and...10years after
アークスⅡ ⎯ サイレントシンフォニー ⎯
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (4枚)
定価 : 8,800円 (税別)
発売日 : 1990年1月27日(発売予定1989年12月16日→12月22日から延期)
販売 : ウルフ・チーム
○ADPCM対応
○ジョイスティック対応
目次
アークスⅡ for X68000
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
豊かな土地と自然に囲まれたアルカサス王国。この繁栄は十年前に名も
知れぬ勇者達によって成就された「精霊達の試練」によるものであるこ
とを人は知らない。
ピクト・アネクシオス・ピヨント。ハーフ・エルフの彼はその勇者の一人だ
った。彼は四大精霊と交信し、そして金竜リグ・ヴェーダと出会った。
「選択権」は与えられた。それは生の選択権なのか、破滅の選択権なのか?
試練は終わり、ピクトは旅立つ。何がそうさせたのか?それは遠き過去
からの呼び声。古の種族達の慟哭とともに眠りから覚めたルーンブレー
ドは静かに暁を待ち続ける…。
ハイ・アニメーション・ビジュアル
原画・柿野内成美、演出・西森明良、作画協力・㈱AICによる
ビジュアルシーンにはアニメーション的な効果がふんだんに盛
り込まれています。
ビュー・ポイント・アタック
部分ダメージとウィークポイントという概念を取り入れ、モン
スター達のどの部分を攻撃するかで幅広い戦略
を取ることができます。
ネーム・フィードバック・システム
主人公であるピクトの行動により、様々なネーム(通
り名)がついていきます。この通り名によって人々の反
応や仲間の士気が変化していきます。
ノン・エキスペリエンス・システム
前作を継承し、さらに昇華させた"経験値のない"
成長システムは、キャラクター達の成長を身体
的なものではなく、精神的なものとして表わして
います。
※ AD PCM・ジョイスティック対応
※当社は当社が著作権を有する本ソフトウェアのレンタル行為、
及び複製行為について、これを一切許可しておりません。
もし違反した場合は懲役または罰金が課されます。
株式会社ウルフ・チーム 〒162東京都新宿区馬場下町61RK早稲田ビル5F
『アークスⅡ』X68000版について
◆『アークスⅡ』概要
『アークスⅡ』(ARCUSⅡ)は ウルフチームが開発し、NEC PC-8801mkⅡSR以降用として1989年11月24日に発売した)ロールプレイングゲーム。移植作としてMSX2用が12月21日発売、NEC PC-9801シリーズ用は1990年1月19日(1989年12月16日から延期)。このSHARP X68000用は当初1989年12月16日予定であったが延期の末1990年1月27日に発売した。
ストーリー上は アークス の続編で10年後のアルカサス王国が最初の舞台になる。主人公はジェダの率いたパーティ仲間であったハーフエルフのピクト。
◆キャラクターデザインには有名アニメーターを採用
今作ではキャクターデザインおよびビジュアルシーンの原画を外注化している。キャラクターデザインと原画は垣野内成美(Narumi Kakinouchi, 1962年3月21日-)(代表作:「吸血姫美夕」)。総数は300枚を超えるとのことだ。
キービジュアルで描かれたのは6名のキャラクターが集まった姿だ。広告やチラシ、パッケージ、マニュアルなどあらゆる場所で使用されていたので見覚えのある方も多いと思う。ジェダを除いて5名は新キャラだ。
演出・絵コンテは西森明良(Akira Nishimori, 1961年10月1日-)が関わっている。AICが絡んでいる関係上のタッグというところだろうか。「戦え!!イクサー1」(1985年)などでもお二人の名前を確認することができる。
2人の仕事が活かされたオープニングは随所にアニメーションが盛り込まれた上、各キャラクターが一言セリフを喋る。ウルフ・チーム の オープニングデモ は購買意欲を向上させるという神通力とも思わせるパワーは健在だ。
プロに任せたビジュアルは各機種のグラフィック性能に応じて(PC-9801シリーズは8色のまま)彩色が変更される拘りようだった。X68000は最も描画機能の優れた機種ではあったが、残念なことに『アークス pro68K』から続く油絵のような独特の彩色になっており、プロが行った彩色は無視されている。見比べるとニュースで時折話題になる絵画の修復失敗がフラッシュバックする。まさにヒューマンパワーの大きなうねりが大気を通じて予兆されるからに他ならないのであろう。(ウルフかぶれ)
◆継承されたレベルや経験値といったパラメータの排除
フィールド型ロールプレイングゲームに変化した『アークスⅡ』だが、継承しているゲームシステムの1つが、ノン・エキスペリエンス・システムだ。経験値が存在しないので戦闘自体が無意味ということにもなる危険なシステムだ。ただし、完全に経験値が無いかというと実はそうではない。かなりややこしいのだが、WP(精神値)というマジックポイントに相当する部分が移動時と戦闘中によって数値が異なるのだ。(この段階で既に何かがおかしい)戦闘時はWPの数値が移動時より下がるが 同じ敵と戦闘を行うと毎回数値がアップ(最大100)し、魔法が使いやすくなる。これは戦闘から逃げても同じ結果が得られる。最終的にはWPは100になるが別の敵では数値が下がるという仕組みだ。ちなみにコマンドの「励ます」を選択することにより戦闘中のWPは一時的に上昇するので結局の所、やはり戦闘を行い経験を詰む意味はほとんどない。
◆弱点を突け!ビューポイントアタック!
戦闘システムはコマンド型を継承しつつも刷新されている。敵の弱点を探し出し急所を攻撃すると状況を有利に運べる(ことがある)というビュー・ポイント・アタックが導入された。しかし、実際の所ほとんど意味をなしていない。なぜなら、適当に攻撃していれば勝ててしまうからだ。前作から引き続き「突撃」というコマンドも用意されているが物好きでもない限り使用することはないだろう。前述の通り、そもそも『アークスⅡ』において戦闘を行う意味はイベント時以外は何のメリットもないので逃げるに限るのだ。
ビュー・ポイント・アタックの残念な点は物語の最後まで続く。最終ボスウォーレンは強敵で30分以上攻撃し続けても全く倒れない。ならばと、思わせぶり見せる腹の口こそが弱点だとプレイヤーは見抜くだろう。ここぞとばかりにビュー・ポイント・アタックの出番なのだと。しかし無意味だ。なぜなら、早々に「フィン」の魔法を使用するだけであっさり倒れるからだ。こういう謎解きは勘弁して欲しい。
◆時代が許したネーム・フィードバック・システム
加えて意味のないと思われる新しいシステムがネーム・フィードバック・システムだ。上記のように通り名が変わるだけで何の役に立たない。こんなものをウリにするよりもっとウリにするものがあると思うのだが、とにかくこのゲームの凄いところらしいのだ。マニュアルではかなり力説されているが、ホントにどうしようもないシステムである。
◆作者が変わっても世界観を維持しているのが素晴らしい
『アークスⅡ』のために再設計されたシステムは軒並み空振りだった感が大きい。しかし、このゲームの魅力は別にある。『アークス』から継承された世界観、それを壊さずに練られたシナリオ、物語を盛り上げるビジュアルシーン、そして素晴らしい音楽群だ。
謎解きやフラグ立ての難易度も低く、割とサクサク進むので早ければ2時間ほどでエンディングを迎えられるだろう。ロールプレイングゲームとしての面倒なレベル上げを撤廃し純粋にゲームとストーリーをストレス無く楽しむという点においては非常に完成度が高い。逆に武器や防具などを手に入れレベル上げを行うことにより得られる 成長 という感覚は全く存在しない。強くなることがない主人公とその仲間たち。これが、プレイヤーによっては面白みがないと捉えられるかもしれない。
当時は若さで熱意もパワーもあったが、今ではなかなか腰を据えてプレイする時間も気力もなくなっている人も多いだろう。そういう点においてお手軽感の割に得られる満足度が大きいこのゲームは今まさに再評価される時代を迎えているのかもしれない。現実では「Ten Years After」どころではない時が残酷に流れてしまっているが。(もうルーンブレードも待ちくたびれて再び眠りについているだろう)
◆ウルフチーム伝説の3名が全員参加した素晴らしすぎるBGM
『アークスⅡ』のBGMは『YAKSA』から参加している宇野正明(Masaaki Uno)、『Gaudi バルセロナの風』でデビューした塩生康範(Yasunori Shiono, 1966年6月25日-)、『斬 ~陽炎の時~』でゲーム業界デビューした桜庭統(Motoi Sakuraba, 1965年8月5日-)の3名体制だ。久しぶりのオリジナルサウンドトラックも発売されている。(ただし収録はPC-8801mkⅡSR以降版)ゲームは『斬 ~陽炎の時~』が先行発売しているが、サウンドトラックの発売は逆であり、『アークスⅡ』がサージェント・ウルフ・バンドのCDデビュー作品となる。
X68000に関しては基本的にFM音源8音をフルに使用した上でADPCMをリズムやコーラスとして使用している。FM音源の8chに関してはをリズム専用パートとして使用しておりADPCMと重ね合わせて演奏させている。そのため平坦な音になりやすいADPCMリズムの音に奥行きが出ている。ただ、エンディング曲を含めてリズムパートの存在しない曲は7音しか使用していないのが残念。
音楽は相変わらず素晴らしい。代表曲になるのはやはりオープニングの「Ten Years After」だろう。『アークス』のオープニングをモチーフにした曲から新曲へ繋げる盛り上がりは最高。
店内の曲である「Smile」や、チノップのビジュアルシーンで流れる「Hobbit Kid」も勢いがあってなかなか良い。気付かれにくいが、「Hobbit Kid」はエンディング曲「Bridal and Peace」のアレンジだ。
その「Bridal and Peace」は桜庭統の結婚式(1989年9月3日)において入場曲として作曲したものが流用されている。
移動画面
①
②
③
①現在の耐久度/最大値
生命力を表わす。0になると死亡して行動不能になる。ピクトが死亡するとゲームオーバー。
②現在の精神値
魔法を使える値。最大値は100。戦闘中と移動画面で数値は異なる。
③現在の体調
N(Normal) 通常(体調は良好)
W(Wound) 負傷(HPを少し失っている)
F(Fatigue) 疲労(HPをかなり失っている)
WK(Weakness) 瀕死(死ぬ寸前)
PO(Poison) 毒(毒にやられている)
PL(Paralysis) 麻痺(麻痺している)
FE(Fear) 負傷(精神力が低下)
D(Dead) 死亡(死んでしまっている)
魔法
精霊呪文
ニラーフ 大地の精霊の力を借りて、体に活力を与える。
イレック 大地の精霊と水の精霊の力を借りて、体調を復調させる。
ノイテス 水の精霊の力を借りて、体の周りに防御膜を貼る。
スナート 全精霊の力を借りて、精神力を任意の人に分け与える。
ロブエリィ 火の精霊の力を借りて、相手にダメージを与える。
トロップ 風の精霊の力の借りて、その地を離れMAP画面へ移動する。
古代語呪文
センカ 水の精霊の力を制御して相手をつつみ込ませ、動きを鈍くさせる。
イズラップ 精神力による力で相手の体を硬直させる。
アイフィ 相手の深層心理に恐怖のイメージを送り込む魔法。相手により逃げたり発狂して襲ってきたり反応が違う。
サーブ 武器に魔力を注ぎ、貫通力を持たせる。
ドゥレイス 風の精霊を制御して周囲に防御壁を作る。
これ以外にも冒険の途中で使えるようになる魔法がある。
登場人物
ピクト・アネクシオス・ピヨント
(ハーフ・エルフ 男 22歳)
本編の主人公。人間の騎士のアネクシオス・フォトノとエルフの語り部イリス・ピヨントの間に生まれたハーフ・エルフ。「精霊の試練」の後、父との消息を探るため単身旅に出る。
性格は温厚で正義と法を重んじる。また10年間の旅によって引っ込み思案で泣き虫だった面影はすでになく、勇敢な若者に成長している。
チノップ・ノーレン
(ホビット 男 20歳)
諸国を放浪するホビットの少年。集団生活を旨とするはずのホビット、しかも少年がなぜ諸国をまわっているのか。それは誰にも分からない。
常に人々から虐げられてきた彼は、同じように虐げられてきたであろうピクトこそが自分を理解してくれるものと信じ、常にピクトのまわりに顔を出す。しかし、素直になることができずにひねくれた態度を取ることが多い。
グラン・デュ・クーロス
(人間 男 24歳)
海を超えた大陸の国、デュ・クーロス王国の第二王子。兄の元で国の運営をサポートしていたが、王国を取り巻く陰謀に巻き込まれ追われる身となり、アルカサスへと逃亡している。
サーラ・メディン
(人間 女 21歳)
彼女は代々シーフ・マスターを務める家の一人娘である。18年間盗賊として厳しい教育を受け、女ながらにシーフ・ヘッドの座につき才覚をふるっている。
厳しい教育のため常に毅然としており、人を寄せつけなさそうであるが、実際は弱者と子供には優しい娘なのである。
スー・ニー
(エルフ 女 年齢不詳)
エルフ族の娘。彼女は族長の身の回りの世話とガードを務める "ナース" の一人で、若いながらもすばらしい弓の腕前を持っている。
性格は純真で一途。善悪よりも自分の直感に頼って行動するタイプでそれが災いとなる場合もある。
バザン・ストレイグ
(ドワーフ 男 年齢不詳)
初老のドワーフ。小さな部族を治め大陸の西部で平和に暮らしていたが、見たことのないような異形の魔物達に部族を滅ぼされている。彼らの部族の宝だった "白の水晶" が狙いだったらしい。彼はその魔物達に復讐をするべく老体にむち打って諸国を巡っている。
攻略ヒント(流れ)
攻略のコツは可能な限りチノップを仲間にすること。面倒な戦闘をノーダメージで逃げることが可能になる。また、中盤のナッピング・シープ号へ乗り込む前にサーラを仲間にすること。そうしないと後半の大陸は一人になり戦闘がかなり苦しくなる。
トリビア
◆オープニングの声優
オープニングにて英語で流れる各キャラクターのセリフはすべてウルフチームスタッフによるもの。
ピクト・・・ プログラマーの誰か
ウォーレン・・・ 鈴木G
グラン・・・ 浅沼穣
チノップ・・・ 塩生康範
アリサ・・・ 小笠原弘子
裏技の紹介
◆隠しグラフィック&あーくしゅデモ
ゲームディスクⅣから起動するとX68000専用の新曲(店頭デモやエンディングの一部に使用)とともにビジュアルが表示される。グラフィックはすべてビジュアルシーンで使用された使いまわしかと思いきやかなり違う。(原画寄りの描き方に見える)なかなか気づきにくい盲点だ。上記画像をクリックするとグラフィックを単体で見られる。重ね合わせで隠れた画像はこちらから。
BGMが終了すると『あーくしゅ』のデモが流れる。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+ADPCM)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)+ OKI OKI MSM6258
01 IPL/Ten Years After (オープニング)
02 Loggers (ナウクルーズの街)
03 Smile (店1)
04 Take A Rest (店2)
05 Western Kingdom (プルデンシア王国/港町ディレク)
06 Up Down (デュ・クーロス王国)
07 Kingdom Earth (オトナック平野)
08 Light And Dark (ナウクルーズの森)
09 Slash!! (戦闘)
10 Ouch!! (未使用)
11 Hobbit Kid (Visual: チノップ・ノーレン)
12 Lady Thief (Visual: サーラ・メディン)
13 Mystic Land (エルフの村)
14 Eleven Archer (Visual: ディアナ・フィレリア)
15 Waiting Fate (ブラート・ニール聖殿)
16 Pale-Face (Visual: ルーンブレード-ペイル・フェイス)
17 Dwarven Warrior (Visual: バザン・ストレイグ)
18 Grief Prince (Visual: グラン・デュ・クーロス)
19 Departure (Visual: アリサ・イルメイク・アルカサス)
20 By Linden (菩提樹)
21 Where Are You Going? (海)
22 Strange Island (悪魔の島)
23 Eastern Kingdom (未使用)
24 Mad King (Visual: トリュターム国王)
25 Spark!! (未使用)
26 In The Dark (洞窟)
27 Deserted Ruins (ヴァーレス神殿)
28 Rune Tradition (Visual: ルーンブレードの意志)
29 Devil Errand (Visual: ウォーレン城登場)
30 Chaos (未使用)
31 Charge!! (ウォーレン城)
32 Bloodly Jewl (Visual: チノップの死)
33 Will Power (Visual: ウォーレン倒れる)
34 Wills Over (ゲームオーバー)
35 Bridal And Peace -エンディング-
36 Demo Music (店頭デモ使用曲/エンディング)
合計時間 : 52:36
作曲 :
桜庭統 (05,09,11,12,15,16,18,19,24~33,35),
宇野正明 (01,02,04,06,13,14,20,34),
塩生康範 (03,07,08,10,17,21~23,36)
DISCOGRAPHY
アークスⅡ/サージェント・ウルフ・バンド
発売日: 1989年12月13日
価格: 2,530円(税込)
商品番号: TOCT-5616
販売元: EMIミュージック・ジャパン
収録曲
01 Ten Years After (Rearrange Version)
02 Kingdom Earth (Rearrange Version)
03 Bridal and Peace (Rearrange Version)
04 IPL
05 Ten Years After
06 Loggers
07 Smile
08 Take a Rest
09 Western Kingdom
10 Up Down
11 Kingdom Earth
12 Light and Dark
13 Slash!!
14 Ouch!
15 Hobbit Kid
16 Lady Thief
17 Mystic Land
18 Elven Archer
19 Waiting Fate
20 Pale-Face ~Rune Blade~
21 Dwarven Warrior
22 Grief Prince
23 Departure
24 By Linden
25 Where Are You Going?
26 Strange Island
27 Eastern Kingdom
28 Mad King
29 Spark!!
30 In the Dark
31 Deserted Ruins
32 Rune Tradition
33 Devil Errand
34 Chaos
35 Charge!!
36 Bloody Jewel
37 Will Power
38 Will Over
39 Bridal and Peace
当時の広告
証言
あとはウルフチームのアークスⅡで敵ボスのウォーレンてのをデザインさせていただきました。 pic.twitter.com/tjXeOlmHyp
— リュウケン@相互フォロー90% (@makinomarch) November 28, 2018
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