また一つ、ゲームソフトの神話が生まれた。
ワンダラーズ フロム イース [イースⅢ]
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (4枚)
定価 : 8,700円 (税別)
発売日 : 1990年3月24日
販売元 : 日本ファルコム
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PROMO WORD
X68000の為の書き下ろし32曲(新曲6曲)
FM音源とADPCMの絶妙なバランスでくり出す美しいBGMにのせて
高速三重スクロール+横スクロールで描く遠近感にあふれるグラフィック。
また一つ、ゲームソフトの神話が生まれた。(ジョイスティック対応)
ストーリー
二人の旅人が、木かげでからだを休めていた。
その日はあいにく曇り空で、水平線のあたりはどんよりとした灰色にかすんでいた。それでも旅人の一人、若い方の男は立ったまま、熱心に目の前に広がっている風景に見入っていた。
かすかに吹く風が青年の髪を揺らしている。そのあざやかな赤い髪は、彼の内に秘められた意志の強さをそのままに示していた。腰の鞘には一振りの剣が納められている。
彼こそ、後の世に偉大な冒険家として名を残すことになるアドル=クリスティンだった。彼は19歳で、少年期から青年期への移行期にあった。
アドルの連れの男は、アドルよりも年上のようだ。25,6歳といったところだろうか。筋肉の盛り上がった、たくましい体つきをしている。
男は元盗賊のドギだった。アドルは以前、ある冒険をした際、ドギに助けられたことがある。それ以来のつきあいだった。
ドギは道のわきにある太い木にもたれかかるようにしてすわり、アドルに思い出話を聞かせていた。
アドルは、ドギの話に相づちをうちながらも、けむって見えない水平線に視線を向けたまま、彼の故郷をめざすきっかけとなったあのでき事を思い出していた。
すっかり意気投合したアドルとドギが、一緒に旅にでてからもう2年あまりになる。二人は足の向くまま、気の向くままに、さまざまな土地を訪れた。しかし、ドギの故郷を訪れることになるとは、二人のうちどちらも予想していないことだった……あの日までは、それは全くの偶然としか言いようがなかった。隊商の一団が、たまたま二人の滞在していた街にやってきたのは、今から3ヶ月前のことだった。街の広場で荷をおろし、店を開いた隊商たちのまわりには、たちまちのうちに人だかりができた。このあたりでは手に入らない珍しい品々もさることながら、隊商たちが通ってきた異国の話にひじょうに興味があったからだ。アドルもドギも群衆の中に混じっていた。
商人たちは六人いたが、みんな一様に疲れきった顔をしていた。
どんな話が聞けるかと、期待に満ちた人々を前に、彼らはしきりに愚痴をこぼしはじめた。
「この街に来る前に、フェルガナという地方を通ってきたんだ。だが……少しも商売にならなかったよ」
続けて、彼らは商売にならなかった理由、フェルガナ地方を襲った災難について語った。原因のはっきりしない異常気象や病気により、周辺の穀物や作物の凶作が続いており、さらにそれが原因でたいへんな物価高におちいっているという。
「広い農地一面の作物が全部黄色く枯れているのさ。だが、奇妙なことにすぐそばの森の木々は元気に青々としているんだぜ!あれは絶対普通じゃないな。それで俺たちは、こんな所に長居していてもいいことはないと思って、早々に退散してきたというわけさ」
商人たちの話は、それから別の話題へと移っていったが、すっかり彼らの話に夢中になっていたアドルは、ドギの顔色が変わったことに気づけずにいた。
アドルがいつになく深刻な顔をしたドギから、フェルガナ地方のレドモントが彼の生まれ育った街であること、そして10年ほど前に出たきり一度も帰っていないことを打ち明けられたのは、その日の夜のことだった。ドギの話が続いていた。
「ここまで来れば、レドモントの街はもうすぐさ。あと一日半ほどの距離だ。今夜、途中にあるアーグの街に泊まれば、明日、日が暮れるまでには着けるはずだ。今までお前と一緒にいろんな街へ行ったがな、レドモントよりも素敵に思える街はなかったな。このあたりは、よそではとれない鉱物や穀物が豊富にあって、とても潤った街なんだ。住んでいる人も、みんな気だてのいい人ばかりでな、孤児だった俺が無事に育ってこれたのもそのおかげさ。
俺は小さい頃から悪ガキでな、遊び仲間を引きつれていろいろ悪さをしては、大人たちを困らせていたっけ。あいつらももう立派な大人になっただろうな。街に着いたら紹介してやるよ。」
ドギはそう言ってから、我に返ってあたりを見まわした。
「いけない、つい長話になってしまったな。そろそろ出発しないと、アーグの街に着く前に日が暮れてしまうぞ」
木かげで休んでいた時は真上にあった太陽も、今では西の空に傾きつつあった。
それまでなだらかな登り坂だった道が下り坂になり、急に左側に折れている場所の少し前で二人は足を止めた。
そこには、アーグの街まで1クリメライ(約1.2km)という道標と、付近の住民や旅人たちから素朴な信仰を集めている道祖神の小さなほこらがあった。いや、以前はあったという方が正しいのかもしれない。なぜなら、今、二人の目の前にあるそれらは見るかげもなく破壊され、荒らされているからだ。
「いったい誰がこんなことを……」
ドギがあっけにとられてつぶやいた。
人間のしわざとは思えなかった。ひとかかえほどもある大きな石でできた道標や、ぶ厚い石の板を使って作られたほこらが、いとも簡単に割られ、砕かれて瓦礫と化しているのだ。おまけに石のかけらの表面には、所々に深くえぐられて残った鋭い引っ掻き傷がついていた。それはどう見ても、大きなかぎ爪の跡にしか見えなかった。けれどもドギの記憶では、この街道の周辺にはそんなかぎ爪を持った生き物はいないはずだった。野盗や追い剥ぎの心配が全くないとは言いきれないにしても、獣に襲われる心配はない街道だったのだ。「さっきから何かが変だと思いながら、いったい何がおかしいのかわかったんだが」
今にも森の中からかぎ爪の主が飛び出してくるのではないかと心配しているかのように、あたりを見まわしてドギが言った。
「どうしてこの森には生き物の気配がしないんだ? 鳥のさえずり一つ聞こえてこないなんて不自然じゃないか。昔、この街道を歩くと鳥どものさえずりがうるさくて、頭が痛くなることさえあったのに」
そう言われてみると、普通なら邪悪さとは無縁なはずの森の静けさは、まがまがしいものを含んでいるように思われた。ふいに、森の静けさをついて、道の前方でさわぎが起こった。何か大きなものが倒れこむにぶい音、猛り狂った獣のうなり声、苦痛に満ちた、助けを呼ぶ男の叫び声、はげしく格闘しているらしい物音などが一緒になって、二人の耳に飛びこんできた。二人は反射的に剣を抜くと、音の聞こえてくる方向へ走りだした。
弓なりになった道を曲がると、赤茶色の獣に襲われている男の姿が見えた。
あおむけに倒れた男の上に、おおきた、猫に似た獣がのしかかって男ののどをねらっていた。男が必死に両腕でのどをかばっているので、かみつくことができずに焦れた獣は、男の腕に爪をたて、ひっきりなしに耳ざわりなうなり声をあげていた。
剣を振り上げた二人が走りよると、獣は気配を感じてすばやく頭を上げた。意外なほど冷静な、知性のかけらさえ感じさせる金色の目が、二人と、振り上げられた剣を見すえた。実際には短い間だったにもかかわらず、二人には時が凍りついたかのように感じられた。
一瞬のち、獣は身をひるがえすと、森の中に姿を消した。
二人は倒れている男のかたわらにかがみこんだ。
男は目を閉じ、上半身を血まみれにしてうめいていた。
二人は袋から清潔な布と血止めの効果がある薬草を取り出すと、男の手当にとりかかった。幸いなことに、血が止まってみると、怪我は出血のわりに軽いものだとわかった。介抱するうちに、青ざめていた男の顔に血の気が戻ってくるのがわかった。
アドルが安堵のため息をついた時、先ほどから男の顔をまじまじと見つめていたドギが、低く声をかけた。
「もしかしたら……お前はロアルドじゃないか?」
反応があった。男は目を開け、自分をのぞきこんでいる顔を歪めると、驚きに満ちた声をあげた。
「ドギ! 本当にドギなのか? 10年前、何も言わずに街を出ていったきり全く音沙汰がないものだから、みんな気にしていたんだぞ。いったいどうしたんだ?」
「まぁ、いろいろあってな。とにかく詳しい話は後だ。歩けるか?」
「大丈夫だ」ロアルドは、ドギに肩を借りて歩いた。彼はドギの昔の遊び仲間だった。歩きながらのロアルドは、現在はアーグの街にある宿屋で住みこみで働いているのだと語った。
彼らがどうにかアーグにたどり着いた時には、空が暗くなりはじめていた。
宿屋の主人は、使いに出かけたロアルドがなかなか帰ってこないので、気が気でなかったようすだった。三人が宿屋にたどり着くと、主人はとても喜び、事情を聞いて、しきりにアドルとドギに礼を述べた。そして、ぜひ今夜の宿と食事は自分のおごりで提供させてほしいと申し出た。宿屋は2階が寝室、1階が酒場兼食堂という造りになっていた。泊まりの客はアドルとドギの他にはいなかったが、食堂は食事や、酒を飲みにやってきた住人たちで賑わっていた(壁に貼られた値段表を見て、二人は物価高だという話が嘘ではないことを知った)。
二人が食事をしていると、医師に手当をうけてかなり元気を取り戻したロアルドがやって来て、ドギの横に腰を降ろした。
「改めてお礼を言うよ、ありがとう二人とも。もしあの時、君たちが来てくれなかったら、今頃は生きていられなかっただろうな。ところでドギ、本当に今までどうしていたんだ?」
「いろいろな所を転々としていたのさ」
「いろいろな所を転々と……か、お前らしいな。お前が帰ってきたと知ったら、レドモントのみんなも喜ぶだろうな。アドニスの奴は、親父の後を継いで武器屋の主人になってるし、シンシアはアイテム屋を経営している。ガードナーとは街の入口で会えるぜ。お前が昔よく世話になった宿屋のじいさんも、変わらずに元気でやってるよ。
チェスターは……城で働くようになってな、ほとんど会う機会がないんだ。たまに見かけても忙しそうにしてるんで、話をする暇もないんだ……そうだ!エレナのことを覚えているか?お前が街を出ていった時はまだほんのガキで、子犬みたいにいつも俺たちの後ろをついて歩いていた、あのエレナだよ。とてもきれいな娘に成長していて、会ったらきっとびっくりするぜ」
ドギはうれしそうに昔の知り合いの消息を聞いていたが、故郷に戻ってくることになった理由を思い出したのか、急に深刻そうな顔になった。
「ロアルド、お前を襲った獣は山猫のように見えたが……違うか?」
「そうだよ。あれは山猫だ」
「まさか……!山猫は臆病な性質で。人を襲うなんてことは絶対にないはず──」
「確かに昔はそうだった。でも今はそうじゃないんだ」
ロアルドはドギの声をさえぎるようにそう言うと、意味ありげな目を向けた。 いつのまにか、彼らの会話を聞きつけた住民たちが、コップを片手に、彼らのまわりに集まっていた。 住民たちは不安のはけ口を求めるかのように、二人に向かって口々に話しはじめた。最近、急に攻撃的になったのは山猫だけではない。以前は挑発でもされない限り、人を襲うことなどなかった生き物たちが理由もなく人を襲うようになっている。そればかりではない。もともとこのあたりに住んでいた生き物たちの数が減りつつあり、かわりに昔は見かけたこともなかった異形の奇怪な生き物が目立つようになったのだ。郊外に出かけていったまま、行方知れずになる人が増えており、漁師も危険な森の中で狩りをしたところで、ろくな獲物もないので休業状態におちいっている。
時々、深夜になると、遠くの方から不気味なざわめきが伝わってくることもある。嵐の音にも似ているが、風の全く吹かない夜であっても聞こえてくるので、風の吹く音でないことだけは確かだ。注意を払って聞くと、音に混じって詠唱や叫び声(その声は人間と獣の両方の要素を持っている)が確かに聞こえるというその音の正体をつきとめようと出かけていった者もいるにはいたが、二度と戻ってこないか、生命を失った姿で発見されるかのいずれかだった。
今では、街は堅固な壁によって囲まれているので一応は安全なのだが、それ以外の場所は危険なので、夜になると家の外へ出る者はいなくなった。さらに追いうちをかけるように、レドモントの街の近くにある火山が急に活発な活動をはじめた。この火山は長い間ずっと沈静化していたのだが、何の前触れもなく、ある日突然ものすごい轟音や地響きとともに噴火した。それからというもの、近くの住民たちは噴火音や地震等の不安にも悩まされるようになったのだ。このような話を住民たちは、アドルとドギに次々と語った。
「原因のはっきりしない作物の枯れ死といい、この土地で何かが起こっている、あるいは起こりつつあるということだけは確かなんだ。そのままにしておいたら、とんでもないことになるような何かが……」
ロアルドの言葉に、思いは同じなのか、その場に居合わせた誰もが黙りこんでしまった。
次の朝早く、アドルとドギは、ロアルドの見送りをうけながら出発した。
二人は昨夜の話を聞いた後だけに、街道の周囲に注意を払いながら歩いた。かなり日が高くなった頃、漂浪民の一団と出くわした。彼らは定まった土地に住まず、占いや曲芸などをして報酬を得ながら各地を放浪している民族だ。彼らの占いは、よく当たると評判だった。
ドギが声をかけると、一団は立ち止まった。彼らは、早朝にレドモントを出てきたのだと言う。街の様子を尋ねてみたが、すでに知っている以上のことは聞けなかった。しばらく彼らと話した後で、ふと思いついたように、ドギがアドルの顔を見て言った。
「そうだアドル、このあたりを襲った災いの原因が何なのか、これからどうなるのか、占ってもらわないか? 何かわかるかもしれない」
アドルがうなずくと、ドギは占い師に金を渡した。
占い師は、艶のある黒い髪を腰まで伸ばした、若く美しい女性だった。女は道端に小型の丸テーブルを組み立て、その上に大きな水晶球を据えると、両手を水晶球の上にかざし、精神を集中させた。
そして──その場にいた他の者たちは何も見ることができなかったのだが──女は確かに、水晶球の中に何かを見たのだ。女の顔色がさっと変わり、見る見るうちに蒼白になった。
漂浪民の者たちは、彼女に不審そうな目を向けた。もう長いこと、彼女は占いをしているが、彼女がこのような反応を示したことは今まで一度もなかったからである。
彼らが見守るうちに、女は今にも失神しそうな様子になり、ぶるぶる震えはじめた。
漂浪民の一人が、今にも倒れそうな女を助けようと近よりかけた時、テーブルの上の水晶球に変化が起こった。
それまで透明で、澄んだ輝きを放っていた球の中心部分に、ぽつんとにじむようにして小さな黒い点が現われた。それはまるで霧のように見え、見る見るうちに広がり、水晶球全体を黒く曇らせた。
一同は背筋の寒くなる思いで、真っ黒になった水晶球を見つめた。誰もが、正体ははっきりしないが、何か邪悪なものの気配をそこから感じとったのだった。
突然、球の表面にひびが走ったかと思うと、内部で激しい爆発が起こったかのように、鋭い音をたてて粉々に砕け散った。
占い師の女は、何かに頭を殴りつけられたかのように大きくよろめき、意識を失って、その場に崩れ落ちた。
女は手当をうけてほどなく意識を取り戻したが、水晶球の中に見たものについては、何一つ語ろうとはしなかった。彼女の顔には尋ねることをためらわせる、ひどくおびえた表情があった。
女は仲間に向かって、二言三言ささやいた。それは、先ほどドギやアドルと会話した時に用いた共通語とは違う、漂浪民族の言葉だった。だから、ささやき声は聞こえても、二人には全く理解することができなかった。けれども女が口にした言葉のうち、ただ一つの単語だけが、なぜかいつまでも耳について離れなかった……『ガルバラン』。それは、初めて聞いた言葉であるにもかかわらず、とてつもなく不吉で邪悪なものを感じさせる響きがあった。
漂浪民の男の一人がドギに近づき、半ば押しつけるようにして。先ほど受けとった金を返した。それから、漂浪民たちは二人に向かって一礼すると、まだふらついている占い師をいたわりながら、足ばやに去っていった。漂浪民の一段と別れて、再び歩きはじめてからどれくらいの時がたっただろうか。
先にたって歩いていたドギが足を止め、前方を指差しながら振り返って言った。
「やっと見えてきたぜ、アドル。あれがレドモントだ」
ドギのそばに駆けよると、アドルの目にもレドモントの街が飛びこんできた。
高くそびえたつ木々に包みこまれるようにして、レドモントの街があった。
街の周囲は、石を切り出して作った頑丈なブロックで囲まれている。
林の間を横ぎるようにして流れる川が、街の入口の検問所へ続く橋の下を通っていた。
街の外のあちらこちらに、荒れはてた農地が見えた。
「どうだい、美しい街だろう」
言葉を失って街を見つめているアドルに向かって、ドギが得意そうに言った。
アドルは視線をそらさずに、黙ってうなずいたまま、街を見つめ続けた。
確かに、美しい風景だった。だが、それだけではなかった。
アドルには、予感がした。それはつかの間の印象ではなく、時がたつにつれて、ますますはっきりとしたものになっていった。
何かが待ちうけているという、ほとんど威嚇的ともいえるほどの雰囲気が、街だけではなく、まわりの土地全体から押しよせてきていた。
「さぁ、あと少しだ。行こうぜ、アドル」
ドギはそう言うと、前よりも早足で、街をめざして歩きはじめた。
アドルは、まとわりつくようにする予感を取り払うと、急いでドギの後を追った。それが、アドルの新しい冒険のはじまりだった。
登場人物
アドル=クリスティン
生まれついての冒険家。イースの国を「災い」から救った後、再び旅に出る。ある日、ふと耳にとめた話がもとで、フェルガナ地方にやってきた。
エレナ
ドギが街を出ていっていった頃は、まだほんの子供だったのだが、今ではとても美しい少女に成長した。
家を出ていった兄のことを心配している。ドギ
昔は盗賊をやっていた。アドルと知りあい、現在は一緒に旅をしている。
頑丈な壁をも壊してしまう怪力を誇る。
レドモントは彼の故郷である。チェスター
ドギが子供の頃の遊び仲間だった。
マクガイア王に仕えて、彼の計画に手を貸している。マクガイア王
バレスタイン城の城主。
周囲の評判はあまりよくない。
何か恐ろしいことを計画しているらしい。
ワンダラーズフロムイースについて
日本ファルコムがX68000に進出することはないと思われていた1990年。突如としてX68000に参入した作品がこの「ワンダラーズフロムイース」だ。X68000へ移植するにあたりグラフィックスから音楽面に至るまですべてグレードアップされている。唯一の難点はスプライトの反転機能を用いているのか、左右どちらへ向いてもシールドが手前に来ることだろう。つまり、右利きになったり左利きになったりするというわけだ。また、キャラクターも太くなってしまった。
キャラクターの動きは流石にスムーズで、他機種では有り難みのあった多重スクロールもハードウェアで兼ね備えているX68000では当然のように行われるし嫌味なくらい滑らかに動作した。X68000移植にあたっては最終ボスのガルバランの難易度が大幅にアップしていて最後の最後でかなり苦労した記憶がある。当時X68000ユーザーはゲームが旨いと思われていたらしく移植にあたって他機種と比べ難易度を上げられることがあった。
ただX68000版発売までの期間が長すぎた。既に他機種版でネタバレはしていたし、攻略され尽くされた後だったため今更感もあった。鮮度が命の人気シリーズなだけあって、もう半年出るのが早ければと思わせる。
音楽面では原曲の雰囲気を崩すこと無く非常に旨くまとめられている。音色の透き通り具合は絶品で、なぜこんなにノイズのない音が出るのかと関心した。ADPCMのリズム関係はやや煩い感じもするが許容範囲。「Be Careful」で奏でられる効果音も非常に馴染んでいる。X68000版はさり気なく新曲が追加されているのもアピールポイントだ。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+ADPCM)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)+ OKI OKI MSM6258
01 Introduction!!(PCMデータロード)
02 Dancing on the road(ユーザーディスク作成)
03 予感 =スティクス=(オープニング)
04 貿易の街 レドモント(街)
05 静かな刻(民家/宿屋)
06 Welcome!!(ショップ)
07 冒険への序曲(マップセレクト)
08 翼を持った少年(ステージ入り口)
09 Be careful(ティグレー採石場)
10 Chop!!(新 中ボス)
11 イルバーンズの遺跡(遺跡・地上)
12 The Theme of Chester(遺跡・隠し部屋)
13 灼熱の死闘(遺跡・溶岩地帯)
14 愛しのエレナ(エレナ落ちる)
15 暗黒の罠(ティグレー採石場)
16 死神の電撃(ステージボス)
17 厳格なる闘志(エルダーム山脈)
18 哀愁のトワイライト(人のいない街)
19 バレンスタイン城(バレンスタイン城)
20 慈愛の祈り(バレンスタイン城・礼拝場)
21 光りの鍵(バレスタイン城・礼拝堂)
22 時の封印(バレスタイン城・時計塔)
23 破滅への鼓動(ガルバラン島)
24 運命の塔(ガルバラン島・最上階)
25 これを見よ!!(ガルバランの脅し)
26 最強の敵(本ボス・ガルバラン)
27 Dear My Brother(島の崩壊)
28 旅立ちの朝(街・エンディング)
29 Wonderers from YS(エンディング)
30 Believe in my heart(hardモードエンディング)
31 いっときの夢(GAME OVER)
合計時間 : 43:27
作曲者 : 石川三恵子, 川合将明
DISCOGRAPHY
YsⅢ J.D.K.Special
発売日: 1990年3月21日
価格: 2,800円(税込)
商品番号: KICA1002
販売元: キングレコード
収録曲
01 Dancing on the road(ユーザーディスク作成)
02 予感=スティクス=(オープニング)
03 貿易の街レドモンド(街)
04 静かな刻(民宿/宿屋)
05 ウェルカム!!(ショップ)
06 冒険への序曲(マップセレクト)
07 翼を持った少年(ステージ入口)
08 Be careful(ティグレー採石場)
09 漆黒の魔獣(中ボス)
10 イルバーンズの遺跡(遺跡・地上)
11 灼熱の死闘(遺跡・溶岩地帯)
12 暗黒の罠(ティグレー採石場)
13 死神の電撃(ステージボス)
14 いっときの夢(ゲーム・オーヴァー)
15 厳格なる闘志(エルダーム山脈)
16 哀愁のトワイライト(人のいない街)
17 バレスタイン城
18 慈愛の祈り(バレスタイン城・礼拝堂)
19 光りの鍵(同)
20 時の封印(同・時計塔)
21 破滅への鼓動(ガルバラン島)
22 運命の塔(同・最上階)
23 これを見よ!!(ガルバランの脅し)
24 最強の敵(本ボス・ガルバラン)
25 旅立ちの朝(街・エンディング)
26 Wanderers from Ys(エンディング)
(X-68K用 新曲)
27 Dear My Brother(島の崩壊)
28 愛しのエレナ(エレナ落ちる)
29 Introduction !!(PCMデータロード)
30 The Theme of Chester(遺跡・隠し部屋)
31 Chop!!(新中ボス)
32 Believe in my heart(エンディング)
(J.D.K. BAND Special ARRANGE VERSION)
33 翼を持った少年
34 Be careful
35 厳格なる闘志~イルバーンズの遺跡
36 旅立ちの朝
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イースIII ワンダラーズフロムイース : Ys III. X68000実機