KONAMI ORIGINAL GAME SOFTWARE
生中継68
対応機種 : SHARP X68000シリーズ
メディア : 5inch 2HD (2枚)
定価 : 9,800円 (税別)
発売日 : 1991年7月30日(発売予定1月→7月19日から延期)
販売元 : コナミ
○ジョイスティック操作対応
○一部操作でマウスが必要
○ユーザーディスク作成にブランクディスク一枚が必要
PACKAGE REPRODUCTION
細かい設定の出来るエディット画面!!
──コナミからX68000の凄い野球ゲームが出た……?!
そんなウワサが68ユーザーの間で広まった。スーパーリアルなゲー
ム画面、まるでTV中継を見ている様な斬新な視点、5万の観衆で沸くスタジアムサウンドなど……じゃあ、いったい今までの野球ゲ
ームは何だったんだ!!
そんな騒ぎをしり目に開発プログラマーのAさんがポツリと、
「普通じゃつまんないよね……。」
こんなリアルな画面で対戦したら、熱戦対決まちがいなし !!
野球は見て楽しめなければ野球にあらず。昔の人(?!)はいい事を言う。野球ゲームも同じTV中継を見ているあの興奮がゲームにも必要だったのだ!!
、
滑らかな
選手の動き
画面上のピッチャーやバッター、ランナーが滑らかに試合を進める。あのトルネード投法も見事にキマって、ゲームをしているのかTV中継を見ているのか……?!
アクションゲーム
で、なおかつペナントレースも大充実!!
試合後の解説はKBC… ニュースキャスターが選べる!! 高井アナウンサー 十橋勇夫 ユッキー西元 寸田アナウンサー
■ キーボード及びジョイスティック操作対応。
■ 本製品を無断で複写すること及び賃貸業に使用することを禁じます。
コナミ株式会社
〒110東京都千代田区神田神保町3丁目25 TEL 03-3264-5678(代)
KONAMI ORIGINAL GAME SOFTWARE
No.352876
MADE IN JAPAN
\9,800
消費税別
『生中継68』について
◆『生中継68』概要
『生中継68』(Namachuukei 68)はコナミが開発しSHARP X68000専用として1991年7月30日に発売した野球ゲーム。公式略称は「なまろく」。本来、7月19日を決定とした発売予定だったが延期された。メモリは1メガバイトで動作するためそれまでに発売したX68000全機種で標準動作。また、ユーザーディスクを作成することによってペナントレースのデータや新チームのデータが保存できる。モニター出力は一部画面を除き15kHzモードを使用しているため純正モニター以外を使用している場合は特に注意が必要だ。(31kHzでの起動も可能)
ネーミングは横文字とサブタイトルを避け、ビールと枝豆が似合うTV中継の雰囲気があってドロ臭い感じで、漢字を使用したシンプルなタイトルにしたという。これは、プロレスゲームに間違われるとか、68が西暦とか昭和に間違われるという懸念があったそうだがこのまま落ち着いたそうだ。
メインプログラムは赤田勲(Isao Akada a.k.a 赤パパ, 1962年-)が担当。企画とサブプログラムを担当したのは豊原浩司(koji Toyohara a.k.a TOY, 1966年-)。X68000での企画がスタートしたのは1989年のこと。MSX2用『激突ペナントレース2』(1989年8月30日発売)のグレードアップ版を移植する方向で進んでいたが、一からやり直すことにしたという。
◆コピー問題が大きくなった時代
『生中継68』発売の1991年7月はコピー問題が雑誌で大きく取り上げられ大きな反響を呼んだ月でもあった。当時だけでなく、もっと以前より「コピーユーザーがいなければもっと売れるはず」という話題はあった。影では違法コピー(例えば複製品を友人に配る・貰う、コピーを残して製品を売ってしまうなど)が問題になっていたがメーカーが大きな声を上げての問題提議を行うことはそうそうなかった。
しかし、パーソナルコンピュータ情報誌ログイン(アスキー刊)のNo.14に掲載されたズームの「ありがとう広告'91」で気づかないレベルでさらっと触れられた"ムダンフクセー"の話を皮切りに一部界隈と業界では話題沸騰となった。ちらりと見せたこんな状況ではX68000撤退もありえるかもよ的な話も波紋を呼んだ。
これを切っ掛けに、このままコピーユーザーが蔓延したままではソフトが売れず、X68000で開発しなくなる(できなくなる)という話がメーカーやパソコン情報雑誌では色々論じられた。
コナミでも4月に発売した『パロディウスだ!』はX68000所有者の半分以上が所有している(これには根拠はないだろう)のにちがいないのに X68000所有者の4分の1の本数も売れていないとゲーム評論家の山下章(やましたあきら)を通じてマイコンBASICマガジン1991年9月号上にて問題を発している。
『生中継68』ではディスクローディング時にメッセージが表示される。その内容はX68000界隈で話題になっていたコピー問題に触れている。当時、フロッピーディスクで提供されている市販ゲームには一般的にコピープロテクトが掛けられており簡単に複製できなかった。少なくとも1989年春頃には問題になっていたソフトレンタルショップはほぼ壊滅していたが、バックアップツールという名のプロテクトを外し複製できる通称コピーツールは残り続け一部のパソコンショップや旭屋書店などの大型書店でも購入することができた。そのため、違法コピー行為自体が大きく減るということはなかったのだ。
『生中継68』のドキュメントでも違法コピーの問題が大きく取り上げられており、「このままではコナミは68の開発を続けていけません」と危機感を募らせて締め括っている。このメッセージはそういった時代の世相を表している。
◆野球に興味のない私が買った
私は、野球ゲームに対して興味はあまりなくそれなりに面白いとは思っていたがリアルにはほとんど興味がなかった。野球そのものや観戦にも興味があったわけでもない。野球を題材にした漫画やアニメも興味がなく殆ど見なかった。
野球との接点はテレビが一家に1台しかない家庭で育ったのでチャンネル争いというより、親の嗜好(父は巨人ファン)に付き合って見ている程度の存在だった。なので、世間一般で有名と思われる選手は知っている程度で殆どの選手の名前も顔も知らない。そんな人間であった。
コナミがX68000専用で『生中継68』を開発していると雑誌掲載されても同時期に開発されていた同社の『パロディウスだ!』にしか興味がなかった。野球ゲームなど基本的にアウトオブ眼中だったのである。
しかし、ショッキングな出来事があった。あれは、日本橋に存在したパソコンショップのトムボーイだった。X68000のBGMを比較的大音量で鳴らし積極的に店頭デモを行う数少ないショップだ。ふと訪れた時、まだ発売前であった『生中継68』の店頭デモが行われていたのだ。
ウグイス嬢のアナウンスや歓声、応援歌などのBGMなど音の臨場感が半端なかった。しかも、テレビで見るようなリアルな画面だ。こんな凄いものが自分の所有するX68000で動くのか!と。それを見てクラクラ来てしまったのだ。野球ゲームはもしかしたら他社も『パワーリーグ』(ハドソン作品)のように高橋名人が喋るくらいまでは発展していたのかもしれない。しかし、興味がなく全くと言っていいほど目を向けてこなかった。そのため、今までに体感したことのないゲームに感じた。個人的にはとにかく衝撃的だったのだ。もちろん、発売するやいなや購入したのは言うまでもない。新しいアクションゲームとアトラクションを楽しむつもりで。
◆凝ったパッケージ内容にキリキリ舞い
パッケージは『パロディウスだ!』から始まったスリーブ型の「豪華美麗高級NEWパッケージ」(コナミ談)を採用しシュリンク包装されて出荷されている。(これは、後にX68000用として発売されたコナミ製品に最後まで引き継がれたパッケージングだった。)
X68000用のコナミ作品としては操作方法が複雑であり、マニュアル内容も複雑になっている。操作方法はそれまでに培われた野球ゲームの勘が通用しない。帰りの電車でマニュアルを読みながら、これは買って正解だったのか複雑な思いだった記憶が残っている。
ちなみに、マニュアルはキャラクターを使って難しい冊子に見えないよう配慮されており、キャスターと解説者の対話形式で進行される。中でもこういう表現方法もあるのか、と驚いたのが目次だ。テレビ欄の番組表における時間がページ数を表している。(当ページの目次もそのパクリオマージュだ。)
ただ、最近は新聞を取る家庭も少ない上に、若い方々はテレビを見ることも少なくなったそうだ。このネタに細かい解説を加えないといけない日はそう遠くない予感がする。
◆トルネード投法をリアルに再現
自宅に帰って実際にプレイしてみて驚いたのはテレビ視点のリアルさだけではなかったことだ。
投手が右投げか左投げかでマウンドの位置表示が変わるのだ。バッター側からの表示位置も変わる。加えてボールカウントの表示位置や投手名、防御力の表示位置まで変わる。果たしてどれだけのプレイヤーが気づくかという細部のこだわりにどれだけの労力をかけるんだ!と感激した。(単にボールの表示コースを共通化させるための苦肉の策とも考えられるが)
もちろん、野茂英雄(Hideo Nomo)投手のトルネード投法を再現している様を目の前で見たときはやたら興奮した。藤井寺BUTTERFLYS(近鉄)に登録されているのぼのフォークボールはエポック社の野球盤に存在した”消える魔球”のような快感を味わえる麻薬のような選手だ。愉快、痛快の気分で笑いが止まらなかった。(子供の頃はよく魔球が問題になって喧嘩した)
◆クセのあった送球操作
守備操作 …送球 …ボールを持ったまま走る。 青い矢印を移動させて塁を指定する。
ランナー操作 …帰塁 …進塁 + …ストップ
操作方法として後に 任天堂スーパーファミコン用に発売された『実況パワフルプロ野球'94』へ引き継がれたという点で、ヒッティングスコープの操作によるバッティングや、ピッチング操作 が『生中継68』の特徴としてよく取り上げられる。もちろん『生中継68』の特徴はこれだけに終始しない。その中でも印象的なのはテレビ中継を模した守備画面の操作(走塁・送球)だ。
ライト側、センター側、レフト側の3方向の視点により押す方向キーが変わるのには多少の慣れが必要で苦しめられたプレイヤーは多かったかもしれない。
視点を犠牲にするか、操作面を犠牲にするか、コナミもかなり検討を重ねただろうことは想像に難くない。結果として視点を優先したわけだが、画面を見ながら操作すると意外にできてしまうものだ。説明書を見ながら考えるより1ゲーム遊ぶとこんな私でも慣れてしまったのだ。このあたりの調整は相当思い悩み苦労したのではないだろうか。
3アウト時のチェンジにおける演出も芸が細かい。内野手がボールを受け取ってアウトにした場合はマウンドにボールを放り投げる演出が組み込まれている。今でこそこの程度、と思われるかもしれないけどこれだけで、おおっ!とか思ったのだ。アイキャッチBGMもどこかからパクってきたのか?と思うような違和感のない完成度だ。ただ、何度も記載するが私は野球ゲーム経験が殆どないので、他の作品では当たり前の光景であったかもしれないことは重ねて記載しておく。
◆元祖お笑いメーカーコナミ
テレビ中継を模しているだけあって、テレビ中継放送後のニュース番組内で行われたプロ野球ニュース(フジテレビ系列)が再現された プロ野球"の"ニュース が用意されているだけでも爆笑だ。このプロ野球"の"ニュースは各試合終了後に用意されている各試合結果、またプレイヤーの行った試合に関して各キャスターが解説、喝を入れてくれる番組だ。
パッケージにも採用されている当時のレイトレーシングを模した画像が表示され、これがグリグリ動くのか!!とコナミの本気を見た…ような気がした。ただし、それは一瞬だった。放たれたボールをバッターが打ち返すアニメを期待したが…結果として頭に一直線。ピッチャーの腕は振れ続け、バッターの頭はビンヨヨーンと揺れるだけというオチ。大爆笑だ。(思えば笑いのツボは小学生レベルだった)
そして、左右からスタイリッシュに登場するプロ野球ニュースほぼそのままのロゴ。パクリかと思いきや上から落ちてくる「"の"」の文字。
プロ野球 "の" ニュース。やりすぎ(褒め言葉)である。
今なら相手次第で訴えられて一発アウトになるかもしれないヤバい案件と解るが、こういう遊び心がまだ許された時代。おいおい、と目を三角にせずひらすらゲラゲラ純真に笑った。
MSXのコナミ製品はお笑いのエッセンスを盛り込んだ作品(『シャロム』、『ウシャス』、『パロディウス』など)もそれなりに発売されており、そういえばこの『生中継68』もMSXの血を引いた作品である、と再認識したのだ。
もちろん、プロ野球"の"ニュースにはキャスターが用意されている。ペナントレースを除いて、試合開始前に選択させられたキャスターの組み合わせは試合後のここで活きてくるのだ。わざわざキャスターのバリエーションまで作成してくるおふざけ具合(本気度)も凄い。目パチ、口パクはもちろん開始と終了時にはお辞儀までするアニメーションまで用意されている。
このキャスターは完全な架空の人物ではなく当時プロ野球ニュースで実際に解説とアナウンサーを行っていた方をモデルにしており、実名をパロって登場させている。
十橋勇夫(どばしゆきお)→ 土橋正幸(Masayuki Dobashi)
高井澪(たかいみお)→ 中井美穂(Miho Nakai)
ユッキー西元(ゆっきーにしもと) → 西本幸雄(Yukio Nishimoto)
寸田詩由里(すんだしゆり)→ 須田珠理(Juri Suda)
アイドルやアニメキャラクターをそのまま使ったような脱衣麻雀系ゲームを度々見かけることはあったが、まさか真っ当なゲームで組み込んでくるとは驚いた。今なら肖像権などで問題になりそうということが理解できるが、そんなことは分からなかった。遊んでいても楽しんだけど、これはもう開発が一番楽しんでいる、というのがビシバシ伝わってくる。多分、開発が遊んでいる。
◆様々な楽しみ方を詰め込んだ宝箱
『生中継68』にはオリジナルチームを作成できるモード(新チーム編成)が用意されている。球団の本拠地、チーム特性、ユニフォーム、チームマークを選択でき、チーム名、選手名などは自由に作ることができる。ボーナスポイントの割り振りを調整すればパラメータMAXの選手を作ることも可能だ。(もちろん、他の選手に割り振れなくなるケースも発生するが)
クラスの好きな女の子ベスト10みたいな名前を登録し、数十年後に見つけたデータを見て悶え苦しむプレイヤーも世の中には一人くらいいるかもしれない。
他にも日本シリーズやオールスター戦(試合数を16以上にしたときのみ)が用意されていたり、謎のチーム(100試合以上試合を行うと昭和OLD BOYSが登場)の参加などオマケ要素も準備されている。コナミは様々な楽しみ方を考えており、フロッピー2枚という限られた制限の中でなるべく多くのプレイヤーに楽しんでもらおうとしている熱い心はビシバシ伝わってくる。
◆大人にX68000の凄さを見せつけた作品
私が最も推したいモード。それは「観戦」モードだ。X68000から出力される音をコンポに接続し、リバーブやサラウンドなどの残響効果機能を通してやれば大迫力だ。この時から『生中継68』を流すという新しい時間の使い方が確立された。試合結果に興奮することはないが、友人同士なら試合結果を賭け事に使うなんてことで遊び方もできる。また、私の周りではゲームに否定的だったり、興味のない中年、高齢者が多かった。全てではないが、恐らく世間的にそういう観念を持たれている時代だ。そういった方々にも『生中継68』の「観戦」モードは絶大な効果を発揮した。X68000とそれを所有している自分を認めてもらえたような嬉しさがあった。(小せえ)
一般論として及第点以上であろう人気を博した『生中継68』だが、『ファミスタ』のように92年度版や93年度版のようなものは発売されなかった。しかし、もし改良版のような『生中継68』が出たら購入したかというと私はノーだ。野球ゲームのファンは最新の選手データ、打率や防御率のバグ改善など、バージョンアップを求めている層が次なる『生中継68』を求めたのかもしれない。が、私は選手内容はデタラメで「ぴの」のような形でも最悪構わなかったのだ。私は野球ゲームを求めたのではない。『生中継68』の臨場感による興奮と感動と驚きを買ったのだ。
◆内蔵音源で想像以上にレベルの高いBGM群
『生中継68』のBGMはX68000に標準搭載されているFM音源(YAMAHA YM2151)に加えてADPCMサンプリングを同期させ主にリズム音源として使用(試合中の応援歌BGMなどは除く)している。なお、外部MIDI機器による演奏は対応していない。
『生中継68』のサウンドをメインで担当したのは竹ノ内裕治(Yuji Takenouchi a.k.a TECHNOuchi、1969年2月25日-)。同社のサウンドスタッフである碇子正広(Masahiro Ikariko)らしき名前もクレジットされているが詳細は不明だ。
竹ノ内裕治は1989年にコナミへ入社し、『激突ペナントレース2』でデビュー。『生中継68』に携わるまでのおよそ2年で他にもパソコンゲームでは、『スペースマンボウ』(一部楽曲のみ)、『クォース』(一部楽曲のみ)に携わっている。
楽曲を演奏するために起動時に組み込まれ使用されているサウンドドライバーである”生中継68 MUSIC-DRIVER”(OPMXDRV)は竹ノ内裕治が諸先輩にアセンブラを教えてもらいながら自らで完成させたという。
当時のプロ野球ニュースによく使用されていたBGMイメージを模したのかは不明だが、応援歌やアイキャッチを除いてBGMのジャンルはフュージョンで統一されている。竹ノ内裕治は、それまでフュージョンを聞いたことが無く楽曲としても初挑戦だったそうだ。それで、この出来栄えだ。
正直、購入した段階では先に発売された『パロディウスだ!』と比較して当時トレンドでもあった外部MIDI機器に非対応というのは手抜きのような気もしてあまり期待していなかった。
しかしどうだ。FM音源で奏でられるコナミらしからぬ一味違った美しい音色、ゲームらしさを感じさせないまさしくフュージョンのポップなサウンドがX68000から流れてくるのだ。当時パソコンゲームで主流だった外部MIDI機器Roland MT-32では再現できないだろう。無理に対応してかえってダサくなってしまった作品も聞いてきたので、これはこれで正解だろう。(内蔵音源とのシンクロ演奏はありだと思ったが)
ただ、これだけの楽曲を提供しておきながらコナミは大きなミスを犯している。ミュージックモードが裏技を含めても存在しないのだ。リーグ制覇やエンディングなど聞く機会の殆どないであろうBGMを思い出せる人間がどれだけいるだろうか。
『生中継68』の中で選ぶ曲ではなくとも個人的にX68000のゲームとして聞かせたい曲で必ず選ぶのが、エンディングに使用された「poisson d'avril」[ポワッソンダヴリル=4月の魚=エイプリルフール]。ペナントレースのシーズンを終え最後に聞くことができるレアBGMだ。イントロの美しいギター音に想像だにしていなかったADPCMによるボコーダーボイスの組み合わせ。開始10秒で鳥肌が立った。これまでのキャッチーな雰囲気から一変してしっとりとしたフュージョン。エンディングそのものはおふざけなのに、曲でしんみりさせてくるのは卑怯だ。この曲を聞くことができないのは不幸とさえ言えるだろう。
ちなみに『生中継68』の曲名はほとんど不明だが、ローディング時とエンディングのBGMはセルフアレンジが存在。2012年に存在した旧サイト「missingsoul」(http://missingsoul.web.fc2.com/)に明記されていたものが唯一と思われる。(残念ながらWebアーカイブは残っていない)
ユーザーディスクの作り方
『生中継68』ではユーザーディスクを用意しないと『ペナントレース』の途中データや、『新チーム編成』で作成したユーザーチームがセーブできない。ゲームを始める前にあらかじめユーザーディスクを作成しておく必要がある。
1,ブランクディスクを1枚用意する。
2,ディスクAをドライブ0にセットしESCキーを押しながらリセットする。
3,ユーザーディスク作成プログラムが起動するので、画面の指示に従ってディスクを入れ替える。
なお、「オープン戦・対戦・観戦」はユーザーディスク無しでもプレイできる。
ユーザーディスク1枚のセーブデータ
①ペナントレースデータ1シーズン分
②『新チーム編成』のエディットチーム12チーム分
キー操作解説
← | ↑ | → | ↓ | ← | ↑ | → | ↓ | A | B | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1Pキーボード | 4 | 8 | 6 | 2 |
7 (4+8) |
9 (6+8) |
3 (2+6) |
1 (2+4) |
XF・4 | XF・5 |
2Pキーボード | G | Y | J | B |
T (G+Y) |
U (J+Y) |
N (B+J) |
V (B+G) |
XF・1 | XF・2 |
TIME | ESC・マウス |
途中で試合を終わらせたいときはSHIFTキー+BREAKキーを押す。オープン戦・対戦・観戦時はモードセレクト画面に戻り試合をキャンセルできる。
ピッチング解説
球種
タイミング | 投球モーションに入るまで | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
操作
備考 |
右投手の場合
・球種を選択しなければ普通速のストレートになる。 ・球種を選択せずに🅰ボタンを2度押すと、チェンジアップが投げられる。 ・左投手の場合は、左右逆になる。 |
マウンド上の立ちポーズ
コース
タイミング | 投球開始からリリースポイントまで | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
操作 |
|
投球開始ポーズ
キャッチャー
けん制
タイミング | 投球に入るまで | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
操作 |
|
バッティング解説
①ストライクゾーン
この範囲内に入ればストライク。
②ヒッティングスコープ
バットを振った時にボールがこの範囲にあれば当たる。
③スィートスポット
このポイントでボールをとらえるとジャストミート
④ピッチャーの狙ったポイント
投球を開始して、リリースポイントまできた時に狙ったポイントが表示される。ここを狙う。
ヒッティングスコープ
高 打巧 低 | バッタータイプによる違い |
---|---|
バッターの技術が高いほど大きい。 当然大きい方が有利。 |
バッターによってスコープの形が3タイプある。 縦長は縦の変化に、横長は横の変化に強い。 |
内蔵チーム紹介
Cリーグ
東京 GANBALS
圧倒的な投手力を誇る。
また、控え層の厚さも魅力。
ただし打撃はもうひとつ。
名古屋 DONJARAS
投打のバランスがとれた好チーム。
終盤までに勝ち越してリリーフ
エース投入がパターン
広島 COOPS
機動力主体のチーム。
長打に乏しい分は、足でカバー。
かつての投手王国には少し陰りが…。
神宮 SMANNOWS
若手中心の元気なチーム。
イキのいいクリーンナップと先発陣。
ストッパー要因の不足が痛い所。
大阪 TRACKLES
ストライクのとれない投手陣が
ちょっと苦しいか?
長打力のある選手が揃っている。
横浜 WALLS
ベテラン投手陣・外国人選手を中心に
アグレッシブなゲームを展開。
総合力ではやや劣るが、積極野球
でAクラスを狙え。
Pリーグ
所沢 LINERS
攻守走、3拍子揃った最強チーム。
あえて弱点をあげれば、
主力投手の一発病か。
藤井寺 BUTTERFLYS
超大型新人加入のミラクル球団。
投手力、打力ともにパワフルさがウリ。
盟主奪回を狙う。
西宮 BRAINS
下位打順まで続く、大型スラッガー打線。
ホームランによる得点率が高い。
その代わり投手陣が力不足。
日本橋 FLOWERS
投手力はリーグ1、2を争う。
打撃は今一つだが、外国人選手の
活躍次第。
福岡 HORRORS
リーグ随一の弱投チーム。
しかし、打線はなかなかのもの。
閉店前のサービスでどこまで頑張るか。
川崎 ONIONS
渋い打線に渋い投手陣。
特にとりえはないものの
ソツのない試合展開を見せてくれる。
トリビア
テレビ欄の元ネタ
『生中継68』では試合前の対戦チーム選択と司会・解説選択によりテレビ欄へ反映されるというユニークな仕様になっている。表示されている番組名は完全にオリジナルの番組で構成されておらず元ネタが存在する。一部を除き1991年当時の番組から拝借しているようだ。また人物名は開発者を捩った物だと思われるが2名は不明のままだ。
少年空想科学特撮劇場 ウルトーマン’66
☞1991年からは大きく外れるが、「空想特撮シリーズ」+「ウルトラマン」。'66はウルトラマンの放映年か?侵略者の "N312" は メタルギア の物語に登場する FOXHOUND が最初に失敗したミッションの名前。黒部(?)
特番わいどワイド
☞フジテレビで放送していたワイドショー・情報番組「ワイドワイドフジ」。亀井由子(?)
天然のアルバム
☞毎日放送で放送されている「皇室アルバム」。天皇のアルバムを捩って「天然のアルバム」としたのか?
味な招待席
☞朝日放送で放送されていた関西ローカルのミニ番組「味の招待席」。
ファイナライザー
☞テレビ朝日系列で放送されていたアニメ「太陽の勇者ファイバード」。新聞では「ファイバード」とのみ記載されることが多かった。「ファイナライザー」は1985年に開発・稼働したコナミの業務用基板。
OVAだいすき
☞読売テレビで春休み・夏休み・冬休みのみ放送されていた関西ローカル番組「アニメだいすき」。沙羅曼蛇は1988年~1989年にかけて実際にOVAとして発売されている。
3丁目の雄飛くん
☞全話放送したのは毎日放送のみの関西ローカル番組アニメと言っても過言ではない「三丁目の夕日」。竹野内先生(竹ノ内裕治)。
井上・松田のぱぁにっくテレビジョン
☞日本テレビ系列で放送されていた「丹波・山瀬のパニックTV」。井上(井上正廣)、松田(松田智佐)。
アカッダ一家物語
☞フジテレビ系列で放送されていたアニメ「トラップ一家物語」。「サンプルは近い!!」は恐らく「店頭デモサンプル」(ディスクラベルに記載されていた印字)の締め切り期限のことではないだろうか。アカッダー(赤田勲)、こうじ(豊原浩司)。
ウィークリースペシャル 怪奇特集パート4
☞日本テレビ系列で放送されていた「土曜スーパースペシャル・怪奇特集」。「あるゲーム会社10Fの足音」はコナミ神戸ビル10Fの大浴場と宿泊エリアを指す。
ドラマチック22
☞TBS系列で放送された2時間ドラマ「ドラマチック22」で名前は全く同じ。本来「22」は「ツーツー」読みだが「にじゅうに」と読ませることで逃げようとしていたのかもしれない。大田涼(大田良彦)、豊原鑛(豊原浩司)、赤田慟(赤田勲、碇子雅(碇子正広)、木下掬(木下富晴?)
トライアングル
☞NHKで放送されていた「トライ&トライ」。読みトライアンドトライの「トライアン」を拝借したようだ。
クイズ・タイムアタック
☞朝日放送で放送されていた関西ローカル番組「クイズタイムショック」と「パネルクイズ アタック25」の合成。
裏技の紹介
◆隠しドキュメント
ディスクAに 開発.読 のファイルがある。内容は開発者のドキュメント。
◆隠しフランチャイズ1・難破船スタジアム
難破船スタジアムは佐渡ヶ島の北に位置する。背景をよく見るとゴジラらしきものが船に火を吐いて次々に船を難破させている。
◆隠しフランチャイズ2・椰子実スタジアム
椰子実スタジアムは沖縄県の北西、および岩手県の南方の2ヶ所に存在する。椰子の木は生い茂っているが実は無いようだ。これだと椰子木スタジアムだろう。
◆隠しフランチャイズ3・生ゴミスタジアム
生ゴミスタジアムは愛媛県の南と千葉県の南の2ヶ所に存在する。生ゴミが示すとおり海は不衛生なためか色が暗く濁った色をしている。
◆隠しフランチャイズ4・瓢箪島スタジアム
NHKで放映されていた「ひょっこりひょうたん島」を恐らく模した島が 生中継68 の世界に存在する。太平洋の遥か南東を漂流しているようだ。
◆隠しフランチャイズ5・やまとスタジアム
やまとスタジアムは岩手県沖から南に位置する。やまとと言えば宇宙戦艦をイメージするかもしれないが、どうやら背景に見えているのは沈黙の艦隊に登場する潜水艦「やまと」のようだ。
◆31kHzで動作させる(マニュアルに記載)
起動時に F5 キーを押しっぱなしにしておくと一部15kHzで起動するゲーム画面が常時31kHzで動作する。15kHzで動作しないモニターを所有している場合には有効だ。オーバースキャンでなくなるため、画面表示は少し小さくなる。
◆起動時に試験電波の音を鳴らす
起動時に x キーを押しっぱなしにしておくと通常メッセージと共にローディングBGMが流れる場面で試験電波の音(テレビ放送終了後によく流れていた)が流れる。音が変わるだけで起動画面などは全く変わらない。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(FM音源+ADPCM)
内蔵音源
音源チップ:YAMAHA YM2151(OPM)+ OKI OKI MSM6258
01 remain to summer (LOADING)
02 オープング
03 メニュー
04 ペナントレース
05 BGM A
06 BGM B
07 BGM C
08 BGM D
09 Hit!
10 チェンジ
11 ゲーム終了
12 プロ野球のニュース オープニング
13 ニュース
14 リーグ制覇
15 poisson d'avril (エンディング)
合計時間 : 24:15
作曲 : 竹ノ内裕治
DISCOGRAPHY
レジェンドオブゲームミュージック
コンシューマーBOX
発売日: 2006年3月24日
価格: 16,800円(税込)
商品番号: SCDC-00497~506
販売元: サイトロン
証言
竹ノ内裕治のTwitterでのつぶやき(現在は削除)
効果音は試合中は幸いなことにドラムな楽曲がないので(応援歌なので)ADPCMを使える!ということで、FM音源で再現出来ないような効果音はADPCMで再現しました。あとチーム自体が後のパワプロチームだったので色んなアイデアを出し合って、うぐいす嬢の再現、これは野球ゲーム初かな?
フュージョンというジャンルって聴いた事なくて、どうしたもんかと思いながら頑張って制作した訳ですが、やはり同じコナミの大先輩「古川もとあき」サンをお手本として、そして目標としていました。サウンドドライバーは当時の先輩サウンドプログラマーにアセンブラを教えて貰いつつ自作しました。
発売日に関して
出典:Oh!X 1991年8月号 生中継68広告
当時の広告
エンディングムービー
■エンディングムービー