MANEUVER CEPTER
グラナダ
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (3枚)
定価 : 8,800円 (税別)
発売日 : 1990年4月20日(発売予定4月14日から延期)
販売 : ウルフ・チーム
○ジョイスティック対応
○ADPCM対応
○MIDI対応 (要CZ-6BMIまたはSX-68M)
数字ボタンを選択すると映像を再生
MT-32版内蔵音源版・店頭デモ
目次
グラナダ for X68000
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
マニアを唸らせる敵キャラクター
全9面に及ぶステージごとに、専用プログラムを持つ敵キャラクターの動きは秀逸!したたかなアルゴリズムはゲーマーならずとも舌打ちものの出来!
驚異の5重スクロール~巧みな演出~
最高5重にまでなる多重スクロールや、スポット処理、立体火山弾など各面ごとに独特の演出があり、常に新鮮なプレイが出来ます。
MIDI対応によるNew Music System
MIDI使用時はプロのミュージシャンによって音色にいたるまで編曲されたBGMをお楽しみいただけます。もちろんX68000本体だけでも聞き応え充分です。
華麗に舞うイメージビジュアル
オープニング、エンディングはもとより面クリア時にはアイキャッチが入り、ビジュアル的イメージをかき立てます。
2016年10月、アフリカ。レア・メタルの利権争いからアフリカは南北に割れる。"アフリカ南北戦争"の勃発である。そしてこの戦争は初めて長距離核に代わり、MC ( Maneuver Cepter~戦術機動兵器~ ) が実戦投入された戦争でもあった。レオン・藤堂。グラナダと呼ばれるMCを駆るシャープ・シューター。戦乱の地にありながら、彼の身体は自分を欺いた連中への報復本能だけが満たしていた。「目標ナイジェリア、ポートハーコート軍需工区」今、アフリカを熱い風が駆け抜けようとしていた。・・・・・・。
ジョイスティック/ADPCM/MIDI対応
対応MIDI ローランド社製MT32/CM32L/CM64
MIDIを使用するには別売りの専用MIDIボードが必要です。
CZ-6BM1(SHARP)または、SX68M(SYSTEM SACOM)
※当社は当社が著作権を有する本ソフトウェアのレンタル行為、
及び複製行為について、これを一切許可しておりません。
もし違反した場合は懲役または罰金が課されます。
株式会社ウルフ・チーム 〒162東京都新宿区馬場下町61RK早稲田ビル5F
『グラナダ』について
◆『グラナダ』概要
『グラナダ』(GRANADA)はウルフ・チームが開発を行い、1990年4月20日にSHARP X68000専用として発売したシューティングゲーム。(開発当初の名前は『スーパーグロブダー』)本来、4月14日が発売予定であったが延期された。
ウルフ・チームとしては初の外部MIDI機器(Roland MT-32/CM-32L/CM-64のLA音源部)に対応(起動時に登録キーを押しっぱなしにする)している。また、マニュアルに記載されていないが、マウス操作も可能となっている。
◆『グラナダ』開発スタッフ
ゲームデザイン、プログラムは豊田利夫(Toshio Toyota)。『グラナダ』は持ち込みであるという話がよく散見される。しかし、高校在学中にはウルフチームでアルバイトを行っていたため持ち込みとはニュアンスが異なるとのこと。元は高校2年の文化祭に出品しようと作成した制作物であり、高校3年になった段階のバージョンを社内で披露し、それを煮詰めた製品化である。制作期間については「およそ2年間はかかっているのではないでしょうか」(表現は曖昧)と語っている。
1990年3月には高校を卒業し4月にはアルバイトから社員になったとのことなので、その同時期に製品が発売されたことになる。
◆後に移植されたメガドライブ版との違い
およそ半年後の1990年11月16日にはセガの家庭用ゲーム機であるメガドライブに移植されている。グラフィック面では、オープニングやエンディングのアニメシーンのカット、ステージ間のキービジュアルカットなどの違いがある。また画面解像度の違いから、比較して両サイドは広く見渡せるようになり、縦方向は重ね合わせの廃止も相まって狭くなっている(キャラクターは縦長になっている)。ゲーム面においては、移動速度のスピードアップや、新ステージの追加、隠し仕様の追加など各所に改良が見受けられる。サウンド面ではハード性能以上にクオリティーが下がっているように感じる。(特に爽快感を感じさせる破壊音や、ボイスなど。)
◆当時のX68000を取り巻く環境
『グラナダ』登場の1990年4月はX68000がハードとしての最も勢いがあったといえる時期だろう。第4世代となる「SUPER-HD」(6月1日発売)、「EXPERTⅡ(-HD)」(3月15日発売)、「PROⅡ(-HD)」(4月15日発売)という過去最高である3つのラインナップ(計5機種)の投入を同時期に発表したのだ。新入学シーズンでもあり、入学祝いにと色めき立った日本橋でも新機種が店頭に続々と並び始めた頃であった。ちなみにアートディンクから4月13日に発売されたX68000版『ファーサイドムーン』にコンピュータウイルスが混入していたことが4月24日に新聞やテレビでセンセーショナルに報じられ、別の意味でも同時期にX68000は最高潮に盛り上がった。(本体内のS-RAMに常駐する点は劇場版パトレイバーを思わせた)
◆店頭デモで一際輝いていた『グラナダ』
新型X68000の店頭デモで一際目立っていたのはシャープが新開発した『SX-WINDOW』ではない。ウルフ・チームがX68000専用として開発した、この『グラナダ』だった。巨大空中戦艦「アスターシャ」を舞台とした多重スクロールに思わず目を奪われた人も多かったのではないだろうか?(ステージ7の立体火山弾シーンを収録するデモディスクVer2.0も存在する。)
ウルフ・チームのゲーム作品といえば店頭デモのオープニングシーンを見た瞬間に記憶が無くなり、帰り道にふと手を見るとソフトの入った紙袋を抱えている。そういう存在のメーカーであった。つい数ヶ月前に発売した『アークスⅡ』でも同じ目に遭ったのだ。(『アークスⅡ』を気に入っていないわけではないので誤解なきよう)
◆初期開発版の評判はよくなかった『グラナダ』
しかし、『グラナダ』は各雑誌が行っていた初期開発版の評価がそこまで高くなかった上、Oh!Xでは「ただ撃つだけ。単調。(サンプル版総評)」とまで書かれており、購入する気はさらさら無かった。
ゲームライターである山下章(Akira Yamashita、1964年6月2日-)が『マイコンBASICマガジン』1990年6月号に記した一文からも記事内では「荒削り」という表現でオブラートに包んでいたことがわかる。
しかし、しかしだ。驚異の5重スクロールに意識は吸い込まれ、気づけば手にとってレジで会計を済ませていたのだ。ウルフ・チームのゲーム作品でオープニングデモが購入の第一ポイントで無かったのは『グラナダ』が初めてだった。これは衝撃的で、まさに『グラナダ』が私のウルフ・チームに対するイメージの転換期になった。
◆シューティングが不得意なプレイヤーでも受け入れる『グラナダ』
ゲームの目的はマップに存在する「クリアポイント」を殲滅する事。ナムコの『ラリーX』や『ボスコニアン』を思い起こさせる画面右下のレーダーに赤く表示されている地点や敵MCだ。「クリアポイント」殲滅後に登場するボスキャラクターを探し出し、破壊すればステージクリアとなる。
迎え撃つ敵キャラクターの弾数は少なくない。しかし、シールド制になっており数回は被弾しても大丈夫。多少操作方法に戸惑いを覚えるかもしれないが慣れるまではそう時間は掛からないだろう。クリアのコツは各ステージに存在する「サポートユニット」を獲得する(難易度MANIAでは登場しない)ことだ。
『グラナダ』はシューティングゲームが不得意というプレイヤーでも安心だ。コンフィグレーションで残機数(1~6)、シールド数(0~15)、難易度(EASY/NORMAL/HARD/MANIA)が調整できる力押し可能なゲームなのでトライすれば大抵のプレイヤーはエンディングを見ることができるだろう。これまでのX68000専用オリジナルゲーム代表格であったテクノソフトの『サンダーフォースⅡ』やズームの『ジェノサイド』はプレイヤーに対する挑戦の様に難易度を上げており辟易としていたプレイヤーも多かったはずだ。そういった時代背景で見れば『グラナダ』は異例な作品だと言えるだろう。
◆想像のできない展開が待ち受けるワクワク感
私が思う『グラナダ』の面白さはレーダーを頼りに探索する作業と先の読めないステージ展開だ。加えて各ステージに散りばめられた演出がゲームを盛り上げてくれる。STAGE1はスタンダードな練習と呼べる作りだがこのゲームで特徴的な自機の回転機能による操作に慣れる作り。STAGE2は突如巨大空中戦艦の上からスタートし、操作ミスは落下に繋がる(1ミスで1機失う)という緊張感を味わえる。STAGE4では暗闇での戦闘におけるスポット処理や地雷へ誘い込んでの敵MC破壊、STAGE5の河川上における慣性のあるホバーリングによる操作、ボスの豊富なアルゴリズムやプログラムテクニックも随所に見られる。もちろんX68000のゲームでは当然とも言える多重スクロールも多用されている。その鮮やかさは画面を見れば想像できるだろう。
忘れてはならないのが、凝ったアルゴリズムを用いた動きをするボスキャラ達。様々な攻撃方法を行うボスキャラに対し、弱点を見つけ出し破壊するといった「計画的に撃つ」という攻略方法が意外に目新しい。様々なアイデアが一人歩きせず絶妙なゲームバランスとの兼ね合いにより、この『グラナダ』をより一層面白くさせているのだ。
プログラムテクニックも細かいところで魅せてくる。当時のアーケードゲームではハードウェアとして拡大・縮小・回転機能を持っており、効果的に演出として使う作品が多く見受けられるようになっていた。X68000ではこの機能を搭載しておらず、アーケードゲームの移植として1つの大きな壁になったのも事実だろう。そういう難しいと思われる部分を、ソフトウェアで再現して何気なくしれっと見せてくる(上映像)、そういうところだ。(エンディングビジュアルではなめらかなグラフィックの拡大を見せてくれる)
◆持ち込み作品だからデキが良かったという誤解
ウルフ・チーム の作品で異例となる高い評価を受けた『グラナダ』。理由として「持ち込み作品だったから」という話が当時から散見されたし、それを聞いて私も納得していた。
しかし、である。それは大きな誤解だろう。ほぼ出来上がっていたものに色を付けて出したという程度の作品ではない。思い返して欲しい。初期の開発版(ステージ2の巨大戦艦など未収録)は評価がそこまで高くなかった。ウルフ・チームの手が入った段階でもゲームとして未熟だという内容が書かれている。つまり、持ち込まれた段階ならば面白さという点でかなり厳しい出来栄えだったと考察すべきだろう。
開発版の後半~製品版となって再評価されたのは、持ち込み作品が元々から完成度が高く優れていたのではないということだ。豊田利夫という原石を見抜いてウルフ・チームへ迎え入れ、一丸となって評価されるに至るあの完成度にまで昇華させたというのが真実だろう。
◆シューティングゲームだがシナリオにも注目
シューティングゲームではあまり重要視されないシナリオにも触れておきたい。シナリオは井上和義(Kazuyoshi Inoue)(当時19歳)が担当しており『グラナダ』が3作目。処女作である『ガウディー~バルセロナの風~』(1989年6月1日発売)では急遽シナリオの一部を担当。本来処女作となるはずだった『アークスⅡ』(1989年11月24日発売)が2作目となり全シナリオを担当している。
バックボーンと表記されたストーリー内容やステージ紹介を紐解くと多少強引な点は目につく(STAGE7の火山帯とか)もののかなり考えられているのが分かる。『グラナダ』はストーリーを後から作り上げたとされており、それに合わせてか製品版は初期の開発版とステージの順序が変更されている。
そのシナリオは、アフリカという大陸が戦場というぼんやりした背景だけで作られていない。グラナダが「タボラ地区」から最終ステージの「ポートハーコート」に至るまでの地域を調べ上げると実際に存在する地区や町であり、進路などもしっかり考えられステージ紹介にきちんと沿っているのだ。「それは兵器という兵器を、南北の区別無く破壊していった。」というストーリーの冒頭は、グラナダの採った進路と整合性が取れている。
調べ上げて理解できることであったが、アフリカに対して土地勘のあるプレイヤーは多いとは思えず、やや不親切な部分であった。
未だに理解できないのは、物語の主人公であるレオン・東堂が中央アフリカ戦線の壊滅依頼を受けたPEIDに対してなぜ牙を剥くことになったのかという点だ。加えて、PEIDに至るまでの道中でなぜ南北の兵器を区別無く破壊していったのか。もしPEIDがアフリカを分断し戦争を誘発した諸悪の根源だというのであれば、北軍南軍は避けてナビゲートコンピューター "ラビューン" の提案どおり、迂回路(5,200km)をとるべきだったのではないだろうか。北軍と南軍の拠点を通れば4,000kmと近道だから恨みは無いが破壊行為を繰り返したのだろうか。色々と謎だ。
◆度肝を抜かれたMT-32版BGM、そして残る謎
『グラナダ』を名作(かなり個人的評価)に仕立て上げたのはサウンドの存在も非常に大きい。BGMは全18曲だが、そのうち15曲は桜庭統(Motoi Sakuraba, 1965年8月5日-)が手掛け、残りの一部楽曲を塩生康範(Yasunori Shiono, 1966年6月25日-)が作曲している。(宇野正明(Masaaki Uno)の関わりは不明)前述のとおり、『グラナダ』はウルフ・チームで初めてMIDI機器(Roland MT-32)に対応した記念すべき作品でもあった。
グラナダ発売までにX68000で登場したMIDI対応ゲーム一覧
国産ゲームのMIDI機器対応は『グラナダ』発売からおよそ半年遡る 1989年10月21日にシステムサコムから発売された『38万キロの虚空』から始まっている。『グラナダ』が登場する4月の時点では、MIDI対応のゲームはまだ少ないものの珍しさを感じるより期待しなくなってきていた。MT-32のプリセット音をそのまま使用しているものばかりで音に飽きが来ていたのだ。プリセットのままでは各楽器の音色の数も非常に限られておりFM音源のような独自のカラーが打ち出せないので仕方のないことだった。
『グラナダ』のMIDI対応も同様に期待をしていなかった。しかしだ!オープニングののっけからプリセット音に存在しないディストーションギターの音、リードシンセの音、シンセブラスの音…と様々な音が聞こえてくる!しかもオープニングでは爆発音に至るまでの効果音も全てMT-32から鳴っているのだ!そしてリアルタイム入力でも行ったかのような生演奏っぽい弾けた奏法。これまでに発売されてきたMIDI対応ゲームでは足元にも及ばない圧倒的な出来栄えだった。予想だにしないMT-32の持つポテンシャルの高さを存分に発揮してみせたウルフ・チームに打ち震えた。
惜しむべきは発売された音楽CDにMIDI音源版が収録されていないことだ。MIDI版の素晴らしさを堪能できないユーザーは不幸とさえ言えるだろう。
ここで、一部曲の「Advance "GRANADA"」(オープニング)、「Smashing Street」(STAGE8)、「Good-bye "GRANADA"」(エンディング)などの技術が猛烈に高過ぎる点に疑問が浮かび上がる。MIDI関連に関しては桜庭統の作成データだと何の疑いもなく思っていた。
今一度、パッケージや広告をよく見てみよう。「MIDI使用時はプロのミュージシャンによって音色にいたるまで編曲された」とある。この「プロのミュージシャン」というのは一体誰なのだ?ということだ。わざわざこのような表記を行っているあたり外注なのではないだろうか。後に出た『FZ戦記アクシス』や『ソルフィース』とはデータの質が違いすぎるのだ。また、『グラナダ』だけはデータ内に『RCM-PC98 Ver2.0』(MIDIレコンポーザ&MT-32コントローラ)で作成されている形跡が残っている。
1990年12月12日に発売された音楽CDは本来「内蔵音源版とMIDI音源版の両方が収録される」とのことだったのに結果としてFM音源版しか収録されなかったという点に関しても、もしかして権利関係の問題があって?と邪推してしまうのだ。(アレンジ曲を含めても時間的に1枚のCDで収まるので収録は問題なかったはず)
FM音源版はBGMにFM音源8音中7音(残り1音は効果音パートとして使用)とADPCMをリズム部分に使用し同期演奏している。FM音源部は新しい音色の追加はあるものの殆どが相変わらずである。悪い意味で解釈すると呪いなのだが、良い意味では音色でウルフサウンドと分かりやすい。MIDI版に対する力の入れ具合から、FM音源版は手抜きされていそうなものだが、『グラナダ』に関しては全くそんなことは無い。曲の良さと従来の音色との相乗効果で新しい ウルフサウンド を聞かせてくれる。これは見事としか言いようがない。また、その効果もあって「Heavy Line」(STAGE1)、「Marching Way」(STAGE4)、「Moutain Path」(STAGE6)は個人的にMIDI版より仕上がっていると思っている。
『グラナダ』は効果音(塩生康範担当)に関しても注目したい。ゲームは効果音次第で印象を大きく変える重要なポイントになり得るのだが、かなり練り込まれている印象を受ける。基本的な効果音はFM音源で作成されているが、爆発音に関してはADPCMサンプリングで鳴らされている。特に、クリアポイントや大型の敵MCを破壊した時の爆発音がやたら勇ましい音でクセになる。店頭デモと音が異なっていたため、この爆発音に関しては最後まで練り込まれた様子が伺える。何気にこだわりの音だったのではないだろうか。
SE:爆発のサンプリング音
SE:STAGE開始時のVOICE
また、いい味を出しているのがSTAGE開始時やサポートユニット取得時のサンプリングポイスだ。無機質な声がコンピュータっぽさを表している。STAGE開始時に"READY"と表示させているのは、ナムコの『アサルト』をあえて意識したものかもしれない。(『アサルト』は文字のみでVOICEはない)
バックボーン(ストーリー)
S(スーパー)SDI計画により核はおろか、長距離ミサイル兵器の使用が不可能になった1990年代、兵器産業は白兵戦を主とした機動兵器へと移り変わっていった。様々な形をとった機動兵器はそれぞれしのぎを削り合いながら、発展、改良されていった。戦術機動兵器~Manuever Cepter~の誕生である。
2016年10月、アフリカ。レア・メタルの利権争いからアフリカは南北に割れる。さらに両陣営は東西の大国の援助を得て、ここに "アフリカ南北戦争" が勃発した。そして、この戦争は初めて戦術機動兵器が実戦投入された戦争でもあった。
~GRANADA(弾丸)~。誰がそう名付けたのか、戦線の兵士達にいつしかそう呼ばれるようになった機動兵器があった。それはどの部隊にも、どの国にも存在しない重機動兵器だった。そしてそれは兵器という兵器を、南北の区別無く破壊していった。
ある者は "アフリカ大陸の神" だという。またある者は "兵士の亡霊" だという。真実は出会ったものだけが知っている。
───レオン・東堂(SEX:Male AGE:Unknown RACE:Eastern)。企業や個人に雇われて戦線へと赴く、数少ないシャープ・シューターの一人。彼の足元には常に幾千にものぼる兵士達の慟哭があった。その重き意志は彼を戦場へと駆り立てる。
2016年9月。まだ残暑が続く日本に彼はやってきた。(※)PEID(民間企業間諜報部)に招かれたとはいえ、何か釈然としないものを感じながらの入国だった。PEIDの女エージェントと接触した彼には依頼内容の記されたフロッピーディスクと一枚のキーカードが与えられた。
アフリカ。今、彼の目の前には一台の重機動兵器が静かに目覚めを待っていた。レオンは無言のままそれに乗り込んだ。
「ハロー、マイ・マスター。私は当機のナビゲートコンピューター "ラビューン" です。キーカードのセッティングをどうぞ」
ナビゲートコンピューターの静かな声が響く。
「………」
彼は空虚な目をそっとオペレーション・ボードに移すと、さもだるそうに声を絞り出した。
「PEID の連中はどこにいる」
「資料参照します…現在ナイジェリア連邦共和国、ポートハーコート軍需工区に滞在中です。滞在期間は7日」
「そこへ…いけ」
「任務は中央アフリカ戦線の壊滅だったはずですが」
「………」
「現在地点タンザニア連合共和国タボラ地区、ポートハーコートまで約4,000km。途中7地点に渡り、北軍、南軍の中継点が存在します。迂回路をとった場合の行程は約5,200km」
「いけ」
「………了解」
今の彼の中には兵士達の慟哭に混じって新たなる意志が満たされていた。女エージェントは死んだ。そしてPEIDの存在が自分という人格を作ったことを知った。
「PEID…」
彼のつぶやきは機械の中にそっと消え入った。そして彼はGRANADA~弾丸~と化した。
(※)PEID(ペイド~民間企業間諜報部~)
発足は1992年。EC統合に対し、日本企業間の相互援助、情報規制、外国産業との対外交渉を民間だけで行うことを目的に創立。創立元は四菱重工他7社。発足当時は上記の目的だけにおいての活動が主だったが2000年を機に企業間諜報部門が設立。特に外国産業界に対しての諜報活動を担当する。
現在加入企業は全部門合わせて3,146社。
重機動兵器グラナダ
"誰にでも扱える兵器を" というコンセプトの元にPEIDが製作した戦術機動兵器の一つ。開発は野口総研(JAPAN)第十三企画室。
ナビゲートコンピュータ "ラビューン" を搭載、搭乗者は単純な作業で移動、攻撃が可能。
また駆動系には従来の無限軌道(キャタピラ)に変わり、無限駆動(ボーラー)システムが取り入れられ、戦車以上の機動性と多様な攻撃方法を持ち合わせる。
全長×全幅×全高(mm)
室内長×室内幅×室内高(mm)
ホイールベース(mm)
トレッド 前(mm)
トレッド 後(mm)
最低地上高(mm)
車両重量(kg)
乗車定員(名)
最小回転半径(m)
60km/h低地走行燃費(km/l)
エンジン種類
総排気量(cc)
最高出力(ps/rpm)
最大トルク(kg-m/rpm)
燃料・タンク容量(l)
サスペンション 前
サスペンション 後
ブレーキ前/後
搭載機器
武装
・・・・・・24465×7825×8745
・・・・・・5,200×4,600×2,400
・・・・・・12805
・・・・・・1525
・・・・・・1540
・・・・・・170
・・・・・・44,000
・・・・・・2
・・・・・・0
・・・・・・4.5
・・・・・・水冷W型18気筒DOHC
・・・・・・8,995
・・・・・・600/8,000
・・・・・・80.7/5,000
・・・・・・無鉛プレミアムエレメント・200
・・・・・・ストラット式コイルスプリング
・・・・・・ストラット式コイルスプリング
・・・・・・ベンチレーテッドディスク
・・・・・・オールランド・レーダー
・・・・・・スクラッチ・シールド
・・・・・・46mmビーム砲2門
・・・・・・ブラスター1門
画面の見方
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
① シールド
被弾や物理的な被害を受けると1減少。すべて無くなると1機失う。
② 残機
残りのプレイヤー数。10万点ごとに1機追加される。
③ 破壊した敵のスコア
破壊した敵のスコアが表示される。
④ スコア
現在の得点。ハイスコアであればゲームオーバーになれば記録される。(電源を切ると消える)
⑤ 残り時間
0になるとシールド数は関係なく1機失う。
⑥ レーダー
数字はボスとクリアポイントの数。クリアポイントは赤、自機は白点滅で表示される。クリアポイントをすべて破壊後、もしくはクリアポイントが存在しない場合、ボスが赤で表示される。
⑦ 自機
プレイヤーが操作するキャラクター。
⑧ サポートユニット
特殊な攻撃をするためのアイテム。
操作方法
4
8 2
6
Z
X
ZXまたは
同時に押す
●通常弾(Zキー/Aボタン)はオート連射になっている。ジョイスティック付属の連射機能を使用した場合、弾のスピードが遅くなる場合がある。
●ブラスターを使う場合には両方のボタンをいったん離してから、同時に押さないと発射できない。
●ブラスターは通常弾の16倍の威力を持っている。但し撃った瞬間、反動のために自キャラが後退する。
グラナダの移動パターン
移動
テンキー
ジョイスティック
向きを変えずに移動
テンキー+X
ジョイスティック+B
サポートユニット
ゲームフィールド上では敵キャラのほかにグラナダを支援する補助兵器 "サポートユニット" が登場する。ただし、難易度が MANIA の場合のみ登場しない。ユニットには5種類ありそれぞれでの能力は以下のようになっている。
ステージ紹介
STAGE1(現タンザニア連合共和国)
タボラ(Tabora)地区。平和であったはずの市街は血の海地獄と化す。フライトMC「ギブル」が宙を舞い、グラナダを襲う!
STAGE2(現ケニア共和国マルサビット)
巨大空中戦艦「アスターシャ」上での戦いはマルサビト(Marsabit)地区に及んだ。眼下に流れる何層もの雲海。雲間から見える大地は飢えた狼どもを呼び寄せる!
STAGE3(現南スーダン共和国ジュバ)
地上300メートルのハイウェイを擁すシューバ(Juba)地区。疾走するグラナダの行く手を阻むは中級MC「バルザック」。前後より迫るMC部隊、ハイウェイからの落下は死を意味する。
STAGE4(現コンゴ民主共和国)
キロモト(Kilo Moto)地区。グラナダの行軍は夜間にも及んだ。妖しく光るサーチライト。防衛線を守る特殊MC部隊との激突! 新型MCの正体は?
BONUS(現コンゴ民主共和国)
補給を終えたグラナダは、後続部隊を足止めするためにキサンガニ(Kisangani)燃料区を破壊する!
STAGE5(現コンゴ民主共和国キンドゥ)
河川埋め立て地の工業地帯キンズ(Kindu)地区。長距離迎撃砲「アロプト」の激しい砲撃、ステルスMCの出現、水上での戦いは熾烈を極める。
STAGE6(現中央アフリカ共和国)
コンゴ盆地を囲む山岳地帯。今まさに南軍最新鋭機、可変超級MC「マーヴェル」が発進しようとしていた。グラナダはマーヴェルのいけにえとなるのか?バンギ(Bangui)地区は焦土と化す。
STAGE7(現ナイジェリア連邦共和国)
北軍最重要拠点バウチ(Bauchi)地区。火山帯の中にそびえ立つピラミッドは謎の遺跡かそれとも…。北軍生体MCの真髄を見る。
STAGE8(現ナイジェリア連邦共和国)
ポートハーコート(Port Harcourt)。PEID総領事館の正体は無人MCの管理する大軍事基地だった。浮遊型MC「デビルバスター」、起爆MC「ゴリアテ」、支援MC「カプス」がグラナダを囲む。最後に待っていたのはPEIDを、そして世界の軍事バランスを管理する自我を持った "ARMMI"(All Round Millitary Maneuver Interface)「エ・ゴ」であった。ラストバトル、勝利はどちらの手に輝くのか。
裏技の紹介
◆強制ステージクリア
ステージ途中で、PASを同時押しする。
なお、ボーナスステージだけはこのコマンドが使えない。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(MIDI音源)
01 IPL
02 Advance "GRANADA" (Opening)
03 Heavy Line (STAGE1)
04 Windy Avenue (STAGE2)
05 Hopping Express (STAGE3)
06 Clap (BOSS A)
07 Marching Way (STAGE4)
08 Nature Trail (STAGE5)
09 Mountain Path (STAGE6)
10 Tap (BOSS B)
11 Bumpy Road (STAGE7)
12 Smashing Street (STAGE8)
13 Quick Cepter (TIMEUP BGM)
14 Beat (LAST BOSS)
15 Survivor Leon (STAGE CLEAR)
16 Take A Chance (BONUS STAGE/ESCAPE)
17 Broken Oath (Game Over)
18 Good-bye "GRANADA" (Ending)
合計時間 : 22:34
作曲 :
桜庭統 (02~06,08~13,15~17)
塩生康範 (08,15)
ラジオ収録曲(FM音源+ADPCM)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)+ OKI OKI MSM6258
01 IPL~Advance "GRANADA" (Opening)
02 Heavy Line (STAGE1)
03 Windy Avenue (STAGE2)
04 Hopping Express (STAGE3)
05 Clap (BOSS A)
06 Marching Way (STAGE4)
07 Nature Trail (STAGE5)
08 Mountain Path (STAGE6)
09 Tap (BOSS B)
10 Bumpy Road (STAGE7)
11 Smashing Street (STAGE8)
12 Quick Cepter (TIMEUP BGM)
13 Beat (LAST BOSS)
14 Survivor Leon (STAGE CLEAR)
15 Take A Chance (BONUS STAGE/ESCAPE)
16 Broken Oath (Game Over)
17 Good-bye "GRANADA" (Ending)
合計時間 : 22:51
作曲 :
桜庭統 (01~06,08~13,15~17)
塩生康範 (07,14)
DISCOGRAPHY
グラナダ/サージェント・ウルフ・バンド
発売日: 1990年12月12日
価格: 2,500円(税込)
商品番号: TOCT-5933
販売元: 東芝EMI
収録曲
01.Advance “GRANADA”
02.Heavy Line~Windy Avenue~Tap
03.Beat~Bumpy Road~Smashing Street
04.Good-bye“GRANADA”
05.IPL
06.Advance“GRANADA”
07.Heavy Line
08.Windy Avenue
09.Hopping Express
10.Marching Way
11.Clap
12.Survivor Leon
13.Take A Chance
14.Nature Trail
15.Mountain Path
16.Bumpy Road
17.Smashing Street
18.Tap
19.Beat
20.Quick Cepter
21.Broken Oath
22.Good-bye“GRANADA”
※1~4 リアレンジバージョン
グラナダ/サージェント・ウルフ・バンド
発売日: 2004年12月1日
価格: 2,500円(税込)
商品番号: ENCG-1
販売元: エンジン
収録曲
01.Advance “GRANADA”
02.Heavy Line~Windy Avenue~Tap
03.Beat~Bumpy Road~Smashing Street
04.Good-bye“GRANADA”
05.IPL
06.Advance“GRANADA”
07.Heavy Line
08.Windy Avenue
09.Hopping Express
10.Marching Way
11.Clap
12.Survivor Leon
13.Take A Chance
14.Nature Trail
15.Mountain Path
16.Bumpy Road
17.Smashing Street
18.Tap
19.Beat
20.Quick Cepter
21.Broken Oath
22.Good-bye“GRANADA”
※1~4 リアレンジバージョン
当時の広告
エンディングムービー
※映像のBGMはMT-32版