パーティーなんて組むものか。
ブランディッシュ2 ~ザ プラネット バスター~
対応機種 : NEC PC-9801VM/UV以降
メディア :
5inch 2HD (6枚)
3.5inch 2HD (6枚)
定価 : 12,800円 (税別)
発売日 : 1993年3月12日
販売元 : 日本ファルコム
○要RAM 640KB
○要バスマウス
○要アナログRGBディスプレイまたは8階調液晶
○増設メモリ対応
○I/Oバンクメモリ対応
○プロテクトメモリ対応
○NEC純正EMSボード対応(PC-9801-53)
○サウンドボード対応(PC-9801-26K/73)
○スピークボード対応
○RAMドライブ対応
○ハードディスクドライブ対応(SASIもしくはSCSI)
(MS-DOS Ver2 **及びVer 3 **が必要。Ver5.0対応)
○PC-9801VM2/4は要16色ボード(PC-9801-24)
○PC-9801/E/F/M/U及び98XALT/HA動作不可
GALLERY
PROMO WORD
独自のリアルタイムARPG最新進化型
フルマウスオペレーションの快適操作。方向転換が、マップ全体の回転で表現されるシステムなど、さまざまな機能を満載して発表された「ブランディッシュ」。RPGの新時代を感じたファンの期待に応えて、遂に「ブランディッシュ2」の登場。
待望の地上面を含み、前作の6ステージから一挙22ステージ
冒険の始まりである監獄島ベルサドスをはじめ森や町、海岸線など変化に富んだステージを用意。マップの種類は前作6パターンから一挙に22パターンへ飛躍的にボリュームアップした。それは単に量が増えただけではない。海岸線波打ち際のアニメーション、グラフィックの美しさに一見の価値あり。
RPG性とシナリオの充実
前作の魅力、迷宮の謎解きを楽しむ要素に加え、この「ブランディッシュ2」では、物語のドラマチックな展開がいちばんの見せ場。ゲーム中のビジュアルシーンや凝ったキャラクターの演技も多数挿入、ストーリーがさらに盛り上がる。また、武器の成長・消耗、鍛冶屋で打ち治すことによる回復・増強もRPG性に厚みを加えている。
自由に遊べる新機能と増えたアイテムetc.
システムの基本は前作を引き継いでいるが、ただのマイナーチェンジに終っていない。なかでもユニークな改良点は、装備の自由度がかなり広がったこと。盾と剣のスタンダードなスタイルだけではなくいろいろな組み合わせが可能になった。その組み合わせ方により主人公のグラフィックも変わる。状況によって装備を選ぶことで、闘い方のスタイルにバリエーションが生まれる。また、好評の魔法も種類も増強。画面で炸裂する派手なグラフィックの視覚効果は、まさに魔法を使ったと実感。
斬新さから、おもしろさの充実へ
ダンジョンから野外へ冒険の舞台が移り、扱うデータ量が増えたことはRPGの進化の歴史をたどっている。しかし、決してデータ量が膨れ上がっただけのゲームではない。操作性、画面の情報、徹底的に改良され、遊びやすさが格段にアップしている。斬新さが特徴だったシステムがこの「ブランディッシュ2」で完成される。
ストーリー
プロローグ
岬には海風が吹き荒れ、岸壁に荒々しい波が砕けた。
岩石の露出した半島を尾根ぞいに進むと、その突端に暗黒を纏う城がある。
曇り空の下、城に向かっていた三つの人影が一つずつ止まった。
始めに止まったのは、茶のローブをまとった老人だった。杖を持つ袖口から、赤と紺を織り込んだ衣服の柄がのぞいている。顔をおおうほどのフードを背にめくると、布巻き防止を巻いた威厳のある顔があらわれた。残りの二人は供のようだった。一人は四十がらみで、もう一人はまだ城に仕えて間もないような若い男だった。老人は鉛色の雲と、錆色の海を見くらべてから眼科の漁師町を見下ろした。
漁師町の広場には、破れた底引き網がそのままに打ち捨てられている。漁師たちの勇ましい声は聞こえない。ただ、ひっそりとひなび、入江には壊れた小舟が数艘つながれていた
「なんという世界になったものだ……」
強風となった海風が、老人の布巻き帽子を乱した。
「国王がお待ちかねです。お急ぎ下さい」若い男が遠慮がちに言った。
老人は黙ったまま、杖で大海を示した。杖先にはゆっくりと移動して小島を過ぎ、さらにその先にある、険しい岩島をとらえた。
厚い雲に遮られた太陽光が、そこだけほんのりと岩肌を照らしている。
その光景は、さながら地上に紛れ込んだ冥府の牙城だった。
「あれがバドラー王の定めた監獄島ベルサドスか……。愚かなことを……
問いかけども、独り言ともつかない言葉だった。
「御老師、お言葉にはお気をつけ下さい。決して国王の前では、そのようなお言葉は、おつつしみ願いますよう……」今度は四十がらみの従者が言った。
老人はそれには答えず、削ぎ出した岩肌にも敗けない険しい顔をして、錆色の海に浮かぶベルサドスを睨んでいた。
二人の従者は老人が再び歩き始めるまで、じっと待っていた。
砕ける波と強風は、絶えることなく吹き荒れ続けた。
王と預言者
大地は天界の法則に基づいて動いている。
権力を求める者。富を求める者。
不老不死を求める者。
そして、その全てを求める者───。
人が生き、大地が動き続ける限り、邪心を継承する者も絶えることはない。
「全てを制する力の源」を求める者は、呪われたビトールの王、ビスタルだけではなかった。
バノウルドの北東に冥府への穴が口を開いた頃──。時を同じくして、大海に面した小国ブンデビアの城に預言者ベネディクトは招かれた。
すでにここに来る途中、この地を霞のように取りまく「悪しき想念」を感じていたベネディクトには大方の見当がついていた。
この国の国王も、かつては偉大なる王であったが、肉体の老いに比例するように威厳は消え、力は失せた。自らの心の皺を隠すように悪政にはしり、権力を誇示する。監獄島ベルサドスの存在は、その象徴だった。
ブンデビアの国王バドラーは人待ち顔で玉座に腰をかけていた。
「よくぞ参られた。大預言者ベネディクト」
「お招きにより、参上した───」
老人は幾分ぶっきらぼうな感じで返した。
「これはこれは、そなたを怒らせてしまったようだな。無礼を許されよ。風の便りに世界に名を馳せる大預言者ベネディクトが我が国を訪れたことを知り、迎えをやったのだ。ぜひともその力を借りたい」
「ほう、我が力を……。その前に、お伺いしたいことがある」
ベネディクトは国王の濁った瞳を見据えて言った。
「かつて訪れた時には、海は凪、海鳥の群れる美しき海辺の国であったはずだ。この変容、君主のあやまちによる、天の怒りとお見受けする」
正面から国王をなじる発言に、居合わせる兵士や官吏たちは色を失った。固唾を飲む者たちを気にすることもなく、老人は言葉を続けた。
「世に欲望を持ち王は数知れど、バドラー王よ、何が望みじゃ?」
「さすがは大預言者、話が早い。望みはむろん、永遠の命、永遠の権力───」
「邪念に囚われましたな。罪なき者までを監獄島に送っているとの噂、近隣にまで及んでおりますぞ。わからぬかな? 天が地が、海が嘆いておるのが。全ては秩序を乱そうとする愚か者のあやまちが引き起こしているのだ。万物を支配する法則は人にあらず。天界にのみ、ゆだねられるものなのじゃ」
「大義をなそうとする者には、悪しき噂はつきものだ。それがあやまちなのか、そうでないかは後の歴史が判断するところだ。それに、予にはそれを得る権利がある」
バドラーは冷たい笑みを見せ、掌を二、三度打って見せた。
「いにしえの書をここに持て!」
その声に、朱布を敷いた黒塗りの盆にのせられて、うやうやしく一綴りの書物が運ばれてきた。王は運ばれてきた書物を手に取ると、表字をベネディクトに見えるようにして掲げた。
「我が城の宝物庫に眠っていたものだ。何度も写本され、書き写されてきたものらしい。写本といっても、この書とて、三百年前の品だそうだ」
ベネディクトは一見して、それが『古代ビトリック文字』で書かれたものであることを見定めた。王はその反応を逃さず、老人に訪ねた。
「一夜にして地中に埋没したと伝えられる、小国ビトールの伝承は知っているな?」
「市井の者には縁なき世界でも、我らにとっては日常同然───」
大預言者はわかっていた受け答えをするように、さらりと答えた。
「そなたを呼んだ甲斐があったというものだ」
「まだ力を貸すとはいっていない。バドラー王よ。小国ビトールが埋没した理由を知るのならば、同じあやまちを選ぶのは愚かしいことだ」
「確かに、この書には『全てを制する力の源』を手に入れようとして呪われた国の悲劇が書かれてある。だが何にせよ、力を得るためには、何らかの代償は不可欠なものだ。それに、正しい力の引き出し方さえわかれば恐れるにたらん」
「埋没したビトールの力を得る方法を占えというのだな?」
「そのとおりだ、我が国の歴史学者にこの書を調べさせたところ、その、さらなる昔、小国ビトールとブンデビアは同じ文明の枝から分かれたとの見解を導き出した。しかも千年の昔、我が国はビトールと交易をかわし、繁栄をわかちあっていたとも記されていあったそうだ。つまり予には、かつて我らに恩恵を与えた力を復活させる権利があるのだ」
王は自国の過ぎ去った歴史を熱っぽく語った。伝説の小国と起源を同じくする国。それを想像するだけでバドラーの心は躍った。
「ただの夢物語だとは思わなかったのか?」
「むろん、始めは取り合わなかった。だが今は、信ずるにあたいする理由が二つほどある。一つはこの書を始めとして『古代ビトリック文字』がブンデビアのそこそこに残されているということだ。この地では『暗黒文字』と呼ばれ、すでに失われた文字に等しいが、我々の祖先はこれを解していたのだ。先ごろ監獄島の奥よりも『暗黒文字』が発見されるに至り、いっそう信憑性を強いるものにしたというわけだ。そして、もう一つは、太古より残る彫像だ。この書とともに残されてきたもので、この中彫像にふれた一節もある」
王はその一節を、神の啓示を代弁するかのように暗唱してみせた。
「全てを制する力の源が発動するとき、彫像は光に包まれる───。そしてそのとおり、一月ほど前より彫像が淡く輝き出したのだ。力はこの世界のどこかで蘇っているのだ」
ベネディクトの瞳がわずかに光った。
「彫像はどこに?」
「塔の上階に安置してある。とぐろを巻く竜を模した彫像だ。そなたがそれに触れれば、力の所在もたやすくわかるというものだ」
「バドラー王を。天界の定めはすでに決まっているのだ。そして、わしの力でその全てがわかるわけでもなく、人が手を加えて変わるものでもない。それがわかっていて知りたいというのであれば、望むままに占いもしよう。だが心しておかれよ。全ては警告と受け止めることだ。王は自らが、わしをここに呼んだとお思いであろうが、真実は天界の意志がわしをここに呼んだのだ。王は自らの野望のために力の所在を知りたいというのならば、わしは王のあやまちを示すために力の所在を占おう。それでよいのだな?」
「よかろう、それも面白い───」
バドラー王は、いにしえの書を元に戻すと、自ら先に立って歩み始めた。王と預言者は兵士たちが開けた朱色のじゅうたんの道をものも言わず歩き、太古の彫像が待つ塔に向かった。
太古の彫像
塔の最上階にある彫像の間に入ったのは、王とベネディクトの二人だけだった。側近や兵士は扉の外で儀式が終わるのを待っていた。
静まりかえった部屋の中で、二人の顔は彫像の放つ淡い輝きに照らされていた。
預言者ベネディクトは彫像の間近まで寄り、床に膝をついた。両手を淡い輝きにかざすように伸ばす。彫像に手を近づければ近づけるほど、輝きそのものに真綿のような弾力を感じた。
「どうだ?」
バドラー王は探るように訪ねた。
「この輝きは……。間違いなく、力に反応しているものだ。とてつもない力が、どこからか漏れておる……」
「どこから漏れておるのだ? その所在は?」
王の問いに、預言者は眉間に皺を寄せて精神を集中した。
両の掌を合わせ、ベネディクトはその中に光の玉を想像する。いつもなら、その光の玉を心の眼で覗き、託宣を授かることができた。
闇───。闇しか見えない。感じられるのは、暗く深い、地中の気配だった。
「暗闇……。地中だ……。地中であることはわかる……。伝承どおり、ビトールは埋没しておるのだ…」
老人は気合いを込めて手を広げた。握っていた空間に、まばゆい光の玉が浮かんでいた。
玉のまわりには、さらに小さな光の玉がいくつも回転していた。回転は次第に加速して、輝きも見る見る増していった。
部屋の中をベネディクトの気が満たし、空間が振動を始めた。それに反応したのか、予告もなく彫像から強烈な閃光がほとばしった。
預言者の脳裏に映像が広がった。
美しい城壁……。月の情景……。たゆたゆと流れる大河には、美しい月が揺れている。
「青き……月の都……」
「青き月の都……?」
次にベネディクトの見たのは、剣士の姿だった。
「男が見える……。まだ、何も始まってはいないが……。その者が、力を秘める剣を持つことになるだろう……。それは剣であって剣でない。剣に形を宿した力なのだ……」
預言者は精神をふりしぼりながら言った。
「その男とは何者だ?」
「わからん……。だが、その者は、この地に訪れる運命にある。……今より……そう、二年後……。その者はビトールより力を持ち帰り、流浪の果てにブンデビアを訪れるだろう……。だが、『全てを制する力の源』はもっと深きところに位置する真理に他ならない。剣は力の一部にすぎぬものだ……」
そこまで言い、ベネディクトは苦しげに唸った。予言には想像を越える精神集中が要求される。すでに預言者の精神力は、限界にまで達していた。
ふいに、張り詰めた糸が切れるように、部屋を満たしていた力が消えた。
光の玉はかき消えて、彫像の輝きも淡い元の姿に戻った。
老人はがくりと肩を落とすと、自らの呼吸を調整しなければならなかった。さらに何年も年老いたように憔悴していた。
「わしに、わかるのは、ここまでだ」
言葉をくぎり、彫像に向かって膝をついたまま、ようやくそう言った。
「そうか、ご苦労だったな───」
笑みを浮かべ背後から声をかけたバドラーは短剣を抜いていた。鈍く光る短剣の刃が、ゆっくりとベネディクトの脇腹に滑り、ひざまずく人影は、静かに前のめりに倒れた。
「あとは、いにしえの書が教えてくれるだろう。プラネット・バスターの扱いもな……。地の底より生還せりし剣士。今より二年後、力の一部を持ち帰り、流浪の果てにブンデビアを訪れるか……。そうか……。力の方から我が国に訪れてくれるのか……」
バドラーは込み上げてくる笑いを抑えきれず、大声で笑い始めた。狂喜にゆがむ表情は、力を魅入られた者の見せる愚かな顔だった。
流浪の剣士
やがて、二年は風のように過ぎた───。
男は砂漠を歩いていた。
日差しよけのマントを羽織り、その上から、背に斜めに一振りの長剣を担いでいる。鍔から扇状の装飾が広がる、特長のある長剣だった。
男の名はアレスといった。ある時は賞金首として追われ、またある時には賞金稼ぎとして追う側に回ることもある。すべては成り行きまかせ。傭兵にもなれば用心棒にもなる。脈絡のない男だった。中肉中背で取り立てて巨漢とはいえない体つきだが、引き締まった体から溢れだす殺気と剣の技は、賞金首たちの間では恐怖の噂として流れていた。
アレスは砂漠の丘陵で立ち止まり、目を細めて彼方を見た。
砂漠の国境を越えればブンデビアに着くはずだった。視界の先は、さらに高い砂漠の丘陵に閉ざされている。町の気配など微塵もなかった。水も食料も底をついている。砂漠の彷徨は、そろそろ深刻な問題になっていた。
足は動いているのだが、自分がここを歩いている理由がわからない。砂漠を歩くだけの単調な行動が、思考を麻痺させていた。
フィベリア、バノウルド、ベルン……。足の向くままに歩いてきた。道を決めるのに理由があった時もあれば、追っ手に追われて、なりふりかまわず街道に飛び出したときもある。
いつもその調子でなんとか乗り越えてきた。だから、この砂漠もせいぜい三日で渡れると踏んでいた。この砂漠は強情だった。いくら歩いても終点がなく、砂漠は無限と思われるほど続いている。見渡す限りに黄砂の広がる光景は、まるでアレスに向かい、成り行きにまかせるばかりでは無謀だとでも言っているかのようだった。
旅の道連れでもあれば、互いの様子を見取り合い、自分の疲労を知ることもできただろう。
孤独な者の陥りやすい罠だ。足が重い。振り返って自分の足跡を見ると、砂を引きずった跡が二本の筋になっている。
アレスは自分が思う以上に心身とも疲労していることを認識した。気を引き締めなければ倒れてしまうほどになって、ようやくそのことに気づいた。自嘲ぎみの笑みが勝手に浮かんだ。
砂塵が目の前の丘陵をなぞるように舞い上がった。
砂と風の音に混じり、かすかに別の音が聞こえる。乾いた砂を蹴る、いくつもの蹄の音。馬の嘶き。鎧の擦れる音……。現実なのか幻聴なのか、それさえもあやふやだった。アレスは視点のゆらぎで始めた目で砂漠の丘陵を確かめた。砂地以外は何も見えない。
やはり幻聴かと思ったとき、突然、一個旅団の騎馬隊が、目の前の丘陵から沸きでた。十名ほどで構成された騎馬隊だった。
騎馬隊は丘陵の高見に並び、アレスを見下ろすように止まった。
見てくれこそ揃っていないが、兵士たちは各々に、砂よけの口あてや日ざしよけのマントを纏い、砂漠用の完全防備だった。
(戦いになる……!)
ぼやけた意識の中でも、本能で背の長剣に手がのびた。だが、その動きは、もどかしいほど緩慢で、アレス自身をじらした。掴を持ち引き抜く。一つ一つの動きが独立し、体が思うように動かない。ようやく身構えたものの、剣があまりにも重く感じられた。
馬上の男が一人、右手を掲げた。それを合図に騎馬隊はアレスに向かってなだれ下りる。
男たちの砂塵を裂くような掛け声が砂漠に響き渡り、馬の蹄に砂煙りが広がった。
迎え打つアレスは剣を頭上で構え、足を踏張った。
(どうなってんだ?)
力が入らない。力は足の先から、砂漠に吸い込まれるように消耗していった。気力で止まろうとしても、抵抗のできない何かが働いていた。戦おうとする意志とは逆に、迫りくる騎馬隊を睨みながらアレスの両膝はガクリと砂地に折れた。
あらがおうとしても無駄だった。意識さえも遠退き始める。まるで、呪術者に呪いをかけられたように無抵抗だった。
(そうか……。誰かが、この砂漠に術を……)
砂漠から逃れられなかった理由に気づいたとき、意識は完全に遠退いていた。
鉛のような体は、そのまま大きな音をたて、砂の上に倒れた。一人分の砂煙りが、わっと広がった。
騎馬隊は手慣れた仕草で手綱をあやつり、砂地に伏せるアレスを取り囲んだ。
「剣を調べろ───」
隊長らしき男がそう言うと、兵士たちは次々に馬から降り、倒れているアレスに近寄った。
兵士の一人がアレスの落とした剣を取り上げ、興味深く眺めた。
「これが、プラネット・バスターか……」
命じた馬上の男が口あてをはずした。
もし、アレスがこの男の顔を見ていれば苦笑いを浮かべただろう。
流れ者の傭兵参謀カール。傭兵仲間では名を知られる雇われ参謀だった。
「その顔を見せろ」
兵士が倒れているアレスの髪を掴み、その顔をカールに見せるようにもたげた。
「アレスか……」
カールはしばらく何かを思慮してから、静かな笑みを浮かべた。
「この男はベルサドスに送る。馬にくくりつけろ」
傭兵参謀の指示に、アレスの両腕には荒縄が巻かれ、もう一方の端が馬の鞍にくくられた。
獲物がブンデビアの魔導師が施した『砂漠の結界』にかかったためとしても、カールには、あまりにも手応えのない任務だった。
長剣は奪われ、アレスは意識もなく砂漠を引きずられた。
小国ブンデビア周辺には、間違えなく天界の法則が働いていたのだ。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG)
音源チップ:YAMAHA YM2608(OPNA)
01 PROLOGUE~BUNDEVIA (Opening1)
02 Stranger~流浪の剣士(Opening2)
03 PRISON (Prison)
04 BATTLE POINT Ver.A (Boss A)
05 SHOP (Shop)
06 Dela=delon (Dorla=Dron)
07 Synchrony (Stage Clear)
08 ISLET (Islet)
09 CAVE (Cave)
10 BATTLE POINT Ver.B (Boss B)
11 Adonis (Cave B3 etc.)
12 ICE ZONE~GREEN ZONE (Ice Zone, Green Zone)
13 WHARF1 (Wharf1)
14 WHARF2 (Wahrf2)
15 BATTLE POINT Ver.C (BossC)
16 CASTLE WALL (Castle wall)
17 CASTLE TOWN (Castle town)
18 宿無しジョニー (Utility)
19 WOOD(Wood)
20 NINJA YASHIKI~死して屍拾う者無し (忍者屋敷)
21 MASTER NINJA (Boss Master Ninja)
22 Begging one's life (Game Over)
23 DARK ZONE (Dark Zone)
24 CASTLE (Castle)
25 TOWER (Tower)
26 Benedicte (Benedicte)
27 BATTLE POINT Ver.D (Boss Soulmaster, Southancross)
28 LABORATORY (Laboratory)
29 GADOBISTLLE (Boss Gadobistlle)
30 FORTRESS (Fortress)
31 NUCLEUS (Nucleus, Backbone)
32 Karl=cares (Boss Karl=cares)
33 カール、あんた輝いてるぜ (Karl Out)
34 BUNDEVIAS (Bundevias)
35 Badorrer=hadess (Boss Badorrer=hadess)
36 GADOBADORRER (Last Boss Gadobadorrer)
37 EPILOGUE (Epilogue)
38 哀愁の戦士たち (Staff Roll)
39 Mystic Dela (Total Score)
合計時間 : 25:35
作曲 : 石川三恵子, 白川篤史, 松岡博文, 中島勝, 金田直樹, 綱島貴博
DISCOGRAPHY
ミュージック・フロム ブランディッシュ2
発売日: 1993年4月21日
価格: 2,718円(税込)
商品番号: KICA1125
販売元: キングレコード
収録曲
01 PROLOGUE ~ BUNDEVIA
02 Stranger~流浪の剣士
03 PRISON
04 BATTLE POINT Ver.A
05 SHOP
06 Dela=delon
07 Synchrony
08 ISLET
09 CAVE
10 BATTLE POINT Ver.B
11 Adonis
12 ICE ZONE ~ GREEN ZONE
13 WHARF 1
14 WHARF 2
15 BATTEL POINT Ver.C
16 CASTEL WALL
17 CASTLE TOWN
18 宿無しジョニー
19 WOOD
20 NINJA YASHIKI~死して屍拾う者無し
21 MASTER NINJA
22 Begging one's life
23 DARK ZONE
24 CASTLE
25 TOWER
26 Benedicte
27 BATTLE POINT Ver.D
28 LABORATRY
29 GADOBISTLLE
30 FORTRESS
31 NUCLEUS
32 Karl=cares
33 カール、あんた輝いてるぜ
34 BUNDEVIAS
35 Badorrer=hadess
36 GADOBADORRER
37 EPILOGUE
38 哀愁の戦士たち
39 Mystic Dela
(ボーナス・トラック)
40 Brandish House