史上最大のギャグ戦
パロディウス
~ タコは地球を救う ~
対応機種 : MSX
メディア : ROMカートリッジ
(1Mbit ROM)
定価 : 5,800円
発売日 : 1988年4月28日
再販日 : 1991年4月23日
販売元 : コナミ
○SCC搭載(カシオPV-7使用不可)
○コナミのSRAM対応
目次
パロディウス for MSX
※マニュアル抜粋
PACKAGE REPRODUCTION
かたや宿敵「バグ」。
何なのよこれ。
ちょっと
面白すぎるじゃない?
★このソフトは「コナミの新10倍カートリッジ(RC755)」のSRAMにゲームセーブができます。
★プレーヤーが5人(匹、機)の中から自由に選べます。 ★新開発SCC(ウエーブ音源LSI)搭載。
RC759
●一人または二人で遊べます。
●MSXおよびMSX2で使用できます。
●キーボードまたはジョイスティックが使用できます。
●パソコンにより音のバランスが悪くなる場合がありますが ゲームの進行には影響
ありません。
●カシオPV-7では専用の拡張スロットボックスを使用しないとSCCの音が出ません。
コナミ株式会社
Made in Japan
\5,800
●MSXマークは株式会社アスキーの商標です。
『パロディウス』について
◆『パロディウス』概要
『パロディウス』(PARODIUS)はコナミが開発し1988年4月28日にMSX専用として発売した横スクロール型シューティングゲーム。1987年11月頃から暇になった3チームのスタッフが集まるという異例の開発がスタート。当時のコナミ史上最短の開発期間で完成した作品で、僅か1~2か月(恐らく2か月弱)でマスターアップしたとのことだ。
ROMにはコナミの開発したSCC(ウエーブ音源LSI)を搭載。また、別売の『コナミの新・10倍カートリッジ』に対応しており、使用時にはステージ途中のSRAMセーブ(現在で言うステートセーブ機能)を使った攻略も可能としている。
およそ3年後の1991年4月23日には限定2000本(定価は5800円だが消費税が別に必要になった)の再販売が行われ、1991年7月号(6月8日発売)の売上TOPでMSXマガジンは4位、MSX・FAN は6位に返り咲いたという異例の実績を持つ。(2000本の出荷程度でランキングされるくらいには既にMSXのゲーム市場が疲弊していたとも見て取れる)
福武茂(Shigeru Fukutake)が MSX・FAN 1988年9月号で発言した『パロディウス』や『エルギーザの封印』のプログラマーNから プログラマーは長江勝也(Katsuya Nagae)が担当の一人と推測される。
長江勝也の手掛けた作品の全ては不明だが、MSXの中でも名移植と名高い『グラディウス』や『シャロム』を手掛けたプログラマーの一人でもあるようだ。『グラディウス2』ではプログラマーとして参加していないが、プログラムディレクター(管理)として参加していたようである。他にもプログラマーが存在しているはずだが現在はこれ以上判明していない。
◆『パロディウス』と『グラディウス2』との関係
ゲーム内容はコナミから1987年8月に発売した『グラディウス2』のシステムを元にパロディ化し昇華させたもの。その名残がパワーアップゲージや残機グラフィック、スコア表示に見受けられる。タイトル画面もほぼ流用だ。オープニングの文字表示方式も流用で、最初に表示されるメッセージはもろにパロディー化したものを使用している。
『パロディウス』は『グラディウス』シリーズの伝統である空中戦もBGMと共に用意されており、パワーアップシステム、最終ステージが要塞(要星)などの共通点で系譜の血は受け継がれていると言えるだろう。ただし、難易度は『グラディウス2』と比較した場合かなり落とされている。パワーカプセルを持った敵がかなり多く出現するのでどんどんパワーアップできる。もちろん、やられたときの復活も行いやすい。加えてタイトル画面で難易度も選択でき「らくしょうパターン!」を選択すれば空中戦も含めて敵機の移動スピードは格段に遅くなるので、シューティングが(多少)苦手なプレイヤーにも(多少)配慮されている。
ただし、コナミ側は「らくしょうパターン!」を標準としておらず、通常のデモシーンでは「じごくを見る!」の難易度で展開される。(空中戦で敵の移動スピードを確認すれば一目瞭然)それでも、「コナミの地獄もぬるくなったものじゃのう…」と思わされるくらいの難易度に留まっている。
◆『パロディウスだ!』を『パロディウス』と呼ぶべからず
残念ながら、現在においてファン以外が一般的に語る『パロディウス』という単語はMSX用として開発されたこの作品を指さないことも多い。SNSなどを参照していると『パロディウス』の記載は『パロディウスだ!』を指していることもあるので記事や感想として参照する場合は注意が必要だ。("だ!" が付いている一つの理由として『パロディウス』と別作品とする意味が既に伝わっていない)
これは、業務用基板として開発され1990年4月25日に稼働した『パロディウスだ!』がシリーズとして名を馳せた作品となるためだろう。家庭用ゲーム機及びSHARP X68000など様々な機種に移植されたのを契機に知名度が大幅に上がった。そのため、それより前に発売され移植もあまりされなかった元祖となる『パロディウス』はゲーム好き以外に知られていないケースが多いようだ。
※海外ではローカライズされたMSXの『パロディウス』は発売されていない。そのためか、日本の『パロディウスだ!』が『Parodius』の名で発表されている国もある。(国際的に話をするとややこしさが生じる可能性は高い)
◆『パロディウス』はストレス解消で作られたわけではない
『パロディウス』はプログラマーがストレス解消で作成していたという逸話が残されている。2月に初出の「突然の緊急発売」という広告記載を見る限り、眉唾ではあるがあながちウソではないように思われた。しかし、後にこれが話題性を狙ったホラ話であることがわかる。
MSX・FAN 1995年6月号にて当時コナミ開発本部長であった永田昭彦(ながたあきひこ)により、『パロディウス』は年末作品の開発が終った3チームが暇になったため、この際にお遊び路線を突き詰めたものを作ろうということで作成したものということが明かされる。3チームというのは時期的に恐らく『ウシャス』(赤田勲、豊原浩司がプログラムに関わった作品)、『シャロム』(長江勝也がプログラムに関わった作品)、『沙羅曼蛇』のチームだろう。
開発陣のストレス解消にはなったかもしれないが、ストレス解消のために作ったのではないということだ。
※パロディウス開発時期には『スナッチャー』(PC88,MSX2)、『ブレイクショット』(MSX2)、『THEプロ野球激突ペナントレース』(MSX2)が開発中。少なくともPCの開発は6チーム存在したということだろうか。
これは仮説だが、もし先述のチームが合わさっているのが事実であれば『パロディウス』のようなセンスは不思議ではないと思うのだ。なぜなら、コナミの中でもブラックジョークやユーモアのセンスは抜群に秀でた(個人的主観)スタッフで構成されているからだ。
◆製品化までの空白期間が長すぎる謎
『パロディウス』の雑誌記事初出は私の調べた限り1988年2月だ。なのに、2月8日発売の MSX・FAN 3月号(徳間書店刊)では早くもステージ3までの特集が組まれている。全ステージの攻略記事も可能であったようだが他誌も同様に2月での紹介記事は3面まで(これはコナミから制限を掛けられていた気配を感じさせる)だった。これは逆算すると1月の早い段階で完成していたことを裏付ける。当時のコナミは通常の開発期間が4か月~6か月のことだったので、3チームのスタッフを使っておよそ半分の期間で開発を終えたことがわかる。(BGMのメンバーは総出だったそうだ)
ステージ完全攻略は製品発売よりも1か月以上前である3月8日発売の MSX・FAN 及び MSX応援団 の4月号にて完了。製品化までの4か月近くに渡る長い空白の期間は生産に関する問題だったのか、そうでなかったのかは不明だ。
唯一異例だったのは コンピュータゲーム情報誌のBeep(日本ソフトバンク刊)だ。貴重な画面写真が1988年3月号に掲載されている。他誌が製品版相当のROMが貸し出されている様子が見受けられる状況で、Beepだけはその範疇を外れコナミから提供されたと思われる画面写真を使用している。
この写真、よく見るとパワーアップのゲージサインが製品版では「何もなし」なのに『グラディウス2』とフォントも全く同じ「ENABLE」になっている。そして、ゲージの種類も6つ(製品版では7つ)。また、ペンギンのミサイルも製品版ではウンチなのがビッグバイパーと同じものが汎用として使用されているのが見て取れる。
ちなみに、各雑誌に使用された3月号(2月発売)の小さな広告には1画面、ミュージックテープの背面には3画面、開発中の画面写真が使用されている。これらからタコは早期に実装(絵柄は大きく違う)されていたことが分かる。また、1面ボスであるビッグペンギンの周りを回っている子ペンギンの数が9羽いて軌道が大きいという違いがあり、Beepに掲載された画面より更に前の開発画面であることが分かる。
◆ゲームのバックグラウンド
ゲームのバックグラウンドは『グラディウス2』ネタを一部使用しつつバグと絡めたものだ。奇しくも開発中の12月に珍バグ発生でも(一部界隈で)有名な『A-JAX』をアーケード版でリリースしている。これの自虐ネタなのか、それとも最後の最後でバグが潰せず最初から作り直したというMSX2版『キングコング2』(1986年12月27日発売) に対する苦しみのことなのか。それとも、同じ開発時期でありながら未発売となった『ブレイクショット』に纏わる何かなのか。闇が深い。
恐らく我々プレイヤー側からは見ることのできない世界に対するメッセージなのだろう。
『パロディウス』はスペースファイターが5人(機、匹)選択できるようになった。ペンギン、ゴエモン、ポポロン、ビッグバイパー(グラフィックはMSX版『沙羅曼蛇』の「サーベルタイガー」)はMSXのコナミゲームで活躍したキャラクター達だ。
なお、『パロディウス』においては「ビックバイパー」ではなく「ビッグバイパー」であることはこれからマニアになろうとするなら覚えておきたい。名称に加えてグラフィックも間違えているというのはツッコミ待ちのギャグなのだろうか。ホンキで間違えたのかギャグなのかわかりにくいところだ。
なお、意外に気づいていないプレイヤーが多いのは選択シーンの洗濯機(sentakuki)だ。これは選択(sentaku)を掛け合わせたダジャレだ。これで日本中はドッカーンだ。
◆なぜ突如タコが登場したのか
例外が今作にて初登場、事実上の主人公となる「タコ」だ。師匠のタコ八助(タコ八郎を捩ったもの)が突然水死するという共通の死に様を描いたブラックジョークや、横山クック(横山ノックを捩ったもの=愛称は「タコ小僧」、「明石のタコ」)という「タコ」の共通点を持つ芸人が師匠というシャレを設定に仕込まれている。なぜ、タコが突如ゲームに登場したのかという理由に関しては現在も謎に包まれている。
◆実はキャラにより当たり判定の大きさが違うのを知っているか?
選択(洗濯)したスペースファイターによって攻撃バリエーションは一切変わらないが、パワーアップカプセルや遺言、ミサイルやバリアの形状が異なる。また、サウンド面では通常ショット音がキャラクターに応じて変化する、という点はあまり知られていないかもしれない。
ただし、雑誌やレビューなど「見た目以外は変わらない」とされているが、それは間違いだ。マニュアルを良く読んでみよう「どのプレイヤーもパワーアップなどの機能や性能は同じです」、とパワーアップにしか触れていない。実は、最大の違いはキャラクターによって当たり判定の大きさが違うということだ。「小さなことからコツコツと」と言っていた ビッグバイパー の精神。これは間違いではなかったとも言えよう。(無理矢理)
◆笑って許せるのはどこまでだ?
『パロディウス』には、難点、問題点と評価される点がある。例えば、じゃんけんシーン、横ワープ、何~やそれ。細かい説明をしなくとも、この単語だけでプレイヤーには苦いシーンがフラッシュバックすることだろう。初見殺しも含め、シューティングゲームとして納得の行かない部分として意見を挙げられるこれらの点だが、これこそ笑いの部分だと考え直して欲しい。
一人でプレイした場合には理不尽だったり苦痛にしか思えない腹立たしいシーンは数々あるだろう。しかし、友人とワイワイ楽しんでいる場であればどうだろうか。「何~やそれ」を押した時に思わず「何~やそれ(or これ)!!」と叫んだとはないだろうか。『パロディウス』におけるプレイヤーの動揺、負け様、死に様の滑稽さはそれを見ているギャラリーの爆笑を誘う。コナミは場の盛り上がるゲームを開発で目指していたのではないだろうか。無茶苦茶に思える場面を包括しながらクソゲーと揶揄されないくらいの調整は行われていたように思えるのだ。
けど、このゲームPLAYするより見てる方が楽しかったりするんだよね。だれかPLAYしているといつのまにかギャラリーが増えて、大騒ぎ。おかげでうちの開発は仕事が全然進まない。コナミさん、いけませんよ! こういうソフトを作っちゃ営業妨害だ!
出典:「コンプティーク」1988年11月号 OTAKU CLUB 加藤雅史
マイクロキャビンの開発者である加藤雅史(Masashi Kato)が、「コンプティーク」1988年11月号に寄せた文章はまさにその本質を示している。
こういうところを開発者たちは想定していたのではないだろうか。タイトル画面の最後に表示されるメッセージ「このゲームあんましマジメにせんほうがええで。」とはそういう側面も表していたのではないかと思う。
◆笑いには教養が必要だ
現代において『パロディウス』の面白さを伝えることに問題があるとすれば、世代の違いから用意された多くの笑いに教養が必要になってしまうことだ。海外で販売されなかった大きな理由にもなるだろうが、『パロディウス』は日本固有の時事ネタ、マンガネタに関わる表現が非常に多い。
ネタ的にも概ね1970年前後(昭和40年代)生まれくらいの子供~青少年がターゲットだったのではないだろうか。
昭和末期から平成初期生まれくらいになると、1988年当時に関西では有名だった横山ノックやタコ八郎(Tako Hachiro)を知る人は大幅に減るだろう。西川きよし(Kiyoshi Nishikawa)のキャッチフレーズ「小さなことからコツコツと」ですらわからない人も多くなるだろう。
また、当時のプレイヤーなら第三惑星の『巨大宇宙モグラとトンカチとの間で続く紛争地帯』という紹介を見て、ゴックン、ピーン!と来た人が殆どだと思われるが、現代だと流行までには至っておらず、これも難しいかもしれない。なお、モグラ退治(叩き)のゲームは海外にも販売していたらしく、『パロディウス』の中では日本以外でも通用する数少ないユニバーサルなギャグなのかもしれない。まあ、現代風にアレンジするならばここはワニにするべきだろうか(危ない話)
我々の同世代が子供時代、Dr.スランプアラレちゃんで強烈に刷り込まれた「巻グソ(うんち)」。「ちゅどん」(元祖ではないがうる星やつらで有名に)、「ひでぶ」(北斗の拳)なども現代っ子には苦しい。当時はCMでもよく流れて有名だったお菓子の「おっとっと」、子供には謎の物体だった「多い日も安心」のロリエも今ではマイナー。落書きの顔代わりによく使った「へのへのもへじ」。遠足や運動会前日、お天気を願う時に吊るした「てるてる坊主」や「バ~リアッ」の掛け声と手の動きでバリアを張るという当時では割と見られた日本における子供の風習。流行語の「プッツン」なんかも伝わるのだろうか。現代でギリギリ通用するシャレは「愛は地球を救う」のパロディーくらいかもしれない。
◆トップを取れなかった『パロディウス』
当時、MSXでは話題をかっさらい、人気を博したと言っても過言ではない『パロディウス』と思うだろう。 しかし、『パロディウス』がMSX界で1位を獲得した時期があったのかというと残念ながら無かった。1988年中盤からはあの『イースⅡ』(日本ファルコム作品)をほぼ押しのけてコナミの『THE プロ野球 激突ペナントレース』が制した(読者が選ぶ順位ではなく売上順位の上位登場回数)ということを記録しておきたい。『パロディウス』はMSXマガジンにて最高4位(初登場は8月号で5位)。それでも半年はベスト20位圏内に残り続ける奮闘を見せた。(私には野球ゲームに興味、関心がなかったので、なぜ『THE プロ野球 激突ペナントレース』があんなに人気があり継続したのか理解できない)
個人的に悔やまれる点は、『パロディウス』がコナミから雑に扱われたと思われたことだ。製品発売よりおよそ50日も前に全マップと攻略法が数誌で公表されている。普通はこんな掲載許可は降りないだろう。発売前にゲームのほぼ全内容を丸裸にしてしまうなど購入を控えたプレイヤー、そして発売元であるコナミにとって百害あって一利なしだ。(『グラディウス2』は8月22日発売で、丸裸にされたのは10月8日発売号)見なければいいのだが、スクープ的な情報は見たくなるのも性。そんな理性など一般読者には無いだろう。
このあたりうまく取り扱いされていたならば、売上1位は取れなくとも、もう少し上の順位は狙えたポテンシャルは持っていたと思うのだ。
◆シリーズに継承されたBGMのスタイル
オリジナル・サウンド・オブ・パロディウス
アポロン音楽工業/1988年5月21日(CDは11月21日)
メディア/価格:
CD BY12-5023 1,200円
CT KHY1032 1,000円
収録曲: ①オープニングテーマ~セレクト&スタート!! ②空中戦闘のテーマ《各ステージ共通》 ③第一惑星[ウル星]のテーマ《クライム・オブ・センチュリー》 ④第二惑星[勝負星]のテーマ《ライト・オブ・オクトパス》 ⑤第三惑星[迷惑星]のテーマ《幻想蛸興曲》 ⑥第四惑星[迷菓星]のテーマ《お菓子な世界》 ⑦ 第五惑星[妖星]のテーマ《ザ・ワルツ・オブ・オクトパス》 ⑧第六惑星[要星]のテーマ《フェイト・オブ・オクトパス》⑨エクストラステージのテーマ《スウィート・エモーション》 ⑩クライシス・第4楽章 ⑪ボスBGM ⑫エンディングテーマ~ゲームオーバー!! ⑬SEコレクション《各種オリジナル・サウンド・イフェクト》
『パロディウス』にはコナミが開発したSCC(ウェーブ音源LSI)を搭載し、MSXに標準搭載されているPSG音源の3音を含めた最大8音のポリフォニック音響でBGMが演奏される。ただし、カシオPV-7ではカートリッジスロットに音響端子が付いていないためSCCの音が出ない。また相性の問題でカシオMX101、MX10、サンヨーMPC-1、MPC-25FD、日立MB-H3などはPSGとSCCの音量バランスが悪くなることが公式に発表されている。
サウンドトラックの「オリジナル・サウンド・オブ・パロディウス」は製品発売から僅か1か月足らずで発売。これは、「 オリジナル・サウンド・オブ・沙羅曼蛇=MSX版」(1988年8月5日発売)よりもサウンドトラック化が圧倒的に早い。なお、かなり早い段階でサウンドトラック化が企画されたためか、カセットテープ版のジャケット裏に印刷されたゲーム画面は全て開発画面だ。(CD版は画面写真無し)
BGMの作・編曲にはコナミのMSXスタッフ総出で作成されたとされているだけで、自ら名乗り出た担当者――碇子正広(Masahiro Ikariko)、山下絹代(Kinuyo Yamashita)、前沢秀憲(Hidenori Maesawa)――以外は不明のままである。ただし、佐々木嘉則(Yoshinori Sasaki)は倒れていたとのことで除外されることは記録しておく。
効果音とSCC制御プログラムは上原和彦(Kazuhiko Uehara)が担当している。
BGMは主にクラシック音楽をゲームに合わせたアレンジを行った上で使用しており、一部のみオリジナル曲が採用されている。クラシック音楽からの選曲はすべてではないが一般教養レベルで知られているような有名曲が採用されている。
クラシック音楽など一般の著名な曲を編曲してBGMに使用するというスタイルは後の パロディウス シリーズにも採用され続け、アイデンティティの1つとなった。(これに触発されたのか、システムサコム からクラシック音楽のアレンジをふんだんに使用したノヴェルウェア作品『ソフトでハードな物語』が同年8月に発売されている。)
なお、シリーズの続編となる『パロディウスだ!』では 中ボスシーンで流れた「クライシス第四章」とボスシーンで流れた「ボスBGM」は編曲内容はほぼそのままで引き続き使われている。また、ステージ内容が似ている「ザ・ワルツ・オブ・オクトパス」のBGMも序盤のアレンジこそ異なるものの中盤から編曲内容はほぼそのままで使用。コナミのオリジナル曲からは「ゲームオーバー!!」が引き続き使用されている。
クラシック音楽を採用したゲームは過去にも多くのメーカーから多数の作品が出ている。コナミだけでも『パロディウス』より前には、アーケードゲームで稼働した 『プーヤン』(1982年作品)、MSXの『けっきょく南極大冒険』(1983年作品)、同じく MSX版『サーカスチャーリー』(1984年作品)などが存在する。現在までであれば、クラシック音楽を使用したゲームを挙げれば枚挙にいとまがない。聞き慣れしているクラシック音楽の親和性は高いという現れでもあるだろう。ただし、各担当スタッフが行った編曲の旨さが秀でている結果という点ももちろん忘れてはならない。
ゲーム音楽を聞くだけでクラシック音楽を教養として嗜むことができるという点で、『パロディウス』は有意義なツールとしてもいいだろう。かつてコナミが発売していたMSXソフトの「教育シリーズ」が存在したならば「I love 音楽」の冠を与えるに相応しい。そう思うのである。
ストーリー
――西暦1988年、受験シーズンのまっさかり、全地球的規模で人々は夢を失っていた。
若者たちは受験地獄に苦しみ、子どもたちは親よりもゲームパソコンを大切にすると言い、大人たちは日々の暮らしに追われ、世界各国ではスパイが暗躍し紛争が絶えず、民主主義と共産主義の衝突による第三次世界大戦勃発の不安は高まり、占星術師と科学者は地球の滅亡を説き、そして人々は次第に夢を見失っていった……。
今ここに宇宙を旅し、巡り会った星の人々に夢と希望を与えるプログラマー「タコ」がいた。若くして芸人を目指し、タコ八介に弟子入りし修行をつんだが、師匠の突然の水死により、横山クック門下に生きる望みを求めた。しかし、初舞台で観客にスミをかけてしまい、破門され、それ以来消息は絶えていた。彼は、自ら修行の場を宇宙に求め、新しいエンターテイナー「夢プログラマー」として大成したのだった。全宇宙に夢と希望を与え、平和の芽を植えてやるのが彼の究極の芸だった。
んが、しかし、そうは八百屋?いや魚屋?でもない一杯飲み屋?じゃなくて、そう!問屋がおろさなかった。
宿敵バグの出現であった!
タコがプログラムして人々に与えた夢や希望をバグが食い蝕んでしまうのだった。そして彼の出現はいつも突然だった。タコがプログラミングを終え、その星を離れホッと一息ついていると、いきなりバグ発見の通報が入るのだった。飛んで駆けつけてもバグの姿はもうない。そんなタヌキ?キツネ?いやイタチごっこをくり返すのが常だった。
タコは考えた。タコも考えるのだ。バグを倒すには、もう一度かつてのデビューの地、地球を訪れ、初心忘るべからずなのだ。(何のこっちゃ?)
そんな全く解決にならない理由で地球を訪れたタコは我が目を疑った。かつての地球人は夢と希望にあふれ、人々は互いに信じ合い、尊敬し合い、相和し、相睦み、それはそれはほんにステキな星じゃった。
それが今や冒頭で説明したような有様。タコはゴックン、ピーン!ときた。これはバグの仕業に他ならない。バグが地球の近くに来ているのだ!
これ以上地球が悪くないうちにバグを倒し、地球人の夢を取り戻さなくては!
その頃偶然、隠居生活を送り、ムーン旅行に出かけていたビッグバイパーが小惑星近辺で地球人の夢をメイン料理にし、いただきますをしているバグを発見した。
タコは立ち上がった。タコも立つのだ。8本足だから力強い。そして、いきなりこじつけのような形で登場したビッグバイパーと、強引ともいえる人選により、ペンギン、ゴエモン、ポポロンをパイプ?葉巻?たばこ?いや、パートナーとし、小惑星帯に向けて旅立ったのだ。
彼らの行く手には、いかなる運命が待ちかまえているのか!
そりゃあんた、やってみな分からんわな。
ゲーム画面
プレイヤー
ウエポン
セレクトサイン
プレイヤー残り数
選択可能ウエポン
ハイスコア
ゲーム中のプレイヤーの特点
※プレイヤーの持ち数は3機。10万点ごとに1人(機、匹)増える。
操作方法
① キーボード使用の場合は、プレイヤー1、プレイヤー2とも同じキーで操作する。
② ジョイスティック使用の場合は、プレイヤー1、プレイヤー2ともポート1(またはポートA)に接続されているジョイスティックを交代で使用する。ポート2(ポートB)に接続されたジョイスティックは使用できない。
操作 | キーボード | ジョイスティック |
---|---|---|
8方向移動 |
(カーソルキー)
|
(レバー)
|
ショット | スペースキー | トリガーⒶ |
パワーアップ | MまたはNキー | トリガーⒷ |
・ゲームを一時中断する時、解除はF1キー。
・コンティニューは、ゲームオーバー音楽が流れている間にF5キー
パワーアップ
パワーアップ「並」
敵を倒して出現するパワーカプセルを取ると画面下のウエポンゲージが点灯し、現在取得できる武器が表示される。
ゲージサイン | パワーアップの内容 |
---|---|
何もなし |
パワーアップアイテムを取っていない時、または、その武器がフル装備されていて、それ以上取れない時。 |
速うなんで! |
スピードアップ。最高7段階まで可能。しかし、あまりスピードアップしすぎると訳が分からなくなってくるので注意。 |
ミサイルや! |
地上攻撃用ミサイル。2段階のスピードアップ可能。ちなみにプレイヤーによってミサイルの形態も違いのでよく見てほしい。 |
上付ダブル? |
通常のショットに斜上方への攻撃が加わる。上付ツインではないので念のため。 |
多い日も安心 |
敵が一斉にドバーっと攻めて来るような仏滅かと思われる日は、このレーザー砲があればもう安心。2段階まで長くできる。 |
分身の術や |
伊賀の忍者などがよく使う手。最高2人(機、匹)まで装着可能。初心者は、自分で分身の術を使っていながら自分自身がかく乱されてしまうので注意。 |
何~やそれ! |
怒らないでほしい。これを取るとそれまで装備していた武器が全て消えてなくなってしまう。とても寂しいパワーアップである。(殆どパワーアップとはいわないが) |
バ~リアッ! |
前方からの敵、敵の弾に対し、10回まで耐えることができる。後ろからの攻撃には耐えられない。これも、プレイヤーにより形が異なる。タコはタコ壺に隠れたりするのだ。 |
パワーアップ「大」
別名、ロシアン=ルーレット
パワーカプセルの中には、それを取るとウエポンゲージをルーレットのように高速で点灯させるものがある。この時にタイミングを図り、希望するゲージが光った瞬間にパワーアップボタンを押せばベリーグー。「何~やそれ!」を取ると全ての武器が無くなるのでくれぐれも注意すること。
また、ゲージが高速点灯している間は他のカプセルを取っても無効になる。
パワーアップ「特大」
敵を倒した時出現するベルをショットするとカラーが変化していく。ベルを取得した時のベルのカラーにより一定時間パワーアップする。(この間、パワーアップタイマーが画面右端に表示される)
カラー | 画面表示 | 内容 |
---|---|---|
黄 | (表示無し) | 画面に出ている敵が全滅する。 |
白 | ヨコワープ | 画面を横切ってワープできる。つまり、画面左(右)端に進むと画面右(左)端から出て来る。 |
淡い緑 | タテワープ | 画面を縦方向にワープできる。つまり、画面上(下)端に進むと画面下(上)端から出て来る。 |
水色 | 時間よ止まれ! | 敵が一定時間ストップ。 |
紫 | 菊一文字や! |
ショットボタンを押すと菊型爆弾が投下され、この爆弾の高さと同じ高さに来ていた敵はすべて破壊されてしまう。
また、この高さの地帯を称して、菊一文字ベルト地帯という。なお、菊形爆弾は一画面内に一個しか落とせないので注意。 |
青 | いたずらドリル | 敵、敵の弾、つぶつぶ石に対し、無敵となる。 |
緑 | 上向レーザー | 上方拡散レーザーが発射可能となる。 |
赤 | 前向レーザー | 前方に拡散レーザーが発射可能となる。 |
※菊一文字が有効な間は、プレイヤー本体からミサイルは出ない。
スペースファイター・プロフィール
◆タコ(Octipus)
まだ、ただのタコの頃、一度地球に滞在したことがある。その滞在の間、タコ八介・横山クックといったトップクラスの芸人から直々に芸の指導を受けた。その後、真のエンターテイナーを目指して宇宙のあちこちを旅し、ついに「夢と希望プログラマー」として開眼した。夢も希望もあるもんかと訴えるいろんな星の人々、夢を忘れかけたいろんな星の人々に「夢」をプログラミングし、与えることがその仕事の内容だった。
今回、かつての修行の地、地球の人々が夢を失っていることを聞き舞い戻ってきた。そして、その原因が小惑星帯に潜む "バグ" の仕業であることを知り、バグ壊滅のため出撃したのである。
※タコ八助↝タコ八郎(日本の元プロボクサー・コメディアン、俳優)
※横山クック↝横山ノック(日本の漫才師、お笑いタレント、司会者、政治家)
◆ゴエモン(Goemon)
勉学途上にあるゲームユーザー諸君のため、ゴエモンのモデルである "石川五右衛門" についてひもといてみよう。
彼は、桃山時代の大盗賊。元は真田蔵之進といったがのちに石川五右衛門と改めた。生活に追われオイハギを始め、京都の長屋を襲い、金銀を強奪したため捕らえられ、豊臣秀吉の命令で京都三条河原で釜煎の酷刑に処された。後に、近松の浄瑠璃によって義賊(金銀などを貧しい人々に分けてやる盗賊)に脚色された。だから、実際の五右衛門というのは、根っからの悪党だったんだね。
でも、ゲームの中のゴエモンは義賊だから心配ないよ。
◆ビッグバイパー(VIG VIPER)
宇宙暦6658年、惑星グラディウスにて第二次プラネットウォー勃発。この時、パイロット、ジェイムス=バートンの駆る超時空戦闘機「ビッグバイパー」が活躍し惑星グラディウスは救われた。そして、6666年ヴェノム侵略を阻止するため、新たに研究開発された「メタリオン」が登場するまでの8年間、ビッグバイパーは最前線で活躍し、その任務を完遂したのであった。以後、国防省地下倉庫の奥で静かな余生を送っていたが、最後に1度だけ若かりし頃を思い出して宇宙を駆け巡りたいと思い立ち、スペースファイターとして参加したのだった。
※パロディウスでは ビックバイパー(VIC VIPER)ではなく ビッグバイパー(VIG VIPER)で統一されている。また、グラフィックは MSX版沙羅曼蛇の機体であるサーベルタイガーであり、「何もかも違う」というツッコミ待ちのキャラクターだったのかもしれない。
◆ポポロン(Popolon)
かつてのグリーク王国の騎士、伝説の英雄である。彼の場合、一見騎士道に則ったクソ真面目な男のように見える。しかし実は、ムッツリエンターテイナーだったのだ。魔城では敵との生死を賭けた戦いの最中、いきなり布団を敷き、鼻ちょうちんを出して熟睡してしまうし、グリーク城でガリウスと戦った時は、これもいきなり様式便器に腰掛け、落っこちてしまい、もがき苦しむのだった。彼もまた、スペースファイターとして選ばれる素質を持っていたわけである。
◆ペンギン(Penguin)
南極大陸、夢大陸などで大冒険を繰り広げ、パソコンユーザーの間で絶大なる人気を保持するエンターテイナー。そのコミカルな風貌は女の子にも多くのファンを作り、愛しのペン子ちゃんには嫉妬の眼でみられる毎日である。今回スペースファイターとしてタコと同行することになり、ペン子ちゃんとのデートの約束がとれず内心ハラハラ、ソワソワしている彼であった。
トリビア
◆マニュアル未記載の装備がある
『パロディウス』にはエクストラ(隠し)ステージが3つ存在する。エクストラステージ内ではマニュアル未記載の「下付きダブル?」を手に入れることも可能だ。ただし、ベルと同じ扱いで時間制限制になっている。
◆「迷菓星」のエクストラステージ抜け穴
第四惑星「迷菓星」のエクストラステージ、「今年も.コナミをよろしく」と象った構成になっているが、「コ」の中に入ってしまうとおしまい。ではない。下の2つめと3つめはすり抜けができるようになっている。(ショットやレーザーも通り抜けるのでわかりやすい)
ただし、当然ながら「コ」に内部で下に移動できることが前提だ。
◆なぜ最後のボスはバクなのか?
みなさんは最後のステージボスに辿り着いた時に違和感を覚えなかっただろうか?
見た目は夢を食べるという霊獣のバクで「バグ」ではない。そんな疑問を当ページで投げかけていたところ2004年5月12日に匿名の方から掲示板にタレコミがあった。(当時はPowerBook G3のMac OS 9でWebページ作成していたのでフォントが懐かしい)
バグが食べているのはタコのプログラミングした夢(オープニング参照)。
つまりバクとバグをシャレで掛けたわけだ。
コナミに一生ついていこうと思った(ウソ)
裏技の紹介
下記のコマンド技はどれか1回実行すると他のコマンドは二度と使えないので注意。
◆ベルの色をホールドする
最大の注意点がコマンド技は1回しか実行できないことだ。これはコンティニューしても不可だ。つまり、白以外を指定した場合はステージ6で横ワープが使えなくなるためハマる。
「赤」…F1でポーズをかけkonami⏎ と入力する。
「緑」…F1でポーズをかけbutako⏎ と入力する。
「青」…F1でポーズをかけtako18th⏎ と入力する。
「白」…F1でポーズをかけparo⏎ と入力する。
◆いきなりフル装備にする
F1でポーズをかけzenbu⏎ と入力する。
このワザが使えるのは1回きりで、コンティニューしても再度使うことはできない。
◆バリアが20発(通常は10発)まで耐えられるようになる
F1キーでポーズをかけkatai⏎ と入力する。
注意点はバリアを装備した後に入力しても無効なこと。バリアを貼る前に入力しなければならない。
TRACK LIST
ラジオ収録曲(SCC音源+PSG)
+ 内蔵音源
音源チップ:SCC, GI AY-3-8910
01 オープニングテーマ
02 セレクト
03 空中戦のテーマ (各ステージ共通)
04 第一惑星「ウル星」のテーマ (クライム・オブ・センチュリー)
05 第二惑星「勝負星」のテーマ (ライト・オブ・オクトパス)
06 第三惑星「迷惑星」のテーマ (幻想蛸興曲)
07 第四惑星「迷菓星」のテーマ (お菓子な世界)
08 第五惑星「妖星」のテーマ (ザ・ワルツ・オブ・オクトパス)
09 第六惑星「要星」のテーマ (フェイト・オブ・オクトパス)
10 エクストラステージのテーマ (スウィートエモーション)
11 クライシス第四章 (中ボスのテーマ)
12 ボスBGM
13 エンディングテーマ
14 ゲームオーバー!!
合計時間 : 12:09
作・編曲 : 碇子正広, 山下絹代, 前沢秀憲
再販情報
DISCOGRAPHY
オリジナル・サウンド・オブ
パロディウス MSX VERSION
発売日: 1988年11月21日
価格: 1,200円
商品番号: BY12-5023
販売元: アポロン音楽工業
収録曲
01 オープニングテーマ~セレクト&スタート!!
02 空中戦闘のテーマ
<各ステージ共通>
03 第一惑星「ウル星」のテーマ
<クライム・オブ・センチュリー>
04 第二惑星「勝負星」のテーマ
<ライト・オブ・オクトパス>
05 第三惑星「迷惑星」のテーマ
<幻想蛸興曲>
06 第四惑星「迷菓星」のテーマ
<お菓子な世界>
07 第五惑星「妖星」のテーマ
<ザ・ワルツ・オブ・オクトパス>
08 第六惑星「要星」のテーマ
<フェイト・オブ・オクトパス>
09 エクストラステージのテーマ
<スウィートエモーション>
10 クライシス第4楽章
11 ボスBGM
12 エンディングテーマ~ゲームオーバー!!
13 SEコレクション
<各種オリジナルサウンドイフェクト>
当時の広告
長江さんが死去
パロの認知具合
#これだけで何のゲームか分かってしまう
— おとうさんゲーマーです!レトロゲーム発見隊?????? (@otousan8810) August 9, 2023
一生忘れられない?? pic.twitter.com/cc08t0zbRY
2023年8月、非常に参考になるスレが上がった。「パロディウス」と回答する人は多少いるかもしれない、と参照したが半数どころではなくそれ以上だった。
MSX版(オリジナル)の認知は低いと言っても過言ではない証明になるだろう。
エンディングムービー
■エンディングムービー