
王家の谷 (King's VALLEY) for MSX

作品名 : 王家の谷 -King's VALLEY-
販売 : コナミ
対応機種 :
メディア : ROMカートリッジ
サウンドチップ : GI AY-3-8910
サウンド性能 : PSGx3
定価 : 4,800円
発売日 : 1985年3月18日
○RAM8K以上必要
○ジョイスティック対応
GALLERY
PROMO WORD
エジプト新王国時代、王とともに埋蔵された数々の秘宝。王の墓にかくされた秘宝を求めて王家の谷を探る思考アドベンチャー。
○王の勢力により、つくられたピラミッドの広さはいろいろ。内部の地形を早く読みとるのがポイント。
○閉ざされた石室の秘宝はツルハシを使って取り出そう。堀り方はじっくり考えて…。
○迫ってくるミイラ男は、神の剣でやっつけろ。
ストーリー

エジプト史上最も栄えた新王国時代、国王たちは豪華な埋葬品の盗掘を防ぐため人里はなれた山あいの中に秘かに墓を造った。墓はいずれも崖の面に深く掘った横穴式で王のミイラは主室の一段ひくい場所におかれた石棺におさめられた。以後歴代の国王や貴族が64もの墓をつくり、やがて『王家の谷』として国王たちの安眠の地となった。
だが被葬者たちの願いにもかかわらずツタンカーメンを除く全ての墓は盗掘され大部分は廃墟と化した。
しかし秘かに他に移された何人かの国王ミイラは、3400年もの時の中流れの中で、やがては神の国”太陽”への導きを与える秘宝珠を守り続けていたのである。
この秘宝珠を求めていま一人の男が王家の谷へと向った。英国マンチェスター生れの冒険家ビックである。はたして彼は、古代エジプト文明を結集した石室の謎とミイラ男たちの呪いを解き、封じ込められた秘宝珠を無事手に入れることができるのだろうか。
遊び方
- このゲームは1人用です。
- キーボード、ジョイスティックのどちらでも遊べます。
- スペースキー、またはショットボタンを押すとゲームスタートです。
- プレーヤーは最初5人です。以降20,000点ごとに1人ずつ増えます。
- ピラミッド内の秘宝珠を全部集めると次のピラミッドへの扉が現れます。
- プレーヤーは、ミイラ男に当ると1人失います。
- ゲームを、一時中断したいときは「F1」キーを押して下さい。画面がストップします。もう一度押すとゲームが再開されます。
- プレーヤーの作戦ミス等によってゲーム進行ができなくなったときは、「F2」キーを押して下さい。すると、もう一度そのピラミッドの最初からプレイできます。ただし、プレーヤーは1人失います。
操作方法
カーソルキー
左・・・・左へ歩行
右・・・・右へ歩行
左上・・・左上方向への階段を登る
右上・・・右上方向への階段を登る
左下・・・左下方向へ階段を下る
右下・・・右下方向へ階段を下る
スペースキー(ショットボタン)
何も持っていないとき・・・・ジャンプ
ツルハシを持っているとき・・穴を掘る
剣を持っているとき・・・・・剣を投げる
王家の谷について

1985年3月にリアルタイムアドベンチャーゲームと銘打って発売されたゲーム。一般的にはアクションゲームに位置づけられるが、アドベンチャーゲームと題している。当時はこのあたりの定義が各社曖昧だった。直訳すれば冒険ゲームなわけで、間違っているわけではない。
ゲームは紀元前16~11世紀のエジプトに作られた、遺跡の謎を冒険家「ビック」が明かすというストーリー付き。この作品はファミコンからの移植でもなく、ファミコンへ移植することもなかったオンリーワンのゲームだった。
同時期に3.5"マイクロフロッピーディスク版(RA002)が発売されているようで、コンストラクション機能付とカタログに記載されている。これは後に発売された、コナミ ゲームコレクション Vol.1と同等と思われるが、コレに関しては「秘蔵版(パッケージには「NEWバージョン」と記載)」となっており、発売されなかった可能性がある。(型番でRA003となる作品は3年後の「コナミの占いセンセーション」まで存在していない。)

MSXで発売されるゲームはほとんど単色キャラなのに、この王家の谷は主人公キャラクターであるビックに細かい着色(とはいっても2色)が行われていて非常に驚かされた。MSXは制約上1つのスプライトには単色しか着色できず、他社の作品で表示されるキャラクターは、ファミコンに比べて明らかに劣った画面になってしまうのだ。
さすがに全キャラクターへの細かい着色は不可能だったようで、ミイラ男は単色で表示されている。これを逆手に取って、血液型別でカラーを分けた4人のミイラ男と表現しており、動き方に性格を与えることによってゲームを面白くしている。お気づきの方も多いと思われるが、これはナムコより発売されたパックマンのモンスターに与えられたものと同じで、オマージュと思われる。
ゲーム内容は単純で分かりやすい。画面上にある宝物(秘宝珠)を全て集めれば次のステージへ進む扉が現れるので、扉の中へ入ればクリア。これを繰り返す。
ルールは単純なんだけど、ツルハシで床を掘り進むといったパズル的な要素が意外に大きい。地面を掘ってアイテムを取ったり抜け道を作りつつ攻略するのは、1983年にブローダーバンドから発売されたロードランナーと非常によく似ている。しかし、王家の谷ではツルハシが有限であることと、掘った場所が復活しない点が大きく異なる。そのため、クリア不可能になったり、掘った穴にはまって身動きが取れなくなることもあり、「F2」キーによる自殺が用意されていた。
アクションも求めれており、唯一の敵であるミイラ男は回避もしくはナイフで攻撃しながら対応することになる。
序盤のステージは1画面だけだが、先へ進むと複数画面になり難易度が増す。更にトラップとして扉が同時に2枚出てきて間違えた扉へ進むと前の面に戻ってしまうなど色々な仕掛けがある。コンティニューがないのは非常に辛いが、それ故に攻略方法などが身に付くように上手く作られている。未だにプレイしてもはまり込んでしまう程の面白さで、ゲームは画面の美しさだけでは語れないものだとつくづく思う。
音楽は聞いたらどんな背景のゲームが想像できる作りだ。イー・アル・カンフーに代表される雰囲気作りはこの「王家の谷」でも発揮されており他社より抜きん出ていた。メインテーマは1度聞いたら忘れないだろう。また、ディスク版にはエンディングBGMも追加されているのでこちらも同時収録した。ROMの中に用意されていたようで、使用されていないために未使用曲と解釈されているwebサイトも多い。
作曲者が不明なのは、前述のとおりファミコンなどへ移植されることが無く、音楽CD化されたコナミ作品の中にも収録されていないため、知名度も低くなり埋もれてしまったからではないかと思われる。比較的ファンに恵まれたコナミ作品の中でも不詳になったままの数少ない作品だった。