サイバーパンク アドベンチャー
スナッチャー
対応機種 : NEC PC-8801mkⅡSR以降
メディア : 5inch 2D (5枚)
定価 : 8,800円
発売日 : 1988年11月26日(発売予定8月19日から延期)
販売元 : コナミ
○FM音源ステレオ対応
○サウンドボードⅡ対応
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PROMO WORD
西暦2042年の悪夢。
ネオ・コウベ・シティに謎の影がしのびよる。
2042年12月
狂気と退廃の街、NEO KOBE CITY・・・・・・
人類は異常な危険に直面していた。
謎の生命体、バイオロイドの出現である。
国籍、目的、正体不明。
某国の新兵器か? 宇宙からの侵略者か?
彼等は冬とともに現れ、人を殺害。
密かに人間とすり替わる事からスナッチャーと呼ばれた。
展開される推理、追跡、銃撃戦。
スリルとサスペンスにみちた捜査が始まろうとしている。
BGM40曲、効果音81音、画面数200、シナリオ原稿用紙900枚。
ストーリー
◆1991年6月6日 モスクワ
チェルノートン研究所において大惨事(バイオハザード)発生。
開発中の細菌(バイオ)兵器『ルシファー(魔王)α』が大気中に洩れ、東欧諸国、ユーラシア大陸の80%壊滅。
この時、世界の半分が死滅した。──────そして……50年後
◆2042年12月 狂気と退廃の街、ネオ・コウベ・シティ(NEO KOBE CITY)………。
人類は異常な危機に直面していた。謎の生命体、バイオロイドの出現である。 国籍、目的、正体不明。某国の新兵器か?宇宙からの侵略者(エイリアン)か?
彼等は冬になると現れ、人を殺害、密かに本人とすり替わり、社会に浸透していく。人口の皮膚を纏い、汗をかき血を流すこともできる。極めて、有機的かつ、無機体そのもの。オリジナルとの見分けはほとんどつかない。彼等は人の身体とすり替わる(スナッチ)事から、スナッチャーとよばれる。
人か、スナッチャーか?──────極限の恐怖は対スナッチャー用特殊警察班をうんだ。危険を買う訓練された、非常の男達。
それは………『Judgement Uninfected Naked Kind & Exective Ranger』
人々は彼等をJUNKER(ジャンカー:屑鉄処理人)とよんだ。
▽今、JUNKER本部に腕利きのJUNKER、ギブスンからの連絡がはいった!
「スナッチャーらしき男を追い詰めた!応援頼む………」
果して、スナッチャーとは何者なのだろうか?
JUNKERのスリルのサスペンスに満ちた捜査が始まろうとしている!
スナッチャーについて
コナミがPC-8801mkⅡSRシリーズオリジナル作品として初めて出した作品だ。グラディウスやグーニーズなどの移植ものばかりだったPC-8801というプラットホームで出してくるとは予想だにしなかった動きだった。当時コナミはMSXを中心として動いており、スナッチャーもMSX2にてSCCカートリッジを同梱するという力の入れ具合で発売されている。PC-8801mkⅡSRシリーズでは4作品のみのリリースとなっている。(最終作は1990年「天と地と」という微妙な作品)
PC-8801mkSRシリーズユーザーだったら知らない人間はいないのではないだろうか。知名度とゲーム内容はトップレベルで、後々の家庭用ゲーム機にはPC-8801版の中途半端で終わった内容に最後までのシナリオを加えた完全版という形で移植されている。後生に語り継がれるであろうPC-8801mkⅡSRシリーズの代表的アドベンチャーゲーム。映画「ブレードランナー」のオマージュ的作品とされている。
ゲームのシステムとしてはオーソドックスなコマンド選択式。フラグを立てるとコマンドが増えて物語が進行する仕組みだ。途中でテンキーを使用したモグラ叩き的な銃撃シーンがあったり、情報を元にモンタージュを作成したりするシーンがある。また、電話(ビデオフォン)を使う場面も度々発生するのでメモの用意も必要。更にマニュアルプロテクトがあり、マニュアルが無いとキャサリンのシーンで詰まることになる。
また、フラグの総まとめとして一度停められるシーンがある。それが、イワン不在のシーン。フラグがきっちり立っていれば、電気メーターが異常に動いているシーンへ移行する。そのフラグというのがアイテムの取り忘れ。昔のアドベンチャーゲームなら基本中の基本であるアイテムを取ることを忘れていると起こる。アイテムを見つけても必ず「取る」行動を心掛けないと詰まってしまう。
インターフェースであるコマンド選択式というのは基本的に右手だけでかつ1プッシュで行えるメリットがある反面、ミスした場合に取り返しがつかないというデメリットがある。この作品でもそのあたりがかなり厳しく、間違えると延々と同じ文章が流れたりするのに加えて文字出力スピードが遅いのでイライラする。またスピナーに移動するシーンに関しては移動先を決めた瞬間にディスクの入れ替えを要求されるのだが、スピナーを下りる選択をした段階に要求して欲しかった。何度間違えてディスクを入れ替えたことか。この入れ替えという作業は面倒だ。
グラフィック、音楽共に勿論平均点なんて突破しているのは間違いないが、ずば抜けて突出しているというイメージが当時は無かった。ただ、シナリオだけは当時のアドベンチャーとしては明らかに普通のレベルを越えていた。作者の意図にそのまま乗せられているようなドキドキ感やたまに来るメタルギアmkⅡとの漫才による笑いの絶妙なバランス。当時は小島秀夫という人物は今ほどメジャーでは無く一人の人物として有名になっていると知ったのは随分最近のことだった。ゲームにおいてシナリオライターの名前がクリエイターとして注目され始めたのはもっと先のことだったのだ。
音楽はコナミがサウンドボードⅡに対応させた最初の作品。リズム音源を使用したりサンプリングを使用したりという機能を使い果たすような状況ではなく、増えたチャンネルだけを使ったという印象。勿論6音では完成しない状況で、余ったチャンネルをエコーに回すというようなありがちなものではなく、きっちり設計されて作られている。場面に合わせた作品のため自己主張が少ないせいか耳に残りにくく、どうしても派手なファルコムの作品などを好む傾向が私にはあったので、どちらかというとあまり好きではなかった。FM音源の使いこなしのテクニックがどうのという話はできない作品だが、よく言えば今風でBGM的。悪く言えば曲だけ聞いても感動は半減というところだろうか。イースのように音楽だけで凄いと言えるような作品には感じなかった。ただし、世間一般の評価は音楽面でも非常に高い。
尚、リサ登場の曲とゲームーオーバーの曲は入れていない。(曲と呼ぶには厳しい上、個人的に不要と考えた。テロップもそうだが…)
録音時に最も困ったのが最後のエンディングテーマ。ご存じの通り時間がかなり長い。作業はMac(OS9)で行っていたのだが、かなり苦しんだ。長い時間になると爆弾が出たり(既にこれもレトロ)何故かデータを聞いてみると数秒飛んでいたりという不具合。何度やり直したか…。結局1時間以上もこれの作業に費やし20分も集中して音がずれていないか確認する羽目になった。
リクエストするときにエンディングを選択するときは注意。20分近く占有することになってしまう。2回連続リクエストや推奨しないブラウザでリクエストした場合は目も当てられない結果が待っている。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+SSG)
サウンドボードⅡ
音源チップ:YAMAHA YM2608(OPNA)
01 Slave to METAL (TEAM LOGO)
02 Bio Hazard_Snatcher (PROLOGUE DEMO)
03 Squeak!! (SNATCHER TITLE)
04 Twilight of Neo Kobe City (THEME OF OPENING)
05 Evil Ripple (TITLE TELOP)
06 Theme of TARA (THEME OF METAL GEAR)
07 Pleasure of Tension (PURSUER PART3)
08 THEME OF SNATCHER
09 Follow up The Scent (PURSUER PART5)
10 Creeping Silence (PURSURE PART1)
11 Criminal Omen (PURSURE PART2)
12 Endless Pursue (PURSUER PART4)
13 Danger Dance...and Justice for all (ACTION)
14 AD2042 Neo Kobe City (PROLOGUE)
15 THEME OF SNATCHER 2
16 Innocent Girl (KATRINE PART1)
17 Jingle bell 2042 (JINGLE BELL)
18 The Entrance to Hell (OUTER HEAVEN1)
19 Decadance Beat (JOY DIVISION1)
20 Decadance Beat (JOY DIVISION2)
21 The Entrance to Hell (OUTER HEAVEN2)
22 Theme of IZABEL (IZAVEL)
23 Faded Memories (TITLE PART3)
24 Theme of JAIME (JAIME)
25 Virulent Smile (BATH ROOM)
26 Theme of katrine (KATRINE PART2)
27 Theme of JUNKER (TITLE PART1)
28 Spreading Diehard (SEARCH LIGHT)
29 Blow up Tricycle
30 Morg (MORTUARY PART1)
31 Reatoration
32 Eternal Promise (GOODBYE RANDAM)
33 Theme of RANDAM (TITLE PART2)
34 For Harry (REQUIEM)
35 Beyond Sorrows (EPILOGUE)
36 Master of Puppets Among The Disease (ENDING 1)
37 We Have to Struggle for Our Future Against Our Doubt (THEME OF ENDING)
()内の注釈はエンディングに記載の物と変えてある曲がある。
合計時間 : 55:15
作曲 :
碇子正広, M.SIRAKAWA, 泉陸奥彦, 深見誠一,
S.MASUDA, 水谷郁, 上原和彦, 安達昌宣
DISCOGRAPHY
スナッチャー
発売日: 1989年9月21日
価格: 2,760円(税込)
商品番号: 276A-7713
発売元: キングレコード
収録曲
01 プロローグ
AD 2042 NEO KOBE CITY
02 大惨事 魔王ルシファーの降臨
BIO HAZARD
03 オープニング
TWILIGHT OF NEO KOBE CITY
04 EVIL RIPPLE
05 THEME OF SNATCHER
Act 1 SNATCH
06 遭遇 謎のバイオロイド
CREEPING SILENCE
CRIMINAL OMEN
DANGER DANCE...& JUSTICE ALL
07 INNOCENT GIRL
08 THEME OF JAIME
09 DECADANCE BEAT
10 追跡 ジャンの残した手掛かり
THE ENTRANCE TO HELL
THEME OF IZABEL
11 THEME OF KATHARINE
12 THEME OF JUNKER
13 罠 トライサイクルの暴走
BLOW UP TRICYCLE
14 脱出 ランダムよ永遠に
SPREADING DIEHARD
ETERNAL PROMISE (GOODBYE RANDAM)
15 FADED MEMORIES
16 死闘 暴かれた真実
RESTORATION
PREASUR OF TENSION
ENDLESS PURSUER
17 エピローグ
BEYOND SORROWS
18 MASTER OF PUPPETS AMONG THE DISEASE
19 新たなる戦い
THEME OF ENDING
当時の広告
スナッチャー ACT1 サウンドボードII(OPNA)版 : Snatcher Act1. PC-8801MA2(実機)
スナッチャー ACT2 サウンドボードII(OPNA)版 : Snatcher Act2. PC-8801MA2(実機)
証言
新しいものを創るには、かなりのエネルギーが入ります。まずはコナミでは、経験のないPC88での開発と販売、アドベンチャーゲームという未経験のシステムとツール、プロセスの立ち上げ。パソコン系の他社では、新しいことではなかったのですが、まずはここが大変。さらに“新しいスタイルのゲーム”を創る… https://t.co/51Qxd7Fg5t
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) November 26, 2023
「SNATCHER」のPC-88版が出て今日で35年?!当時は、25歳か?!あの時は2機種同時開発がまだ未経験だったので、MSX2版が少し遅れてしまった。朝に三ノ宮のパソコンショップへ発売日の様子を見に行ってから、会社に戻ってMSX2版の開発を続けた。パソコンなので、CMも街灯ポスターとかもなく、静かな発売… pic.twitter.com/uR6ydrqQOq
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) November 26, 2023
25歳の冬、2本目のゲーム(ADV)が発売された。ファミコンではないので、TVCMもなく、当時賑やかだった玩具屋やデパートには売ってなかった。PC-88とMSXなので電気屋のPCソフト売り場にひっそりと置かれていた。それでも毎日、売り場を覗き、店頭でデモを流しているPCモニターの音量を少し上げて帰ったw
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) July 14, 2021
「SNATCHER」はもともと「JUNKER」というタイトルだった。でも、似たような発音をする麻雀ゲームがあった為、別のタイトルを考えることになった。前作「METAL GEAR」が敵役の名前だったので、「SNATCHER」は避けたかった。苦し紛れに「NEW ORDER」も考えたw
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) August 13, 2012
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