ガーシュナー
種族:人間 17才
出生の詳細は本人が明かさないので謎である。が、姓から判断すると、西北の地に分布する狩猟民族の出と思われる。放浪の旅を続ける内に、数々の戦いをくぐり抜け、剣の腕を磨いたらしい。戦い慣れしており、男勝りの剣裁きと軽快なフットワークで敵を倒していく様は見事なものである。ただ、独りで行動してきたことが多かったせいか、団体行動は苦手である。
無類の酒好きで、飲むと暴れて手がつけられなくなるという酒乱癖があったりする。
ディアナ・フィレリア
種族:エルフ 年齢不詳
その昔、エルフ達は人間に土地を追われ、今はアルドゥールの森でひっそりと暮らしている。彼女はそのエルフ族の族長の娘で、幼い頃から戦士としての訓練を受けており、今ではエルフ族の戦士達を従えるほどの腕前を持っている。が、何事にも慎重な判断をとりがちな為、緊急事態での行動がやや出遅れることがある。性格は穏やかで優しく、生まれが高貴な処も助けて、何者にも侵されない気品と風格をそなえている。また、勧善懲悪主義者であるために、ささいな悪事にも目をつぶることができず、何らかの制裁が下されるまで許さない"正義の味方" である。
トロン・ティア
種族:ホビット 32才
ホビット族の商人の息子で、裕福な家族に育ったが、ホビット族が人間に追われて土地を失って以来、泥棒稼業をしながらあちこちを放浪している。"獲物は大物に限る"という信念を持ち、人間から盗むことが多いため、その名は同族の間では有名である。が、内心ではそんな泥棒家業に飽き飽きしており、"もっと広く世界を巡り、壮大な冒険を成し遂げたい"という夢を抱いている。
足は速く、手先も器用だが、体が小さいので重い武器や道具を持って走り回ることは苦手である。お人よしで優しい性格の持ち主だが、損得勘定には少々うるさい。
ピクト・アネクシオス・ピヨント
種族:ハーフエルフ 12才
人間とエルフ族の、両種族の断絶をもかえりみず、エルフ族の語り部の娘イリス・レグ・ピヨントと、人間の若者アネクシオス・フォトノが駆け落ちして生まれた混血児、ハーフ・エルフである。
母から多くの伝承について聞かされており、伝説や歴史について実に様々な知識を持っている。好奇心はかなり旺盛なのだが、その珍しい容姿のために幼い頃から回りにうとんじられ、気弱で引っ込み思案な性格になってしまった。まだ、子供なので体力はあまりなく、戦いの経験もいっさいない。
ヴィド・シア
種族:人間 54才
その昔より魔法について多くのことを研究してきた魔学者の末裔。古えの聖導師ルディ・クロウス・リーの血筋をひいている知恵者である。薬学を始めとする様々な学問に通じ、知識も豊富で、すこぶる頭の切れる男だが、自信過剰で自己中心的な物の考え方をとることが多く、人を見下すばかりでなく、自分の失敗を人に押しつける悪い癖を持っている。さらに、日常においては傍観者を決め込んでいるのに、集団においての決断をとる際には決まって指揮をとりたがるという、少々やっかいな男である。
裏技の紹介
◆ミュージックモード
村の広場でF5を押すとミュージックモードに入る。音楽は自動的にフェードアウトしてしまうので無限ループで聞くことはできない。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG+リズム音源)
サウンドボードⅡ
音源チップ:YAMAHA YM2608(OPNA)
01 レジェンド (オープニング)
02 メリーゴーランド (プルデンシア/シェレル/リヴゴーシュ)
03 フォーセール (よろず屋)
04 カンパレロ (酒場)
05 バラード (エルミザード・聖殿地下)
06 ファイターズ・ファイト (戦闘)
07 エクスプロージョン (イベント:エリン・ガーシュナー)
08 オペレーション (イベント:ヴィド・シア)
09 悠久の時を見つめて (菩提樹)
10 迷いの森 (イベント:ディアナ・フィレリア)
11 イリスレクイエム (イベント:ピクト・アネクシオス・ピヨント)
12 センチュリー (イベント:アルカサス王国 国王)
13 プレリュード (ミリュウ・三日月湖の塔/ゼルド砂漠・荒野)
14 ブルーマジック (イベント:魔女)
15 モーニングムーン (ホテル)
16 エチュード (カランドル・風の谷)
17 精霊との出会い (イベント:精霊)
18 ゼルドマッドネス (ゼルド砂漠・入口)
19 ブリザード (コリアンドル・入口)
20 シンフォニー (ドラゴン山)
21 コンチェルト (コリアンドル・氷河)
22 伝説の炎 (ドラゴン山・精霊サラマンダ)
23 トラップ (罠)
24 ゲッティングローサー (アイテム取得)
25 エンドレスファイト (ラストボス・ブラックドラゴン)
26 セイント (ドリトニア)
27 オーバー・ザ・レインボー (エンディング)
PC88版の「エンド・オブ・ザ・ワールド」に関しては使用場所が不明のため未収録とした。(ゲームオーバー時に流れない)
合計時間 : 32:07
作曲 : 宇野正明
DISCOGRAPHY
ミュージック・フロム ヤシャ&アークス
発売日: 1988年10月5日
価格: 3,000円
商品番号: K30X 7709
販売元: キングレコード
収録曲
YAKSA
01 IPL
02 龍王魔空「夜叉」
03 風の中で
04 迫りくる脅威
05 WA・RA・JIを得た
06 魔空への序曲
07 ニューアート・イグニッション
08 天海の魔王
09 工ピタフパートI
10 暗雲の中へ
11 悲しみのエチュード
12 「沙羅」のテーマ
13 エピタフパートⅡ
14 「沙羅」リプライズ
15 再来
16 宿命の嵐
17 神武伝承
18 帰らざる旅路
19 死魔神
20 ゲーム・オーバー
21 WOLF'87
22 フォーエバー旅立ち
23 老師の樹のもとで(YAKSA外伝Ⅰ「円月心覚書」より)
ARCUS
24 レジェンド
25 メリーゴーランド
26 フォーセール
27 カンパレロ
28 バラード
29 ファイターズ・ファイト
30 エクスフロージョン
31 オペレーション
32 悠久の時を見つめて
33 迷いの森
34 イリスレクイエム
35 センチュリー
36 プレリュード
37 ブルーマジック
38 モーニングムーン
39 エチュード
40 精霊との出会い
41 ゼルドマッドネス
42 ブリザード
43 シンフォニー
44 コンチェルト
45 伝説の炎
46 トラップ
47 ゲッティングクローサー
48 エンドレスファイト
49 セイント
50 エンド・オブ・ジ・ワールド
51 オーバー・ザ・レインボー
〈ハイグレード・バージョン〉
52 龍王魔空「夜叉」(YAKSAより)
〈ハイグレード・バージョン〉
53 イリスレクイエム(ARCUSより)
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