シリアスを追求した、本格派3D RPG
ダイナソア
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (7枚)
定価 : 8,700円 (税別)
発売日 : 1990年12月21日
販売元 : 日本ファルコム
○PC-88VA対応
○FM音源対応
○ジョイスティック対応
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PROMO WORD
手ごたえのある本格的3D・RPG。
ファルコムが挑戦した意欲作!
ファルコム初の3Dスタイルを採用したマップと日本のRPGでは珍しいシリアス・ストーリー。
これまでにない独特のパラメーターやオリジナルモンスターの数々。
他のRPGに慣れた身には、かなり衝撃的だ。
STORY
1. 酒場にて
長かった冬が終わり、春が訪れようとしていた。
町では神の奇跡を祝うための祭りが行なわれ、楽師の歌と人々の歓声が町中にあふれていた。
その中に一人の男がいた。たくましい体をもったその男は人々の歓声とは明らかに違った雰囲気を持ち、彼の存在に気付いた人々は、顔を曇らせ、互いに何かをささやきあっていた。
男は人の波を避け、とある一軒の酒場の扉を押し開いた。祭りの最中でもあり、酒場の中は上気した顔の人々でごった返していたが、男はカウンターに空席を見つけ、一杯のエールを頼んだ。
「見かけない顔だな。旅の人かい? ただの旅人にしちゃ、随分とご立派なものをもっているじゃございませんか。」
先ほどから、男の後ろで何かをささやき会っていた酔客の一人が、男の背中の大剣を見ながら、からかうような口調で話しかけてきた。
「どうせ戦を渡り歩いている傭兵だろ。だが、なんだね。居眠りをしている隙に、世の中がすっかり平和になっちまっているのを知らないんじゃねぇのか?」
酒場の中にどっと笑いがおきたが、男はそんなことを気にする様子もなく、静かに杯をかたむけていた。
「よお、聞いているのかよ? だいたい邪魔なんだよ、そういう昔のおもちゃをこの町でちらほらされたんじゃ……」
酔客が男の剣に触れたのと、男が勢いよく席を立ったのは、ほとんど同時だった。男が蹴り上げた椅子が酔客のバランスを奪い、凄まじい音とともに転倒した。次の瞬間、背中の大剣から踊り出た白刃の光は、露がほとばしるように床に流れ、倒れている酔客の喉元でぴたりと止まった。
あれほど賑やかだった酒場は、まるで水を打ったかのように静まりかえった。床に倒れた酔客は声を出す事もできず、脂汗を流しながら、自分の喉元に突きつけられた冷たい輝きを、目を見開き、見つめていた。そして、恐怖に耐えられなくなった彼は、彼自身をなま暖かい液体が湿らせるのを感じていた。
しばらくの静寂の後、男は剣を引き、背中の鞘におさめた。そして、自分の杯のためより、少し多めに硬貨をカウンターに置くと、静かに酒場を出て行った。
唖然としながら、事の一部始終を見ていた酒場の客たち。その中の商人風の男がつぶやいた。
「知っているぞ……。あの男は見たことがある。間違いない……。あの男はアッシュだ。」
「アッシュだと?まさか、あの『灰を撒く者』のアッシュか?」
「そうだ。あの男が戦いに荷担した軍は必ず負けるという。だが、どんなに壮絶な戦いの後でも、ただ一人、奴だけは生き残るという噂だ……。」
2.アッシュ
大柄で背も高く、いかにも百戦錬磨の強者らしく鍛え抜かれたたくましい体付きは、その多くの戦歴を物語るような無数の傷痕が残っている。そして、その背中には、普通の者が持てば、その大きさのためまず扱えないであろう大剣がかっていた。
幾多の戦場で修羅場をくぐり抜けてきた彼は、口数も少なく、いつもむっとしたような暗い表情をしていた。無骨な性格、繊細さなどまるで見受けられない彼の性格は、良くいえば男っぽい男であり、また、その性格は戦いにも反映し、相手が強ければ強いほど力を発揮するタイプであった。
傭兵をその生業とし、戦場では、もはや彼の名前を知らぬものはいない。
その剣の腕もさることながら、彼の名は「彼が味方した軍は、必ず負ける」という噂とともに広まっていった。
「灰を撒くもの」
アッシュ(灰)。作物が育たないように灰を撒かれた土地。戦場での敗者たちの運命をなぞられて、人々は彼をそう呼んでいた。
だが、いつしか世をかき乱した戦乱の嵐は絶え、すでに彼を雇おうとする城主はいなくなっていた。
自分の中にたぎる、戦場を求める血潮。
彼は、その本能にも似た感覚を満たすため、自分を必要とする未知の戦いを求め、あてのない旅に出たのだった。
3.老婆
酒場から出たアッシュは、ふと気が付くと狭い小路に迷い込んでいた。
古びた建物が影を落とすこの小路は、表通りの喧騒が嘘のように静まり返っていた。今来た道を戻ろうとしたアッシュだったが、どこまで行っても同じような建物が続き、表通りへの道はみつからなかった。石段に腰を降ろしたアッシュは、建物の間に見える空を仰ぎ見た。ゆるやかな風にのって、白い雲がゆっくり流れていた。
鳥の群が、雲を横切るように南へと飛んで行くのが見えた。
風が、アッシュの頬をやさしくなでていった。
しばらくの間、空を眺めていたアッシュは、自分の足元で小石がはじけるのに気が付いた。その小石は、ゆるやかに坂道を下り、建物に響く反響音とともに次第に遠ざかっていった。
アッシュは石段から腰を上げ、小石の下って行った方に歩き始めた。
アッシュの足音が、青い空に向かって響いていった。
つづら折になった小路は、一件の古びた家の前で終わっていた。
奇妙な文字が記されたその家の扉は、まるでアッシュを誘うかのように風に揺れていた。そして、その中からしわがれた声が聞こえてきた。
「お入り。この婆に用があって来たのじゃろう。」
家の中には奇妙な香りがたちこめ、得体の知れない調度品が、ところ狭しと並んでいた。
部屋の中央で小さな木のテーブルを前に座っていた老婆は、アッシュを見ると顎をくしゃくしゃにしながら、笑い声とも泣き声ともつかぬ声をあげた。
「よく来たね。まあ、そこにおかけ。」
アッシュが、老婆に言われた今にも壊れそうな椅子に半分だけ体を預けると、どこから取り出したのだろう? 老婆は色あせたカードを手に語り始めた。
「この家にたどり着くものは皆、道を失い、道標を欲しておる。そういう者たちに道を示し送り出すのが、この婆の役目じゃ。」
老婆は無気味な笑い声とともに、慣れた手付きでカードを混ぜ始めた。
「どれ、手始めにおまえさんの過去を見てみることにしようかね。」
老婆が一枚のカードをテーブルの上に置くと、そこには、馬にまたがり、剣を天にかかげた男の姿が描かれていた。剣の先には稲妻がほとばしり、暗く曇った空は、稲妻によって裂けていた。
「ほお。おまえさんは、かなり腕の立つ戦士であったようじゃ。野に放たれた野獣のごとく、おまえさんの剣は多くの人の血をすすり育って行ったようじゃな。」
老婆は、アッシュの背負った大剣にちらりと目をやりながら、さらに1枚のカードを開いた。そこには、鎌を手に抱き、どす黒い衣をまとった冥府の渡し守の姿が描かれていた。
にわかに曇ったアッシュの表情と、カードの絵柄を交互に見ながら老婆は愉快そうな声を出した。
4.カード
「なるほど、おまえさんの勝利の裏には、こいつがおったのか。おまえさんの勝利は、常に味方の犠牲の上にあった……違うか?」
アッシュは、険しい顔つきで、まるでアッシュに笑いかけるようなカードの絵柄を見つめていた。
「そう怖い顔をするものではない。道は必ず開かれるもの。そして、道は常に一つとは限らぬぞ。」
そう言うと、老婆はさらに1枚のカードを引いた。そこには、まるで天に届くかのような巨大な老木に、5本の斧が突きつけられた絵が描いてあった。
「おまえさんは旅に出ることになるね。それも、辛く長い旅じゃ。だが、その旅はおまえさん一人のものではない。」
「この4枚のカードは、おまえさんと行動を共にする者。おまえさんの運命に関わる者たちじゃ。見てみるかね?」
アッシュは何も答えなかった。そして、老婆は順にカードを開いていった。
一枚目のカードには、天を仰ぎ見る獅子の絵が描かれていた。獅子のまわりには、燃え盛る炎が取り巻いており、獅子の顔は苦しんでいるようにも見えた。
「最初の仲間は、すぐれた理性と思慮を持ち、神の力を借りて奇跡を行う者。しかし、そのやさしい獅子の心の内は愁いに満ちている。自分が正しいと思ってしてきたことに疑問を感じ、そしてその奇跡を得られることなく、幼き我が子を失った悲しみと後悔が、彼を苦難の道へと旅立たせた。たくましく、立派なその外見からは想像もつかないほど、その心は悩んでいる。」
次のカードは、太陽に向かい、腕を伸ばすかのように、まっすぐに伸びている杉の木の絵柄が描かれていた。
「この仲間は、野の花のように可憐で人の心になぐさめを与えると共に、強い意志をもつ者。古から伝わる力を持ち、小さな者たちと語る力を持っている。消えてゆく者への思慕の念が、その者をいばらの道へとかりたてた。だが、どんな者にも平等に恵みを与えるその者は、来るべき旅の中において、多くの受難をその身に受けることになるであろう。」
3枚目のカードには、美しい月の下、やせ細った犬が恨めしげに地をみつめている姿が描かれていた。
「捕らわれたものを開放し、さらに直感によって危機を感じる者。それがおまえさんの仲間に加わる。その力を持つ者たちは、ひそやかな光に生きがいを感じ、その力によって自分の心を満たす。だが、その心は、欲に走り、その力を過信しすぎたために、呪わしい宿命を持っている。狂気が支配するその運命は、旅の途中、その者の身心を苦しめるであろう。」
4枚目のカードには、一つの水瓶から、さらに一つの水瓶に水を移す人の姿が描かれていた。そして、その後ろでは、雲が風にたなびいていた。
「最後の一人は、心やさしい、まだ汚れを知らぬひな鳥。親鳥に慈しまれ育ったひな鳥は、古巣を飛び立ち、歌なき歌を求めて旅に出た。ひな鳥の声は、不思議な力で枯れた野に花を咲かせ、水面を静かにゆるがす。風は、ひな鳥のためにやさしくそよぎ、伝え守られた遺産への道を示してくれるだろう。そして、その遺産は、その者にとって大きな意味を持っている。」
最後に老婆は一枚のカードを引いた。
「これが最後のカード。おまえさんの未来。そしてこれから、おまえさんを待ち受けるもの。さあ、開いてみるがよい。」
アッシュは、裏返されたままのカードに手を伸ばした。だが、それを裏返す代わりに、両手で引き裂いた。
粉々になったカードが宙に舞った。
「たかが紙きれだ。こんなものは。」
床に落ちた白い破片を踏み越え、アッシュは扉に手をかけた。
「忘れるでないぞアッシュ。これがおまえの運命。運命から逃れることはできないのだぞ。」
アッシュが扉を開くと風が舞い込んだ。
獅子の、杉の、犬の、水瓶の、そしてさらに数枚のカードが風に踊った。
老婆の家を出ると、まぶしい光が飛び込んできた。
アッシュの目が慣れると同時に、耳には祭りの音楽が聞こえてきた。
そこは、祭りの賑わいの中だった。
アッシュが、肩にかけた大剣を背負いなおすと、その重みが、ずっしりと肩に食い込んだ。
やがて、アッシュは町の雑踏とは逆の方向へと足を向け、そして歩き始めた。
登場人物
ORLIC(オルリック)
SEEK FOR LOST POWER
すでに神の奇跡は薄れかけていた。
多くの僧侶たちは、人々に信仰を強要し、より多くの寄付を求めていた。それは、彼が仕えていた大僧正も同じであった。
大柄で、中年から老年に差しかかろうという彼は、その年令を感じさせないほど強固な体格を、薄いなめし革の武闘着の中にしまい込んでいた。
大僧正のもとで、僧兵として寄付の取り立ての役に付いていた彼は、自分の信じる神のために、どんなに貧しい者からも寄付取り立ての手を緩めることはなかった。
だが、そんなある日、彼の一人娘のアーシアンが熱病に侵された。彼は自分の信じる神に祈り、その奇跡を待ち続けた。
「神よ! どこにおられるのです。私には神の姿が見えません!」
やがて、幼いアーシアンの葬儀を済ませた彼は、大僧正のもとを離れ、一人旅に出た。今まで自分のしてきた罪を償うために、そして今一度、失いかけた神の奇跡を取り戻すために……。
ELIS(エリス)
FOR LITTLE ONE VANISHING
妖精たちとの語らい。その年の作物のできを教えてくれ、そしてまた、ことの吉兆を告げてくれる妖精たち。
人間離れをした美しさをもち、ほっそりとした中にも、芯の強さを伺わせる彼女の家系は、代々妖精の言葉を人々に伝える役目を担っていた。
その長く美しい髪に、妖精たちが戯れるのをやさしい目で見守る彼女は、自分がこの役目についていることを誇りに思っていた。
だが、ある時期を境に、それまであれほど多くいたはずの妖精たちが、次第にその姿を消して行ったのだ。
「どうして?」
彼女の問いかけに、妖精たちは悲しげな目で答えた。
「風が吹くのよ。時がかかるわ……」
一族の長である彼女の母は、妖精たちが語ろうとしない真実を突き止めるため、彼女を人知れず旅に出した。
いつ終わるとも知れない長い旅。
けっして楽な道程でないこの旅のことよりも、まるで兄弟のように親しんできた精霊たちの軌跡が消えてしまうこと。そのことのほうが、彼女にとっては辛く悲しいことだった。
WAZZ(ワッツ)
HIS LIFE IS UNDER THE CURSE
人々は往来から姿を消し、まもなく夜の帳が訪れるようとしている街。そのはずれに、まるで人目を避けるように一人の男がたたずんでいた。
若くもみえるし、またそうでないようにも見える男は静かに、もう何十回も過ごしたその時を待っていた。
(金ならたっぷりある。だがよ、今夜は宿にゃ泊まれねぇ。ちっ、あんとき……)
この時、そう、月が真円を描き、魔法と力場と同様の効果を降り注ぐこの時になると、彼は悔やんでも悔やみきれないあの日のことを思い出す。
かつて魔法使いの家に下働きとして勤めたとき、彼は仲間たちと一緒に、魔法使いが大切にしている銀のサークレットを盗み出すカケをしたのだ。
そこにくる以前、街でこそ¥泥稼業をしていた彼にとって、そんなことはなんの造作もなかった。
カケには勝った。だが、魔法使いの怒りを買った彼は、さらに大きな代償を背負わなければならなかった。
「そろそろか……。」
街を出て、彼は森に入っていった。
陽は西の山に隠れ、周囲を本格的な夜のベールが包んだ。
しばらくの後、月の光に照らされた森の中には、彼の衣服が無造作に散らばっているだけであった……。
HEATH(ヒース)
WHERE ARE THE OLD SONGS?
一見すると女性のような華奢な体付をした少年が、てきぱきと旅支度を整える母の傍らで膝を抱えていた。
そのあどけない顔は、これからの自分を思うためか不安の色が立ちこめていた。
「あなたのお父さまも、部族に伝わる失われた歌を捜して旅に出たのよ。いえ、お父さまだけじゃありません。それが部族の成人の儀式なのよ。」
(じゃあ、お父さまは歌を捜し当てたの?)
彼がそう問いかけるより早く、母親は旅の荷物を渡した。
失われた歌…人々に幸せをもたらすと伝えられている歌。
僕はそんなものどうでもいいんだ。
この村で竪琴を奏でて暮らしたい。
森の生き物たちと一緒に歌って暮らしたい。
しかし、その言葉は、母の言葉の前に飲み込まざるを得なかった。
「あなたならできるわ。歌は、唱う者によって命を得るのだからね。」
ダイナソアについて
ゲーム内容はオーソドックスな3DスタイルRPG。ゲーム中のキャラクターには敵味方ともタロットカード的な表現を用いており洒落た雰囲気になっていた。ゲーム画面を見ただけで、これは面白そうだと思わせるようなデザインの良さだった。ストーリーに関しても「死神アッシュ」という名の由来をベースにしたストーリーを広告にまで展開しており、興味を抱くユーザーは多かった。このゲーム独特の仕様としてはMP(マジックポイント)のような技のポイントであるTP(テクニカルポイント)が存在すること。これは一定の技術を使い続けることによる経験値が存在し、技術レベルにより新しい技を覚えることができるというものだった。
ゲーム内容は遊びやすさを無視した作りになっていたため、一部のファンを除いては評判が良くない。気軽にプレイなどできず、ストレスとの戦いになった。
10人中10人が口を揃えると思われる欠点がある。それは、敵とのエンカウント率。呪いのアイテムでも装備しているかのように、数歩で戦闘に入る。歩く以前の方向転換すらエンカウント対象になる。キーボードを触らず静止していない限りは、BGMを1ループ分すら聞くのは不可能だ。下手すれば1歩で戦闘に陥ってしまう。経験値稼ぎや、資金稼ぎを行っている場合は非常に有り難いが、それ以外の時はゲームとしての面白さは全く無くなる。あまりのエンカウント率に、何を行おうとしていたか、どこに向かおうとしていたか忘れる程。後半になると、エンカウント率はそのままにボスキャラ以上に強いザコキャラに遭遇しまくるため、ストレスはピークに達する。特に後半はアイテム回収のために以前に行った場所の往復を求められることが多く、長距離移動を行う際の戦闘にはうんざりさせられた。
もう一つの難点は、長所でもあり欠点でもある自動マッピング機能が無い点。マッピングはダンジョン系ゲームを楽しむ醍醐味。が、それはやはりライトユーザーには厳しい。当然、マッピングを行うには歩き回る必要があるのだが、前述したエンカウントのお陰でマッピングもままならず、かなりの根気を要求される。序盤に関しては地図が付属しているが、後半に関してはボロボロにされるだろう。
また、RPGの醍醐味である武器・防具購入によるレベルアップが殆ど望めない。町は1つしか存在せず、アイテム内容もほぼ変わりない。こうなってくると、戦闘を行う理由の一つである金銭稼ぎの意味がほぼ失われる。レベルが上がることによる明かな戦闘力の違いも感じられず、武器・防具変更では1発での圧倒的な強さになることは無い。
ゲームとしての遊びやすさが全く無い中。それでも評価されるのはストーリーの魅力だろう。最初の内は世界観もよく分からないが、戦闘を重ねる内、主要な敵キャラクターが倒れた時に一貫して灰のように消えていくのが特徴であると感じるだろう。(死体が転がって残ることは例外を除いて無い)最初は、疑問にも思わず進めていき、世界がどうやら現実では無いと理解し始め、エンディングを見て世界観における表現の統一であったと気付かされる。ただ、それでも各キャラクターの独立した世界を語るには不十分であり、アッシュ以外のキャラクターに関しては旅に出て、この世界に導かれる理由が乏しい。エンディングはあまりにもアッサリした終わり方なので、繰り返してプレイしないとストーリーの全体感を把握する事は難しいと思われる。また、エンディングには、スタッフロールも無く余韻も感じられないのが残念だった。
ファルコム作品を語るのに忘れてはならないのは音楽面。ピラミッドソーサリアンを最後として、後続のスタートレーダーやワンダラーズフロムイース、英雄伝説(I)では音の組み立てが急激にグレードダウンした。原因は優秀なスタッフの流出に他ならないが、ここに来て急激にパワーアップ。イースやソーサリアンのような時代の革命を感じる事は無い。曲についても高い評価をされているのを見たことはないが、個人的には同等に高いレベルで復活したと感じている。少ない音数での組み立ては非常に難しいものであり、FM3音+SSG3音と思えない音の組み立てを聞かせてくれた。
ゆったりとしたダンジョン系RPGなのに音楽の印象が薄いのは全て先述したエンカウント率の高さ。2分以上の曲も多く存在するがイントロを聞くことが出来れば上出来なくらいのレベルで戦闘に突入する。また、マッピング中は音楽を堪能している余裕も無く意識は別の方向にある。そんな理由もあり、改めて意識をして聞かない限りは音楽を聞いてもピンと来ないだろう。
全体としてゲームのストーリーと同様に重い曲が多く、テンポも遅めの曲が多い。そんな中、ストーリーの終盤にかかるアーケディア城3階に突入した際に流れる「BURNING!」はそれまでの流れを一気に突き崩す攻撃的な曲だ。このテンポの速さで曲の時間が2分半もあるのは異例。同じ様な攻撃的な曲はダリウスの塔(ダリウスの迷宮)や、精霊の塔の2曲がある。全てが後半の曲であるため、序盤で諦めてしまったユーザーには届かなかった名曲。これらのBGMを堪能しながらエンカウントせずダンジョンを疾走できれば、最高に気分は盛り上がっただろうことは予想できるだけに残念。
また、夢つむぎ(エンディング1)に関しては曲の長さが3分半もあるのにも関わらず、短いシーンのため聞くことのできるのは40秒程。時間を考えればエンディングではもっと多くの事が語られる予定だったのではないかと思わされる。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源)
ノーマル音源
音源チップ:YAMAHA YM2203(OPN)
01 失われしものたち (オープニング)
02 Mark My Words (町 ザムハン)
03 精霊の賛歌 (森, 岩場, 城門)
04 FRONT LINE (戦闘)
05 突破! (戦闘・ガードナー)
06 A TEMPLE (廃墟)
07 GOD! (神殿)
08 土笛
09 EXCITING SHOP (店)
10 INTO THE CASTLE (城1階, 2階)
11 タルシスとの出会い (地下墓地)
12 戦いは悲しみの果てに (戦闘・中ボス)
13 邂逅の時 (ゲームオーバー)
14 BURNING! (城 3階, 4階, 西館, テラス, 外壁, 東館)
15 鎮魂 (ヤール王の死)
16 神の啓示 (空中庭園, 外壁, 中庭)
17 試練の塔 (試練の塔)
18 龍が逝く時 (龍の穴)
19 風の塔 (風の塔)
20 地下祭室 (地下祭室)
21 次元の迷宮 (次元の迷宮)
22 ダリウスの塔 (ダリウスの迷宮)
23 あなたを愛して (仲間との別れ)
24 竪琴
25 汚れなき時 (フォルナの塔)
26 THE MASCLE MAN (アリエル)
27 フォルナ (フォルナのテーマ)
28 精霊の塔 (精霊の塔)
29 軍神 (軍神登場)
30 DINOSAUR (ラストボス・ダイナソア)
31 夢つむぎ (エンディング1)
32 風の紋章 (エンディング2)
33 オルゴール
合計時間 : 56:54
作曲 : 石川三恵子, 川合将明
DISCOGRAPHY
ミュージック・フロム・ダイナソア
発売日: 1991年6月5日
価格: 3,000円(税込)
商品番号: KICA-1030
販売元: キングレコード
収録曲
01 失われしものたち (オープニング)
02 Mark My Words (町 ザムハン)
03 精霊の賛歌 (森, 岩場, 城門)
04 FRONT LINE (戦闘)
05 突破! (戦闘・ガードナー)
06 A TEMPLE (廃墟)
07 GOD! (神殿)
08 土笛
09 EXCITING SHOP (店)
10 INTO THE CASTLE (城1階, 2階)
11 タルシスとの出会い (地下墓地)
12 戦いは悲しみの果てに (戦闘・中ボス)
13 邂逅の時 (ゲームオーバー)
14 BURNING! (城 3階, 4階, 西館, テラス, 外壁, 東館)
15 鎮魂 (ヤール王の死)
16 神の啓示 (空中庭園, 外壁, 中庭)
17 試練の塔 (試練の塔)
18 龍が逝く時 (龍の穴)
19 風の塔 (風の塔)
20 地下祭室 (地下祭室)
21 次元の迷宮 (次元の迷宮)
22 ダリウスの塔 (ダリウスの迷宮)
23 あなたを愛して (仲間との別れ)
24 竪琴
25 汚れなき時 (フォルナの塔)
26 THE MASCLE MAN (アリエル)
27 フォルナ (フォルナのテーマ)
28 精霊の塔 (精霊の塔)
29 軍神 (軍神登場)
30 DINOSAUR (ラストボス・ダイナソア)
31 夢つむぎ (エンディング1)
32 風の紋章 (エンディング2)
33 オルゴール
エンディングムービー
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