
デス・ブリンガー for SHARP X68000
作品名 : デス・ブリンガー
販売 : 日本テレネット
対応機種 :
メディア : 5inch 2HD (3枚組)
サウンドチップ : YAMAHA YM2151, OKI MSM6258
サウンド性能 : FMx8, ADPCMx1
定価 : 9,800円
発売日 : 1989年3月10日(発売予定1989年11月→1990年2月から延期)
○ジョイスティック対応
○ADPCM音源対応
○FM音源ステレオ対応
○要専用400ラインディスプレイ
○CDシングル付
GALLERY
PROMO WORD
■遠くから敵を表示する3D型RPG。
■キャラクターの位置関係を重視したSLG型戦闘モード。
■技能ごとに成長する新レベル・アップシステム。
■キャラクターの個性を形成する膨大なパラメータ。
■奥行きを表現する多重背景処理。
■サンプリングによりリアルなBGMとしゃべりを実現。
(ヘッドホンやオーディオ機器に接続するとより迫力あるサウンドが楽しめます。)
BACK STORY
神々の黄昏
遥かなる昔、神々は人間と共に地上にくらし、人々はその偉大な力の恩恵を受けて平和に暮らしていたと言われている。神々の操る偉大な魔法は魔物達を遠ざけ、嵐をしずめ、およそすべての厄災から人間の生活を守ってくれていた。人々は神に感謝しながら自らの生活を謳歌し、神々自身もこの平穏の時が永久に続くものと信じて疑わなかった。
破局は突然に訪れた。一人の邪悪な神が自らが最高神であると宣言し、他の神々に服従を求めて戦いを挑んだのである。混沌の時代が訪れた。神々は調和を失い、邪神に追従する者、新たに最高神の座を求める者が現れて凄惨な戦いが繰り広げられた。魔物や人間も例外ではなく、次々と戦いの渦に巻き込まれていった。
永遠かとも思われた戦いが終わったとき、邪神をはじめ、多くの神々が滅び去ってしまっていた。後に残されたものは傷つき疲れた神と、戦乱の爪痕に喘ぐ人間達だけであった。わずかに残った神々は、自分たちの力が再びこの世界を崩壊に導くことを恐れ、この世界を去ることを決意する。そして、この世界を去るにあたって、人間がこれから自分たちの力だけで生きていけるよう、魔法の力を分け与えた。やがて、神々が一人、また一人と遥かな地へと去り、人間の時代が始まったのだ。
人間の時代
悠久の時を経て人間達は繁栄の時代を迎えていた。人々は集まって国家を築き、豊かな暮らしは文化を芽生えさせていた。魔物達は荒野に身を隠し、ときたま起こる戦いも騎士の名誉の元に行われ、この繁栄の時代を揺るがせるものでは無かった。
しかし、魔法だけは時代に取り残されたように、発展する気配すら見せなかった。人々は、神がその力を人間に与えなかったからだと考え、より偉大な魔法を求めることは神の意に逆らうことだと信じていた。けれど、一部の魔法使い達は、偉大な魔法の魅力に取り付かれ、日夜魔法の研究にはげみ、神々の遺跡を求めて辺境の地を探求し続けた。そして時代は流れた。
混沌の兆し
神々が遥かな地へ去ってしまったと伝えられる時から3,800年の後、この世界に再び混沌の時代が訪れようとしていた。 何処からともなく現れた謎の一団が村々を襲い始めたのである。 そして、その影はひっそりと、しかし着実に主人公の回りにも忍び寄っていたのである!
登場人物

主人公 20歳(♂) HUMAN
若き冒険者。幼い頃に両親を亡くし、それ以来、騎士に成ることを夢みて冒険の旅を続けている。現在は冒険の途中で立ち寄ったソロンの村の人達に、家族の暖かみを感じ、村に留まってオークや野獣から村を守る役目についている。まだ腕は未熟だが、彼自身も気付いていない大きな可能性を内に秘めている。

シティア 19歳(♀) HUMAN
美しく物静かな女性の伝道師。人々を苦難から救うことを志し、女性の身でありながら各地を旅して僧侶としての修行を積んでいる。また、きびしい修行の結果、自然系の魔法を使うことが出来る。戦うことは余り得意ではないが、それを補って余り有るものを持った女性である。

ラーラアルカス 320歳(♂) ELF
ティボスティーの森に棲むエルフ族の戦士。風系の魔法、水系の魔法、剣、弓、幅広い能力を持った優秀な戦士でエルフとしては珍しく、勇気と冒険心とを強く持っている。また、森には非常に詳しく、彼ならば普通の人間が通れないような所でも木々の間を縫って、道を見つけ出してしまうだろう。

スメロギ 42歳(♂) HUMAN
遙か東の地からやってきた謎の戦士。性格は豪放、快活。奇妙な形をした剣と鎧を使い、白兵戦では無敵の強さを発揮する非常に頼りになる戦士である。けれど、自分のことは語りたがらず、何処から?また、何の目的でこの土地にやって来たのか?まったく謎に包まれた怪人物である。
この他にも仲間にできるキャラクターはいるが、マニュアルでは一切触れられていない。
デスブリンガーについて

日本テレネット創立5周年記念作品と銘打ったのがこのデスブリンガー。テレネット作品としては初の3DRPG。記念作品ということでオマケCDが付属する。内容は「黒い予感~マリオネットの笑い」と「Last Od'ysey」の2曲が入ったもの。ただし、PC-88VA版にエフェクトを掛けただけのものでアレンジ版のような大層な物ではなかった。
最初に特徴として挙げられるのが経験値表記の無いシステム。戦えばHPがいつの間にか上がっていたり、熟練度(武器を扱うレベルや呪文を覚える)が上がるシステム。また知力(INT)によって様々な戦闘系技能や魔法系技能を覚えることができる。この知力が曲者でゲーム中は基本的に2度と上昇しない。つまり最初の方で適当に技能をバンバン覚えてしまうと後半に知力が0になっていて新しい技能を覚えられなくなる。判りにくい落とし穴である。ただ、こうなってもクリアできないわけではない。拘って作られているけどパラメータが多くて分かりにくい。また、あとどの程度の戦闘で上昇するのかが全く分からないのでゴールの見えない戦いを強いられる。

この戦い。これがちょっと厄介。というのがとにかく遅い。音楽もスローテンポなのでとにかくイライラする。また指定した敵に攻撃を掛けると肉弾戦の場合は敵と隣接する場所まで自動的に移動するのだが、そのルーチンがイマイチでキャラクターに引っかかってじたばたするだけでターン終了という事もよく発生する。このゲームは戦闘に関してが最も評判が良くないのだが、幸いなのは戦闘はそれほど頻繁ではないことだ。また、ドラゴンクエストのようなエンカウント式ではなく敵の姿は見えているので避けようと思えば幾らでも避けられる。(敵もじっとしているわけではなく、こちらのコマンドに対して1歩づつ移動する。)
難点は他にもあるがとにかく東西南北のどちらを向いているか分かる術が無いこと。1回ボーッと歩いてしまってふと気付くとマップがあっても自分の位置がどこか分からなくなってしまうことが多々あった。ただ、このマップ作成がかなり面白い。敵との戦闘があまり無いのでマップ作りに集中でき、変ないやらしさのあるマップが殆ど無いので初心者でもサクサク作れていく。自分で完璧なマップを作成したのは後にも先にもこの作品だった。今の時代ならネットでアッという間に公開されてそのあたりの充実感と満足度は得られないだろう。最も時間の存分にあった学生時代、かつテスト期間中に行っていたのだが。
世間ではクソゲー評価の多いデスブリンガーだが、私の中ではそういう意味でも評価が高いのだ。

キャラクター(越智一裕デザイン)が割と前面に押し出されている割には相談やイベントでの会話などが一切無い。恐らくパーティ自体が様々なキャラクターで組めるのでそのあたりの作り手の面倒さなどがあったのだろう。このあたりが昔の作品らしい所だが、このあたりのバックボーンを想像力で補うというところも今となっては良かったのではと感じる。ただ、マニュアル自体が作品の制作段階で作られた為なのかキャラクターに関しての説明がかなり少ない。特にミレナという村長の娘に関しては頻繁にゲーム中に現れるのに一切記載がない。ゲーム中でもエンディングでも意味深(好意を寄せている)な雰囲気を匂わせている。
X68000版の拘りは512x512の画面モードを使ったことだそうだ。ゲームの移動画面は256x256で作られているのに何故かというと「文字が小さくできるから」だとパソコンサンデーでハッキリと述べられていた。X68000ならではというところでは、評判の悪いキャラクターが全面的に書き換えられ多色化されている。目のクマもすっかり消えて美男子に変化。他、新しい場所に移動すると曲のなる前にADPCMを使用して英語のナレーションで喋ってくれた。あと、余り重要ではないが他機種に比べて主人公に付けられる文字数が1文字少ない。
音楽に関しては題名と使われている場所が一部分かりにくいのでメモしてあった部分だけ記載しておく(不完全)
FOREST
ノルロスの森
ゼフトの森
ティボスティの森
ウエストイアノーク
イーストイアノーク
グラステスヴァレー
満たされた想い
エルフの集落
重農主義
ソロンの村(襲撃の後)
ワースの村
巴里の日本人
レスフィド城
シュネーフォート城
ディムの砦
神殿
ノドゥの神殿
影の塔
Starless
ガレクラームから船に乗った際に流れるアニメシーン
Toothache
邪神がマハーヴィーラの中から現れるシーン
BUBBLES
オークズケイブ
ガレイクの迷宮
ドワーフの洞窟
Street performer
ソロンの町
レスフィドの町
アルヌの村
BLOOD & FLAME
スォードピーク山脈
クラウドパス
ダークライズ山脈

全体的に重くてスローテンポな曲が殆どだが、その中では珍しい快活な「Street performer」は名曲。音楽だけで町の曲と一発で分かるベタな感じだが独創的な雰囲気の漂う曲だ。また、エンディング曲である「Last Odyssey」はエンディングを見ずともソロのシーンで聞かせる天平サウンドが泣かせてくれる。エンディング画像に合わせて作られており、合わせて見ればなお一層感動は深まる。とにかくこの2曲は外せない。X68000版としてADPCMによるリズム部分の演奏が加えられているが、このスネアドラムがイマイチで板でも叩いているかの様な音なのが残念。
裏技の紹介
【ミュージックモード】
RENOの画面が出ている時に←→↑↓OPT1OPT2を押しながら起動するとミュージックモード入る。サジリのオープニングとエンディングがオマケで入っている。
【お金の無限増殖】
装備している武器や防具を売ると売れないのにお金だけが手に入る(バグ技)
TRACK LIST
ラジオ収録曲
01 黒い予感~マリオネットの笑い(オープニング1~2)
02 FOREST (森)
03 満たされた想い (エルフの集落)
04 重農主義 (廃墟)
05 Spire (戦闘)
06 巴里の日本人 (城/砦)
07 神殿 (神殿/塔)
08 Starless (ビジュアル)
09 Toothache (邪神登場ビジュアル)
10 BUBBLES (洞窟)
11 Street performer (町)
12 BLOOD & FLAME (山脈)
13 Refuse (ゲームオーバー)
14 Last Odyssey (エンディング)
合計時間 : 18:29
作曲者 : 小川史生, 佐藤天平
エンディングムービー
■エンディングムービー