Ancient Ys Vanished Omen
イース
対応機種 : 富士通 FM77AVシリーズ
メディア : 3.5inch 2D (2枚)
定価 : 7,800円
発売日 : 1987年10月6日
販売元 : 日本ファルコム
○FM音源対応
○ジョイスティック対応
○リアルタイムキースキャン対応
○1ドライブ対応
○ユーザーディスク作成にブランクディスクが1枚必要
○FM77では動作しません
目次
イース for FM77AV
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
スーパーRPGの集大成!
「ザナドゥ」 「ロマンシア」に続く
スーパーRPGの集大成!
数々の謎の間から見え隠れする古文書「イース」とは・・・・・?
FM音源ジョイスティック
リアルタイム キースキャン
対応
FM音源
ジョイスティック
リアルタイム キースキャン
対応
『イース』(FM77AV版)について
◆『イース』(FM77AV版)概要
『イース』(Ys)は日本ファルコムが開発し、NEC PC-8801mkⅡSR以降用として1987年6月21日に発売したロールプレイングゲーム。この富士通 FM77AVシリーズ版は移植作の一つで1987年10月6日に発売された。ゲームデザインは橋本昌哉(Masaya Hashimoto 1961年5月2日-)。シナリオは宮崎友好(Tomoyoshi Miyasazaki, 1968年1月18日-)が担当した。
FM77AVシリーズ への移植は当時早稲田大学の理工学部学生であった倉田佳彦(Yoshihiko Kurata, 1967年3月28日-)が行っている。NEC PC-8801mkⅡSR以降版『イース』のマップデータ作成者(マッパー)であり、草原の木と背景との重ね合わせを行う自動植林プログラムがプログラマーとしての初仕事。元々FM-7ユーザーであったこともあり、Z80とは異なるCPUを搭載するFMシリーズの移植担当に親和性も高いとのことで担当したのかもしれない(想像)。
◆嫌な予感がしたFMユーザー
1986年冬~1987年にかけて、FMシリーズには一つの事件があった。
日本ファルコムが1986年10月に連続リリースした3作品のうち『ロマンシア』がX1シリーズ、PC-8800シリーズ、PC-9800シリーズとライバル機で続々とリリースされたにも関わらず待てど暮せど移植されなかったのだ。スクウェア作品『ブラスティー』のように移植の告知があってされなかったのではなく、告知そのものがなかった。日本ファルコム作品が移植されないという事実はかなり大きい事件だ。
もしや、『イース』も…と考えられたが、PC-8801mkⅡSR以降版より遅れることおよそ3ヶ月経過した10月にいきなり発表・発売された。SHARP X1シリーズやNEC PC-9801シリーズの後塵を拝する結果にはなったが、無事リリースされた。これはかなり大きな事件だ。『イース』の知名度はなぜか高く(とは言っても限定的だが)、これを遊べるというだけで1つのステイタス。それとともに御三家とまで一時は言われた面目は保たれたように思えた。
余談ではあるが10月21日にSONYからフロッピー搭載で定価54,800円(実売46,800円前後円前後)という低価格MSX2パソコンHB-F1XDが発売。プレゼントキャンペーンと同時に『イース』が12月10日に発売されると告知された際には、『イース』をプレイしたいがためにHB-F1XDを購入するという友人が数人見受けられた。『イース』をプレイできるのは(ごく)一部の人にとっては羨望の的だったのだ。
◆FM版発売日の謎
FMシリーズの発売日には諸説ある。マイコンBASICマガジン1991年9月号別冊付録「The Book Of Ys World」や2011年に発売された「Falcom Chronicle」(電撃攻略本編集部刊)には10月8日と記載され採用しているサイトが多い。ただ両者とも発売日に関しては発売日のミスが目立つ(PC88SR版、X1版が共に間違えている)ため、当サイトでは広告記載の10月6日を採用することにした。(発売が遅れたというソースが見当たらないため)
◆バリエーション豊富なFM版
日本ファルコムが発売する富士通のFMシリーズ作品としては異例で、FM-7/NEW7版(5インチ2Dディスク)とFM-77版(3.5インチ2Dディスク)に加えてこのFM77AVシリーズ版(3.5インチ2Dディスク)がリリースされた。また、FM-77 版であれば上位モデルであるFM77AVでも動きそうと思われるが「AVシリーズでは動作しません」と注意書きがパッケージ裏面の帯に小さく記載されている。結構わかりにくくFM77版を共通だと勘違いして購入した人もきっといるに違いない。
なお、FM-7版やFM77版はジョイスティックやFM音源カードには対応していない。が、これらを全て対応させ、リアルタイムキースキャンも追加したのが FM77AVシリーズ 版の1つの特徴だ。
FM77AVシリーズは当時のAV純正モニター(FMTVシリーズ)を使用した場合、全体的に画面が縦におよそ1.2倍伸びる。FM77AVシリーズ専用のゲームは専用モニターに合わせて画像作成を行っている作品が多いが、『イース』は既存の200ラインをそのまま出力しているため他機種に比べて縦長になっている。(既存の一般モニターを使用する場合はPC-8801mkⅡSR以降と同じ縮尺で表示される)
気づいたのは、パッケージの帯に印刷されているタイトル画像やゲーム画面は実際より少し縦長になっていることだ。結果としてはタイトル画像やゲーム画像は縦におよそ1.06倍、インベントリィ画像は縦に1.15倍長くなっていた。一瞬、FM77AV版の画像縮尺こそが完全なのでは?と思ったのは浅はかであった。(水晶が楕円になる段階でお察し)結論としては、当時のNECやSHARPのブラウン管モニター(全機種かは不明)で実際に見えるのが1.06倍であったということで、それを撮影していたということだ。
ただ、個人的には FM77AVシリーズ版の縮尺が綺麗に見えるししっくり来るように思える。
◆AV版に実装されたグラフィック
FM77AVシリーズ専用としてこれまで発売してきた機種と大きく異なるのが密かに変更されたエンディングシーンだ。ダームの塔から空に向かって縦スクロールするグラフィックが一新され3枚描かれている。これらのグラフィックは後に発売されるMSX2版に流用されている。(ただし、ショップなどのグラフィック変更はMSX2 版のみ) グラフィックを描いたのは複数人なのか不明だがアドルの横顔を描いたのは『イース』のドット絵キャラクターを担当した古代彩乃(Ayano Koshiro, 1970年4月17日-)。失敗談の一つとして「MSXのイースのEDのアドルの横顔」と記されている。(チャレンジ!!A.V.G&R.P.GⅢ 132ページ)
古代彩乃の「MSXのイースのED」という話で考えられるのは、FM77AV版で使用されたエンディンググラフィックは本来 MSX2版として描かれていた可能性があるということ。色数も多く出せるという優位性を考えて流用したのはもしかしたら FM77AV版だったのかもしれない。
◆AV版のBGMはPC-88SR版とも違うバージョン
もう一つの追加要素が、MSX2では使用されることのなかった、スタッフロールのシーンで使用されるダームの塔をバックにした背景画像だ。このスタッフロールシーンだけは同時期に移植された機種で見ることができない豪華仕様(ただしスタッフ名はアルファベット表記)。FM77AVシリーズのユーザー数は同時期に移植された中ではかなり少なく、一般的にはレア扱い。YouTube が登場するまでは見たことがなかった人も多いと思われる。
FM77AVシリーズ版のBGMは PC-8801mkⅡSR以降版と基本的に同じだ。音源も同じYAMAHA YM2203音源(FM3声+SSG3声)を搭載している。ベタ移植であれば全く同じ音の筈だがFM77AVシリーズ版は専用に再構成されている。曲によって音色、音量バランス、SSGのディチューン※、テンポなどの変更が行われており、オリジナルと異なって聞こえる曲が多い。また、オープニング曲である「Feena」はAメロとBメロで鳴る間奏の繰り返し数が減っていたり(4回→2回)、エンディングの「The morning grow」ではメインメロディーの音色が大きく変更されているので PC-8801mkⅡSR以降版 を齧ったユーザーなら気づくプレイヤーも多いだろう。
※MUCOM™さんによるとPC-8801mkⅡSR以降版イースのサウンドドライバーはOPN効果音モードが利用可能で深いディチューンをかけることが可能だったが、イースⅡには無いとのこと。FM77AV版のイースは効果音モードの無いイースⅡのドライバーをベースにしているので異なる音に聞こえる部分もあるとのこと。
マニアに有名なのが ダルク=ファクト のシーンで流れる「Final Battle」だ。本来短い曲だが後半が追加されている。一部では完成版や完全版と呼ばれたりするが、その出処は不明。後に発売されたPCエンジン版を含むアレンジなどでも追加フレーズは使用されておらず、扱いが難しいところだ。
人によっては曲が間に合わなかった、ミスで収録されなかった完全版など色々と噂が後を絶たないが、追加部分を古代祐三(Yuzo Koshiro a.k.a YK-2, 1967年12月12日-)が作曲したものかも疑わしいので完全版という認識は避けたほうがいいのかもしれない。
と締め括っていたのだが、wingさんより貴重な証言が得られた。古代祐三のディスクの中にMMLがあったとのことで、完全版で間違いないソースとなる。FM77AV版が古代祐三の出した最終的なデータということなのだろう。(PC-8801mkⅡSR以降版を聞き慣れていると「Feena」のフレーズ削減と「The Morning Grow」のメインメロディーに違和感を覚えるが)
更に追記。
MUCOM™ さんに教えていただいて色々と分かったが、「Final Battle」は蛇足感があって削ったと思われるとのこと。加えてご本人がFM77AVで使用されているのを初めて知ったという事実。色々と違和感のあるFM77AV版のBGMであったが、ここから仮説を立てることができる。それは完成版に至る前の古いデータを放り込んでしまったのではないかということだ。そう考えれば違和感を覚える部分に色々と合点が行く。少なくともFM77AV版の「Final Battle」は「完全版」ではあるが「完成版」ではなかったのだと。
メモリ関連云々で入らなかったという噂の出所は2017年に行われたOXYGENさん発言を見てのようだ。有志の話によると実際に実装する実験は行われていないがメモリの余裕はあるだろうとのこと。ファイルのタイムスタンプは完全版が先にできていることを示しているが、短いバージョンを後でリネームして保存し直したという可能性も捨てきれない。
個人的想像では前述のとおりだが真相は闇の中だ。鍵を握る第三の男(倉田信彦)の登場が待たれる。
はじめに
そう、イースは、何をしなくても、ただ歩いているだけでも、何だかとても楽しい気分になれる、充実したロールプレイングゲームです。
イースには、たくさんの冒険があります。これらをひとつひとつ終らせていくことで、本当の冒険の目的を知ることができるようになっているのです。
より多くの人々との会話が、各冒険の中心となっていると言えます。町・村・野原で出会う人々と話し、あなたは、それぞれの冒険を見つけて、それを達成していくのです。
町・村・森と野原、不思議な謎につつまれた神殿、そして、一寸先は暗闇のダンジョン…イースの世界は実に広いのです。
この世界でくり広げられる数多くの冒険は、きっとあなたを満足させるでしょう。「私は、素晴らしい冒険を味わってみたい」と言うあなたなら、とっても素晴らしく胸おどるBGMを聴き、ディスプレイを眺め、イースの世界へ無理なく入っていけるでしょう。
冒険は、少しも難かしくありません。
まず、町の人々とじっくり話してください。道ばたで、酒場で、最初の冒険はすぐにわかるでしょう。あなたは、出会う人々と話して、話題や冒険の多さにきっと驚くでしょう。
イースの世界では、だれにでも冒険がすぐにできるようになっているのです。「そうか、じゃあやってみよう」と思ったことを、やりたいと思ったことを、そのまま冒険にしていけばいいのです。
本当の目的は…それは誰にも明かせません。それは、たくさんの冒険を通じて、あなた自身がひとつひとつ、数多くの謎をひもといていけばわかるのです。
謎…決してその謎はやさしいものではありません。でも、難かしいものでもありません。あなたが、自分の心からの呼びかけに耳をかたむけ、ふだんそうしているように、現実の生活で生じるいろいろな問題を解決するように、各冒険を終らせていけば、自然に進んでいくのです。
1つ1つの冒険が終わるたびに、きっとあなたは、心が洗われるようなさわやかな気分になっていくことでしょう。
さあ、イースでは、何があなたを待ちうけているのでしょうか!?
アドル・クリスティンの冒険
序文
君は、アドル=クリスティンという名前を知っているだろうか?
アドル=クリスティン――今をさかのぼること千と数百年の昔、エレシア大陸の西端、エウロペ地方の北東に位置する、名も知れぬ小さな山村に生まれ、16才の時より、63才にしてこの世を去るまで、エウロペを中心とした海外諸地域を旅してまわった勇猛果敢なる冒険家である。
貧しい農夫の子として生まれた彼は、自他ともに認める快活で何にでも興味を示す好奇心旺盛な若者であったという。
特に彼は、外の世界についてよく知りたがり、ある日彼の村に立ちよった旅人との出会いがきっかけで、自らも冒険の旅に出ることとなる。
その彼の行動範囲は、主となる交通手段が歩きと船だった当時の世界では、驚くべきものがあった。
南方はアフロカ大陸の中央部、東方はオリエッタ地方のティグレス川にまで及び、晩年は北の極点を目指した――しかし、これは失敗に終わったらしい――と言われている。
これを見る限りでは、彼の異郷の地に対する冒険心、探究心、そして憧れは相当なものだったことがうかがわれ、彼は行くその先々で起こった出来事を、冒険日誌なるものに記し、それを後世に残していった。
代表的なものとして――
『アルタゴの五大竜』
『セルセタの樹海』
『砂の都ケフィン』
――などが挙げられる。
百余冊にも及ぶそれらは、現在彼の生家の地下庫に保存され、西世界を嵐のごとく駆けめぐった彼とは対照的に、静かに眠っている。私たちは、これらの本を読むことによって、彼がどのような冒険をくりひろげてきたのかを知ることが出来るのである。これから書かれる物語は、その記念すべき第一冊目『失われし古代王国』の出だし部分を翻訳、小説化したものである。
冒険地は、今や大海の底に眠るとうたわれる国エステリア。
物語は、彼がその国へ赴くいきさつをおり込みながら進んでゆく。光と闇が、いまだ混迷を極めていた時代。彼がその肌で体験したことを、彼自身になったつもりで読んでいただきたい。
1. エステリア漂着
その日、南に大いなるドウアールの海原を望む、ホワイト・フォーンの砂浜は、昨日の嵐とは打って変わって、穏やかな朝を迎えようとしていた。
浜辺は、一面の白い霧に包まれており、一寸先すら見えぬ状態である。
その白き世界の中を、さざ波の静かなる音だけが絶え間なく鳴り響いている。
やがて、その霧の中を、山側から肌寒い風が吹き、砂浜の北に林立する木立をやさしくゆするとともに、霧を海の沖合の方へと押し流しはじめた。
途端、砂浜の視界は開け、いまだ夜の暗闇の濃い西の空に、双子の月の姿が浮び上がった。
その月に、嵐のなごりである黒雲の断片がかかり、東へ東へとだなびいてゆく。
東の空は、藍から紫、紫から朱と色を変え、今まさに陽が昇ろうとしていることを告げていた。
霧はすでに、砂浜から姿を消し、砂浜は東の朱の光にうっすらと染まっている。それはまるで、ルビーをちりばめたような鮮やかなものだった。このホワイト・フォオーンの砂浜は、エステリアの南方、トゥテップ島の南端にあり、東西に細長く、弓のようなゆるやかな弧を描いている。
その長さは、1クリメライ(約1.2km)に及ぶという。
地図にしてみると、この砂浜は伝説ある一角獣の角のように見えるため、浜に住む人々はここを〈ユニコーンの角〉とも呼んでいる。
砂浜の幅は、潮の満ち干によって20メライから40メライ(1メライは約1.2m)の間を往復し、その北側には、うっそうとしたジャングルが島のほぼ全域に渡って広がっている。(実際、エステリアはその半分以上を森でおおわれている。)
砂の色は、他では珍しい白色で、半分硬玉が含まれている。そのため日の光によく反射し、朝夕には、空が雲っていない限り、朱色に染まるのである。その朝やけによく映えだ砂浜の上に、アドルはボロボロの衣服をその身にまとい、うつぶせになって気を失っていた。そのまわりには、大小いくつもの木片が散らばり、彼は全身びしょぬれとなっている。
彼はピクリとも動こうとせず、ただ白い砂浜の上に、ぐったりと身を横たえていた。
やがて東の空より日が昇りはじめ、海を砂浜を森を、そしてはるか北にそびえ立つ岩山を照らし出した。
森の中で、ヨナキドリが『また長い昼が始まった』と高い鳴き声をあげ、自分の巣へ帰ってゆく。
エステリアは今、初夏の時期を迎えていた。今の時期、エステリアの昼の長さは夜の2倍以上となり、夏至の日には3倍になると言われている。夜行性の動物にとつては、この時ほどいやなものはなかった。
アドルが意識をとり戻したのは、その長い昼の3分の1が過ぎだたころだった。
満ち潮の波が、彼の足元をわずかにぬらし青く澄み渡った空を北へと向かういわし雲の影が、彼の上を通り過ぎてゆく。
風は暖かく、砂浜は潮の香に包まれている。
アドルは、とりあえず波打ちぎわを離れ、木立の方にむかって歩き出した。
髪の毛は、塩水にぬらしたため、バサバサに乱れ、顔は疲れきった表情を見せている。
砂浜は、上からの太陽と下の砂地の照りかえしによって、かなりの暑さになっていた。
アドルは木かげの中に入り、木の幹に手をかけるとともに、ぐらりと倒れた。
すでに動く力もなく、彼の意識は宙を浮いているかのように不安定だった。
目の前を火花が散り、吐き気がしてくる。海水をだっぷり飲んだらしい。
息は荒く、体中は何かでなぐられたかかの様な激痛が走った。
ここがどこなのか知りたかったが、とにかく今は体を休めることに彼は決めた。そして日が真南にきた頃、彼はようやく立ち上がった。いくらか体に疲れが残っていたが、なんとか動きまわれることはできた。
彼は砂浜に出て、その辺を歩いてみた。
先程、自分が倒れていた所は、満ち潮の中に隠れている。
『あのまま、気がついていなかったら……』
アドルは少し背筋が寒くなった。
水平線の上には、万年雪をかぶった山々の連なる島、いや大陸が見える。それを見た途端アドルは、ここが一体どこなのか知ることができた。彼は、おとといまでの数週間をあの大陸にある港町ですごし、昨日このエステリアへ船で渡ろうとしたのだが、途中激しい嵐にみまわれ、この砂浜に漂着したのである。
彼は、まわれ右をして後ろの景色を見た。
森のさらに奥に巨大な岩の断崖が立ちはばかっている。
『エステリアにかの山あり』と言われているプレシェス山である。その頂上には、直径が200メライという巨大なクレーターが、そしてまた、古き時代の神殿跡もあるという。アドルは、しばらくその山をにらみ続けた後、砂浜にひざをつき、その手に砂を取ってみた。
彼はここが、自分の目指して来た国エステリアであることを再確認した。
そして、大陸の方を再び見つめ、自分にここへくるきっかけを与えてくれた人々のことを思い浮かべていた。2. 回想――プロマロック
時は、アドルがエステリアに漂着する三週間ほど前にさかのぼる。
その頃彼は、白樺の多く立ち並ぶ峠道を、西の頂上めざして歩いていた。天気は上々、初夏の季節を迎えた、この辺一帯は新緑の香がいっぱいにたちこめ、空にはヤマタカの親子が、その広い羽根いっぱいに風を受け、高々と大きな円を描いて渦空している。
日はすでに南にさしかかり、山の尾根からは、かげろうが立ちのぼっている。
アドルは、道端の大木のそばで小休止すると、上にはおっていたジャンパーを脱ぎ、それをクルクルとまるめて、皮革のザックの中につめた。とてもじゃないが、上着など着てはいられないほどの陽気になっていたのだ。
ザックの中から皮革の水袋を取り出し、一口飲む。水はもう半分も残つていない。
「頂上まで持つかな!?」
そう言いながらアドルは、水袋の栓をしめザックの中にしまった。この先、水の出る所は峠の頂上にしかないと、ふもとの村で聞いていた。
ひたいの汗をぬぐい、一息ついたアドルはザックを肩にかけ、立ち上がると、再び西へと登りはじめた。故郷の村を離れて早一年半、南へ南へと冒険の旅を続けていたアドルは、すでに一つの国境を越え、当時エウロペの統一をはかっていた、ロムン帝国のグリア地方に足をふみ入れていた。
アドルは、その地方でも最も大きな港町、口ムン帝国の交通の要所であり、海外の国々と通ずる貿易の町でもあるプロマロックへとむかっていた。
アドルとしては、その西の港町には向かわず、今朝がた立ちよった村をへて、さらに南へ続く街道を進み、見渡す限り砂地だというスハラ砂漠へ向うつもりであった。が、その村で、今現在砂漠は北部を中心として激しい戦いが行われていることを聞き、やむなく西へ向かうことにしたのである。
そしてそこから船で、北西の国々や多島海へおもむく、それが彼の今後の冒険の予定であった。と言っても、これまでに彼は冒険と呼べるものは一度も体験していなかった。
ドラゴンとの戦いや秘宝の隠された城での冒険など、夢のまた夢。そんなウワサ話は、どこへ行っても聞かれず、今の彼は町から町を点々としてまわり、その町々で旅するための金をかせぐ、そんな生活をくりかえしてばかりだった。
しかし彼は、こんな生活をけっこう楽しんでいた。人々の暖かな出会いも、その一つに入るが、何といっても、あらゆる世界のめずらしい話が聞けるということが楽しかった。広大な氷原、燃える水、砂漠のしんきろう、どれもこれも彼の心を高ぶらせた。
いつか自分もその話のある国へ行ってやる。その心が、彼に旅を続けさせていた。峠の頂上にアドルが着いた頃には、日は西へかたむきつつあった。
アドルは、村人の言った、わき水の出る池のふちで水筒に水を入れ、かわいたのどをうるおしている。
小さな池のまわりは、ちょっとした展望台となっており、まわりの情景が手にとる様に見えた。南と東は一面の山で囲まれ、はるか南には万年雪をかぶった山々が連なっている。その反対、北の方にはドゥアール海が目に入り、西側にはプロマロックの港町が見えた。この陽気のせいか、町には全体的にかすみがかかり、ハッキリとした景色は見れなかった。ただ、港に停泊する船と、数えきれぬ程の白壁の家々、そして町の西の山の上に立つ灯台が、うっすらと見えるだけである。
「あれが、プロマロックの港町か」
アドルは大きく身ぶるいをした。
町の大きさと、そして何よりも見はてぬ海の広大さに、これから何か起きそうな期待が胸の内からこみ上げてきたのだ。
彼はザックを肩にかつぐと足早に、ふもとの町をめざして歩きはじめた。その町にアドルが着いたのは、日も沈み終えた頃のことだった。
町の家という家の玄関先にたいまつがかかげられ、モザイクタイルの道が明々と照らし出される。
アドルはこの町にきて、まずこの道に目をくぎづけにされた。様々な色づけのされた細やかな石は、すき間なくしきつめられ、鮮やかな模様を作り出すとともに、どこへ行けば何があるのか、どの家に誰が住んでいるのか、などの標識や表札のかわりをはたしていたのである。
これなら初めてこの町へ来た人でも迷う事はないだろう。
アドルは感心しながら、宿の絵の描かれてある方向へ進んだ。今日一晩は、ゆっくりと休み、翌日町の散策をするつもりだった。
宿に向う途中アドルは、この町には異邦人の多いことに気が付いた。
肌の色の黒いアフロカ人。
顔の半分を布でかくした女性は、オリエッタの出身だろう。
中には、顔にイレズミをし、異様な言葉を話す者もいる。
彼らのほとんどは、この町に商談にやって来た商人たちであった。彼らは、このロムンや海外の珍しい品を求めてやってき、それを安く買い取ろうと必死なのだ。
また、道化師や奴隷たちの姿も多く見られた。道化師たちは、人のよく集まる中央の広場や港で、手品や動物を使った芸を見せて人々をわかせている。奴隷はアフロカ人に多く体のあちこちにムチの打だれた跡が、痛々しく残っていた。
そんな人々の行き交う大通りをアドルは、宿屋へと向かっていった。「いらっしゃい」
宿屋の主人は、読みかけの本を閉じ、ロビーへ入ってきたアドルを笑顔でむかえた。
石の柱に板ばりの床と壁の粗末な宿屋である。ロビーには、アドルと主人の他には誰もいなく、中央に小さなテーブルといすがあるだけだった。泊まり客もそんなにこいないようだ。外のにぎわいとうって違って、ここはシンとしていた。
しかし、こんな宿屋でも、アドルの村の家と比べれば、豪華なものであった。
「一晩だけ泊まりたいのだけど」
アドルは、主人のいるカウンターにつくとザックを肩から降ろした。
宿屋の主人の名は、ビクセンと言った。
歳はもう40は越えているだろう。腹は、まるで妊婦のようにふくれあがり、その口とあごに白まじりのひげをたくわえている。
「泊まるだけなら30デニル、夕食と朝食を付けるのなら、それに5デニル上のせだ」
体のわりには、かなりの高い声である。
「それじゃ、食事付の方がいいや」
アドルは、ふところから金を出し、カウンターの上に置いた。手持ち金は、あと10デニルにも満たない。
「どこから来たのかね?この国の者ではないようだが……」
アドルが宿帳に名前を書いている時、ビクセンは彼のなりを見ながらたずねた。
麻地のシャツとズボンに牛皮のジャンパーという姿は、この辺ではあまり見かけないと言う。
ロムン帝国の人々は、主として、絹や毛綿で作られた、長くてゆったりしたものを身にまとっている。ビクセンにしても毛綿のシャツの上に絹のトーガをはおっている。
「北東に遠くはなれた国から」
「ほう、どのくらい遠いのだね?」
「馬で10日といった所かな」
「それはまた、さぞかしここまで来るのに苦労したじゃろう」
「そうでもなかったよ」
アドルは宿帳から顔をはなし、ビクセンから部屋のカギをもらった。部屋は3階だと言う。
「それで、これからどこへ向かうつもりなのかね!?」
部屋へ案内するビクセンが、階段をのぼりながら間いた。
「一応、北西の方に向かおうかと思っているけど」
「そうかい、だったらエステリアだけはよしておいた方がいいぞ。何しろ、あそこは呪われた国だからな」
「呪われだ国!?」
部屋に着いた時、下の方で声がした。客が来たらしい。
「興味があるのだったら、夕食後ロビーに来なよ」
そう言ってビクセンは、早足で階下へ降りてゆく。宿自体、相当のボロなので、歩くたびにミシミシと音がする。
アドルは、とりあえず夕食まで部屋でゆっくりすることにし、カギを開けて中へ入っていった。
夕食を宿の一階にある食堂ですませたアドルは――ちなみに今日のこん立は、タラのムニエルにホタテのスープ、パン2きれとミルクであった――さっそくビクセンの待つロビーへと向かった。
ビクセンは、小さなテーブルの上に紅茶を用意し、エステリアの事について、彼の知る範囲で教えてくれた。
エステリア、そこはこのプロマロックの港町と、ドゥアール海をはさんで北に40クリメライの所にある小さな国である。
この国の北側には、驚くべき景観が広がっている、と宿の主人ビクセンは言う。
「実際に見た訳じゃないが、あの国には直径200メライもの巨大な穴が広がっているそうだ。しかもそれは何かが落ちたせいで出来たワケではないそうだ」
「では、一体何だって言うの」
「そこまでは、わしも知らんよ」
ビクセンは、お手上げといった身ぶりをして見せ、続けて話した。
「あの国が、呪われた国と言われはじめたのは半年くらい前からだった」
エステリアは、その巨大穴を囲む断崖の山に、いくつかの坑道を持ち、銀や他の鉱物の産出地として名を上げていた。つい最近までは、このプロマロックとも貿易を続けていたという。しかし、いつの日にかそれは、糸が切れたかのように、プツリと終ってしまったのだ。
「おかしなもので、工ステリアにむかう船はみんな、嵐にあって海のもくずと消えてしまうんだ。商人であの国と取り引きしようなんて奴はいなくなっちまった」
ビクセンは、紅茶を一気に飲み干し、もう一杯自分のものにつぎたした。
アドルは、ただ呆然としている。
「気にせんでくれ、これはサービスのうちだから。それとも酒の方が良かったか?」
アドルがさっきからあまり紅茶を飲んでいないのを気にして言った。
「あ、いや、こっちでいいよ」
あわててアドルは、紅茶を飲んだ。ビクセンの話に夢中になって、そんな事はすっかり忘れていたのだ。
「それで、原因はわからないの?」
アドルの問いに、ビクセンは首を横にふった。
「だめだね。何人もの奴らが、それを調べようと、あの国へ向かったさ。しかし誰一人として戻ってこなかったよ。」
しばし沈黙が続き、やがて話題を変えようとビクセンが口を開いた。
「ところで、明日からはどうするんだい!?」
「この町で仕事を探すよ。ここから北へ向かうとなれば、当然船賃はかかるだろうし、どこかいい所、教えてくれないかな!?」
ビクセンはあごひげをなでながら考える。
「そうさなあ、もし力に自慢があるんなら、港の船の荷物を倉庫に運ぶ仕事がいいだろう。俺も昔はよくやったが、あれはいい金になる」
ビクセンはニヤッと笑う。
「じゃあ、それにするよ」
「明日、オレが港まで案内してやるよ。今日は早く眠った方がいいぜ。なにせ、行ったその日から働くことになるからな」
そう言ってビクセンは、紅茶の入ったポットとコップを片づけはじめた。
アドルは彼の言葉に従い、自分の部屋へ向かっていった。翌朝アドルは、久しぷりのベッドの上で、目を覚ました。ベッドの上で寝るなど1ケ月ぶりのことで、いつもは野原や家畜小屋の片隅の干草の上で一夜をすごしていた。
窓を開けると、まばゆい朝の光が差しこんできた。海が近くに見え、沖合には朝の漁から戻ってきた漁船の群れが見えた。
また、大型の貨物船が、沖の方へ出航してゆくのも見えた。アドルは、水平線を横へとながめ、やがて北の方角で視線をとめた。
北の水平線に異様な形のした物が浮かんでいた。それは島だった。島の中央には、何やら塔のようなものが見える。
「あれは……悪魔の塔!?」
アドルは昨日のビクセンの話の中に、クレーターの近くに立つ岩の塔のことを思い出した。そこはプロマロックの人々から“悪魔の塔”と呼ばれていた。
ドアがノックされ、ビクセンが中に入ってきた。
「おう、おはよう。ずいぶんと早起きなんだな。朝食が出来とるぞ。さめないうちに降りてきな。今日は港へ……J
と言う間もなく、ビクセンはアドルに腕を引きよせられ、窓辺についた。
「これは珍しい。エステリアをこうもハッキリと見られるとは」
ビクセンは本当に驚いたといった声を出した。このプロマロックとエステリアをはさむドゥアール海は、別名“かすみの海”とも呼ばれ、エステリアはいつもかすみを通してでしか見ることができなかったのだ。今日みたいにハッキリと見えるのは、月に1、2度。悪い時は3ケ月もの間、かすみしか見えないという。
「いったいあの塔は、高さはどれぐらいあるの!?」
おもむろにアドルはきいてみた。
「船のりの話では、だいだい2、300メライはあるって言うぜ」それにしても、あまりのに巨大。昨夜聞いた時、彼はそれほど大きなものではないだろうと思っていた。実際あんなものだとは……。
アドルのエステリアに対する好奇心はますます高まっていった。昼すぎ、アドルはビクセンに連れられ、港を訪れていた。そして、そこの責任者であるノートンに会い、しばらく働かせてもらう事にした。
ノートンは、ビクセンよりは若く、立派な体格を持っていた。気さくでほがらかな性格は、他の水夫たちに好かれ、信望も厚かった。
そんな彼に、アドルはすぐになじみ、気軽に話し合える仲になっていった。
仕事が終り、夜となるとノートンは、水夫たちを囲んで、その昔船で海外を旅したことを話して聞かせていた。アドルは、いつもその集いに加わり、ノートンの旅の話にいつしか聞きほれていた。
そんな生活が何日か過ぎた頃、アドルは、ぼんやりと水平線の上に浮かぶ工ステリアの影を見つめるようになった。
魔の住む島と言われようとも、一度は行ってみたい。そう思うようになっていた。
「何だ、何か変なものでも見えるのか!?」
アドルの背後から、ノートンが首を出した。
「いや。すぐ仕事に戻るよ」
アドルは、倉庫へ戻ろうと走り出した。
ノートンは、アドルの見つめていたをものをしばらく見つめ、そして走り去るアドルを目で追い続けた。
その夜、多くの水夫たちでにぎわう港の食堂で、ノートンはアドルの横に腰かけた。
食べながら、ノートンは話しはじめる。
「今日、エステリアの方をながめていたな」ノートンのいきなりの質問に、アドルは少し面くらったが、やがて静かにうなづいた。
「やめときな。あの国へ行きたいなんて思うのは。下手すると命を落としちまう」
アドルは、夕食を食べる手をとめた。
ノートンは、かまわずガツガツと食べ続け再び話しはじめる。
ビクセンカら聞いたろ!?あそこへむかおうとする奴は、みんな嵐にあって海のもくずになっちまうんだ。あの嵐の結界をぬけることなんか、とうてい無理なんだよ。」
ノートンは、口の中のものを腹におさめると、ナプキンで口をふいた。
「それでも……」
ノートンの方をふりむいて、アドルが言う。
「それでもオレ、行きたいんだ」
ノートンは、アドルの目を見つめた。その目は真剣になっている。
やがてノートンは小さく笑う。
「気に入った。その目を信じてやろうじゃねえか。お前に船を一隻与えてやるよ」
アドルの表情が明るくなった。
「ただし…」
ノートンは、顔をこわばらせる。
「それ以上は手伝わないからな。明日になって、やめるなんて言いだしたら、船の代金を払ってもらうぜ。ちょうど、お前がこれまでにかせいだ金と同じ額だ」
「やめるなんて言わないよ」
アドルは少し大きな声を張り上げて言った。まわりの水夫たちが「何だ、何だ」と言ってアドルの方を見つめる。アドルは顔を赤らめ、隣ではノートンが声を押し殺して笑っている。
その日は、そうして暮れてゆき、翌朝港に1隻の小さな船が浮かべられた。
船の側では、話を聞いた水夫たちが、アドルを見送ろうと集まっている。
アドルはすでに船に乗っており、オールにその手をかけていた。
「まだ名前のついていない、出来だての船だが、そう簡単にはこわれないと思うから、安心して行ってくれ」
「ありがとう、何て言ってお礼をしたらいいのか、言葉が出ないよ」
「気にすることはない。もし無事生きて帰れたら、あの国で何が起こったのか教えてくれよ」
ノートンは手をさしのべ、アドルと握手をした。彼の背後で、十数日間生活を共にしてきた水夫たちが、アドルに激励の言葉を投げかける。
アドルは静かにオールをこぎはじめ、港をはなれていく。
ノートンたちは手をふり、船の行く先をいつまでも見つめている。
小一時間ほどで小船は、豆粒くらいの大きさになり、ついにはかすみの中へかくれていった。
と、その時、沖合の空に暗雲がたちこめ、風が吹きはじめた。
「ちくしょう。案の上、あらわれやがった」
ノートンは、暗雲をにらみ、その下にいるアドルのことを思った。アドルの小船は、大波にゆられ、どしゃ降りの雨は、船の中の水かさをどんどん増やしていった。
このままでは、いつが転覆するか沈んでしまう。しかし、アドルになす術はなく、ただ帆柱に自分の体をひもでしばることぐらいしか出来なかかった。こうしておけば、激しいゆれにあっても、船から放り出されることはない。ノートンから、そう教えられていた。
と、そこへ大波が、船をもろに打ちつけ大破させた。アドルは、船とともに水中へと沈んだ。
藍色の海の中をあぶくが、上へ下へと動いてゆく。アドルは、そんな情景を見ながら、次第に意識を失っていった。3. 死闘
時は現在に戻る。
アドルは、暖かい陽気のホワイト・フォーンの砂浜を、東へ歩き続けていた。
長さ1クリメライしかないこの砂浜は、20分もあれば、全てを歩くことができた。
アドルは、砂浜の東端に立ちはばかる赤茶けた岩肌の見える崖の前に立っていた。
崖はそこよりカーブを描いて、さらに東につづいている。
この先がどうなってるのか調べてみたい、と彼は思ったが、かわききったのどがそれを許さなかった。ヒリヒリと火傷を負ったような痛みのするそれは、彼の声を出すことすらできなくさせていた。
やむなくアドルは、泉を探すため足を森の中へむけさせた。
『最初からこうすればよかった』
アドルは、そんなことを心の中でつぶやきながら、すずしげな森の中へと入っていつた。
確かに森の中はすずしかった。
森には主として針葉樹が多く、地面は昨日のあのどしゃ降りで相当ぬかるんでいた。
森はシンと静まりかえっていた。普通こういった所では、鳥のさえずりなど聞こえるものだが、ここでは、彼のぬかるんだ地面を歩くピチャ、ピチャという音しかしない。
そのまま奥へ歩いているうち、水の流れる音が彼の耳に入ってきた。先を急いでみると案の上、小川が右から左へと流れていた。
足でまたいで渡れるほどの小さな川は、手にすくっててみると冷たかったが、ひどくにごっていた。
アドルは、右手に川の源にむかって歩き出した。数分もしないうちに森が開け、泉が彼の目の前にあらわれた。
直径5メライ程の円形の池。その底からはこんこんと水が湧き出ている。
アドルは泉のふちにひざまづき、両手いっぱいに水をすくって、飲みはじめた。
冷たい水が、のどをスーッと通り、腹の中に注がれる。その冷たさは、アドルの頭が痛くなるほどだった。
水をたらふく飲み、一息ついた彼は、そのまま後ろに腰を降ろし、ぬれた手をボロボロになった服でふいた。そして、よく見ると体中に小さな傷を負っていることに気が付いた。
多分、海の中で船のもくずと、もまれた時についたのだろう。
「ちよっとしみるな」
アドルは上着を脱ぐと、それを泉で洗い、タオルがわりにして、体についた塩をぬぐいはじめた。いくら小さな傷でも、消毒ぐらいしておかなければ、あとで破傷風にかかってしまう恐れがあるからだ。
それが終ると、アドルはベルトにつけていたナイフを取り出した。
そして、それで真っすぐに伸びだ細長い、木の枝を切り落とし、樹皮をはいだ。彼はその樹皮で繩を作ると、枝の先にナイフをつけ、それを巻きつけた。
簡単なやリを作ったのである。プロマロックの港町で働いている間、彼はエステリアに関するいろんな情報を、水夫や商人たちから聞いていた。その中に、エステリアには、様々なモンスターや猛獣が至る所にうろついている、というものがあった。彼らはエステリアを我がもの顔で動きまわり、人々を襲っているという。
エステリアへ行くなら、武器が絶対必要だ。誰もがそう話した。手作りのヤリを片手に、アドルは今度は、小川を下りはじめた。
この川の下流に、民家があるに違いない。そう自分に言い聞かせて歩いてゆく。
小川は、ゆるやかに下り、ほんの少しだが左へ弧を描いて流れている。アドルは、その流れに従って進んでゆく。
森の中は、あいも変わらず、シンとしており、川のせせらぎとアドルの歩く音が鳴り渡っている。.
その静けさが、あまりにも不気味だったため、アドルは早くこの森をぬけようと、歩くテンポを速くした。
と、その時、右手の方でガサッとしげみのゆれる音がした。
アドルは、思わずヤリのほこ先を音のした方にむけ、身構えた。が、背中に何かがよりかかり、彼は前のめりに倒れた。
彼の背中には、赤い毛の大犬が乗っており、その鋭い牙を、彼の首もとに立てようとした。
とっさに彼は飛び起き、背に乗った犬狼、リーボルをふり落とした。と、同時に背中に激痛が走る。
リーボルは、ふり落とされる寸前、爪を立て、アドルの背中に6本の細長い傷をつけたのだ。
背中が、ほてるように熱くなり、脈打っているのをアドルは感じていた。リーボルは、アドルの目の前に2匹、3匹とあらわれ、6匹目で終りとなった。彼らは、のどの奥から不気味なうなり声をあげ、いかくしている。
この状況は、どう見てもアドルの方が不利だった。
刻一刻ヒアドルの血は、地面に吸いこまれてゆき、しばらくすれば出血多量で意識不明となり、リーボルのえじきとなるだろう。
アドルと6匹のリーボルは今、小川をはさんでむかいあっていた。
アドルは、ヤリを6匹の方にむけ、一歩一歩後ずさっていった。
今は戦うべきでなかった。人のいる所へ何としてでもたどりつき、そこで応援を頼む以外、彼に勝ち目はなかった。
慎重に慎重に、彼は後退を続けてゆく。
背中から流れ出る血が足をつたわって落ち、彼の足跡の中に、たまっていく。リーボルの一匹が、たまりかねて、アドルに飛びかかった。
アドルは、腰をかがめ、リーボルののど元めがけてヤリを突きさす。それは見事に命中し、先走ったリーボルは、声にならない叫び声をあげ、地面に倒れた。これを見た他の5匹は、一瞬たじろいだが再びジワリジワリとせまってきた。
アドルは、額に汗をにじませ、息を荒くしていた。あと10分もたてば、彼は動くこともままならない状態になるだろう。
リーボルたちはそれをねらっていた。
小川は、すでに遠くに離れていた。彼らは砂浜の方へ、ゆっくりと歩いていく。
カッと日差しが、まばゆくなった。砂浜に出たのである。
アドルはすでに、歩くこともつらくなっていた。息はさらに荒くなり、全身汗まみれになっている。
『こんな所で死んでたまるか』
そう心の中で叫ぶアドルだが、体力はもう限界に近かった。
リーボルたちは分散して、アドルを囲もうとしていた。一気に飛びかかり、とどめをさそうというのである。
アドルのまわりをリーボルたちは、ぐるぐると回り始める。アドルは歩くことをやめていた。ヤリを水平に構え、どの方向から襲われてもいいように、神経を集中させた。
1匹がほえると同時に、5匹はアドルに飛びかかった。
アドルは、最後の力をふりしぼって横に飛び、真一文字にヤリをふる。1匹の目と、もう1匹の腹部を、ヤリは横に切りさいた。致命傷には至らなかったが、その2匹は戦意消失し、身もだえして砂の上をはった。
しかし、これでアドルの意識も遠のき、彼はその場にグラリと倒れた。
残った3匹のリーボルの口元から、よだれが流れはじめ、3匹はアドルに近よろうとした。が、その時、西の方ら大音響が鳴り渡ってきた。
そこには、十何人もの男たちが、手に手にドラや太鼓を持って近づいてくるのが見られた。中には、もりのや剣を持っている者もいる。
思わぬ新手に三匹はアドルから離れ、足速に森の中へと逃げていった。
遠のく意識の中で、アドルは誰かに抱きかかえられるのを覚えた。
「おい、しっかりしろ」
うす目を開けて見るが、ぼやけていて何も見えない。ただ声だけが聞こえる。
「これは、ひどい傷じゃ」
しわがれた声が言った。
「とにかく家に連れていこう。今なら、まだ助かるかもしれん」
よく通る男の声を最後に聞き、アドルはそのまま意識を失った。4. バルバドの港
長い混池としだ眠りから覚めた時、アドルはふかふかのベッドの上に寝かされていた。
「おお、気がついだがね」
ベッドのわきに座っていた白髪の老人が、アドルの顔をのぞきこんだ。
「こ、ここは……!?」
アドルは、自分でも驚くくらいのガラガラ声を出した。
「バルバドの病院じゃよ」
老人は、しわがれた声で答えた。それは、あの砂浜で聞いた声と同じものだった。
「オレは、助ったのか!?」「ああ、町の見張り番が、お前さんを見つけてな、急いでかけつけたんじゃよ。えらい災難じゃったな」
老人は、廊下に顔を出し、看護婦にかゆを作ってくるよう言いつけ、アドルに何か食べたいものはないかと聞いた。しかし、アドルはそれほど食欲もなく、首を横にふった。
老人は、何か栄養のつくものを2、3つけて持ってきてくれとつけ足してドアを閉めた。
「少しは栄養になるものを取らんと、元気にならんぞ」
老人は心配そうな顔をして、いすに腰かけた。
「そういえば、まだ互いの自己紹介まだであったな。わしは、このバルバドの町を治めておるブルドーじゃ」
「オレはアドル。アドル=クリスティン」
「アドルは、どこからきたのかね!?」
「南から、プロマロックの港町から」
ブルドーは、それを聞いた途端、信じられないといった顔をした。
「プロマロックじゃと!?……あの嵐の結界を破ってきたというのか!?」
アドルは静かにうなづく。
「信じられん、あれを越えてやってきたなど……、一体どうやって」
と、そこへ体格のよい、日に焼けた肌を持つ男が入ってきた。
「父さん、あの若者が目を覚ましたんですつて!?」
「おう、スラフ。早かったの。漁の方はどうであった!?
「大漁です。それより、彼は……」
ブルドーは立ち上がって、その大柄な男をアドルに紹介した。
「わしの息子スラフじゃ」
「僕を抱きかひかえてくれた人ですね。あの時はありがとうございました」
アドルは手をさきしのべ、スラフと握手した。
「すっかり良くなったみたいだね。安心したよ」
スラフはニッコリとほほえんだ。
「僕はアドルです」
「なんと、プロマロックから来たそうじゃ」
ブルドーの言葉に、スラフの顔から笑いが消え、驚きの表情になった。
「何ですって!?プロマロックから!?……それじゃ、あの嵐の結界を……」
「越えてきたそうじゃ」
スラフは、しばらくポカンと口を開いていだが、やがてポツリと言った。
「よほど、運がいいとしかが言えないな」
「そうであろう、そうであろう」
その時、ドアがノックされ、看護婦が食事を運んできた。
「今日は、だっぷりと食事をとって眠るといい。明日また見舞いにくるでな」
ブルドーは、そう言うとスラフとともに部屋を出ていった。ホワイト・フオーンの砂浜の西端、そこにエステリア唯一の港町バルバドがある。
人口100も満たないこの小さな町は、かつては海外からの商人たちが多く出入りし、この国でとれる鉱物の取り引きなどで、にぎわっていたという。
しかし、あのドゥアール海に“嵐の結界”が出来てより、バルバドの町は、もとの寂しい漁業の町となっていた。
アドルはその町の高台に建てられた石造の小さな病院の一室で背中に受けた傷の手当てをされていた。
医者が言うには、もう半刻ほど止血が遅れていたら、アドルはこの世の者ではなくなっていたということだった。そして傷が完治するのに、三日はおかるだろうとも言った。
「体調が戻るまでゆっくりと静養していけばよい。金のことなら心配いらん。この町は、旅人に対しては親切だからな」
翌日、アドルを見舞いに来たブルドー親子は、そう言った。
「それで、1つ聞かせてもらいたいのだが」
ブルドー言う。
「ここへは何をしに来たんじゃ!?この国が、魔の住む国として恐れられているのは、わかっておろう」
父親の言うことにスラフも同意見だった。そこでアドルは、故郷の村を離れ、諸国を旅してまわっていることを話しはじめた。そして、プロマロックでエステリアの謎について聞いた事も。
「多くの人々が、その謎を調べようとして、命を落としていったそうです。僕も、その謎とは何なのか調べようと思って……」
「この国へ来たというのか!?」
ブルドー親子は、呆れた顔でアドルを見つめた。
「一体、この国はどうなってしまったと言うんですか!?」
「詳しいことは、わしらにもわからんのだよ。突然怪物たちがあらわれ、わしらを襲うようになった。そんなわかりきった事実しか話せんのだ」
ブルドーは苦い顔をして答えた。
「この北にある砦の町ミネアに行けば、何かしら知っている者がいるかもしれんが、あてにはならんだろう」
「しかし……」
スラフがつぶやいた。
「このまま何もせず、ただじっとしていても怪物たちは、いつが我々をほろぼし、この国を乗っとるに違いない」
アドルは、そう思うのなら何故、原因をつきとめようとしないのかと問いた。
スラフは苦笑いして答えた。「それは、何回も考えたさ。しかし、私はこの港の人々を守ってやらねばならない義務を持っている。私一人のわがままで、皆を死に追いやりたくはない」
スラフは席を立ち、漁に出かけると言って部屋を出ていった。
「あれもあれで苦しんでおるのだ」
ブルドーは窓から、病院をはなれてゆく息子を見つめながらつぶやいた。
「己の心の中で、謎を調べたいという欲望を村を守らねばという信念でおさえつけておるのだ。もし、わしがもう10ばかり若ければ、あやつを旅に出させてやるのだが」
アドルは、ブルドーとスラフの心の内を知らなかったといえ、彼らを苦しめてしまった事をくいた。それから3日後、アドルの傷はすっかり治り、その日彼は港の方へと歩いていた。
バルバドの港は、プロマロックと比べるとかなり小さく、かつて鉱物でいっぱいつまっていた石造の倉庫は、半分くちはてている。
船つき場には大型の船はなく、小さな漁船が20隻ほど仲良く肩をならべて停泊している。
漁船をながめているアドルに声をかける者がいた。
スラフである。
彼はこの港の責任者であり、全ての漁船の面倒を見る網元でもあった。
漁船は、日の出前と日の入り後にしか漁に出ず、昼間はずっと港につけっ放しにされているとスラフは、アドルに教えた。
「この辺じゃ何がよくとれるんです!?」
「何でも取れるよ。皮肉にも嵐の結界のおかげで至る所の魚が、ここらの沖合に流されてくるんだ」
「やっぱり、ここらプロマロックへむかおうとすれば嵐にあってしまうのか」
「ああ、10日位前にミネアの町ひらきた男が勝手に船を持ち出してな、あっけなく巻き込まれちまったよ。」
2人は静かな昼下りの港を倉庫の方へと歩いていった。
水平線の上に、ボンヤリとグリアの山々が見える。そのふもとには、プロマロックの町が広がっているはずだが、はっきりと見えるわけではなかった。
「プロマロックの様子はどうだったね。初めてだったんだろ、ああいう所は!?」
スラフは、グリアの方を見ながら言った。
「けっこうにぎやかでしたよ。町には、色んな国の人々がいましたし、港は入る船、出る船でごったがえしてました。はっきり言ってめんくらいました。あのようなにぎやかさは自分の村では秋の祭りの時ぐらいだったから」
「それじゃ、あの港町では、君は毎日お祭り気分だっだワケだ」
「それはいくらなんでも、毎日がお祭りだったら疲れてしまいますよ」
「それもそうだ」
2人は、ふき出して大声で笑った。
と、その時、町の中央のやぐらの上でドラの音が響いた。
「いかん、怪物どもが来たぞ」
スラフは、すばやくやぐらの方へ走ってゆき、アドルもこれについていった。「どの方角からだ、数は?」
スラフは、高さ20メライのやぐらをスルスルと昇り、ドラを打ちならした男にだずねた。
「北の方角、カーロイドが20人です」
スラフは、遠眼鏡でその方向を見つめた。青白い体の小人族カーロイドガ2列になってミネアとバルバドを結ぶ道を進んでくる。
「奴らめ、まだこの前のことに、こりていない様だな」
スラフは遠眼鏡をアドルに預けた。
「私は、これから戦いの指揮をとるため、皆の所へ行く。君はここで待つててくれ」
「オレにも戦わせて下さい」
スラフは、ニッコリ笑ってアドルの頭をなでだ。
「気持ちだけ受けとっておくよ。君はこの町の客人だ。その客人を危険な目にあわせたくない。わがってくれ」
アドルは、しかたなくうなづいた。スラフは再度笑顔を見せ、やぐらを降りていった。
スラフは、中央の広場に集まった男たちに何か話し、武器をその手に持つと、皆を引き連れて北の方へとむかっていった。
やがて怪物たちとスラフたちは、道の上で激しい戦闘が始まった。相手20に対し、こちらは30。力の面でもこちらの方が上まっており、戦闘は一気にこっち側が有利、怪物たちはバラバラになって北へと逃げていった。
アドルは、やぐらを隆り、スラフのいる辺りへ走っていった。
スラフたちは、それぞれが軽いケガをした程度ですんでいだ。
アドルが近づいてくるのを見て、スラフは手を上げて振った。
「以外と、あっさりケリがつきましたね」
「なに、私たちにかかれば、あいつらなんか赤子も同然さ」
スラブは、そう言って笑い、自分の家へ引き返していった。
しかし、怪物らの襲撃は、その日だけに限らず、連日連夜続くようになった。しかも、日をおうごとに、それは強いものになっていつた。
「奴ら、この町を全面的につぶすつもりなのか!?」
スラフだけでなく、町の誰もがそんな不安を抱きはじめた。
怪物たちのねらいは、沖合の漁場と港の船であった。彼らは、食料を獲得するとともに海をはさんだエウロペの世界へ渡るつもりだった。そのため、この港だけは、何としてでも死守し、怪物たちの足をくいとめなければならなかった。そんな戦いの日々の続く中で、アドルは、ついに北の町ミネアへ行くことを決めた。何の恩返しもせず、バルバドをはなれるのはつらかったが、とにかく、この怪物たちのあらわれた元凶を調べ、たたかなければ、真の平和はおとずれないと判断したのである。
アドルは、ブルドーから服と食物、そして1000ゴールドをもらい、港町から旅立っていった。5. 始まり
バルバドとミネアを結ぶ道を北へ進むこと約30分、アドルの目の前には高さ10メライ、四方をとりかこむ防壁があらわれた。
あれが別名、砦の町と呼ばれるミネアであった。
この町の入口は北側に1つしかなく、南の方角からきた彼は防壁に沿って北側にまわるしかなかった。
しかしそこはまた、崖沿いの道でもあり、一歩踏みはずせば、10メライ下の岩のだくさん突き出ている海に落ちてしまう危険な所であった。アドルは、慎重に1歩1歩進んでゆき、何とかして北の入口の前まで、たどりついた。
町の入口から北へは、1本の橋がかけられていた。
橋は、やはり海面から10メライほどの高さの所にあり、対岸も崖になっているのが見える。
とりあえず、アドルは、町の中へ入ることにした。
町の中は、整然としており、人々の姿も通りのあちこちによく見られた。多分バルバドよりは、人口は多いであろう。しがし、活気はそれほどあるとは思えなかった。家という家はひっそりしていて、店はあるものの、客の姿は多く見られなかった。l
とにかく今日からは、ここがアドルの新たな旅の出発地点となるのである。アドルは再び町の入口の前に立ち、北にそびえる巨大な塔を見上げだ。あの塔には、何かがあるに違いない。
そんな思いが彼の心の奥底からしてきた。
アドルは、町の中へと入ってゆく。そしてこれから始まる冒険の旅に大きな期待をふくらますのだった。
操作方法
テンキー〈移動〉
ファンクション〈ロード・セーブ〉
ロード
セーブ
セーブ用ディスクを作る
(フォーマットする)
キー〈その他の操作〉
売り買いなどの決定(セレクト)
画面説明
生命力。
これが0になると死ぬ。
生命力の上限。
キャラクターのレベルアップで増える。
戦闘時には、下に戦っているモンスターの生命力を示すバーが表示される。
モンスターを倒して得られる経験値
これらが増えると、キャラクターがレベルアップする。
ボス攻略のコツ(Webpアニメ)
完全に我流のため世の中にはもっと簡単な方法があるかもしれないけど、自身の攻略方法も忘れてしまうので覚書き。私のアクションテクニックレベルはおそらく中の下レベル。なるべくキーボード操作が複雑にならないよう攻略している。
PC-8801mkⅡSRシリーズでもFH/MH以降の8MHz対応機種であれば4MHzに落とすこと。また機種によっては CAPSキーやPF2キーを使った高速モードになっていないか確認すること。アクションゲームが苦手なプレイヤーは高速モードになっていても何のメリットもない。
◆ボス1 ジェノクレス
レベルによる力押しが有効。攻略本を見ずにいろんな場所を回り進めていればレベル4には達しているはず。上記装備は『LONG-SWORD』、『SMALL-SHIELD』、『PLATE-MAIL』。炎は上から順番に出てくるので上下移動で避けることも可能。深追いをするとダメージを食らうのである程度近い場所に来たときだけダメージ覚悟で体当たり。レベル3だと苦しいがレベル4だとたった4撃で倒すことができる。
◆ボス2 二グティルガー
レベルによる力押しが有効。神殿の地下でレベル8までアップさせつつ溜まったGOLDで装備を整える。上記装備は『TALWAL』、『SILVER-SHIELD』、『REFLEX』。こうなると何をしてもダメージを受けることがないので100%倒すことができる。面倒なことは装備を整えるために行う街への往復くらい。
◆ボス3 ヴァジュリオン
イースの中で最もきついボスで楽勝で倒す方法はないと思われる。レベル最大にして臨むこと。上記装備は『SILVER-SWORD』、『SILVER-SHIELD』、『SHILVER-ARMOR』。廃坑に入ってそのまま直接ここまで来てしまうと『SILVER-SWORD』が手に入っていないので注意。
飛んでいるコウモリからはなるべく離れてひたすら逃げる。固まりそうでも近づかない。そういうときに限って再び分離し襲われる。
変形を始め各々のコウモリが丸くなった段階で近づき、合体した姿を表したら真横か真上の中央から通り抜けるだけ。本体からもダメージを受けるが気にしない。これを繰り返す。6回ほど攻撃できれば成功だ。おそらくヴァジュリオンは倒れているだろう。
◆ボス4 ピクティモス
上の壁沿いに動いてカマをなるべく一直線に誘導する。そして下側から回り込んでピクティモスに重なる。ピクティモス本体からはダメージを受けないので重なったらカマが戻ってくるまでキーは押しっぱなしにするとガンガン削れる。カマが戻ってくる時に逃げるを繰り返す。欲を出すと大体はカマの餌食になるので、逃げ時を見極めるのが重要。
◆ボス5 コンスクラード
ダームの塔では最も弱いボスキャラ。何も考えずにざっくりとした四角を描くようにひたすら移動し続ける。飛んでくる岩や本体のコアに当たってダメージを受けることもあるが、ひたすら四角を描くと倒れている。
◆ボス6 ヨグレクス&オムルガン
長期戦になるボス。ダメージを与えることができるのはオレンジの顔のみ。顔本体からは全くダメージを受けないので青の顔に張り付きながらX軸を合わせるように左右で移動し中央付近でクロスするときにオレンジの顔に突撃する。負けているように見えても与えたダメージが大きくなると回っている玉の数が減るので徐々にダメージは受けにくくなる。最終的には1つになるのでそうなったら適当にアタックするだけ。
◆ボス7 ダルク=ファクト
まず、武器だけは最強装備だとほぼ負けてしまう(防具は最強装備でもさほど問題ない)ので装備を見直すこと。装備の見誤りさえなければ何気に適当にやっていると倒せてしまう。最初はキーを右に入れっぱなしにしておくことで先行できる。分裂する火の玉は無視。ブロック崩しのボールのように跳ね返るような動きをするので飛んでくる場所をおおよそで予測してひたすら追いかけて攻撃するだけ。最後の攻撃場所に穴ができるので攻撃が最後に当たった場所で立ち止まらないこと。運が悪いと穴のせいで移動と攻撃が困難になってしまうこともあるがそのときは諦める。
裏技の紹介
◆イース未使用曲集
ドライブ0にディスクB、ドライブ1にディスクAを入れて起動する。ディスクアクセスが止まったのを確認したら大文字でYSAVと入力する。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG)
標準音源
音源チップ:YAMAHA YM2203(OPN)
01 Feena (タイトル)
02 Fountain of Love (町)
03 The SYONIN (店1)
04 Tears of Sylph (店2)
05 First Step towards wars (草原)
06 Palace (神殿1)
07 Holders of Power (デカキャラ)
08 Palace of Destruction (神殿2)
09 Beat of the Terror (廃坑)
10 Tower of the Shadow of Death (塔)
11 The last moment of the Dark (塔の最上階)
12 Final Battle (ダルクファクト)
13 Rest in Peace (戦いの後)
14 The morning grow (エンディング1)
15 See you again (エンディング2)
16 Lucky 宝箱
17 GAME OVER (GAME OVER)
合計時間 : 17:27
作曲者 : 古代祐三, 石川三恵子
DISCOGRAPHY
ミュージック・フロム・イース
発売日: 1987年11月5日
価格: 3,000円(税込)
商品番号: K30X7701
販売元: キングレコード
収録曲
01 FEENA(タイトル)
02 FOUNTAIN OF LOVE(町)
03 THE SYONIN(店1)
04 TEARS OF SYLPH(店2)
05 FIRST STEP TOWARDS WARS(草原)
06 PALACE(神殿1)
07 HOLDERS OF POWER(デカキャラ1)
08 PALACE OF DESTRUCTION(神殿2)
09 BEAT OF THE TERROR(廃坑)
10 TOWER OF THE SHADOW OF DEATH(塔)
11 THE LAST MOMENT OF THE DARK(塔の最上階)
12 FINAL BATTLE(デカキャラ2)
13 REST IN PEACE(最後の戦いの後)
14 THE MORNING GROW(エンディング1)
15 SEE YOU AGAIN(エンディング2)
16 DEVIL'S WIND(悪魔の風)
17 FAIR WIND
18 SHINING STAR
19 DREAMING
20 CHASE OF SHADOW
21 CHURCH
22 OVER DRIVE
23 DEPARTURE
24 CROSSROAD OF SADNESS
25 BATTLE GROUND
26 MYSTERIOUS MOMENT
27 THEME OF ADORU
28 DEAD-END STREET
29 SUB-MISSION
30 OPEN YOUR HEART(X1版 タイトル)
31 DEVIL'S STEP(X1版 廃坑)
32 TENSION(X1版 塔)
33 IN THE MEMORY(X1版 エンディング1)
34 FLY WITH ME(X1版 エンディング2)
35 FEENA(タイトル)
36 FIRST STEP TOWARDS WARS(草原)
37 BEAT OF THE TERROR(廃坑)
38 TOWER OF THE SHADOW OF DEATH & THE LAST MOMENT OF THE DARK(塔と塔の最上階)
39 SEE YOU AGAIN(エンディング2)
ファルコムゲームミュージック
発売日: 1987年11月10日
価格: 2,800円
商品番号: 28XA179
販売元: アルファレコード
収録曲
■イースオリジナルゲームサウンドトラック
01 Feena
02 Fountain Of Love
03 First Step Towards Wars
04 Palace Of Destruction
05 Beat Of The Terror
06 Tower Of The Shadow Of Death
07 The Last Moment Of The Dark
08 Final Battle
09 The Morning Grow
10 See You Again
■オリジナルゲームサウンドトラック
11 太陽の神殿
12 ドラゴンスレイヤーIVドラスレファミリー
13 ロマンシア
14 ザナドゥシナリオⅡ
■イースPC88サウンドボードⅡバージョン
15 Palace Of Destruction
16 The Morning Grow
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いただいた証言
完全版でOKっすよー。
— WING☆ (@wing_ghost) November 21, 2022
古代さんのディスクにしっかり完全版のMMLは存在してますからw
PC88版の時点では間に合わなかっただけのようです。
エンディングムービー
■エンディングムービー